- 更新日 : 2026年3月17日
開業届を出してないけどインボイス制度は大丈夫?関係性を分かりやすく解説
未提出でも登録申請自体は可能ですが、実務上は「開業届」と「インボイス登録申請」の同時提出が基本であり強く推奨されます。
- 手続き: 開業届が未提出でも登録申請は可能
- 期限: 2026年10月から経過措置が50%へ縮小
- 負担減: 免税事業者からの登録は「2割特例」対象
インボイス登録は事業実態が前提の手続きであり、2026年以降は未登録だと取引先の税額控除が50%へ縮小され登録要請が強まるため、開業届と併せて早めの検討が必要です。
消費税のインボイス制度は、法人だけでなく個人事業主にも影響を与えます。取引先との関係などから、インボイス制度に登録するかどうか悩んでいる個人事業主も多いでしょう。
インボイス制度に加入する際に注意したいのが、開業届との関係です。ここでは「開業届を出していないとインボイス制度に登録できないのか」など、インボイス制度と開業届の関係性について解説します。
目次
インボイス制度と開業届の関係性
開業届は「個人事業の開始宣言」、インボイス制度は「消費税の取り扱いルール」であり、それぞれ目的が異なります。 ただし、取引先からインボイスの発行を求められるケースが多いため、開業のタイミングで「インボイス制度へ登録するかどうか」をセットで検討する必要があります。
そもそも開業届とは?
開業届とは、個人が事業を開始したことを税務署に伝えるために作成する書類で、開業後1か月以内に提出します。
法人では設立する際に、法務局で設立登記を行います。そのため、いつ設立したのかが明確になります。一方で個人の場合は、開業の際に登記をすることはありません。そこで、開業届を提出することでいつ開業し、いつから確定申告が必要かなどを税務署に知らせることができます。
インボイス制度とは?
インボイス制度とは、売り手が買い手に対し、販売商品などにかかる消費税の税率や消費税額などを正確に伝えるための制度です。
この制度に登録すると、適格請求書発行事業者(インボイス発行事業者)となり、登録番号や税率を記載した「インボイス(正式名称:適格請求書)」の発行が可能になります。
商品やサービスを提供する事業者(売り手)は、取引先(買い手)から登録を求められるケースが多いですが、その理由は「買い手の納税額が変わるから」です。事業者が国に納める消費税額は、以下の計算式で決まります。
買い手がこの「仕入税額控除」を適用して納税額を減らすためには、原則として売り手からインボイスの発行を受ける必要があります。インボイスがないと控除ができず、買い手の納税額が増えてしまうため、登録を求められることが多いのです。
【2026年9月末で経過措置が縮小】 現在は経過措置として、インボイスがない場合でも一定額を控除できますが、このルールは2026年9月末を境に厳格化されます。
- 〜2026年9月末:インボイスなしでも仕入税額の80%を控除可能
- 2026年10月〜:インボイスなしだと仕入税額の50%へ縮小
控除額が減る(=買い手の負担が増える)ため、2026年以降は売り手に対してインボイス登録を求める圧力がさらに強まることが予想されます。
【登録時の注意点と「2割特例」】 インボイス制度に登録すると、強制的に「課税事業者」となり、消費税の申告・納税義務が発生します。
ただし、免税事業者がインボイス登録を行う場合、売上時に預かった消費税の「2割」だけを納税すればよい「2割特例」という負担軽減措置が適用できるケースがあります(※2026年分の申告まで適用対象)。 開業したばかりの方は、この特例による節税効果と、取引先との関係維持のバランスを考慮して登録を検討しましょう。
出典:2割特例(インボイス発行事業者となる小規模事業者に対する負担軽減措置)の概要|国税庁
開業届を提出していなくてもインボイス制度に登録できる?
開業届を提出していなくてもインボイス制度への登録申請は可能です。 ただし、実務上はインボイス登録申請の時点で、すでに開業届を提出しているか、もしくは同時に提出することが強く推奨されます。
インボイス制度への登録(適格請求書発行事業者の登録申請)は、事業を行っていることが前提の手続きです。税務署側で事業実態を正確に把握してもらうためにも、未提出の場合は速やかに開業届を提出しましょう。
インボイス発行事業者が開業届を提出すべきタイミングは?
原則として「開業後1ヶ月以内」に提出しますが、インボイス登録を決めている場合は「同時提出」が最も効率的です。
具体的な提出タイミングは、事業者の状況によって以下の3パターンに分かれます。ご自身の状況に合わせて手続きを行ってください。
1. 開業直後で、インボイス登録が未定の場合
- アクション:先に「開業届」のみ提出する
- 理由:開業届の提出期限は「開業日から1ヶ月以内」と定められているため、インボイスの判断に迷っていても、まずは開業届を期限内に提出しましょう。
2. 開業直後で、インボイス登録を決めている場合
- アクション:「開業届」と「適格請求書発行事業者の登録申請書(インボイス登録申請書)」を同時に提出する
- 理由:二度手間を防ぎ、最初から課税事業者(インボイス発行事業者)としてスムーズに事業を開始できます。
3. すでに開業してから数年経過している場合
- アクション:速やかに「開業届」を提出し、その後(または同時に)インボイス登録を行う
- 理由:開業届が未提出であっても罰則はありませんが、青色申告承認申請などの税制優遇を受ける機会を逃している可能性があります。インボイス登録を機に、税務署への届出状況を整理・是正することが望ましいです。
適格請求書発行事業者の登録申請書の開業届の書き方は?
基本的な記入内容は一般的な開業届と同じですが、事業内容を客観的に証明できるよう、具体的かつ正確に記載しましょう。
インボイス制度に登録する事業者は、税務署に対して「どのような事業を行っているか」を明確に伝える必要があります。ここでは特に記載内容に迷いやすい「職業欄」と「屋号」の書き方を解説します。
職業欄の書き方
開業届の職業欄は、個人事業の業種を記載します。特に書き方が決まっているわけではないので、分かりやすく記載すれば問題ありません。例えば、中古自動車小売業やラーメン店経営、著述家業(ライター)など、第三者が見て職業が理解できるように記載しましょう。
屋号の書き方
屋号とは、お店の名前やペンネームなどのことを指します。お店を経営している場合はお店の名前を、ライターや芸能人などペンネームや芸名があればその名前を記載します。屋号がない場合は、記載の必要はありません。
開業届をネットで簡単に作成する方法
マネーフォワード クラウド開業届(サービス利用料0円)の場合、ソフトのインストールなどは一切必要なく、オンライン上でいくつかの質問に答えるだけで簡単に開業届の作成・提出ができます。
\電子申告でラクに開業届を提出/
e-Taxソフトで開業届を作成する際は、e-Taxソフトのインストールなどが必要です。
ソフトのインストールが不要でオンライン上で利用できる、マネーフォワード クラウド開業届のような開業届作成サービスは、デザインや使いやすさが初心者向けに設計されているのが特徴です。
開業届はスマホで電子申請・提出がラク!
開業届を提出するには、スマホで電子申告(e-Tax)・インターネット(e-Tax)・郵送・税務署の窓口に持参の4つの方法があります。
完全無料で使える「マネーフォワード クラウド開業届」で、フォームに沿って必要な情報を入力したのち、スマホから電子申告(e-Tax)が簡単にできます。
インターネットで完結するので、個人事業主やフリーランスの方など、非常に多くの方にご利用いただいております。
\スマホで簡単に開業届を提出/
開業届の手続きでハードルとなるのは?
株式会社マネーフォワードは、自営業などを対象に開業届に関する調査を実施しました。調査結果によると、開業届の手続き全体を通して最もハードルが高いと感じた点は「青色申告などの関連書類の理解」で、21.4%でした。次いで「記入内容の判断」が20.2%となっており、「書類の作成・入力作業」の11.3%を上回っています。
関連手続きの同時提出の現状
また、同調査で開業届と同時に青色申告承認申請書を提出した人は66.0%でした。多くの人が、制度の仕組みの理解に悩みを抱えつつも、開業届の提出にあわせて関連手続きを同時に進めていることが読み取れます。
インボイス制度への登録申請においても、開業届の手続きと同様に制度の理解や記入内容の判断が求められます。インボイス制度の登録を予定している場合は、事前に制度について把握し、開業届の提出にあわせて計画的に準備を進めることが有用です。
出典:マネーフォワード クラウド、青色申告承認申請書の提出状況・手続きで「面倒・ハードルが高い」と感じた点【開業届に関する調査データ】(回答者:812名、集計期間:2026年1月実施)
開業届とインボイス登録を計画的に進めよう
開業届を出していなくてもインボイス制度への登録申請は可能ですが、事業実態を明確にするためにも、未提出の方は速やかな提出をおすすめします。
特に2026年10月以降は、インボイス未登録事業者に対する経過措置が縮小(80%→50%控除)されるため、取引先への影響が大きくなります。免税事業者の負担を減らす「2割特例」なども活用し、事業拡大のチャンスを逃さないよう最適なタイミングで手続きを進めましょう。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
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