- 更新日 : 2026年2月16日
株主名簿とは?記載事項や作り方を解説!【無料テンプレート・ひな形付き】
株主名簿とは、株主の氏名・住所・保有株数などを一元管理する法定帳簿で、会社設立後速やかに作成し、本店へ備え置くことが義務付けられています。
- 株主権利の証書: 配当受領や議決権行使の基礎となる重要書類。
- 過料のリスク: 作成や更新を怠ると100万円以下の過料対象。
- 融資の必須資料: 銀行審査では「法人税申告書別表二」と共に提出を求められる。
株主名簿は株主リストとは異なります。株主リストは登記申請時に法務局へ提出する時点の書類ですが、株主名簿は会社法に基づき社内で継続管理・保管すべき帳簿です。
株主名簿とは、会社設立時に作成するもので、株主の情報をまとめた書類です。会社法で作成が義務付けられており、作成して企業に保管する必要があります。株主等の閲覧謄写請求に対応するため、作成するだけでなく定期的に更新する必要もあります。
本記事では、株式名簿が必要なタイミングや書き方、株券番号や金額、質権に関する情報などの記載事項や、保管方法などについて解説します。会社設立に向けて準備している方は必見です。
目次
株主名簿とは?
株主名簿とは、株主の氏名や住所、保有株式数などの情報を一元管理するために作成される帳簿のことです。
株式会社は、会社設立後速やかにこれを作成し、本店に備え置くことが会社法第121条によって義務付けられています。単に情報をまとめるだけでなく、株主の権利を確定させ、会社の所有構造を公的に証明する重要な役割を担っています。
株主名簿の役割は?
株主名簿は、誰が正当な株主であるかを公証する役割を果たします。
- 株主の権利保護:名簿に記載がない場合、株主は会社に対して議決権の行使や配当金の受領といった権利を主張できないリスクが生じます。
- 社会的信頼の証明:金融機関からの融資審査やM&A、IPO(新規公開株)の審査において、株主構成を証明する必須資料として提出を求められます。
株主リストとの違いは?
株主リストは、法人・商業登記を利用した違反や犯罪を防ぐために、作成が義務付けられているものです。犯罪や違法行為の未然防止のために作成が義務付けられている書類で、株主名簿と同じように株主の情報を記載します。株式リストは、登記申請や変更申請の際に必要です。
株主リストと株主名簿の違いとして、株主リストには議決権数の記載が必須(場合によっては議決権割合も)であることが挙げられます。また、株主リストは、登記申請時、株主総会の議事録とともに提出が必要です。
株主名簿記載事項証明書との違いは?
株主名簿記載事項証明書は、株券不発行会社で株券の譲受を行う際に必要な書類です。株主名簿記載事項証明書には、株主名簿の情報が記載され、さらに代表取締役(あるいは代表執行役)の署名・記名押印が記されます。
株主は、企業に株主名簿記載事項証明書の発行を依頼でき、株主名簿記載事項証明書によって、譲渡する側が株券所有者であることを証明できるのです。
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株主名簿が必要となる場面は?
株主名簿が必要となる場面は、以下の通りです。
株主等から閲覧謄写請求があったとき
会社法第125条2項では「株主や債権者は、正当な理由に基づき、株式会社の営業時間中ならいつでも株主名簿の閲覧謄写を請求できる」と定められています。請求があり、その理由が正当であると判断される場合は、速やかに対応することが義務付けられているのです。その際、株主名簿が必要になります。
なお、会社が閲覧謄写請求を拒絶できる事由は、以下のとおりです。
- 請求者が権利の確保または行使に関する調査以外の目的で請求を行ったとき
- 請求者が株式会社の業務の遂行を妨げ、または株主の共同の利益を害する目的で請求を行ったとき
- 株主名簿の閲覧または謄写によって知り得た事実を、利益を得て第三者に通報するため請求を行ったとき
- 過去2年以内において、株主名簿の閲覧または謄写によって知り得た事実を、利益を得て第三者に通報したことがあるものであるとき
逆に、これらの事由に該当しない場合は、株主や債権者からの閲覧謄写請求に応じる必要があります。
そのほか株主の特定が必要なとき
株主総会の招集通知や株主が権利を行使する際など、株主の特定が必要な場合も株主名簿を利用します。特に、株主総会を開催する際は、名簿に記載されている人物全員招集をかけるため、株主名簿が必要です。
また、株主が権利行使を求めている際は、その人物が本当に株主であるかを確認する必要があります。
このように、株主の特定が必要な場面は複数あり、その際に株主名簿が使われます。
株主名簿の必須記載事項は?
株主名簿には、会社法第121条に基づき以下の項目を漏れなく記載する必要があります。
- 株主の氏名または名称
- 株主の住所
- 株主が所有する株式の数と種類
- 株式の取得年月日
- 株券の番号
ここでは各項目の詳細を解説します。
株主の氏名または名称
株主を特定するために、株主が個人の場合はフルネームを、法人の場合は会社名や団体名を記載します。
株主総会の招集通知の宛名や、配当金の振込先を特定するためのデータとなるため、一字一句間違いがないよう、株主から提出された届出書や本人確認書類に基づいて登録する必要があります。
株主の住所
会社からの通知や催告を確実に届けるため、株主の住所(法人の場合は本店所在地)を記載します。
基本的には住民票や登記簿に記載されている正式な住所を登録しますが、株主から別途通知場所の指定がある場合は、それも併せて管理することが実務上有効です。
株主が所有する株式の数と種類
株主が保有している株式の数を記載します。
配当優先株や議決権制限株などの「種類株式」を発行している会社の場合は、単に合計数を書くだけではなく、種類ごとにその数を区別して記載しなければなりません。例えば「普通株式 100株、A種優先株式 50株」のように明記します。
株式の取得年月日
各株主がその株式をいつ手に入れたかを示す「取得年月日」を記載します。
会社設立時からの株主であれば「会社の設立日」を、その後の増資や株式譲渡で株主になった場合は「払い込みが完了した日」や「譲渡の効力が発生した日」を記載します。
株券の番号
自社が「株券発行会社」である場合に限り、各株主が保有する「株券の番号」を記載する義務があります。
現在、多くの中小企業は「株券不発行会社」が主流となっており、その場合はこの項目の記載は不要です。自社がどちらに該当するかは、登記事項証明書に「株券を発行する」旨の登記があるかどうかで判断します。
株主名簿の具体的な書き方は?
株式名簿には規定のフォーマットは用意されていませんが、以下のステップに従って進めることでミスなく作成できます。
1. 株主名簿のひな形をダウンロードする
株主名簿を作成する際は、管理目的に合わせてひな形(テンプレート)をダウンロードするのが効率的です。
Word形式は印刷して公式な備置書類とするのに適しており、Excel形式は株数の合計計算などを自動化できるため管理ミスを防ぎやすいメリットがあります。
マネーフォワード クラウドでは、株主名簿のひな形を無料で提供しています。氏名、住所、受渡日、保有株式数といった基本項目があらかじめ設定されているため、自社の状況に合わせて調整して使用できます。
2. 基本情報と株主情報を入力する
ダウンロードしたひな形(テンプレート)に基本情報と株主情報を入力します。
設立時であれば設立時発行株式の情報を、運用中であれば「名義書換請求書」等の正式な書類に基づき情報を転記しましょう。特に「株主番号」を独自に振っておくと、同姓同名の株主がいる場合の取り違え防止や、データの検索性が向上するため実務上非常に便利です。
入力後は、発行済株式総数と株主ごとの保有株数の合計が一致しているか、必ず照合して整合性を確認してください。
3. 代表者の記名押印
名簿の作成が完了したら、作成日(および最新基準日)を記載し、会社の代表印(実印)を押印したものを印刷して備え置くのが一般的です。
会社法第125条により、名簿は本店に置いておく義務があり、これは株主や債権者からの閲覧請求にいつでも対応できるようにするためです。デジタルデータとしてクラウド等に保存するだけでなく、いつでも提示できる正本として紙媒体で管理しておくことで、急な税務調査や金融機関からの依頼にも対応可能となります。
特殊なケースにおける記載上の注意点は?
以下のケースに該当する場合は、株主名簿を記載する上で注意が必要です。
株式に質権が設定されている場合
株主が所有する株式を担保に差し入れるなど「質権」が設定された場合、請求に基づき「質権者の氏名・住所」および「質権の目的である株式」を名簿に記録します。これを「登録株式質権者」と呼びます。
質権設定の事実は、質権者が会社に対して配当金を直接受領する権利などを主張するための対抗要件となります。会社としては、株主と質権者の双方から提出される正式な請求書面を確認した上で、正確に名簿を更新し、必要に応じて証明書を発行します。
譲渡制限がある場合
日本の中小企業の多くは「譲渡制限会社」であり、株式の売買には会社の承認が必要です。株主名簿の備考欄に「当会社の株式を譲渡するには取締役会(または株主総会)の承認を要する」といった旨を付記しておくことが推奨されます。
これにより、株主が無断で第三者に株式を譲渡することを防ぐ注意喚起となり、名簿の書き換え時にも承認手続きが完了しているかを確認するリマインダーとして機能し、管理上のミスを防止できます。
株主名簿の作成を怠った場合のリスクは?
株主名簿の作成を怠ったり、記載内容に不備があったりした場合には、100万円以下の過料という罰則が科される可能性があります。会社法第121条において、株式会社は必ず株主名簿を作成しなければならないと定められているためです。
また、実務上も株主名簿がないと困る場面が多々あります。
- 株主総会の招集通知:誰に通知を送ればよいかの根拠となります。
- 銀行融資の審査:金融機関から提出を求められることが一般的です。
- 税務調査:株主の構成や異動履歴について確認されることがあります。
- M&Aや事業承継:株式の権利関係を明確にするために不可欠です。
特に銀行融資の場面では、実質的支配者が誰なのかを確認するために「法人税申告書別表二」とあわせて、最新の株主名簿の提出を求められるケースが増えています。いざという時に慌てて作成するのではなく、日頃から整備しておくことが、会社の信用力を高めることにつながります。
株主名簿の管理方法は?
株式名簿は、原則企業の本店に据え置くことで、開示請求があった際に速やかに対応できるようにしましょう。また、管理者を別途定めることで、管理人や管理会社の営業所に保管もできます。
株主名簿の管理方法には、以下の2通りがあります。
1. 企業の本店に保管する
株式名簿の管理方法は会社法第125条で定められており、原則企業の本店に保管しましょう。株主名簿は、株主や債権者から閲覧・コピーなどの請求があった場合、その理由が正当なら迅速に対応する必要があるからです。そのため、本店に保管することが求められます。
2. 管理人や管理会社の営業所に保管する
株主名簿の管理者を別途定めている場合は、管理人や管理会社の営業所に保管することも可能です。特に、株式の売買が盛んに行われ、株主や株式数が日常的に変動するような上場企業の株式名簿は、株式振替制度のもと、証券会社などの口座管理機関を通じて保管します。
株主名簿を更新するタイミングは?
株主名簿は一度作れば終わりではなく、常に最新の状態を維持しなければなりません。名簿の更新(名義書換)が必要な主なタイミングは以下の通りです。
- 株式譲渡: 株主間で株式の売買が行われたとき
- 増資: 新株予約権の行使や第三者割当増資で新しい株式が発行されたとき
- 相続: 個人株主の逝去により、相続人が株式を引き継いだとき
- 住所・氏名変更: 株主の転居や結婚などで登録情報が変わったとき
管理を怠ると、株主総会の招集通知が届かないといったトラブルや、税務上の同族株主の判定に誤りが生じる原因となります。少なくとも年に一度、決算期には内容に相違がないか確認するフローを整えましょう。
株主名簿に関するよくある質問(FAQ)
最後に、株主名簿についてよくある質問とその回答をまとめました。
株主名簿は法務局へ提出する必要がありますか?
日常的な管理において、株主名簿を法務局へ提出する義務はありません。ただし、役員変更や増資などの「登記申請」を行う際には、添付書類として「株主リスト」を作成して提出する必要があります。
株主からの閲覧請求は拒否できますか?
原則として拒否できません。会社法に基づき、株主や債権者は営業時間内であればいつでも株主名簿の閲覧やコピーを請求する権利があります。
ただし、請求者が情報を不当に転売する目的がある場合や、競合他社で業務を妨害する目的がある場合など、法的に認められた「正当な事由」がある場合に限り閲覧を拒むことができます。
株主名簿には会社法の必須事項を正しく記載しましょう
本記事では、株式名簿とは何かについて、株式名簿が必要なタイミングや書き方、記載事項や保管方法などについて解説しました。株式名簿は、会社法ですべての企業において作成が義務付けられている重要な書類です。株主名簿には、記載事項や保管方法などが定められており、会社設立時に提出し、保管する必要があります。また、適切なタイミングで情報を更新することも理解しておきましょう。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
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