- 更新日 : 2025年7月30日
起業か転職か、どっちを選ぶべき?後悔しない選択肢と独立しやすい仕事ランキング
ある程度実務経験を積んだ会社員が、現状打破のために「転職か、起業独立か」という選択に悩むことがあります。この選択が悩ましいのは、取り返しのつかないリスクを背負うことにもなりかねないからです。
どちらの選択をするにしても、十分な準備と明確な戦略が必要であり、感情的な判断や一時的な不満に基づくものであってはなりません。この記事では、会社員がキャリア選択を行う際の考え方について解説するとともに、起業する際のおすすめ仕事等についても紹介します。
目次
起業か転職か、どっちを選ぶべき?
今の会社に満足できず、進路として起業か転職を考えることはよくあります。起業にしても転職にしても安易な選択はできません。感情的な判断ではなく、客観的な分析に基づく意思決定が不可欠です。
そこで、まずは考え方を整理した上で、起業か転職かを選択する際の考え方を紹介します。
現状分析
現状を明確に分析しましょう。できるだけ多面的な分析が効果的です。まず、給与の低さや人間関係といった表面的な不満が問題なのか、働き方や創造性の発揮に関する根本的な価値の不一致が問題なのか等、問題点を明らかにする必要があります。
その上で、自分にとって最も譲れないものを特定することで、転職か起業かの方向性が見えてきます。
次に、現在のスキルや経験が転職市場で自分がどの程度評価されるかという客観的な評価も欠かせません。一定のスキルを持つ人材には転職環境が整っているものです。
そして、家族の状況や経済的な余裕、年齢などの要素を考え併せるとよいでしょう。
転職が向いている場合
現状分析の結果、転職が向いているのは次のようなケースが多いでしょう。
- 転職によって現在の不満が解決可能である場合
社内の人間関係、評価制度への不満、労働条件、キャリアアップの機会など、別組織に移ることによって改善される問題であれば転職の選択は有効です。 - 安定志向または、専門能力がある場合
安定志向タイプであったり、ある分野に秀でていたりする人は、できあがった組織の中で自分の強みを発揮し、安定した成長を求める傾向があります。転職によって自分の求める価値観を実現しやすいと言えます。 - 転職市場で評価される場合
比較的若く(25歳~35歳前後)で、実務経験があり、明確な目的を持っている等、転職市場で高評価が得られる人は起業よりも転職が向いていると言えます。
起業が向いている場合
現状分析をした結果、転職より起業が向いているのは次のようなケースが多いと言えます。
- 既存の企業ではやりたいことの実現が困難な場合
新しいビジネスモデルの創出や社会課題の解決、今までなかった新たな製品・サービスの開発など、既存の組織では実現しづらい構想を持っている場合には、必然的に起業を選択する流れになります。 - 創造性または、自律・独立を重要視する場合
組織の制約を受けずに自由に創造性を発揮し、困難な課題に挑戦することに最大の満足を感じる人は、転職よりも起業が向いています。 - 強みや専門性を独自の価値として提供できる場合
単に技術や知識があるだけでなく、自己の特性や専門性を「自分の価値」として外部に発信し、市場のニーズと結びつけて収益化できる人は、起業により成功を収める可能性があります。
年代・ライフステージごとに選択肢は異なる
現状に満足できない会社員にとって、起業と転職という選択肢は年代・ライフステージによって異なる意味を持ちます。各年代の特性を活かしたキャリア戦略について見てみましょう。
20代|ポテンシャルが武器になる
20代は「ポテンシャル」という最大の武器を持つ年代です。起業においては失敗への寛容度が高く、再挑戦の機会が多々あります。
また、転職市場でも将来性を重視した採用が期待されます。未経験業界への挑戦でも意欲が重視され、転職可能な場合も少なくありません。
ただし、実務経験や資金面での制約があるため、副業から始める「ゆる起業」や、スキル獲得を重視した転職戦略が推奨されるでしょう。
30代|培ったスキルや人脈を活かせる
30代は「培ったスキルや人脈」を最大の武器にできる年代です。起業においては、10年程度の社会人経験によるスキルと業界知識を蓄積しており、これらの実務経験と人的ネットワークを活用した事業展開が可能です。一方、結婚・出産・住宅購入などのライフイベントとの両立が重要な課題となります。
また転職においては、専門スキルと経験により、即戦力としての価値が高まります。同業界での転職においても経験を最大限活用することが可能でしょう。一方、求められる条件は厳しくなり、キャリアチェンジには慎重な戦略が必要になります。
40代以降|豊富な経験とマネジメント能力を活かせる
40代以降は「豊富な経験とマネジメント能力」という最強の武器を持つ年代です。
起業においては、長年培った専門知識と技術に人脈を加えて、より高付加価値サービスの提供が可能であり、退職金や貯蓄で十分な開業資金を確保することもできます。しかしながら、健康面やリカバリーの制約が出てきます。
また、転職においては、幹部候補や特定分野のエキスパートとしての価値を認められることがあるものの、現待遇を維持した転職の困難さに加えて、年齢による制約も大きくなります。
独立起業するメリット・デメリットは?
起業することは、同時に多くのリスクを抱えることでもあります。しかしながら、起業するメリットが不安を大きく上回る場合には、起業を選ぶのが自然な流れでしょう。ここでは、起業のメリットとデメリットを2つずつ挙げてみます。
起業のメリット1:仕事の自由度が高い
起業においては、市場リサーチから商品設計、組織文化づくりまで、すべての決定を自分軸で行えるため毎日が学びと創造の連続になります。自分の努力が形となっていく過程に立ち会うことができ、成功体験はもちろん失敗から得る洞察も丸ごと自分の経験値となります。
また、誰にも遠慮せず、最適な働き方を試行錯誤できることは、金銭以上に深い充足感と自己成長をもたらすと言えます。
起業のメリット2:仕事の成果が直接収入や社会的評価につながる
仕事の成果が収入や社会的評価に直結することは、起業の大きな醍醐味と言えます。売上が上がれば即座にキャッシュフローが改善するため、昇給を待つ時間も要りません。
さらに、顧客からの感謝が直接に届くことで高いモチベーションが維持され、さらなる事業拡大や新規投資へ挑戦する資金的、精神的余地も広がります。
税制面においても、経費計上や資産形成の選択肢が増え、家族とのライフプランを柔軟に設計することが可能となります。
起業のデメリット1:収入が不安定
起業における収入の不安定さは起業者が避けて通れない現実です。特に、起業当初は固定費が収益を上回る月が続き、資金繰りのために貯蓄を取り崩したり、金融機関や投資家との交渉に追われたりすることも考えられます。
また、売上予測が外れ、仕入れや人件費の支払いが重圧となり、家賃や社会保険の支払いに困ることも想定されます。収益が安定するまでの長い助走期間を耐え抜く覚悟が不可欠です。
起業のデメリット2:すべての意思決定と責任が自分に集まる
起業者は、仕事におけるすべての責任が自分に集中するため、想像以上の孤独とプレッシャーを抱えます。まわりに相談できる上司や同僚もおらず、意思決定もメンタルケアも自分で完結させるべく、常に最悪シナリオを思案し続けることになります。
特に支援者が少ない起業初期ほど孤立感が強く、健康管理や人脈づくりを仕組化しないと燃え尽き症候群に陥る危険もあります。
転職のメリット・デメリットは?
転職しか考えていない場合には、転職自体のメリット・デメリットを考える必要はありません。しかし、起業の選択肢がある場合、その転職について立ち止まってよく考えたほうがよいでしょう。ここでは、転職におけるメリットとデメリットを2つずつ挙げてみます。
転職のメリット1:ステップアップできる可能性がある
転職でこれまで培った専門性をより高く評価してもらい、待遇やポジションを一気に引き上げる好機が得られます。前職との違いはあっても、共通する課題を解決する経験値は即戦力として歓迎されます。
社外の視点を持っていることで転職先組織に新風を吹き込み、変革推進の中心人物として活躍できる可能性もあります。自分の市場価値を客観視しつつ、キャリアを上げる感覚は、自信を高めます。
転職のメリット2:安心してスキルを伸ばせる
すでに制度やリソースが整った会社で働けることは、安心を土台にさらにスキルを伸ばせる環境に恵まれたということです。充実した環境においては、未知の領域に挑戦する際も安全網があるため思い切った判断が可能となります。
定期的な給与や社会保険に守られつつ、新たなチームから知見を吸収し、社内外のプロジェクトで多様な経験を積むことで、人脈も専門性も自然に広がります。
充実した環境が自己投資への余裕を生み、長期的なキャリア開発を進めることも可能となります。
転職のデメリット1:新しい環境に適応するためのストレスが大きい
転職直後は新しい企業文化や人間関係への適応が避けられず、ストレスが想像以上にかかります。転職先での社内用語や社内フロー、意思決定プロセス等を把握するまでの間はなかなか成果を出しづらいと言えます。
転職先での期待水準が前職と異なる場合、得意領域を発揮する前にマイナス評価が付くことも考えられ、軌道に乗るまでの忍耐力が問われます。心身ともにエネルギーを消耗する期間は避けられません。
転職のデメリット2:信頼を得るには時間と労力が必要
転職では、前職で築いた社内ネットワークや評価はなくなるため、転職先で同水準の信頼を得るには時間と労力が必要です。たとえ給与や肩書が上がったとしても業務内容が期待はずれであれば満足度は下がり、キャリアの方向性を見失う恐れもあります。
また、転職でも短期間での連続した転職は履歴書に一貫性の欠如を示すため、採用側に「組織に定着しない人」という先入観を持たれるリスクがあります。
起業に失敗しても大丈夫!その後のキャリアパス
起業の失敗は決して終わりではなく、新たなキャリアの始まりと言えます。起業経験者が直面する3つの主要なキャリアパスについて、それぞれの特徴と成功要因を解説します。
再就職する(起業経験者としての採用)
再就職は、安定性と成功率の面で最も現実的な選択肢と言えます。
起業経験者は、再就職先で経営者目線、主体性、リーダーシップ等が評価され、新規事業の責任者や既存事業におけるリーダーや統括者として重宝される可能性があります。ただし、組織適応力の高さや謙虚さが求められるため、「元経営者」のプライドを捨てて組織の一員として働く覚悟が必要です。
起業に再挑戦する
再起業は再就職に比べると困難であり、高いリスクを伴います。
再起業における資金調達は大きな課題となり、金融機関からの借入が難しく、親族や知人からの調達も視野に入れるケースが多いでしょう。再起業の場合には、失敗経験から得た教訓、人脈、そして「失敗者のままでは終わりたくない」という強い意志が成功の鍵となります。失敗の分析、適切な業種選択、支援制度の活用等により成功の可能性があります。
フリーランスとして活動する
フリーランスは自由度が高い反面、長期継続がネックになります。フリーランスとして成功するためには、高単価案件の獲得、人脈の活用、リスク分散を考えましょう。
起業経験者の場合には、経営視点や営業力を活かせる分野での独立が有効ですが、自己管理能力と継続的な営業活動が不可欠です。今までの経験を活かし、専門性の高い分野での活動が成功の鍵となります。
初心者の起業におすすめ!独立しやすい仕事ランキング
ここで「会社を辞め、起業して自由に働きたい、でも経験がない」という方向けにおすすめの仕事をご紹介します。ここでは、初期費用が少なく、リスクも少ないものを集めてみました。
3つともPCを利用した仕事ですが、それ以外の仕事でも起業する場合には、基本的なPC操作やITの知識は必須だと考えたほうがよいでしょう。
1位:Webライター
Webライターの仕事は、文章力とPCがあれば、自宅でもすぐ始められます。クラウドソーシング等で案件を獲得しやすいでしょう。
最近では、SEO(検索エンジン最適化)やAI活用の記事需要が伸びているため、実績が増えるほど単価も上がる傾向にあります。
検索意図に合ったコンテンツを提供できるかどうかが重要なため、まずは得意とする分野において、質の高いライティングを目指しましょう。
まずは、低リスクで独立を目指す方にはおすすめの仕事と言えます。
2位:動画編集者
YouTubeやSNS向け動画市場は急成長を続けています。動画編集とは、これらのコンテンツを作成する仕事で、撮影された映像素材を編集し、テロップ・音楽・効果音を追加して完成した動画を制作します。
また、企業のプロモーション映像、ウェディングムービー、テレビ番組など幅広い分野で活躍できる可能性もあります。
自宅で、無料ソフトでもスタートでき、組み合わせ次第で単価が急上昇することもあります。さらに、専門性を磨けばAI自動化の波にも埋もれにくい仕事と言えます。
3位:ネットショップの運営
BASE、Shopifyなど無料ASPを使って、初期費用ゼロネットショップを開業することができます。
販売するための「商品やサービス」がまず必要ですが、副業として小規模テスト販売をし、ヒットがあれば起業して商品の拡販をするなど、段階を踏んで展開できるためリスクが低い形態と言えます。
商品については、ドロップシッピング(販売者が商品を直接仕入れずに、サプライヤーから顧客に直接商品を発送してもらう形態)を活用すれば在庫の負担も小さくできます。
いきなり起業が不安な方は副業という選択肢も
前述のとおり、いきなり起業するのは収入の不安や失敗のリスクが大きく、なかなか一歩を踏み出せないものです。そんな方には「副業」から始める方法をおすすめします。現在の安定した収入を維持しつつ、自らのビジネスアイデアを「小さく試す」ことが可能です。失敗しても本業があるので、経済的なダメージは最小限に抑えられます。
副業として小さく始め、経験や実績を積み重ねていくことで、将来的に独立・起業への自信と準備が整うでしょう。
ただし、副業の開始にあたっては、勤務先の副業に対する考え方に配慮しなければなりません。
起業か転職か、後悔しないよう慎重に検討しよう
本記事では、起業か転職かで悩んでいる方にとって少しでも助けになれるよう、起業と転職のメリットやデメリットを紹介しました。
会社を辞めたい理由や今までの経験、そして現時点の環境を考え併せて検討しましょう。時には思い切りも必要ですが、「失敗リスク」や「失敗の影響範囲」を考えると思い切りだけで乗り越えられるものでもありません。
「副業」なども考慮しながら、ある程度時間をかけて考えましょう。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
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