• 更新日 : 2026年2月17日

民泊の開業に必要な届出は?開業届の書き方や注意点もわかりやすく解説

Point民泊の開業に必要な届出は?

民泊の開業には、自治体への「事業届出・許可」と税務署への「開業届」という2つの手続きが必須です。

  • 運営形態(新法・旅館業・特区)に適した届出を行う
  • 事業開始から1カ月以内に税務署へ開業届を提出する
  • 節税に不可欠な「青色申告承認申請書」を同時提出する

開業日に法的な決まりはありませんが、新法民泊の場合は自治体から「届出番号」が発行された日に合わせると、営業実態と整合性が取れ、その後の管理がスムーズになります。

民泊事業を検討されている方にとって、避けて通れないのが届出手続きです。民泊は個人の自宅や別宅を宿泊客に提供して報酬を得るビジネスモデルであり、近年需要が高まっています。しかし、適切な届出を行わずに営業すると、法律違反となるリスクがあります。

本記事では、民泊開業に必要な届出の種類や、税務署へ提出する「開業届」の具体的な書き方、注意点について詳しく解説します。

民泊の開業に必要な届出は?

民泊を始めるには、まず「どの法律に基づいて運営するか」を決定し、それに応じた手続きを行う必要があります。主に以下の3つのパターンがあります。

住宅宿泊事業法(民泊新法)による届出

年間の営業日数が180日以内の場合は、民泊新法に基づく届出がスムーズです。

民泊新法は、健全な民泊の普及を目的に施行された法律です。旅館業法の許可取得に比べて手続きが比較的簡便で、都道府県知事等への届出を行うことで営業を開始できます。ただし、自治体の条例等により運用上の制限が上乗せされる場合があります。

また、年間の営業日数が180日以内に制限される点には注意が必要です。

参考:住宅宿泊事業法(民泊新法)とは?|民泊制度ポータルサイト「minpaku」

旅館業法による許可

年間を通して営業したい場合は、旅館業法に基づく許可が必要です。

宿泊料を受け取って人を宿泊させる事業は、原則として旅館業法の対象となります。民泊新法のような営業日数の制限はありませんが、施設の構造設備基準やフロントの設置など、厳しい許可要件をクリアする必要があります。

参考:旅館業法について|民泊制度ポータルサイト「minpaku」

国家戦略特区法(特区民泊)による認定

特定の地域で民泊を行う場合は、国家戦略特区法に基づく「特区民泊」の活用が有効です。これは国家戦略特別区域法に基づく制度で、自治体が条例で定めた区域において実施可能です。最低宿泊日数が条例で定める期間以上(目安として3日〜10日の範囲)という条件はありますが、旅館業法に比べて施設要件が緩和されており、かつ年間営業日数の制限もないため、ビジネスとしての収益性を確保しやすい特徴があります。

参考:特区民泊について|民泊制度ポータルサイト「minpaku」

民泊の開業に必要な開業届とは?

開業届(個人事業の開業・廃業等届出書)とは?

民泊を営利目的で継続的に行う場合、保健所等への届出とは別に、税務署への「開業届」の提出が税務上求められています。

  • 提出先: 納税地を所轄する税務署長
  • 提出期限: 民泊事業を開始した日から1カ月以内

開業日に法律上の厳密な決まりはなく、旅館業の許可を得た日や、実際に初めての宿泊客を迎えた日など、事業を開始したと合理的に説明できる日を、事業者が任意に決めた日付で問題ありません。

参考:A1-5 個人事業の開業届出・廃業届出等手続|国税庁

民泊の開業届の書き方は?

開業届を記入する際、特に民泊事業者が迷いやすい項目について詳しく解説します。

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出典:個人事業の開業・廃業等届出書|国税庁

開業届の書き方全般について詳しく知りたい方は、以下の記事もご参照ください。

納税地の書き方

納税地には、原則として個人事業主の住所地(生活の本拠地)を記入します。もし複数の住居がある場合は、最も生活の拠点となっている場所を選びます。

開業届や確定申告書は、この納税地を管轄する税務署へ提出することになるため、間違いのないよう確認が必要です。

職業欄の書き方

職業欄には「旅館業」「民宿業」あるいは「民泊業」と記入するのが適切です。

税務署では厳密な業種分類よりも、事業内容が客観的に分かるかどうかが重視されるため、実態に即した分かりやすい名称を記載すれば足ります。

参考:日本標準産業分類(令和5年7月告示)|総務省日本標準産業分類

屋号の書き方

施設名が決まっている場合は、その名称を「屋号」として記入します。屋号を記載することで、銀行口座の開設や領収書の発行時にビジネスとしての実態を証明しやすくなります。なお、屋号は必須ではないため、決まっていない場合は空欄でも受理されます。

民泊の開業届を提出しないとどうなる?

開業届の提出は所得税法第229条で定められた義務ですが、未提出による直接的な罰則(罰金など)は現在ありません。

ただし、罰則がないからといって提出を怠ると、最大65万円の控除が受けられる「青色申告」を原則として利用できないという大きな不利益を被ることになります。なお、65万円控除を受けるには、複式簿記による記帳や電子申告等の要件を満たす必要があります。

また、期限を過ぎてから提出しても延滞税などのペナルティは発生しないため、未提出の方は速やかに提出することをおすすめします。

民泊の開業届を自分で税務署に提出する時の注意点は?

開業届の提出を自分で行う場合、書類の不備だけでなく以下の点に注意が必要です。

開業日は民泊新法の届出番号に合わせて設定する

開業届の提出タイミングは、民泊としての営業実態に合わせて検討してください。 民泊新法(住宅宿泊事業法)の場合、自治体から「届出番号」が発行されて初めて営業が可能になります。法令上、開業日を届出番号の発行日と完全に一致させる必要はありませんが、開業届に記載する「開業日」と、実際の営業開始日や届出受理日に大きな乖離がないよう、スケジュールを調整して提出するのが一般的です。

青色申告の承認申請書を同時に提出する

節税メリットを最大限に享受するため、開業届と同時に「青色申告承認申請書」を提出してください。

青色申告の承認を受けると、税法上の優遇措置を受けることができますが、この申請には厳格な提出期限があります。新規開業の場合、事業開始の日から2カ月以内(またはその年の3月15日まで)に提出しないと、その年は白色申告となり、節税チャンスを逃してしまいます。

参考:A1-8 所得税の青色申告承認申請手続|国税庁

控え(コピー)を必ず作成し、受領印をもらう

提出用とは別に「控え」を必ず用意し、受付日が確認できる形で保管してください。 現在は収受印の押印を行わない税務署も多く、e-Taxの受信通知や受付日が分かる控えが代替資料となります。この控えは、民泊専用の銀行口座開設や、融資の申し込み、事業用賃貸契約の際などに「個人事業主であることの証明書」として必須となります。郵送の場合は、返信用封筒と切手を同封して控えを返送してもらう必要があります。

消防署への確認も忘れずに

民泊を始める際は、税務署や保健所だけでなく、消防法に基づく「消防用設備」の設置も必須となります。建物の形態や規模により、自動火災報知設備や誘導灯の設置が求められるため、必ず事前に管轄の消防署へ相談してください。

参考:民泊における消防法令上の取り扱い等|防火対策の推進等

民泊の開業届と同時に青色申告承認申請書を提出した事業者は約66%

マネーフォワードは、2026年1月に個人事業主などを対象とした「開業届に関する実態調査」を実施しました。

本記事では開業届とあわせて青色申告承認申請書を提出することを推奨していますが、実際の調査でも、開業届と同時に「青色申告承認申請書」を提出した人は66.0%に上りました。多くの事業者が、開業のタイミングで節税メリットのある青色申告を選択していることがわかります。

一方で、手続きの際にハードルが高いと感じた点を聞いたところ、「青色申告などの関連書類の理解」が21.4%、「記入内容の判断(職業欄の書き方、屋号など)」が20.2%でした。「書類の作成・入力作業自体」を挙げたのは11.3%にとどまっており、多くの人は「作業」そのものよりも、税務上の判断や記入内容の正誤に悩みを感じている実態が明らかになりました。

出典:マネーフォワード クラウド、青色申告承認申請書の提出状況、手続きで「面倒・ハードルが高い」と感じた点【開業届に関する調査データ】(回答者:812名(男性約67%、女性約33%)、集計期間:2026年1月実施)


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