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  • 更新日 : 2020年11月12日

開業届の職業欄の書き方とは?複数職業の場合や事業税も解説

個人事業主や自営業者、フリーランスなどで個人が事業を開始する場合、所轄の税務署長に「個人事業の開業・廃業等届出書」(開業届)を提出することになります。この開業届を記入する際に、迷いやすい項目のひとつが「職業欄」です。

この記事では、開業届における職業欄の書き方、職業欄と関係する事業税など、開業届の職業欄を中心に解説します。

開業届には職業欄や事業の概要を記載する欄がある

開業届は、新たに事業を開始したときや、事業用として事務所や事業所を新設したときに、管轄の税務署へ提出する書類です。開業届の記入欄には、以下のように「職業」や「事業の概要」といった項目があり、それぞれどのような仕事を事業として行うのか記入していきます。

「職業」や「事業の概要」については特に決まりがなく、読んでわかるような書き方であれば、基本的に問題はありません。よく知られているような職業であれば、一般的に使われている名称を記入すれば良いでしょう。

しかし、働き方や事業の多様化が進み、近年広まってきた分野だと、どのように書くべきかわからないケースもあるでしょう。

職業欄の書き方として、ひとつ参考になるのが、総務省の「日本標準産業分類」です。日本標準職業分類のうち、個人事業主が多い例をいくつか取り上げます。

  • A-農業、林業
    米作農業、野菜作農業、酪農業、養鶏業、園芸サービス業、育林業、など
  • B-漁業
    底びき網漁業、魚類養殖業、貝類養殖業、など
  • D-建設業
    造園工事業、内装工事業、ガラス工事業、一般電気工事業、電気通信工事業、など
  • G-情報通信業
    受託開発ソフトウェア業、情報処理サービス業、ポータルサイト・サーバ運営業、など
  • I-卸売業、小売業
    婦人服小売業、酒小売業、中古自動車小売業、無店舗小売業、など
  • K-不動産業、物品賃貸業
    不動産代理兼・仲介業、貸事務所業、貸家業、駐車場業、など
  • L-学術研究、専門・技術サービス業
    法律事務所、行政書士事務所、税理士事務所、デザイン業、著述家業、翻訳業、獣医業、など
  • M-宿泊業、飲食サービス業
    旅館、ホテル、日本料理店、ラーメン店、そば・うどん店、喫茶店、など
  • N-生活関連サービス業、娯楽業
    普通洗濯業、美容業、エステティック業、など
  • P-医療、福祉
    歯科診療所、あん摩マッサージ指圧師・はり師・きゅう師・柔道整復師の施術所、など
  • R-サービス業
    自動車一般整備業、時計修理業、など

職業欄はしっかり書くべき?事業税との関係は?

開業届の職業欄は明確に記入するべきです。なぜしっかり書くべきなのか、事業税との関係も交えて説明します。

開業届の職業欄は事業税に関係している

開業届の職業欄に決まった書き方はないと説明しましたが、だからといって職業欄に何でも書いて良いわけではありません。開業届の職業欄は、事業税にも間接的に関係してきますので、明確に仕事内容がわかる虚偽のない職業を記入するようにします。

なお、開業届の職業欄が事業税にも間接的にかかわると説明したのは、確定申告書には職業を記載する欄、事業税に関する欄があり、最終的に確定申告書に記載したものが事業税の計算に使われるためです。

開業届の職業欄と、確定申告書の職業欄には同様のものを記入することになると思いますので、開業届の職業欄は間接的に事業税に関わることになります。

事業税とはなにか

ここで、開業届の職業欄が間接的に関わる「事業税」とは何か簡単に見ていきましょう。

事業税(個人事業税)とは、個人の事業に対してかかる税金のことです。地方税の一種で、地方税法などで定められた事業に課せられます。

所得税の計算と同じように、個人の所得にかかる税金で、年間控除額290万円を超過した分について事業税が発生します。営業期間が1年に満たない場合の控除額は、月割りでの算出となります。

事業税については、所得税の確定申告あるいは住民税の申告と共通ですので、個人で確定申告をする場合は、別途で個人事業税を申告する必要はありません。

職業によって事業税の税率が変わる

開業届の職業欄が重要なのは、職業によって事業税の税率が変わるためです。事業税の対象になる業種は全部で70種類あり、ほとんどの業種は事業税率5%ですが、業種によっては事業税率4%、3%になることもあります。

事業税率事業の種類
3%あんま・マッサージ業、指圧・はり・きゅう業、など
4%畜産業、水産業、薪炭製造業
5%物品販売業、飲食店業、物品貸付業、不動産貸付業、請負業、写真業、旅館業、医業、税理士業、デザイン業、弁護士業、美容業、コンサルタント業、クリーニング業、など

課税されない職業もある

職業によっては、事業税が課税されないものもあります。例えば、以下のような職業から生じる所得です。

  • 林業や鉱物採掘業による所得
  • 社会保険診療報酬などにかかわる所得
  • 外国にある事務所などで生じた所得
  • 地方税法第72条の2(事業税の対象となる事業)に該当しない事業の所得

課税されない所得がある場合は、非課税分を除外した分が、事業税の対象です。事業税の対象にならない事業のみの所得であれば、所得が年間290万円を超えていても事業税は発生しません。

事業税課税のしくみ

事業税が発生するような場合でも、前述のように、別途で事業税の申告書を提出する必要はありません。所得税の確定申告書に、事業税に関する欄があるためです。事業税の項目には、非課税所得や事業用資産の譲渡損失などを記入する項目があり、記載の項目を考慮の上で、確定申告書の職業欄に応じて事業税額が計算されます。

事例でわかる開業届の職業欄の書き方

開業届の職業欄、「職業」と「事業の概要」をどのように記載すれば良いのか、書き方の例をいくつか紹介します。必ずこう書かなければならないという決まりはありませんが、職業欄を記入するときの書き方の参考にしてみてください。

Case1. 物件を借りてカフェの営業を開始した
職業:喫茶店
事業の概要:カフェでの軽食提供やマネジメント

Case2.中学生向けの学習塾を個人で開業した
職業:学習塾運営
事業の概要:中学生向け集団指導、塾の運営

Case3.フリーでシステム設計の仕事をはじめた
職業:システムエンジニア
事業の概要:ソフトウェアのシステム設計やプログラミング

Case4. Webサイトのデザインの仕事をはじめた
職業:Webデザイナー
事業の概要:Webサイトのビジュアルデザイン、LPサイトの制作

Case5.ブログの広告収入が増加して事業として安定してきたので開業をした
職業:Webサイト運営
事業の概要:Webサイトの記事作成、Webサイト広告の最適化・管理

複数の職業で収入がある場合はどうする?

次に、事業が1つではなく、複数ある場合の開業届の職業欄の書き方と注意点について説明します。

開業届には収入の多い職業を1つ書く

ブログの運営をしながらWebライターをしている、農業をしながらECサイトを運営しているなど、複数の事業を抱えているケースもあるかと思います。

複数の職で収入を得ている場合は、収入のメインになっている職業を1つ職業欄に記入するだけで問題ありません。気になるようであれば、事業の概要に詳しく仕事の内容を書くこともできます。

収入のメインになる事業がなく、いずれの事業も同じくらいの収入を得ている場合は、収入の多い順に複数記入するのが無難です。

職業が複数の場合は確定申告で注意しよう

開業届の職業欄は間接的に事業税に影響するものの、どちらかというと重視したいのは、直接的な影響がある確定申告での職業欄だと説明しました。複数ある場合は、開業届で記入した職業欄を参考に、明確に記入するようにします。

また、複数の事業のうち、事業税の課税対象にならない事業がある場合は、確定申告の事業税の項目で非課税額などを記入することも忘れないようにしましょう。

事業内容に変更があった場合は?

開業届は提出済みであるものの、途中で事業内容や職業に変化があった場合はどのように対処すれば良いのでしょうか。事業に変更があった場合について解説します。

職業の変更で開業届を再提出する必要はない

「個人事業の開業・廃業等届出書」の提出が必要になるのは、新たに事業を開始したとき、事業所などを新設や増設・移転したとき、事業を廃止したときです。

譲渡により事業を廃止した場合、事業の変更と同時に事業所を新設した場合などでは届出が必要と考えられますが、事業を継続するなかでの多少の職業の変化であれば基本的に再提出は必要ありません。

注意したいのは確定申告書の事業税に関する欄

前述したように、最終的に職業が重要になるのは、確定申告書の職業欄や事業税に関する欄です。メインの事業などに変更がある場合は、確定申告書の職業欄に変更後のものを記入しましょう。変更により非課税対象になる事業がある場合は、確定申告書の事業税の欄の記入に注意するようにしましょう。

開業届の職業欄は明確に書こう

開業届の職業欄には決まった書き方はありません。ただし、自営業者やフリーランス、個人事業主などは、労働形態にすぎないため、「職業」とはしないようにしましょう。

職業欄に書かなければならないのは、システムエンジニアやWebデザイナーなどの職種です。特殊な仕事もあるかもしれませんが、一目で誰もがイメージできるよう明確に職業を記入するようにしましょう。

(参考)

総務省|日本標準職業分類(平成21年12月統計基準設定)分類項目名

国税庁|手順6 住民税、事業税に関する事項(申告書第二表)を記入する

東京都主税局|個人事業税

国税庁|[手続名]個人事業の開業届出・廃業届出等手続※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。

開業届の提出はお済みですか?

監修:並木 一真(税理士/1級FP技能士/相続診断士/事業承継・M&Aエキスパート)

並木一真税理士事務所所長
会計事務所勤務を経て2018年8月に税理士登録。現在、地元である群馬県伊勢崎市にて開業し、法人税・相続税・節税対策・事業承継・補助金支援・社会福祉法人会計等を中心に幅広く税理士業務に取り組んでいる。

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