- 更新日 : 2025年7月14日
起業したい女性の実態は?何をすると良い?創業時の注意点なども解説
最近、起業という働き方が注目されています。やりたいことを実現できる、自由に時間を使える、収入がアップするチャンスがあるなど、自分で事業を立ち上げることでさまざまなメリットを得ることができます。
この記事では起業に興味をお持ちの女性の方のために、起業する女性の実態や起業する方法、成功するためのポイントについてご紹介します。
目次
起業する女性の実態
女性の起業はどのくらい増えているのでしょうか?また、どの年代が多いのでしょうか?2024年の公的調査をもとに、女性起業家の実情を見ていきます。
起業家の男女比
日本政策金融公庫の『2024年度新規開業実態調査』によると、2024年の開業者のうち女性の割合は25.5%でした。前年の24.8%から上昇しており、調査開始以来、過去最高の比率となっています。対して男性は74.5%と依然として多数派ですが、女性の起業は確実に増加傾向にあります。なお、2004年の女性開業者割合は16.1%です。
この流れからも、今後さらに女性の起業が選択肢として注目され、拡大していくことが期待されます。
起業する女性の年代構成
年代別に見ると、女性の開業者で最も多い層は「40~49歳」で38.5%、次いで「30~39歳」が26.7%、「50~59歳」が20.1%となっています(「女性による新規開業の特徴」より)。これはライフステージの転機に差しかかる年代が多いこと、社会経験やスキルが十分に身についている時期であることが背景にあると考えられます。
また、「60歳以上」の割合も4.3%と、定年後や子育てを終えた後に起業する女性も一定数存在します。人生100年時代のなかで、第二のキャリアとしての起業が選ばれていることがうかがえます。
女性は女性向けサービスで起業すべき?
女性起業家は、生活関連サービス業や飲食サービス業など、顧客の共感や細やかな視点が活かされる分野で多く活躍する傾向が見られます。たとえば、ネイルやアロマ、カフェ、アクセサリーショップなどがその例です。
しかし、起業分野はそれだけに限られません。IT、コンサルティング、法人向けサービス、製造、物流など、男性中心と思われがちな業界で活躍する女性起業家も多数います。大切なのは「性別」ではなく、自分の得意分野と市場ニーズのバランスです。
女性起業家だからこそ提供できる価値をどう活かすか、という視点を持つことで、対象が女性でも男性でも、強いビジネスを構築することができます。
起業するなら女性も覚えておきたいこと
起業に成功するためには入念な準備が必要です。開業して何十年と経過した経営者にも経営に失敗するリスクは常につきまといます。初心者ならなおさらです。
ここからは起業するにあたって覚えておくべきポイントについてご紹介します。ぜひ次のことを意識して準備を進めていきましょう。
自分の強みや活かせるものに挑戦する
ご自身の得意なことや好きなことを活かせる業種での起業がおすすめです。苦手なこと、嫌いなことを仕事にしても長続きせず、サービスの質が低くなってしまい、ご自身にとってもお客様にとってもマイナスになってしまいます。
例えば、ネイルが好きならネイルサロン、料理やカフェ巡りが趣味なら飲食店、Web系の会社に勤めているならWebデザイナーやホームページ制作会社など、まずはご自身の特技や趣味、今されている仕事をベースに業種を検討してみるといいかもしれません。
好きなこと、得意なことを仕事に活かせば、自分の人生が充実して、お客様も満足し、収入がアップしてさらに日々の生活が豊かになるという好循環が得られる可能性が高いでしょう。
業種や職種の調査・研究を怠らない
業種や職種が固まってきたら、起業前に綿密な調査や研究を行いましょう。「どういった業務内容なのか?」「どのような仕組みで収益が入るのか?」「その業種は本当に儲かるのか?」「その業種で起業するためにはどれだけのリソース(資金や人材、設備など)が必要になるのか?」「どのような流れで開業するのか?」など、さまざまなことを調べましょう。
さらに、「競合(ライバル)はどれくらいいるのか?」「ターゲットは誰にするのか?」「どれくらいの商圏になるのか?」といった要素も重要です。
しっかりと業界に関して調査や研究を行えば事業計画や経営管理の判断材料が集まり、成功につながりやすくなります。
事業計画や経営管理はシビアに
何事も計画が重要です。起業をする際には事業計画をしっかりと立てましょう。特に融資を受ける場合は事業計画書の提出を求められるので必須事項です。
「どのような商品・サービスを提供するのか?」「なぜ開業するのか?」「開業資金はどれくらい必要になるのか?」「毎月どれくらいの売上や利益が見込め、どれくらいの経費が必要になるのか?」を明確にし、計画書にまとめましょう。
また、開業後は経営管理をシビアに行いましょう。収支をまったく気にしていない、あるいは「利益はこれくらい出るだろう」という、いわゆるどんぶり勘定で経営を続けた結果、資金がショートして倒産してしまうこともよくあります。毎月の売上と経費、そして利益という数字をしっかりと把握しておき、それにもとづいて判断するのが経営者の重要な仕事です。
セミナーなどにも参加しながら継続して人脈を広げる
起業するためには知識やスキルも身につけ、情報も収集しなければなりません。本を読めば空き時間で勉強することができ、ネットを使えば自分が欲しい情報を簡単に検索することもできます。
もちろん、本やネットなど独学で知識やスキルを身につけるのもいいのですが、セミナーや研修、異業種交流会にも参加してみましょう。その道のプロの話を直接聞くことで理解が深まります。それに加えて起業家同士の横のつながりができるのも大きなメリットです。情報交換をしたり、困ったときは助け合ったりできる仲間は、ビジネスを行っていく上で大きな財産となります。
女性の起業の始め方・おすすめジャンルは?
起業というと会社を立ち上げるというイメージがあるかもしれませんが、実はさまざまな方法があります。ここからは起業の方法とおすすめのジャンルについてご紹介しますので、ご自身に合ったものを考えてみましょう。
個人事業主として起業
個人事業主とはその名の通り個人で事業を行う人のことを指します。フリーランスや自営業も個人事業主とほぼ同じ意味です。自分自身が商品、サービスをお客様に提供し、その対価として報酬を得ます。
会社を設立するとなるとさまざまな手続きが必要で、開業資金もかかりますが、個人事業主の場合は税務署に開業届を提出するだけなので手軽に起業できる、一人あるいは数人の従業員や外注先と仕事をするので自分のペースで仕事がしやすいというのがメリットです。一方で法人と比較すると社会的信用がどうしても低くなってしまい、融資や営業、人材採用の面で不利になりがちなのがデメリットといえます。
おすすめのジャンル:低コスト・スキル活用型
女性が個人事業主として起業する場合は、初期投資が少なく、自分のペースで働けるジャンルを選ぶことが成功のポイントです。中でも人気なのが在宅ワーク系の仕事です。たとえば、Webライター、グラフィックデザイナー、動画編集、SNS運用代行などは、パソコン1台で始められ、育児や家事と両立しやすい点が魅力です。
また、ハンドメイド作品の販売や輸入雑貨のネットショップ運営も、女性の感性を活かしやすく、BASEやminne、Shopifyなどのプラットフォームを使えば誰でも気軽に始められます。さらに、料理教室や英会話教室、ベビーマッサージなどのスキルを活かした教室ビジネスも根強い人気があります。
美容や健康分野では、自宅でできるネイル、エステ、リラクゼーションなどもおすすめです。必要に応じて資格取得が必要なケースもありますが、リピーターが付きやすく、収益性が高いのが特徴です。
フランチャイズや代理店として起業
特に飲食店や小売店、サロンや学習塾などの、いわゆる店舗ビジネスを行う場合、フランチャイズや代理店に加盟して起業するという方法もあります。
大手企業や有名企業のブランドが使える、起業から運営まで本部のサポートを受けられる、経営ノウハウを学ぶことができるといったメリットがあります。一方で本部の方針や指示に従わなければならないため経営の自由度が低い、加盟金やロイヤリティーを支払わなければならないといった点がデメリットです。
おすすめのジャンル:需要安定型・支援型
フランチャイズや代理店としての起業では、すでに成功事例のあるビジネスモデルを活用できるため、初心者でも比較的安心してスタートできる点が魅力です。その中でもおすすめのジャンルとしてまず挙げられるのが、「教育・学習塾」や「個別指導塾」です。少子化が進む中でも、子どもの学力向上や受験対策への関心は高く、教育分野は安定した需要が続いています。地域密着で運営でき、保護者との信頼関係を築きながら長期的に生徒を確保できるビジネスです。
また、高齢化が進む社会において注目されているのが「高齢者向けサービス」です。訪問介護や家事代行、生活支援などのサービスは今後さらに需要が伸びると予測されており、地域社会への貢献度も高い分野です。初期費用を抑えたフランチャイズモデルも増えており、未経験者でも研修やマニュアルを通じて参入しやすい仕組みが整っています。
さらに女性に人気のジャンルとして、「美容・健康」系のビジネスもおすすめです。ネイルサロン、セルフエステ、まつげエクステ、フィットネススタジオなどは、比較的小規模なスペースで運営可能で、感性やセンスを活かせる分野です。店舗型だけでなく、自宅の一室を利用した開業スタイルも選べるため、ライフスタイルに合わせた起業がしやすいのも特徴です。
加えて、在宅からでも始めやすいのが「通信・インターネット関連」の代理店ビジネスです。たとえば格安SIMやインターネット回線の取次、補助金や助成金申請支援サービスなどは、営業経験がなくても取り組みやすく、副業や子育て中の方でもスタートしやすい業態です。継続的な成果報酬が期待できる仕組みのものもあり、ストック型収益を目指すことも可能です。
副業や休日を利用した「ゆる起業」
今勤めている会社に居ながらにして起業するという選択肢もあります。就業後や休日のみ仕事をしたり店舗を開いたりといった副業も立派な起業です。「ゆる起業」とも呼ばれ注目が集まっています。
会社勤めをしながら起業をするので収入が途絶えるリスクが低い、自分のペースで仕事がしやすいといった点がメリットです。一方で稼働できる時間が限られるので収入が伸びにくい、終業後や休日に仕事をするので自由な時間が少なくなってしまうといったデメリットもあります。
おすすめのジャンル:スモールスタート・隙間時間活用型ビジネス
ゆる起業は、「無理をしない」「生活に負担をかけない」ことで継続できます。
おすすめの一つは「デジタルコンテンツ販売」です。たとえばCanvaなどを使ったテンプレート販売、イラスト、写真素材、電子書籍などは、在庫を持たず、オンラインで完結できるため副業に最適です。一度作成すれば繰り返し販売でき、スキルや経験を活かせます。
また、「イベント出店」や「週末マルシェ」での軽飲食販売や雑貨販売も、ゆる起業として人気です。月に数回だけ参加するスタイルでも収益化が可能で、実店舗を持たずに試行できるのが大きなメリットです。
さらに、「スキルシェア系サービス」も注目されています。ココナラやストアカなどを通じて、自分の得意分野(文章添削、話し方指導、簡単なITサポートなど)を提供する形で、無理なく小さく始められます。
「レンタル・シェア系ビジネス」もおすすめです。たとえば自宅の空き部屋を民泊やスペース貸しとして活用したり、使っていないベビー用品やカメラを貸し出すといったスタイルは、自分の時間をあまり使わずに収益化が可能です。
また「ペットシッター」や「観葉植物の育成代行」など、ニッチで競合が少ないサービスも、副業的に始めやすく需要があります。SNSと組み合わせて発信を続けることで、徐々に顧客を増やすこともでき、無理なく続けられるビジネスとして注目されています。
最初から法人として設立するメリットはある?
もちろん、最初から株式会社や合同会社などの法人を設立して起業するという方法もあります。法人化することで節税効果が得られる(利益が大きい場合)、社会的信用が高くなるなどのメリットを得ることが可能です。
すでに副業で事業を行っていてある程度の利益が得られている、規模を拡大する、銀行から融資を受けたり従業員を採用したりするために社会的信用が必要ということであれば、法人を作って起業をしてもいいかもしれません。
しかし、前述の通りさまざまな手続きを行わなければならず、開業資金も必要となり、法人を設立するのは簡単なことではありません。また、今勤めている会社を退職していきなり法人を作って起業するのはリスクが大きいでしょう。
まずは終業後の時間や休日を利用した副業やゆる起業からはじめて、軌道に乗ったら個人事業主として独立し、利益や事業規模が大きくなってきたら法人化というように、ステップアップしていく起業家の方が多いようです。
おすすめのジャンル:信頼重視・事業拡大型ビジネス
個人事業よりも社会的信用力が高く、将来的な事業拡大を視野に入れるなら、法人(株式会社・合同会社)としての起業が効果的です。
まずおすすめなのが「BtoB向けサービス業」です。たとえばITシステム開発、Web制作、業務コンサルティングなどは、法人間での契約が前提となることが多く、法人格があることで信頼性が高まります。契約単価が上がりやすく、継続的な収益が見込める点も魅力です。
また、店舗やスクールなど「人を雇って運営するビジネス」にも法人化が適しています。飲食店や美容室、語学教室や学習塾などは、雇用契約や労務管理が必要になるため、社会保険などの整備が可能な法人の形態が望ましいです。補助金や助成金を受けやすくなるメリットもあります。
さらに、オリジナル商品を展開する「ECサイト・D2Cブランド運営」や、許認可が必要な「介護・福祉系ビジネス」も、法人での運営が一般的です。これらの分野は拡大性や社会的意義があり、長期的に安定した成長が見込めます。
女性が起業するなら押さえておきたいこと
起業をしても失敗をしてしまう、思ったように経営ができず「こんなはずじゃなかった……」と後悔してしまう方も少なくありません。最後に女性が起業するにあたって押さえておきたいポイントについてご紹介します。
仕事とプライベートのバランスに注意する
まずは仕事とご自身のプライベートが両立できるようにしましょう。個人事業主であれ、法人の経営者であれ、想像以上に多忙です。会社であれば同僚や上司、部下が助けてくれますが、起業したらそういうわけにはいきません。特に個人事業主や開業したての法人の経営者は自分で責任を負って、すべて自分の手で仕事をしていきます。繁忙期には休日が取れない、睡眠時間を削らなければならないといった状況にもなるかもしれません。
せっかく充実した人生を送るために起業したのに、思い通りの生活ができないということほど悲しいことはありません。特に子育て中の女性の方は、子どもの面倒が見られるようプライベートな時間を確保する必要があります。
業務を効率化する、従業員を雇う、外注を使うなど、仕事の進め方についてもしっかりと考えておきましょう。
公的な支援は最大限活用する
国や地方自治体では多様な働き方の推進や技術革新、経済の活性化などを目的として、起業家や経営者を対象にさまざまな補助金や助成金などの制度を用意しています。
たとえば新しい商品を開発する場合は中小企業庁の「ものづくり補助金」が活用できる可能性があります。パソコンやソフトウェア、システムなどのITツールを導入する場合は「IT導入補助金」が使えます。
さらに、東京都であれば「創業助成事業」、大阪府であれば「大阪起業家グローイングアップ補助金」、愛知県名古屋市であれば「名古屋市スタートアップ企業支援補助金」というように、都道府県や市区町村で独自の補助・助成制度が用意されています。
こうした制度を活用することで、開業資金や支出を大きく抑えることも可能です。国やお住まいの自治体に活用できる制度があるかどうか、ホームページなどを見て情報収集してみましょう。
ときには女性ならではの立場や視点も利用する
先ほど「必ずしも女性向けのサービスで開業する必要はない」ということを述べましたが、やはり女性ならではの立場や視点は大きな武器となります。
女性は男性よりも女性から接客を受けたほうが、安心感があります。特にリラクゼーションやネイルサロンなど、狭い空間で1対1になるサービスの場合は男性が接客をするよりも女性のほうが安心です。仕事のことや結婚のこと、出産や育児、人間関係、健康面など、同性だからこそ相談できることも多いでしょう。「私だったらこういうものが欲しい」「私だったらこうして欲しい」といった視点を商品やサービス、あるいは店舗の内装やデザインに反映することで、女性のお客様から支持を集めやすくなります。
また、男性向けのサービスでも女性ならではの視点を活かすことができます。たとえばアパレルであれば、「女性から見てその服が似合っているかどうか」という観点で男性客に服を薦めることができます。結婚相談所であれば、やはり女性の視点で男性会員に対して相手探しやお見合いのアドバイスが可能となります。
ぜひ、起業する際には女性ならではの強みも活かしてみましょう。
女性の起業を支援する公的制度
女性が安心して起業に踏み出すために、公的機関はさまざまな制度を用意しています。補助金や融資、相談窓口などを上手に活用することで、初期費用や事業運営の負担を大きく減らすことができます。
全国で活用できる制度
まず、全国の女性起業家が利用しやすい制度として、日本政策金融公庫の「女性、若者/シニア起業家支援資金」があります。これはおおむね創業7年以内の女性などを対象とした低利融資制度で、最大7,200万円まで融資が可能です。また、「小規模事業者持続化補助金」では、チラシ作成やECサイト制作など販路開拓に使う経費が補助されます。通常枠の補助率は2/3で上限額は50万円ですが、賃金引上げ枠や創業枠などの特別枠を活用すれば、最大200万円まで補助を受けられる場合があります。
さらに「ものづくり補助金」は、革新的な製品・サービスの開発や生産プロセスの改善に必要な設備投資などを支援する制度です。製品・サービス高付加価値化枠では、は最大2,500万円程度の補助も狙えます。
地域ごとの支援制度も充実
加えて、全国の自治体や商工会議所でも、女性起業家向けの独自支援を展開しています。子育てと両立する女性起業家を積極的に支援しています。
大阪府では「大阪起業家グローイングアップ補助金」を実施しており、補助上限額が50万円または100万円とされています。
また福岡市では、過去に「福岡市スタートアップ女性起業家支援事業費補助金」として、社会課題の解決型ビジネスを行う女性に対し最大20万円の補助を実施していました(令和4年度実績)。
さらに長野県では、過去に「創業支援補助金(女性・若者枠)」として、地域課題や伝統産業の継承に挑む女性に最大100万円の補助金が用意されていました(令和4年度実績)。
お住まいの自治体で最新の情報を確認してみましょう。
気軽に相談できる起業窓口
全国各地の“よろず支援拠点”では、起業・経営に関する相談を無料で受けられます。予約制で、来所やオンライン面談にも対応しており、女性の起業に関する幅広い課題に相談可能です 。また、区市町村が設置する女性専用窓口も活用できます。たとえば、品川区の「武蔵小山創業支援センター」では女性起業家向けの専用相談会やセミナーを実施しています 。また足立区では、女性アドバイザーによる個別相談窓口があり、起業準備の不安を直接相談できます 。
地域財団による専門サポートもあります。横浜市の横浜企業経営支援財団では、女性専用スタートアップオフィスや専門相談窓口、交流会などを通じて支援しています 。京都では「KOINの『KOINの森 アイデア相談窓口』」で相談員がアイデア段階から個別支援してくれます 。
女性の起業家におすすめの資金調達法
起業の第一歩として避けて通れないのが「資金調達」です。女性の場合、自己資金の蓄積に時間がかかることや、育児・家事との両立により安定収入を得づらい背景もあり、起業資金への不安を抱える方は少なくありません。しかし現在では、公的融資だけでなく、民間の仕組みも含めて女性でも活用しやすい資金調達方法が増えています。ここでは代表的な手段を紹介します。
日本政策金融公庫「新規開業・スタートアップ支援資金」
創業2期以内であれば無担保・無保証人で利用可能で、融資限度額は7,200万円(うち運転資金4,800万円)です。女性専用ではありませんが、事業計画書の内容がしっかりしていれば比較的審査に通りやすく、幅広い業種に対応している点が魅力です。信用保証協会付き「制度融資」
地方自治体が主体となり、提携金融機関と信用保証協会を通じて提供する融資制度です。自治体ごとに「女性創業枠」などが用意されていることもあり、低金利・長期返済が可能です。自治体によっては利子補給や信用保証料の一部補助があるため、コストを抑えて借入できるのが特徴です。
女性向けビジネスコンテスト・アクセラレーションプログラム
資金調達と同時にビジネスのブラッシュアップができる方法として、民間や自治体が主催するビジネスコンテストがあります。たとえば、「LED関西」など、様々な機関が主催するビジネスコンテストでは、入賞者に対して賞金や事業支援が提供されます。審査に通れば信頼度も高まり、他の資金調達への足掛かりにもなります。
クラウドファンディング(Makuake、CAMPFIRE など)
資金だけでなく、商品やサービスのテストマーケティングにも活用できるクラウドファンディングは、共感を得やすい女性起業家に向いています。社会性やストーリー性のあるプロジェクトは支援を受けやすく、事前の広報・集客も兼ねた資金調達手段として活用されています。
民間金融機関の女性向けローン・ビジネスサポートプラン
地方銀行や信用金庫では、女性起業家向けの少額・短期のローン商品を提供しているケースがあります。たとえば「女性応援ローン」や「女性起業支援プラン」といった名称で、相談から融資までを一貫してサポートする体制が整っている場合もあり、地域密着型の起業には相性が良いと言えます。
ライフイベントを見据えた女性の起業計画の立て方
起業を検討する際は、収支やビジネスモデルだけでなく、自身のライフイベントとのバランスも考慮することが重要です。計画立案のポイントを解説します。
将来のライフイベントを具体的に想定する
まず大切なのは、自分の人生の中で起こりうるイベントをできる限り具体的に想像することです。結婚予定があるのか、出産を希望しているのか、子どもが何歳になる頃にどんな働き方をしたいか、親の介護は将来どの程度関わる可能性があるのか。こうした要素を先延ばしにせず、スケジュールに落とし込み、事業とどう重なるかを可視化することで、リスクや負荷を見極めやすくなります。ライフプラン表や10年単位のキャリア年表を作成するのも有効です。
起業スタイルと働き方の柔軟性を持たせる
起業形態や業種を選ぶ際には、「いつでも調整が効く」ことを重視しましょう。たとえば在宅ワーク、オンライン講座、サブスクリプション型サービスなどは、家庭の事情に応じて時間や稼働量を調整しやすいのが特徴です。また、最初から法人化や雇用を急がず、個人事業主としてスモールスタートすることで、ライフイベントとの両立がしやすくなります。副業や週末起業から始めて、軌道に乗ってから本格化させるというステップも一つの戦略です。
家族やパートナーと事前に共有・協力体制を整える
起業とライフイベントを両立させるには、家族やパートナーの理解と協力が不可欠です。子育て期や介護のタイミングでは、事業に使える時間が制限されるため、あらかじめ周囲と話し合っておくことが大切です。家族の協力だけでなく、一時保育や家事代行、外部リソースの利用も視野に入れ、「一人で抱え込まない」環境を整えることで、事業の継続が現実的になります。
収入の波に備えた生活設計と資金管理を
ライフイベントの時期には、事業収入が一時的に減少することも考えられます。そのため、あらかじめ生活費を抑えたり、予備資金を確保しておいたりすることが重要です。起業後しばらくは収入が不安定になることも想定し、パートナーの収入や副業収入なども含めて家計全体を設計しておくと安心です。また、自治体の支援制度や助成金を活用することで、育児や介護中でも経済的な負担を軽減することができます。
女性も積極的に起業に挑戦してみよう!
起業は簡単なことではありません。失敗するリスクがつきまとい、責任も重く、会社員の頃よりも自由な時間が取れなくなってしまう可能性もあります。一方で好きなことを仕事にできて、高収入を得られ、充実した人生を送れる可能性も十分にあるため、チャレンジする価値は大いにあります。
起業をするのに男性が有利、女性が有利ということはありません。むしろ、女性ならではの視点や立場を強みにすることもできます。起業という選択肢も考えてみてはいかがでしょうか。
よくある質問
友人と一緒に仕事をしたいが法人を設立した方が良いですか?
必ずしも法人化する必要はありません。まずは個人事業主として起業し、利益や事業規模が大きくなってから法人にステップアップするという方法もあります。詳しくはこちらをご覧ください。
副業レベルで小さく稼ぎたいけど起業するべきですか?
まずは終業後に仕事をする、休日のみお店を開くというような副業や「ゆる起業」がおすすめです。手応えが感じられてから本格的に起業しても十分間に合います。詳しくはこちらをご覧ください。
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