• 更新日 : 2023年12月4日

セレクトショップを開業する方法・流れは?資金調達の手順や成功の秘訣を解説

セレクトショップを開業する方法・流れは?資金調達の手順や成功の秘訣を解説

自分の気に入ったものを仕入れ、販売できるセレクトショップの開業を夢見ている方も多いのではないでしょうか。

この記事では、セレクトショップを開業するとき、どのような手順で行うのか、どの程度の届出や資格、資金が必要なのかをお伝えします。開業にあたっての資金調達方法もお伝えしますので、セレクトショップの開業を考えている方はぜひ参考にしてください。

セレクトショップを開業する方法・流れは?

複数のブランドを自由に仕入れて販売できるセレクトショップ。セレクトショップでは、自分のお気に入りの商品だけを販売することも可能です。雑貨、ファッションなどジャンルを問わずセレクトショップのお店は多くありますが、いざ開業するにあたり「セレクトショップを開業したいけれど、どのような工程を踏めばいいのかわからない」と不安に感じる方も多いのではないでしょうか。

そこでまずは、セレクトショップを開業するまでの流れを5つのステップに分けて詳しく解説します。

セレクトショップ開業の流れ

  1. ショップのテーマ・コンセプトを考える
  2. 仕入れ先を検討する
  3. 店舗の立地を決める
  4. 店舗に使う備品を選ぶ
  5. 資金を確保・調達する

ショップのテーマ・コンセプトを考える

セレクトショップと一口にいっても、その内容は多岐にわたります。そのため、まずはどのようなテーマやコンセプトのセレクトショップにするのかを考えるところから始めましょう。

  • 店舗全体のイメージ
  • 客層のターゲット
  • 商品ラインナップの内容

テーマやコンセプトが固まっていないと、事業の進め方や店舗の運営方法を決めることが難しくなります。もし、曖昧なイメージしか浮かばない場合は、さまざまなセレクトショップをチェックしてみるのもおすすめです。

実際の店舗を見てみると、自分は具体的にどのような店をつくりたいか想像が膨らみやすくなります。

仕入れ先を検討する

コンセプトが決まれば、その内容に合った商品が仕入れられる仕入れ先を検討しましょう。

  • 新商品をいち早く仕入れられるメーカー直接取引
  • 幅広い商品の中を効率良く仕入れられる問屋取引
  • 時間を選ばず取引できるネットの仕入れサービス

これらの方法があるので、自分のコンセプトに合った取引はどれか、重要視したいポイントはどこか、ということを考えながら決めてください。

店舗の立地を決める

実店舗のセレクトショップを出店するなら、出店先を決める必要があります。ショップのコンセプトやイメージに合う立地はどこかを考えながら、店舗の立地を選定しましょう。

例えば、ラグジュアリーな商品を扱うなら、高級住宅街のそばに出店すれば店の雰囲気と街の雰囲気が一致するでしょう。子ども服のセレクトショップには、子育て世帯が多く住む街が合っています。

セレクトショップのコンセプトを明確にし、立地の決定もそのコンセプトからブレないように決めていきたいところです。

店舗に使う備品を選ぶ

立地が決まったら、店舗で使うさまざまな備品をそろえます。簡単な作業にも思えますが、実はセレクトショップ全体のイメージを統一させる重要な作業のひとつです。

レジ周りの小物や陳列棚、インテリア小物など、さまざまな準備が必要なので、事前にリストアップしておくとよいでしょう。

資金を確保・調達する

セレクトショップの開業には、お金が必要です。自己資金を少しでも増やすために貯金することは大切ですが、それだけで足りない場合は資金調達の方法も考えなければなりません。

  • 金融機関やからの融資
  • 家族などから資金を借りる
  • クラウドファンディングで資金を募る

このように、資金調達にはさまざまな方法があるので、自分に合った方法を見つけてみてください。

ギリギリの資金で開業してしまうと、運営が不安定になってしまうので、しっかり安定して運営できるように計画しましょう。

実際に起業した人の約58%が開業時の資金繰りに苦労したというアンケート結果もあります。月々の支払い額の数カ月分は最初に確保しておくなど、どのように資金を回していくかは常に念頭に置いて準備することが大切です。

セレクトショップの開業に必要な資格・届出は?

セレクトショップを開業するには、資格や届出が必要となります。取扱商品が何かによって必要な資格は変わってきますが、届出はどのような店舗においても必要です。

開業届(個人事業の開業・廃業等届出書)

セレクトショップの開業に伴い、開業届を提出することには以下のようなメリットがあります。

  • 青色申告を利用して節税効果を高められる
  • 屋号付きのビジネス口座を開設できる

開業届は作成して税務署に持参するか、郵送でも申請はできます。また開業届は、事業開始から1カ月以内に提出してください。

開業届については、以下の記事でも詳しくまとめているのでご覧ください。

青色申告承認申請書

開業届を出すメリットのひとつである青色申告は、「青色申告承認申請書」を提出しないと利用できません。

青色申告とは、複式簿記による記帳を行い、貸借対照表損益計算書確定申告書に添付することで、最大65万円の特別控除が受けられる申告納税制度です。

青色申告承認申請書は、開業届と同時に提出できます。

青色申告承認申請書については、以下の記事でも詳しくまとめているのでご覧ください。

セレクトショップ開業に必要な資格

何を販売するかによって、資格を取得しなくてはいけない場合もあるため、開業前に詳しく確認しておきましょう。

セレクトショップ開業に必要な主な資格には次のようなものがあります。

セレクトショップ開業に必要な資格

  • アンティーク品や中古品を取り扱う場合:古物商許可が必要な場合がある
  • 化粧品を取り扱う場合:化粧品製造販売業許可が必要な場合がある
  • 酒類を取り扱う場合:通信販売酒類小売業免許および一般酒類小売業免許が必要

古物商許可は、「美術品類」「衣類」など13品目に分けられていて、これらに該当するものを販売する場合には許可が必要です。反対に、該当しないものを取り扱うなら、許可申請は不要となっています。

化粧品製造販売業許可は、化粧品をメーカーや問屋から仕入れて販売する分には不要です。自社で企画した商品や、製造まで行った商品を販売する場合に必要な資格となります。

アルコール度数1%以上の酒類やみりんを取り扱うなら、通信販売酒類小売業免許および一般酒類小売業免許の取得が必須です。実店舗で販売するなら一般酒類小売業免許を、全国に販売する想定のネットショップで販売するなら通信販売酒類小売業免許を取得しましょう。

セレクトショップ開業に必要な資金は?

セレクトショップは、必ずしも実店舗があるとは限りません。実店舗とネットショップは、どちらにもメリット・デメリットがあるため自分の環境や考えに合わせた方法で開業しましょう。

実店舗とネットショップの違いとして、必要な資金の規模感もあります。結論からいえば、ネットショップで開業するほうが、必要資金は少なくなる傾向です。

ネットショップは、店舗の工事やクリーニングをはじめ、什器や備品などを用意する必要もありません。比較的気軽に始めやすく、数多くの商品をラインナップできるなど自由度が高いのがネットショップで開業する魅力です。

以下から、実店舗とネットショップ、それぞれでの開業で、どの程度資金が必要なのかを詳しく見ていきましょう。

実店舗で開業する場合

実店舗でセレクトショップを開業するなら、1,000万円ほどの資金が必要です。実店舗を運営するとなると物件や設備などを購入するための、さまざまな資金が必要になるからです。

実店舗でセレクトショップを運営するにあたって必要になる費用として、以下のようなものがあります。

初期費用
ランニングコスト
・商品仕入費
・物件取得費
・外装・内装工事費
・販促費
・空調設備費
・その他設備・備品費
・商品仕入費
・人件費
・光熱費
・物件賃借料

ネットショップで開業する場合

ネットショップでセレクトショップを開業する場合、物件や設備は必要ありませんが、サーバー代やドメイン代を支払わなければなりません。

また、Amazonや楽天のような多くのショップが利用する「モール型ネットショップ」や、自分でショップをつくって販売する「ASP型ネットショップ」など、どのような方法でネットショップを運営するかによっても、費用が異なります。

いずれにしても、初期費用や月額費用は多くても5万円程度なので、低コストでセレクトショップを開業したい場合はネットショップがおすすめです。

初期費用
ランニングコスト
・商品仕入費
・パソコン等購入費
・梱包資材購入費
・サーバー代
・ドメイン代
・ソフトウェア更新費
・人件費

セレクトショップにおすすめの資金調達方法は?

ここまで、セレクトショップを開業するにあたって必要な資金について解説してきましたが、では一体どのようにして資金を調達すればよいのでしょうか。

金融機関からの融資

財務省所管の日本政策金融公庫では、個人事業主に対して融資を行う制度があります。

新しく事業を始める方向けの無担保・無保証で融資を受けられる制度も用意されているので、利用したい方は詳しく確認してみましょう。

また、個人事業規模のセレクトショップの開業資金で民間の銀行などから融資を受けるなら、信用金庫や地方銀行など地域に密着した金融機関に相談することをおすすめします。

地方銀行は、地元企業への対応がきめ細やかで、都市銀行よりも融資審査が通りやすい点などがメリットとして挙げられます。

補助金・助成金

開業資金の調達方法として、各自治体の補助金や助成金を利用するというものもあります。融資と違い、補助金や助成金は基本的に返金不要であることが、最大のメリットです。

ただし補助金や助成金といっても数多くの種類があるため、実際に自分のセレクトショップの開業に活用できるものなのか確認することも重要です。

また、補助金や助成金が活用できるように事業計画を設計することも、経営者として重要なポイントになります。なお、補助金や助成金は後払いである点には注意してください。

親族・知り合いからの借入

資金調達の方法として、親や兄弟などの親族や友人などから借りるという方法もあります。

その際に注意したいのが、贈与税です。年間110万円以上財産を譲り受けた場合は、贈与税の対象になります。贈与税を払いたくないなら、年間の援助額を110万円以内におさめる必要があります。

しかし、毎年繰り返すことで分割贈与を疑われる可能性もあるので、お金を贈与されるごとに贈与契約書を作成してください。

セレクトショップ開業を成功させる秘訣は?

最後に、セレクトショップを成功させるための秘訣をご紹介します。セレクトショップは自分の好きなものを販売できる夢のような店ですが、せっかく開業しても商品が売れないと失敗に終わってしまいます。そうならないように、成功の秘訣を知って戦略的に運営していきましょう。

他店との差別化が大切

セレクトショップは、独自のコンセプトを持って運営することが重要です。他店とコンセプトがかぶるようなオリジナリティの低い店舗では失敗に終わる可能性が高いでしょう。

同じ分野の商品を売っているセレクトショップが競合になります。まずは競合の店舗をしっかりと分析して、自分のセレクトショップの良い点・悪い点を洗い出していく必要があります。

コンセプトをぶらすことなく商品を仕入れる

はじめに決めたコンセプトを軸として進めていくことが、セレクトショップ成功のための大きな鍵です。

例えば、高級志向であるコンセプトなのに、廉価版商品を販売してしまっては、ショップのブランディングはうまくいかないでしょう。

商品を仕入れる時点で、コンセプトにきちんと沿った商品を選んでいるかチェックすることが大切です。

顧客の共感を得るようなストーリー性のある商品なら、お客さんへ商品を説明する際にも、仕入れた理由などを丁寧に語れるでしょう。

インターネットを使った告知を有効に

開店当初は知名度が低いため、どのように集客するかが課題になります。

昨今の集客方法として、インターネット広告やSNSを使った告知があります。無料で告知できるものもありますので、上手に活用しましょう。

おしゃれな商品を取りそろえているなら、映える写真を撮影してInstagramに投稿するのがおすすめです。

他にも、検索エンジンのキーワードに連動させて広告を表示させるリスティング広告など、効率良く集客できる手法を上手に取り入れていきましょう。

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こちらから自由にお使いいただけるので、ぜひご活用ください。

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セレクトショップの開業にはコンセプトづくりが重要!

セレクトショップをつくる際、まずはどのようなコンセプトで運営していくのかを明確にし、それに合わせて店舗形態や商品内容など詳細を決めていくことが大切です。

そもそも、実店舗を持つのか、ネットショップだけで運営するのか、両方ともあわせて持つのかによって、必要資金も大きく変わります。

スモールスタートで小さく始めてみたい、という方は、ひとまず経済的負担の少ないネットショップで始めてみてはいかがでしょうか。

いずれにしても、大なり小なり開業資金は必要となります。開業することを決めたらできる限り貯金しながら融資や助成金を利用するなど、開業資金の準備から始めましょう。

よくある質問

セレクトショップを開業する方法・流れは?

開業届や青色申告承認申請書の届出が必要です。資格については、販売する商品によって必要な場合もあります。詳しくはこちらをご覧ください。

セレクトショップにおすすめの資金調達方法は?

セレクトショップにおけるコンセプトはオーナーの想いでもありますが、そのコンセプトがいかに顧客の共感を得るかに尽きると思います。それは、日々の試行錯誤の中から生まれるともいえるのではないでしょうか。試行錯誤とは、実際に顧客と話をしたり、求めるものを丁寧にヒアリングしたりすることの積み重ねです。そして一度そのショップに根ざしたコンセプトは、顧客によって日々成長していきます。税理士業も同じです。詳しくはこちらをご覧ください。


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