• 更新日 : 2022年10月31日

個人事業主の開業にはいくら必要?資金調達の方法や初期投資額を解説

個人事業主の開業にはいくら必要?資金調達の方法や初期投資額を解説

事業を始めるとなると、資金を用意しなければなりません。しかし、実際どの程度の資金があれば開業できるのか、よくわからない人も多いのではないでしょうか?

本記事では、個人事業主の開業に必要な資金の額を解説します。資金調達における融資の方法についても説明しますので、参考にしてみてください。

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個人事業主の開業時にかかる費用はどのくらい?

ひと口に個人事業主と言っても、開業について必要となる資金は千差万別です。しかし、事業の開始にあたって必要な資金の考え方には共通項も見出せます。どの事業においても共通する費用の考え方について見ていきましょう。

理想的な初期投資の考え方は?

初期投資を考える上では、どこまで具体的に考え、計画を立てたのかが重要です。開業までの間にすべきことが、時系列的に並べられ、個々の事項について見積りや調査により妥当な金額が求められるように準備する必要があります。

例えば、店舗が必要な場合、物件の敷金や家賃などが適切かどうか、内装や設備が必要な場合にはどの程度時間をかけて調べ、比較し、検討したかということです。計画に表れる項目の一つ一つに事業主の事業に対する確たる思いがあればこそ、その計画は実現性も高くなるものです。複数の見積り依頼をすることや、事業主が必ず現地や現物に触れておくことは鉄則です。

特に、店舗型などの初期投資が大きい事業の場合には初期投資における計画の細かさや代替案の有無など、準備の綿密さがその先の事業を決定づけるといってもよいでしょう。

費用として押さえておきたい項目

まず、開業時に一般的にかかる費用の種類をピックアップしてみましょう。

賃借物件の敷金・礼金や保証料

店舗やオフィスを借りる場合には、初期費用として敷金・礼金または保証料などがかかります。自宅開業の場合にはこうした費用はかかりません。

リフォーム費用

店舗やオフィスとして使える形にリフォームするための工事費等がかかることがあります。自宅開業でも、リフォームは必要な場合があります。

パソコンなどの機器の購入・リース費用

開業すれば、事業用のパソコンやその他のOA機器が必要になります。家庭用のプリンターでは機能が不十分なことが多く、自宅開業でも新たに購入しなければならないケースがあります。こういった機器は、購入する以外に、リースやレンタルで調達する方法もあります。

通信回線などの工事費用

電話やインターネットを使うための工事費用も考えておきましょう。自宅開業の場合でも、家庭用とは別に、事業専用の回線を用意するのがおすすめです。この場合には、回線追加のための費用がかかります。

事務用机や応接セットなどの備品購入費用

オフィスを借りる場合には、事務用デスクや応接セットなど大型の備品も必要でしょう。パーテーションや受付などが必要な場合もあります。その他、ロッカーや空調機器、文房具などを購入する費用もかかります。

チラシやホームページの制作費用

集客のためにチラシを作る場合には、紙代や印刷代がかかります。事業主の名刺を作る場合も同様です。また、ホームページを作る場合には、サーバーのレンタル料やドメイン取得費用が発生します。チラシやホームページの制作を専門の業者に依頼することもできますが、もちろん手数料が必要になります。

開業費用の平均額

ここまでで、開業時には、さまざまな費用がかかることがわかりました。では、どれくらいの金額を、どのようにして用意しておけばよいのでしょうか? 日本政策金融公庫が新規開業企業(個人・法人)の実態を把握するために行った「2021年度新規開業実態調査」にもとづき考えてみます。

開業費用は平均で約941万円

2021年11月発表の「2021年度新規開業実態調査」によると、開業時にかかった費用としては、500万円未満の割合が42.1%と最も多くなっており、500万円未満で開業する割合は高まっているようです。開業費用全体の平均は941万円となり、年々少なくなる傾向にあります。

初期費用を抑えるスモールスタート※はデジタル化などでよく採用されますが、一般的な事業開始において精神的、そして経済的なリスク回避の一方法であると言えます。
※当初は事業の範囲を限定してスタートさせ、その後、状況に応じて徐々に事業規模を拡大するという考え方

2021年度新規開業実態調査

引用:2021年度新規開業実態調査|日本政策金融公庫

さらに、「2021年度新規開業実態調査」では、開業時における平均資金調達額が1,177万円となっています。上記の開業費用の平均が941万円であったことを考えあわせると、初期の運転資金として236万円を準備していたことになります。

この調査では資金調達先の68.3%を金融機関から、23.9%を自己資金でまかなっていることがわかりました。合計すると、全体の92.2%を金融機関と自己資金でやりくりしていることになります。

2021年度新規開業実態調査

引用:2021年度新規開業実態調査|日本政策金融公庫

運転資金はどれくらい準備しておくべき?

上記で平均的な運転資金についても見てきましたが、改めて運転資金についての詳細を解説します。

運転資金が必要な理由

運転資金とは、事業を実施するために必要なお金のことです。通常の取引では先に「仕入」や「経費」の支払いが発生し、その後に売上高が回収されます。したがって、先に支払うための資金が必要となります。この「仕入」や「必要経費」に充てるお金が運転資金となります。

開業後、すぐに事業が軌道に乗るとは限りません。また、取引先等の締め日の関係で、売上後に現金が入ってくるまで時間がかかることが多くなります。

入金がない間も、毎月の経費の支払いは発生します。現金が不足して支払いが滞ることのないよう、運転資金が必要です。

少なくとも3カ月分の運転資金を準備

開業時には、少なくとも3カ月分の支払いができる程度の運転資金を用意しておくと安心です。運転資金は、売掛金の回収サイト(回収されるまでの期間)に左右されます。スモールスタートで、かつ、回収サイトが短ければ調達資金をある程度少なくすることも可能です。

しかしながら、事業の早期拡大を目指す場合などではある程度の運転資金を見込んでおく必要もあります。このときに「事業計画」がしっかりしておれば運転資金の目安もつけやすくなります。軌道に乗るまでに時間がかかると見込んだ事業計画の場合には、6カ月程度の運転資金が必要なこともあります。

個人事業主におすすめの資金調達方法

個人事業主が資金調達をするにあたって、種々の資金調達方法があります。まだ、事業を始めていない段階で1,000万円以上の事業資金を調達するとなると、なかなか難しいこともあります。

調達資金をこの事業にどのように使うのか、それによって得られる利益はどの程度かなどと客観的な説明のつく計画を作成しておきましょう。そして、月々の返済のめどを考慮した上で、1つの調達方法にこだわらず複数の調達手段を考えるとよいでしょう。

日本政策金融公庫の創業融資

個人事業主が調達先として最初に検討したいのが日本政策金融公庫です。日本政策金融公庫は、一般の金融機関の補完を旨とする政府の金融機関で、個人事業主や中小企業の資金調達を支援しています。

新規開業から2期以内なら利用できる「新創業融資制度」は、最大で3,000万円(うち、運転資金1,500万円)を原則無担保・無保証で借り入れることが可能です。

参考:新創業融資制度|日本政策金融公庫

銀行や信用金庫など金融機関からの融資

銀行や信用金庫に直接融資を申し込む方法です。ローンを組む際には必ず審査があり、まだ計画段階で実績がない開業時には信用が十分でないため、審査は厳しくなってしまいます。
自己資金や事業計画だけではなく、健康状態や過去における信用情報なども審査の対象となります。

連帯保証については信用保証協会の制度を利用して、保証審査に通れば融資を受けやすくなりますので検討してみましょう。

補助金や助成金などの活用

補助金や助成金は国や自治体が事業資金を援助するもので、一定の基準を満たせば申請できます。融資と違って返済しなくてもよいお金なので、利用できるものがあれば積極的に活用するのがおすすめです。ただし、補助金は基本的に後払いとなりますので、受給のタイミングにも注意しましょう。

クラウドファンディングの活用

クラウドファンディングは、インターネットを通じて事業の支援者を募り、資金を調達する方法です。通常はクラウドファンディング専門のプラットフォームを利用してプロジェクトを立ち上げます。そして、インターネットサイトを見た人から共感を得られるように発信し、事業計画をわかりやすく説明して募集をします。この手続きなどもネット上で可能であり、審査もさほど厳しくはありません。

支援者に商品等をリターンして、開業支援金を募る購入型のクラウドファンディングでは、プロジェクトで生み出される魅力的な商品やサービスを提供することにより、多くの支援を集められる可能性もあります。

ビジネスローンの活用

ビジネスローンとは、事業資金調達専用のローン商品のことです。銀行やクレジット会社、消費者金融業者などで扱われ、借りた資金は、新規事業の資金や運転資金など、事業に関係する支払いに利用できます。

一般の融資に比べて融資スピードが速いことや、原則として担保や保証人が不要であるというメリットがありますが、一般の融資に比べて金利は高くなってしまうので、返済のこともよく考えておきましょう。

カードローンの活用

カードローンとは、銀行や消費者金融から発行される借入専用カードを利用した個人向け融資サービスです。借入限度額の範囲内であればいつでも何度でも自由に ATM などで借り入れできます。

個人事業主の場合、ビジネス用に作ったクレジットカードでもキャッシングはできますが、カードローンはこれに比べて金利が低くなっています。したがって、長期間の利用を考える場合にはキャッシングよりもカードローンがよいと言えます。

親族・知人等からの借入

親や兄弟、友人・知人等から借りる方法です。親族や知人から借りる場合、利息や返済時期について明確に取り決めをしないケースも多いですが、借りたお金を返さなかったら信用を失い、人間関係にひびが入ってしまいます。また、返さないでいると「贈与」とみなされ贈与税の課税対象になることもあります。開業資金を借りたら、返済条件を決めて、契約書を交わすようにしましょう。

自治体の制度融資

制度融資とは、小規模事業者向けに、自治体が民間金融機関及び信用保証協会と連携して提供する融資制度です。申し込みをした小規模事業者には自治体の担当者の審査を通れば、金融機関に対して紹介状が発行されるしくみです。利用できる制度融資の内容は自治体によって異なりますが、金利なども利用しやすくなっています。

個人事業主が融資を受けるためには?

資金調達先によって融資のための書類は異なりますが、開業届や確定申告書など共通する書類もあります。融資の審査で不利にならないように、提出すべきものは提出し、支払うべきものは支払っているかを融資を受ける前に確認しておきましょう。

開業届を提出していること

開業の際に税務署に「開業届」を提出しており、その控えを手元においていることが欠かせません。開業届には、屋号、開業した日、住所、事業概要など、事業を始めたことがわかる情報がまとまって記載されており、この提出は開業した日から1カ月以内とされています。

提出しないことによってペナルティがあるものではありませんが、提出するのは義務となっていますので、忘れないように提出しましょう。

確定申告をしてしっかり納税をしていること

期限までに確定申告を済ませ、必ず納税しておきましょう。そして、確定申告書の控えは、会計帳簿請求書などの根拠資料、決算書(または収支内訳書)などとともに、必ず保管しておきましょう。所得税だけに限らず、住民税、事業税、固定資産税、自動車税なども支払いが滞っているものがないかをよく確認しておきましょう。

納税したことの証明については別途納税証明書を発行してもらえますが、確定申告書などの控えは残しておかなければ同じものは得られません。これらの保管は個人事業主としての自衛手段とも言えます。

なお、開業届や確定申告については初心者でも使いやすいクラウドサービスがあります。詳しくは、以下のリンクをご参照ください。

開業のための資金を理解し、多少のゆとりをもって起業を!

初めて個人事業主として起業する場合、事業のための資金調達のことで頭がいっぱいになるかと思います。

しかし、個人の生活もあるのですから、心身の健康を維持するために必要な資金の確保も忘れないようにしましょう。病気で事業が運営できなくなっては大変なので、健康に自信をつけた上で個人事業主になることです。そのためには、個人生活用の資金もある程度確保した上で、事業計画を進めましょう。

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よくある質問

個人事業主の開業時の費用平均は?

2021年度新規開業実態調査によると、開業時の費用としては500万円未満が42.1%と最も多く、500万円未満で開業する割合は高まる傾向で、開業時の費用平均は941万円との結果がでています。詳しくはこちらをご覧ください。

運転資金はいくら準備しておくべき?

開業時には、少なくとも3カ月分程度の運転資金を用意しておくと安心であり、このためには「事業計画」がしっかりしておれば運転資金の目安もつけやすくなります。詳しくはこちらをご覧ください。


※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。

監修:岡 和恵 (税理士 / CFP)

大学卒業後、2年間の教職を経て専業主婦に。システム会社に転職。 システム開発部門と経理部門を経験する中で税理士資格とフィナンシャルプランナー資格を取得。 2019年より税理士事務所を開業し、税務や相続に関するライティング業務も開始。

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