• 更新日 : 2020年6月10日

会社分割とは

会社分割とは、会社がその事業の全部または一部を分割し、新設会社または既存の別の会社に承継させるという企業組織再編手法のひとつである。
分割した部分を新たに会社設立して承継させる場合を新設分割といい、既存の会社に承継させる場合を吸収分割という。
なお、会社分割に際して身分が不安定になりやすい労働者の権利を保護するためのルールとして労働契約承継法が定められており、承継される事業に従事する労働者の雇用は承継会社に承継されることになっている。

会社分割制度の考え方

従来、会社がその事業の全部または一部を分割するタイプの組織再編は営業譲渡(事業譲渡)などの手法により行われてきた。しかし営業譲渡には手続の煩雑さなどの問題があり、日本企業の競争力強化のために会社分割制度の創設が求められるようになった。これを受け、2000年の商法改正時に会社分割制度が導入され、2005年の会社法制定時に規定が整備された。

なお、会社法における会社分割でいう「事業」とは、「一定の事業活動の目的のために組織化された有機的一体として機能する財産(債務を含む)」であると理解されている。会社分割はこのような包括的概念である「事業」を承継会社に承継するため、合併の場合と同様に「包括継承」であると考えられる。ただし、会社分割の場合は分割会社が消滅せず、また権利義務の一部を分割会社に残せるため「部分的包括継承」と呼ばれる(参照:独立行政法人 労働政策研究・研修機構)。

吸収分割の4つのタイプ

分社型吸収分割(株式対価)

事業を承継する別の会社が対価として株式などを分割会社に割り当てる形式の会社分割を「分社型分割」という。分割会社は承継会社の株式を取得するため両者間に資本関係が残り、株式の割合によって承継会社は分割会社の小会社にもなり得る。

分社型吸収分割(金銭等対価)

分社型分割において、承継会社が対価として金銭等を交付するタイプ。事業を売却した形になる。

分割型吸収分割(株主への株式対価)

承継会社が対価として株式を分割会社の株主に株式を交付するタイプ。グループ内再編でよくみられる。

分割型吸収分割(株主への金銭等対価)

吸収分割において、承継会社が対価として株式を分割会社の株主に金銭等を交付するタイプ。

新設分割の3つのタイプ

新設分割には、分割会社が単独で行うタイプと、他の会社と共同で行うタイプがある。

分社型新設分割

分割会社が新設会社に事業を継承させ、対価として分割会社に対し新設会社の株式を交付するタイプ。

分割型新設分割

分割会社が新設会社に事業を継承させ、対価として分割会社の株主に対し新設会社の株式を交付するタイプ。

共同親切分割

複数の分割会社の事業を新設会社に共同で承継させ、その対価として新設会社の株式をそれぞれが取得するタイプ。複数の企業間の事業統合などの際に行われる。


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