- 作成日 : 2024年10月4日
商工会や商工会議所から資金調達は可能?融資や補助金の種類、申請方法を解説
商工会や商工会議所は、地域の中小企業や個人事業主を支援するためにさまざまなサポートを実施しており、資金調達についての支援も行っています。融資や補助金に関する情報提供や申請に必要な経営指導なども行っていますので資金調達を考えている方は相談を検討してみてください。
当記事でも商工会などを介した資金調達について解説しています。
目次
商工会や商工会議所から資金調達を受けるには
まずは商工会や商工会議所について知っておきましょう。
商工会・商工会議所とは
商工会・商工会議所とは、地域の中小企業や個人事業主を支援する団体のことです。
各種補助金や助成金に関する情報提供を行ったり、事業者のスキルアップにつながるセミナーなどの案内をしていたり、多方面から事業者を支援する取り組みを行っています。
「商工会」と「商工会議所」はおおむね役割が似通っているのですが、比較的小さなエリアを管轄して小規模な事業者を対象に支援を行う商工会に対し、商工会議所は都市部などを拠点に比較的規模の大きな事業者を対象にしているという違いがあります。
商工会・商工会議所から資金調達を受ける要件
商工会・商工会議所に経営に関する相談をする場合や、支援をしてもらう場合、会員となる必要があります。詳しくは地域の商工会などで確認する必要がありますが、一般的には当該地域内で半年以上事業を行っていれば加入が認められます。入会金や会費が発生しますが、さまざまなサポートが受けられるようになるでしょう。
なお、資金調達を求める場合は制度ごとに個別の要件が定められていますのでそれらを別途チェックする必要があります。基本的に商工会などが主催するものについては会員であることが求められますが、後述する「マル経」などの資金調達に関しては必ずしも会員である必要はありません。
商工会や商工会議所が提供している資金調達の種類
支援が受けられる資金調達としては「マル経融資(小規模事業者経営改善資金融資制度)」「小規模事業者持続化補助金」「商工会優遇提携ローン」などがあります。利用できるものがないか、それぞれの内容をチェックしてみましょう。
マル経融資(小規模事業者経営改善資金融資制度)
代表的なものとして「マル経融資」があります。これは「小規模事業者経営改善資金」のことで、「マル経」と呼ばれることもあります。
マル経融資は国が運用している融資制度で、商工会議所から経営指導を受けて推薦されると、日本政策金融公庫から無担保・無保証で融資を受けることができるようになります。
ただし、次の要件は満たさないと利用ができません。
- 従業員が20人以下の法人または個人事業主
※サービス業等一部の事業については5人以下 - 直近1年以上は商工会議所地区内(または商工会地区内)で事業を行っていること
- 商工会議所または商工会から指導を6カ月以上受けていること
- 滞納している税金がないこと など
一般的な融資と異なり、事前に経営改善を目的とした指導を受けなくてはなりません。原則として6カ月以上の期間経営改善に取り組む必要があるため思い立ってすぐに申し込める制度ではありません。
小規模事業者持続化補助金
「小規模事業者持続化補助金」も商工会・商工会議所が直接資金を出すものではなく、特定の取り組みを商工会議所が支援し、そのうえで要件を満たせば国から補助金を受けることができるという仕組みになっています。
補助対象の取り組みにもいろいろありますが、そのうちの1つに「商工会議所の支援を受けながら行う販路開拓等」があります。
そこで商工会議所の管轄地区内(または商工会地区内)にて事業を営んでいること、などが補助対象者となるための要件として掲げられています。
なお、商工会や商工会議所が支援する補助金は小規模事業者持続化補助金だけではありません。ほかにも「事業再構築補助金」「ものづくり補助金」「IT導入補助金」などの申請支援も行っていますので、資金調達に悩んだときは一度相談してみると良いでしょう。
商工会優遇提携ローン
商工会などが当該エリア内の金融機関と提携して、会員向けの融資制度を運用しているケースもあります。
通常の融資より良い条件でローンが組めるため、借入、カードローンなどを考えている方は一度当該エリア内で利用できる制度を確認してみましょう。金融機関や商品別に異なる融資限度額や利率、担保、保証人、返済期間の設定がされていますので、各自に適したものが見つかるかもしれません。
ただし、上のマル経融資や小規模事業者持続化補助金と違って商工会や商工会議所が運用している会員向けの制度ですので、利用にあたっては会員への加入が必要です。
商工会や商工会議所で資金調達の申請をする方法
商工会や商工会議所を利用して資金調達を進めようとするなら、まずはどのような融資や補助金が利用できそうか、相談するところから始めましょう。ヒアリングを実施し、適切な制度についての案内をしてくれます。
そこで例えば「マル経融資」による資金調達を目指すことになれば、①経営指導(6カ月以上)、②推薦の依頼、③調査や認証を経て日本政策金融公庫への推薦を受ける、④融資決定の通知を受ける、⑤融資の実行、という流れに沿って手続きが進んでいきます。
経営指導を受けたうえで推薦をしてもらわないといけませんので、商工会などとの関係性が重要になってきます。
もし「小規模事業者持続化補助金」による資金調達を目指すことになれば、①申請枠別の必要書類の準備(補助事業計画、事業支援計画書、貸借対照表など)、②電子申請システムによる申請、③審査を経て採択・交付決定、④補助事業の実施(補助事業計画に沿った取り組みのスタート)、⑤実績報告書の提出、⑥補助金額の確定、という流れに沿って手続きが進んでいきます。
各種融資や補助金の申請で提出しないといけない書類の作成については商工会などからアドバイスを受けることができます。
商工会や商工会議所から資金調達をする際の注意点
商工会や商工会議所は、地域の事業者にとって心強い存在ですが、各種サービスを利用するときは次の点に注意してください。
- 会員になる必要がある
商工会などが提供するサービスの多くは会員になっていることが前提。 - すべてのサービスが無料ではない
相談や情報提供などは無料で行われているが、一部のセミナーや研修など有料のものもある。 - 地域や担当者による差がある
直接対応してくれる担当者によって知識や経験、対応などが異なる場合がある。全国どこでもまったく同じ水準でサポートが受けられるとは限らない。 - 積極的に活用する
会員になるだけで商工会などから積極的な支援をしてくれるわけではないため、事業者が進んで活用しようとしなければ十分な恩恵が受けられない。
地域の商工会や商工会議所を調べてみよう
商工会や商工会議所を利用すれば、事業者だけで資金調達に取り組む場合よりスムーズに手続きを進められるでしょう。最適な融資制度や補助金についてのアドバイスを受けることができ、申請の方法や申請時に必要な書類の作成方法についても指南してくれます。
地域によって加入先は異なりますので、まずは住所地を管轄している商工会や商工会議所を調べるところから始めてみると良いでしょう。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
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