- 更新日 : 2025年5月19日
結婚相談所の開業は難しい?許可や資格は必要?資金や失敗を防ぐコツを解説
社会情勢や人々の価値観、ライフスタイルなどが大きく変化するなか、パートナーを探す、コミュニケーションを取るなどといったことが難しくなっていることが実情です。そこで注目されているのが、結婚相談所です。
結婚相談所とは、結婚を希望する利用者同士の出会いを仲人(結婚カウンセラー)が手厚くフォロー・サポートするサービスであり、今後も需要の伸びる産業ともいわれています。
今回は、結婚相談所の開業難易度や開業に向けた基礎知識、さらに開業の流れ、失敗を防ぐためのコツなど、結婚相談所開業に関する有益な情報を豊富に紹介します。婚活ビジネスへの参入を検討している方は、ぜひご覧ください。
目次
結婚相談所の開業は難しい?
結論から述べると、結婚相談所の開業自体は決して難しくありません。その理由としては、主に下記が挙げられます。
- 低コストで開業できる
- 特別なノウハウや経験がなくても開業できる方法が多くある
また、結婚相談所では仲人や結婚カウンセラーのアイデアや裁量によって独自性が高いサービスを提供することができ、近年では結婚願望のある人々からのニーズがさらに伸びています。こうした点も、結婚相談所の開業難易度がその他の事業と比較して低い理由の一つといえるでしょう。
結婚相談所を開業する前の基礎知識
結婚相談所ビジネスへのスムーズな参入を目指すためには、いくつかの基礎知識を押さえておくことが必要です。
ここからは、結婚相談所を開業する前に習得しておくべき基本的な知識・ポイントを詳しく紹介します。
結婚相談所のサービス・仕事内容
結婚相談所で提供するサービスや主な仕事内容は、下記の通りです。
- お互いの条件にマッチした利用者(会員)の紹介
- お見合いのセッティングと結果の取次
- ファッションやメイクのコーディネート
- トークのレッスンやシミュレーション
- カラー診断(好感を与えられる服装のカラーをアドバイスする)
- 交際の進展やプロポーズ・成婚のフォロー
このように、結婚相談所では利用者の相手探しから交際・成婚までを一貫してお手伝いします。
結婚相談所の料金相場
結婚相談所の入会者が支払う一般的な料金の項目と相場は、下記の通りです。
費用項目 | 概要 | 料金相場 |
---|---|---|
入会時に発生する費用 | 約3万~10万円 | |
月額料金 | サービスの契約中に毎月発生する費用 | 約5,000~2万円 |
お見合い費 | お見合いを組んだときに発生する費用 | 約5,000~1万円 |
成婚費 | 結婚相談所から出会った相手との成婚時に発生する費用 | 約0~10万円 |
上記の相場はあくまでも全体相場であり、実際には企業や規模、サービス内容などによっても細かに異なります。
結婚相談所は許可や資格がなくても開業できる
結婚相談所は、特別な許可や国家資格がなくても開業が可能です。現時点では、婚活サービスを提供する際に必要な免許制度を設けていないため、誰でも自由に事業を開始できます。
しかし、民間資格を取得することで信頼性やサービスの質を高めることができるため、競合他社との差別化につながるでしょう。
婚活関連の民間資格を取得すると有利?
結婚相談所を運営するうえで、婚活関連の民間資格は取得が義務付けられているわけではありませんが、会員の信頼獲得やサービスの質の向上に大いに寄与します。
例えば、「婚活アドバイザー」や「仲人士」などの資格は、婚活の市場やトレンドに対する知識を証明するものであり、実績がない事業者でも一定の信頼感を得る手段となりえます。
資格取得によって、相談内容の的確さやアドバイスの説得力が向上し、顧客満足度やリピート率の向上にもつながるため、経営戦略として有利に働くでしょう。
活かせるスキル
結婚相談所経営においては、カウンセリング、コミュニケーション能力、営業力、マーケティング、事務管理など、多岐にわたるスキルが活かせます。
特に心理カウンセラーの資格は、顧客の心情を理解し、適切なマッチングやアドバイスを行ううえで非常に有効です。また、対人スキルやストレスマネジメント、問題解決能力など、ビジネスシーンで培ったスキルも、相談所運営に直結します。
さらに、ITリテラシーを高め、オンラインでのマッチングシステムやSNSを活用した集客戦略を取り入れることで、現代の多様なニーズに応えるサービスを展開することが可能です。
とはいえ、重要なのは人柄です。会員に寄り添い、親身に悩みを聞き、それに合わせた提案をしていれば、自ずと結婚相談所の信頼性は上がっていくでしょう。
結婚相談所の独立開業は儲かる?年収の目安
結婚相談所を独立開業し、入会費5万円・月額料金1万円で20名の会員を集めた場合、年間の売上は最低でも340万円になります。ここからさらにお見合い費や成婚費を含めると、500万円は超えるでしょう。会員数が多いほど、大きな利益が期待できます。
なお、実際に手元に残る収入は、どこで開業するか・どれくらいの経費が必要なのかによっても異なります。
結婚相談所の開業方法や選び方
結婚相談所の開業と一口に言っても、さまざまな形態があります。開業を検討しているなら、自分にはどのような開業スタイルが適しているかを考えて最適な選択をしましょう。
ここからは、結婚相談所の開業方法について詳しく紹介します。
個人・法人で開業する
結婚相談所を開業する際は、まず「個人」で開業するか「法人」で開業するかを決めましょう。
初めて結婚相談所を開業する方のほとんどは、個人事業主を選択しています。法人での開業の場合は赤字でも税金の支払いがある、社会保険加入が義務付けられている、軌道に乗ってから法人化をするケースがほとんどです。
法人化すれば節税効果が得られる、融資や人材採用の面で有利になるなどのメリットがあります。
本業・副業で開業する
結婚相談所を本業で開業するか副業で開業するかは、人によって大きく異なります。
本業にする場合は、結婚相談所の売上が主な収入源となります。開業当初は会員が少なく売上も低い状態が続くため、赤字を乗り越えられるほどの資金がない場合は副業で開業するのがおすすめです。
自宅・事務所で開業する
結婚相談所の開業場所に特に定めはなく、事務所での開業はもちろん自宅開業も可能です。
事務所を借りた場合、入会希望者や会員との面談は事務所内で完結する一方で、敷金・礼金・仲介手数料といった初期費用や毎月の賃料が発生します。
結婚相談所はパソコンと電話さえあれば開業できるため、最初のうちは開業費用を大幅に抑えられる自宅開業を選択する方も少なくありません。会員との打ち合わせはカフェなどを利用するという方法もあります。
連盟やフランチャイズへの加盟で開業する
結婚相談所は個人開業だけでなく、連盟やフランチャイズに加盟しての開業も可能です。
フランチャイズとは、本部(フランチャイザー)が加盟者(フランチャイジー)に対し、商標の使用権や経営ノウハウの提供を行い、その対価としてロイヤリティを受け取る契約形態 のことです。特に、初めて開業される方はフランチャイズに加盟してサポートを受けながら事業を始めるという選択肢も有効です。
結婚相談所の開業資金
結婚相談所を開業するにあたって必要な資金は、大きく「初期コスト」と「ランニングコスト」に分類されます。ここからは、各コストの具体例や相場について詳しく説明します。
初期コスト
結婚相談所の開業に必要な初期コストは、約50万円から250万円が相場です。自宅開業でデスク・チェアとパソコン、電話のみをそろえる場合は、最低ラインの50万円程度で開業できます。
一方で、事務所を借りる場合は最低でも100万円以上の費用がかかります。また、連盟に加入する場合は加盟金として50万円から80万円程度が必要となることも覚えておきましょう。
運営・経営のランニングコスト
結婚相談所の運営・経営に必要なランニングコストは、約2万円から15万円が相場です。ランニングコストは月による支出の変動が少ないため資金計画は立てやすいものの、開業場所やフランチャイズ契約の有無によってその額は大きく異なることも覚えておきましょう。
結婚相談所の開業の流れ
結婚相談所の開業ハードルは低いものの、段階を踏んで開業しなければ思わぬトラブルに見舞われる可能性があります。
次に紹介する結婚相談所の開業準備・手順を抑え、スムーズな開業を目指しましょう。なお、以下では結婚相談所連盟に加盟することを前提とします。
結婚相談所連盟に加入する
開業の前に、まずは結婚相談所連盟に加入することが基本です。結婚相談所連盟とは、各結婚相談所とその会員をつなぐ会員ネットワークシステムであり、加入すれば複数の加盟相談所の会員データベースにアクセスできます。
このデータベースシステムは、会員が求める条件にマッチした相手を探すときに活躍します。連盟に加入しない場合、紹介する会員は自社会員に限られます。開業当初は会員数も少ないため、紹介できる会員がほとんどおらず、結婚相手を本気で探している会員が他の結婚相談所に流れてしまう可能性もゼロではありません。
そのため、結婚相談所を開業する場合は忘れずに連盟に加入しておきましょう。
事業計画を立てる
次に、結婚相談所の開業にあたって事業計画を作成します。事業計画には、会員の利用料金や細かなサービスなどを記載していきます。
「どれほどの利益を求めるのか」「どのようなサービスを展開していきたいか」など、自分自身の目標を明確化することで事業計画を立てやすくなります。
事業計画書についての詳細は下記記事をご覧ください。
集客方法を考える
結婚相談所の開業においては、適切な集客方法の決定も不可欠です。
結婚相談所の集客方法には、SNS・ホームページやWeb広告、さらにチラシや婚活イベントの開催など幅広くあります。会員のペルソナも明確にしたうえで、費用対効果の高い集客方法を組み合わせましょう。
事務所や事務機器の準備
自宅開業ではなく事務所での開業をするなら、なるべく早い段階で事務所を探しておきましょう。事務所の賃貸契約には、賃料3カ月から5カ月分の初期費用が必要となります。
また、自宅開業・事務所開業のいずれにおいても、事務機器の準備も行いましょう。必要な事務機器として、通信機器やプリンター、パソコン、デスク・チェア、さらに筆記具やコピー用紙といった消耗品が挙げられます。
開業に必要な届出・許可
個人事業主として結婚相談所を開業する際は、開業から1カ月以内に税務署にて開業届を提出することが求められています。
しかし、開業届を提出しなくても特に罰則はありません。確定申告を行えば、自動的に開業届を提出したとみなされます。
結婚相談所の開業に活用できる助成金・補助金
結婚相談所を開業したいものの自己資金が足りない、またはもう少し資金面に余裕をもたせたいという場合は、中小企業庁が実施する「小規模事業者持続化補助金」といった補助金制度や、各自治体・団体による助成金制度を活用することも一案です。
なお、補助金制度は限られた予算内で実施される制度であり、先着・抽選で対象者が決められる一方、助成金制度は一定条件を満たせば受給できる可能性が高い制度となっています。
結婚相談所の開業・経営で失敗を防ぐコツ
参入障壁が低いとされる結婚相談所は、気軽な気持ちで開業して失敗に終わるというケースも珍しくありません。失敗を防ぐためには、ここから紹介するいくつかのコツを押さえておきましょう。
自宅で副業から始める
結婚相談所の開業・経営を着実に成功させるためには、「自宅×副業」のスモールスタートが有効です。
結婚相談所は、副業に向いたビジネスといえます。自宅開業で初期費用を大きく抑えつつ、本業の収入を維持しながら開業することで、キャッシュフローも悪化しにくいため、経済的・身体的負担が少ない状態で事業を進められます。
連盟に加入する
結婚相談所連盟に加入せず開業した場合、会員データはすべて単独で収集するため、負担がかかります。会員同士の出会いをスムーズにサポートするためにも、連盟加入がおすすめです。
また、連盟によっては経営ノウハウや開業・運営・集客のサポートも提供しているため、加入することでメリットを得られるでしょう。
SNSやホームページを活用する
単純にSNSアカウントやホームページを作成するだけでは集客効果は期待できません。そのため、必要に応じてWeb広告を出稿する、ネット集客に知識のあるWebマーケティング会社に依頼するといった対策がおすすめです。
口コミや紹介を活用する
商品・サービスの口コミを見てから購入を判断するという一般消費者が増えた近年、集客において口コミの活用は欠かせないものとなりました。
より多くのユーザーからの信頼度を向上させるためには、ホームページに「成婚者の声」コンテンツを掲載する、その内容をSNSやブログに投稿するといった、利用者のリアルな感想を活用することがおすすめです。
経理・経営の知識をつける
結婚相談所に限らずどのビジネス分野においても、開業に伴い経理・経営の知識は欠かせません。経理・経営の知識があれば、起業するといずれ起こりうる重要な経営判断を下さなければならない場面で、失敗する可能性が低くなるでしょう。
特に身につけておくべき知識が、会計管理や決算書の読み方・作成方法です。これらの知識を身につけることで財務状況が常に理解でき、適切な資金計画・経営戦略も立てられるようになります。
結婚相談所の開業難易度は低いが成功に導くためには知識も必要
結婚相談所は他の業種と比較すると、比較的開業がしやすいといわれています。なぜなら、特別な国家資格は不要であり、一定の業務知識を身につければ低コストで開業できるためです。昨今における結婚相談所の需要の高まりも、開業のハードルを下げる要因の一つといえるでしょう。
一方で、結婚相談所の開業・経営を成功させるためにはいくつかのポイントやコツも押さえておかなければなりません。
特に、結婚相談所連盟への加入や経理・経営知識の習得は、開業を検討する方の資金状況、開業規模を問わず重要です。本記事の内容を参考に、結婚相談所の開業を成功に導きましょう。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
※本サイトは、法律的またはその他のアドバイスの提供を目的としたものではありません。当社は本サイトの記載内容(テンプレートを含む)の正確性、妥当性の確保に努めておりますが、ご利用にあたっては、個別の事情を適宜専門家にご相談いただくなど、ご自身の判断でご利用ください。
関連記事
ハウスクリーニングで独立開業するには開業届が必要?書き方も解説!
個人の住宅やアパートなど、室内の清掃を専門とする仕事がハウスクリーニングです。未経験でも始められるため、独立を目指しやすい業態のひとつです。ハウスクリーニングで独立開業する場合「個人事業の開業届」の提出は必要なのでしょうか。今回は、ハウスク…
詳しくみる開業届と失業保険ガイド!バレる?タイミングはいつがいい?
失業保険は、雇用保険の「基本手当」のことです。雇用保険に加入していた人が何らかの理由により離職した場合、失業中の生活を心配なく過ごし、早く再就職するために支給されます。この記事では、再就職中の起業と開業届、失業保険の関係などを考えていきます…
詳しくみるネットショップで開業届を出さないのは違法?書き方も簡単解説!
ネットショップを開業する際に「開業届を出さないと違法なのか」と疑問に思う方もいるでしょう。所得税法では事業を開始する際、開業届の提出が義務付けられています。しかし未提出に対する税法上のペナルティがないため届出をしない方も多いのではないでしょ…
詳しくみる長崎県の開業届の提出方法(ネット・郵送)税務署一覧まとめ!
長崎県で開業届を提出する際は、ご自身がお住まいの地域を管轄する長崎県内の税務署に提出する必要があります。 開業届は、事業所得や、不動産所得・山林所得が発生するような事業を開始をした方が、長崎県の税務署に提出しなければならない書類です。 青色…
詳しくみる開業届とは?書き方や必要書類、提出するメリットなどを徹底解説【記入例付】
開業届(個人事業の開業・廃業等届出書)とは、個人事業主が開業したことを税務署に知らせるための書類です。開業届は自分で作成することもできますが、無料の開業届ソフトを使うとより簡単に作成できます。 この記事では、個人事業主やフリーランスの方、副…
詳しくみるセレクトショップを開業する方法・流れは?資金調達の手順や成功の秘訣を解説
自分の気に入ったものを仕入れ、販売できるセレクトショップの開業を夢見ている方も多いのではないでしょうか。 この記事では、セレクトショップを開業するとき、どのような手順で行うのか、どの程度の届出や資格、資金が必要なのかをお伝えします。開業にあ…
詳しくみる