- 作成日 : 2024年12月13日
事業承継・M&Aエキスパートとは?試験の内容や勉強方法、難易度などを解説
事業承継・M&Aエキスパートとは、事業承継や中小企業M&Aに関する基礎知識を問う資格試験です。認定を受けるためには「金融業務2級 事業承継・M&Aコース試験」への合格が求められます。この記事では、事業承継・M&Aエキスパートの特徴から受験の流れ、難易度、試験の内容、勉強方法や注意点まで詳しく解説します。
目次
事業承継・M&Aエキスパートとは
事業承継・M&Aエキスパートとは、事業承継や中小企業M&Aに関する基本的な知識を備えているかどうかを確認する資格試験のことです。一般社団法人金融財政事情研究会の認定資格であり、M&Aエキスパート認定制度のひとつです。
「事業承継やM&Aの基礎知識を身につけたい」「スキルを証明する民間資格を取得したい」という方におすすめの資格といえるでしょう。
事業承継・M&Aエキスパートの認定を受けるためには、一般社団法人金融財政事情研究会が実施する「金融業務2級 事業承継・M&Aコース試験(CBT試験)」への合格が必要です。
事業承継・M&Aエキスパートの認定を受けるまでの流れ
事業承継・M&Aエキスパートの認定を受けるまでの具体的な流れは、以下のとおりです。
- 「金融業務2級 事業承継・M&Aコース」試験の申し込み
- テストセンターでCBT方式の試験を受験
- 試験終了後、スコアレポートで合否を確認
- 認定証をマイページからPDF形式で出力
各ステップについて、順を追って解説します。
「金融業務2級 事業承継・M&Aコース」試験の申し込み
事業承継・M&Aエキスパートの認定を受けるためには、通年実施されている「金融業務2級 事業承継・M&Aコース -事業承継・M&Aエキスパート認定試験-」に合格する必要があります。
試験は、株式会社シー・ビー・ティ・ソリューションズ(CBT-Solutions)の受験者専用サイトのマイページから申し込みます。初めてCBT-Solutionsで受験する方は、ユーザーIDとパスワードを取得し、受験者登録を行いましょう。
受験希望日の3日前まで、試験の受験予約が可能です。受験者は、ご自身の希望にあわせた日程・テストセンターを選択できます。
テストセンターでCBT方式の試験を受験
受験者が予約した日時・テストセンターで、CBT方式の「事業承継・M&Aエキスパート認定試験」を受験します。
試験が始まる前に、操作方法などの説明時間が設けられています。そのため試験当日は、試験開始時刻の30分前から5分前までに予約したテストセンターに到着しておく必要があるため、注意が必要です。
指定の本人確認書類を持参することを忘れないようにしましょう。
試験終了後、スコアレポートで合否を確認
スコアレポートによって、試験の合否が発表されます。
試験が終わった後、その場で合否に関するスコアレポートを受け取る仕組みのため、受験者自身がすぐに合否を確認できます。
認定証をマイページからPDF形式で出力
試験日の翌日以降、合格者は受験者専用サイトのマイページから「事業承継・M&Aエキスパート」の認定証をPDF形式で出力することが可能です。
金融業務2級 事業承継・M&Aコース試験の内容
事業承継・M&Aエキスパートの認定を受けるために、金融業務2級 事業承継・M&Aコース試験の受験を検討している方に向けて、以下を解説します。
- 試験の対象者
- 出題範囲
- 出題形式
- 試験時間
- 合格基準
- 受験料
- 持ち込み品
試験の対象者
金融業務2級 事業承継・M&Aコース試験に特別な「受験資格」は設定されていません。
金融機関の渉外・融資担当者、公認会計士・税理士などの受験が想定されているものの、誰でも受験可能です。
出題範囲
金融業務2級 事業承継・M&Aコース試験の出題範囲は、以下のとおりです。
- 事業承継関連税制等
- 事業承継関連法制等
- M&A基礎知識・関連会計
- M&A関連法制等
- 総合問題
M&Aや事業承継に関する基礎的な知識が問われます。
出題形式
出題形式は、「四答択一式」が30問、「総合問題」が10題です。
試験時間
試験時間は120分です。
合格基準
合格基準は「100点満点中、70点以上の獲得」となります。
受験料
試験の受験料は、税込7,700円です。
持ち込み品
自席への私物の持ち込みは認められていません。携帯電話・筆記用具・計算機・参考書・六法などを含め、私物はテストセンターに設置されている鍵付きロッカーに保管する必要があります。
メモ用紙・筆記用具は、テストセンターで貸し出されるものを使用します。計算問題では、試験画面上に表示される電卓を利用可能です。
参考:一般社団法人金融財政事情研究会 種目別ガイド:金融業務2級 事業承継・M&Aコース
金融業務2級 事業承継・M&Aコースの勉強方法
事業承継・M&Aエキスパートの認定を受けるために、金融業務2級 事業承継・M&Aコース試験の合格を目指す方に向けて、勉強方法を解説します。
試験の難易度
金融業務2級 事業承継・M&Aコース試験の難易度は低めです。
事業承継やM&Aの基礎的な知識が問われるため、M&Aエキスパート認定制度における以下3つの資格試験のなかで、最も低い難易度に位置づけられています。
- 事業承継・M&Aエキスパート(金融業務2級 事業承継・M&Aコース試験)
- 事業承継シニアエキスパート
- M&Aシニアエキスパート
受験にあたっての資格要件も設定されていません。
合格までに必要な勉強時間
金融業務2級 事業承継・M&Aコース試験の合格に必要となる勉強時間は、一般的には数ヶ月程度が目安となります。
学習をスタートした時点で「M&Aや事業承継に関する知識をどの程度備えているか」によって、必要な勉強時間は異なります。
テキスト・過去問
試験の認定元である一般社団法人金融財政事情研究会が発表している対応教材は、以下のとおりです。
- 通信教育:事業承継入門講座(事業承継・M&A3カ月コース)
- 問題集:金融業務2級 事業承継・M&Aコース試験対策問題集
ご自身の知識レベルにあわせて対策しましょう。
事業承継・M&Aエキスパートに関する注意点
事業承継・M&Aエキスパートを目指す際は、以下の2点に注意しましょう。
- 名刺には正式な認定名称を記載する
- より難易度の高い資格の取得も検討する
それぞれの注意点について解説します。
名刺には正式な認定名称を記載する
事業承継・M&Aエキスパートの認定を受けた場合、名刺には正式な認定名称を記載しましょう。
名刺への記載例は、以下のとおりです。
- 一般社団法人金融財政事情研究会認定 事業承継・M&Aエキスパート
- 金融財政事情研究会認定 事業承継・M&Aエキスパート
より難易度の高い資格の取得も検討する
事業承継・M&Aエキスパートの認定を目指すのであれば、将来的にはより難易度の高い資格の取得も検討してみましょう。
M&A実施に資格は不要であるものの、専門知識があるほうがスムーズな成約につながりやすいためです。
事業承継・M&Aエキスパートは基礎知識の習得に役立つ一方、実務能力を身につけることは難しいでしょう。
「事業承継・M&Aエキスパート」試験に合格すれば、より上位の事業承継シニアエキスパート認定試験の受験資格として必要となる「M&Aシニアエキスパート養成スクールの受講」へとステップアップできます。
資格をよりビジネスに活かすためには「事業承継シニアエキスパート」や「M&Aシニアエキスパート」資格試験など、より難易度の高い資格の取得も検討することがおすすめです。
事業承継・M&Aエキスパート以外の認定・支援制度
事業承継・M&Aに関連する資格は、事業承継・M&Aエキスパートだけではありません。
ほかに検討したい認定・支援制度として、以下が挙げられます。
- 事業承継シニアエキスパート
- M&Aシニアエキスパート
これらは、事業承継・M&Aエキスパートと同じく、一般社団法人金融財政事情研究会が認定・支援するものです。
各資格を比較すると、以下のような特徴があります。
資格名 | 位置づけ | 難易度 | 受験資格 |
---|---|---|---|
事業承継・M&Aエキスパート | スタンダード | ★ | 不要 |
事業承継シニアエキスパート | アドバンス | ★★ | 必要 |
M&Aシニアエキスパート | プロフェッショナル | ★★★ | 必要 |
「事業承継シニアエキスパート」「M&Aシニアエキスパート」について、それぞれ詳しく見ていきましょう。
事業承継シニアエキスパート
事業承継シニアエキスパートは、事業承継実務に関する資格です。
認定を受けるためには、事業承継シニアエキスパートWeb講義の修了者を対象とする「事業承継シニアエキスパート認定試験(CBT方式)」に合格しなければなりません。
Web講義でさまざまなケーススタディーを学ぶことで、知識だけではなく実践力も養えます。
【受講資格】
- 事業承継・M&Aエキスパート認定者(試験合格者)
- 弁護士・税理士・公認会計士・司法書士・中小企業診断士
- 銀行・信用金庫・信用組合・証券会社・生命保険会社において法人営業経験が1年以上、かつ現在も在籍中の方
- 会計事務所等で1年以上の実務経験を有し、現在も在籍中の方
- 1級ファイナンシャル・プランニング技能士
M&Aシニアエキスパート
M&Aシニアエキスパートは、中小企業のM&A実務に関する難関資格です。
Web講義によって、事業承継・M&Aの現場で役立つ実務能力を身につけられます。
認定を受けるためには、M&AシニアエキスパートWeb講義の修了者を対象とする「M&Aシニアエキスパート認定試験(CBT方式)」に合格しなければなりません。
【受講資格】
- 事業承継・M&Aエキスパート認定者/事業承継シニアエキスパート認定者(試験合格者)
- 弁護士・税理士・公認会計士・司法書士
- 銀行・信用金庫・信用組合・証券会社・生命保険会社において法人営業経験が5年以上かつ現在も在籍中の方
- 会計事務所等で5年以上の実務経験を有し、現在も在籍中の方
- 1級ファイナンシャル・プランニング技能士
- 一般社団法人M&A仲介協会会員役職員
事業承継・M&Aエキスパート資格取得を目指そう
M&Aエキスパート認定制度のひとつである事業承継・M&Aエキスパートは、事業承継・M&Aの基礎知識を身につけたい方におすすめの資格です。
特別な受験資格は必要ないため、「名刺に記載できる民間資格を取得したい」という方は、ぜひ取得を検討してみてください。
将来的には「事業承継シニアエキスパート」や「M&Aシニアエキスパート」にも挑戦し、ビジネスに役立てるとよいでしょう。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
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