• 作成日 : 2025年2月20日

便利屋の開業で資金調達は必要?自己資金の目安や融資、節約方法を解説

便利屋とは、日々の困りごとを解決する職業です。便利屋を開業する方法には、個人開業とフランチャイズの2つがあります。

本記事では、便利屋を開業する際に必要な資金目安や資金調達方法について解説します。あわせて、開業資金を抑える方法も紹介するので、ぜひ参考にしてください。

便利屋の開業資金の目安は?

そもそも便利屋とは、お客様の生活の中で生じるさまざまな困りごとを解決する仕事のことです。便利屋以外に、よろず屋やなんでも屋などとも呼ばれます。便利屋が引き受ける主な仕事としては、次のようなものが挙げられます。

  • 子どもや高齢者の送迎
  • ペットの散歩代行
  • 買い物代行
  • 模様替え
  • 引越しの手伝い
  • 家の片付け
  • 不用品処分
  • 害虫駆除
  • 草刈り
  • 話し相手
  • 謝罪代行 など

便利屋を開業する方法には、個人開業とフランチャイズに加盟して開業する方法の2つがあります。ここでは、それぞれの方法におけるメリットや開業資金の目安について解説します。

個人開業の場合

個人で開業するメリットは、サービス内容やサービス料金、営業時間などを自分で決められる点です。また、フランチャイズのように加盟店契約をする必要がないため、加盟金が不要になり、初期費用を抑えられます。

デメリットとしては、広告運用や接客対応マニュアルなど、業務にかかわることをすべて自分で作る必要がある点です。また、フランチャイズと違って売上が出だして軌道に乗るまでのハードルも高くなっています。

個人開業の場合の開業資金の目安は、次のとおりです。

  • 初期費用(車両費と資機材費、広告宣伝費):約210万円
  • 運営資金(資機材費、車両関連費、ガソリン代・駐車場代、広告宣伝費など):3ヶ月あたり約135万円

開業資金が合計345万円必要になります。

フランチャイズの場合

フランチャイズで開業するメリットには、ビジネスのノウハウやフランチャイズ先のネームバリューを活用できることが挙げられます。また、個人で開業するよりも早く顧客を獲得できる点も魅力です。

いっぽうでフランチャイズのデメリットとしては、フランチャイズ契約によるルールが厳しく決められている点があります。さらに、ロイヤリティとして毎月の売上の数パーセントを本部に支払う必要がある点もデメリットです。

フランチャイズ開業の場合の開業資金の目安は次のとおりです。

初期費用(車両費と資機材費、広告宣伝費):240万円(加盟金含む)

運営資金(ロイヤリティ、車両費、資機材費、研修費)の目安3ヶ月分:150万円

開業資金には、合計約390万円が必要になります。

便利屋を開業するための資金調達先

便利屋を開業するために必要な開業資金を調達する先を紹介します。主な調達先は、次のとおりです。

  • 助成金・補助金
  • 日本政策金融公庫からの融資
  • 制度融資
  • 信用金庫からの融資
  • 銀行からの融資
  • 親族、友人・知人からの借入

それぞれ詳しく見ていきましょう。

助成金・補助金

国や地方自治体が行う制度のひとつに、補助金や助成金があります。補助金や助成金は、返済義務がないことがメリットです。

ただし、助成金・補助金は、原則後払いである点に注意しましょう。国や地方自治体が指定する事業の完了後に支払われる仕組みのため、いま資金が必要な場合には向いていません。

また、助成金・補助金の種類や対象条件は取り扱う地域ごとに違う場合もあるため、助成金・補助金の利用を検討している場合は事前に確認しておきましょう。

日本政策金融公庫からの融資

日本政策金融公庫も、開業時に資金調達ができる金融機関です。日本政策金融公庫は、国が100%出資している金融機関で、積極的に個人事業主や中小企業向けの融資を行っています。

日本政策金融公庫で融資を受けるメリットとしては、低金利かつ無担保・無保証で融資を受けられる点です。融資審査においては、自己資金比率や面談内容が重視されるため、しっかりと対策をしておきましょう。

制度融資

制度融資とは、民間の金融機関と地方自治体、信用保証協会が連携して実施している融資のことです。信用保証協会が貸倒れリスクを保証してくれるため、実績のない創業企業でも融資を受けやすくなっています。

また、低金利かつ長期返済での借り入れが可能なため、これから開業する方や費用を抑えたい方はぜひ検討しておきたい制度といえます。

信用金庫からの融資

信用金庫からの融資も、開業資金の調達先のひとつです。信用金庫は地域密着型の金融機関で、地域の企業や事業者を育てる考えのもと融資を行っているため、銀行に比べて融資のハードルは低くなっています。

ただし、信用金庫からの借り入れには事業計画書や資金繰り表試算表などが必要で、借り入れまでに時間がかかる点は理解しておきましょう。

銀行からの融資

銀行からも融資を受けられます。しかし、開業前・開業後すぐに銀行から融資を受けることは難しいとされているのが実情です。

ただし、銀行自体の方針によっては融資を受けられることもあるため、まずは銀行担当者に相談してみるとよいでしょう。

親族、友人・知人からの借入

親族、友人・知人から借入することでも、資金調達は可能です。その際には、その人の好意でお金を借りることになるため、先々トラブルにならないように取り決めをしておくことが重要です。

たとえば、借用書を交わすなど、双方が納得のいく取り決めをしっかり決めておきましょう。

便利屋開業のための融資を成功させるポイント

便利屋開業のための融資を成功させるポイントを紹介します。注意したいポイントは、次の2つです。

  • 自己資金の目安
  • 明確な収益がわかる事業計画書

あわせて、事業計画書の書き方やテンプレートも紹介しますので、ぜひ参考にしてください。

自己資金の目安

便利屋開業にあたっての具体的な自己資金額の目安は、必要な開業資金総額の3~5割程度です。また、創業関連の制度を利用して融資を受ける場合、ある程度の自己資金割合が定められていることが多くなっています。返済面から考慮しても、3~5割程度の自己資金が必要とされています。

明確な収益がわかる事業計画書

融資を成功させるためには、明確な収益がわかる事業計画書も準備しておきましょう。事業計画書は、金融機関の信頼を得るために欠かせない資料です。

理解しやすい事業計画書にするためのポイントは、次の4点です。

  • わかりやすい構成と全体像を提示する
  • 具体的な数字で納得感の高い計画書を作成する
  • 競合他社との差別化を図るため、自社の優位性を明確に示す
  • 収益性と資金回収可能性を示す

まずは、誰が読んでもわかりやすい構成の事業計画書にする必要があります。そのうえで、具体的な数字を提示して収益性についての納得感を与えましょう。さらに、他社との差別化できる部分を明示し、自社の優位性を金融機関にアピールしてください。

便利屋の事業計画書・創業計画書のテンプレート

便利屋を開業する際に作成する事業計画書・創業計画書に、何を書けばよいかわからない方も多いことでしょう。事業計画書・創業計画書のテンプレートを活用すれば、手軽に事業計画書・創業計画書を作成できます。以下のテンプレートをぜひご活用ください。

便利屋の事業計画書・創業計画書のテンプレート はこちら

また、事業計画書の書き方について詳しく知りたい場合は以下の記事が参考になります。あわせて、チェックしてみてください。

事業計画書とは?書き方を具体例つきで簡単解説!業界別テンプレも70個以上ご紹介

便利屋の開業資金を抑える方法

便利屋の開業資金を抑える方法について解説します。開業資金を抑える方法は、事業に必要な車両費や資機材費を抑える方法と、広告宣伝費を抑える方法の2つです。

車両費や資機材費を抑える

開業資金を抑える方法の1つ目として、車両費や資機材費を抑えることが挙げられます。現代は中古品を取り扱うお店も増えてきています。それらをうまく活用して、費用を抑えてみてはいかがでしょうか。

最初は使用する掃除用具やその他消耗品、車両を中古品でまかない、事業が軌道に乗ったら買い替えるなどを検討してみてください。

広告宣伝費を抑える

開業資金を抑える方法の2つ目の方法が、広告の抑制です。テレビCMや雑誌への広告出稿、看板の掲示などにはお金がかかります。しかし、現在はSNSが情報収集ツールとして広く認知されているため、自社アカウントを開設して自身で広告宣伝活動を行うことも可能です。

SNSを駆使して自分で宣伝を行えば、広告宣伝費の抑制につながります。

便利屋を開業する方法

便利屋を開業する方法について、解説します。

開業の流れ

便利屋を開業する流れは、次のとおりです。

  1. サービス内容を決める
  2. 事業計画を立てる
  3. 必要な免許・資格・技術を習得する
  4. 料金・プランを設定する
  5. 開業届を提出する

まずは、サービス内容を決めましょう。サービス内容を決める際のポイントは、自分のできる事業で、なおかつ需要があって利益が出る事業であることが重要です。

サービス内容が決まったら、事業計画を立てましょう。事業計画を立てることで、サービス内容や必要な資金などが明確になります。事業計画書には、以下のような項目を記載します。

  • 事業の目的
  • 具体的なサービス内容
  • 必要な資金と調達方法
  • 売上計画
  • 市場や競合調査

事業計画書・創業計画書のテンプレートや詳しい書き方は、以下のページを参考にしてください。

便利屋の事業計画書・創業計画書のテンプレート はこちら

事業計画書とは?書き方を具体例つきで簡単解説!業界別テンプレも70個以上ご紹介

サービス内容が決まったら、次は事業に必要な免許や資格・技術を習得します。その後、サービスの料金やプランを設定しましょう。料金を設定する際にも注意が必要です。

料金を高くしすぎるとお客様が来なくなり、逆に安くしすぎると多くのお客様が来てしまって処理しきれず、結果的に事業継続に影響を及ぼす可能性もあります。料金設定をする際は、事業を継続していけるだけの利益が出る料金をあらかじめ計算しておくことが大切です。その際は、同じようなサービスを展開している他社の料金や同じ地域で活動している競合他社の料金を参考にするとよいでしょう。

開業後は、開業日から1ヶ月以内に税務署に開業届を提出してください。

会社設立の流れ・作り方を知りたい方は以下の記事が参考になります。

会社設立の流れや必要書類は?チェックリストつきで簡単に解説

また、会社設立に必要な定款の書き方やテンプレートを知りたい方は以下を参考にしましょう。

定款の書き方まとめ!設立会社の種類による違いや注意点を解説(無料テンプレート)

便利屋の定款(事業目的)のテンプレート はこちら

必要な資格・許可

便利屋を開業するにあたって資格は必要ありません。ただし、特定の事業を行う場合には資格や許可が必要になるため注意しましょう。

  • 電気工事に関する仕事を請け負う場合:「電気工事士(第一種、第二種)」の資格が必要
  • 中古品を取り扱う場合:「古物商」の許可が必要
  • 送迎を目的とした事業の場合:「普通自動車第二種運転免許」や「タクシー事業」の許可が必要
  • 法人・工場・施設などのゴミを扱う場合:「産業廃棄物収運搬業者」の許可が必要
  • 家庭ゴミ清掃後の撤去・遺品整理などを行う場合:「一般廃棄物収集運搬業」の許可が必要

便利屋を開業するなら開業資金の目安を把握しておこう

便利屋を開業する際には開業形態によって異なりますが、約345万~390万円の開業資金が必要です。それぞれメリット・デメリットが異なるため、違いをあらかじめ理解しておきましょう。

また、資金を調達する先としては、助成金・補助金や日本政策金融公庫からの融資、信用金庫からの融資などが挙げられます。融資を成功させるためには、必要な自己資金の目安を把握して、収益が明確に伝わる事業計画書が欠かせません。

本記事を参考に、開業資金を調達できるようにしっかりと準備しておきましょう。


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