• 更新日 : 2025年8月28日

事業計画書とは?書き方を簡単解説!テンプレート・業界別の記入例も無料ダウンロード可能

事業計画書とは、創業動機・目的や必要な資金と調達方法、事業の見通しなどを記載する計画書です。法的に提出を求められるわけではありませんが、主に創業・起業時など資金調達や出資などの協力を得るために必要となることが多く、ビジネスプランをわかりやすく示すために大切な書類です。

事業計画書の書き方には決まったフォーマットがありません。テンプレートなどを参考にしながら、自身の目的に合った書類を作成しましょう。

この記事では、事業計画書の目的・メリットや、事業計画書の書き方を画像付きでわかりやすく紹介します。

※事業計画書のテンプレートをお探しの方はこちらをご活用ください▼

事業計画書とは

事業計画書とは

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事業計画書のポイント
  • 事業の全体像を明らかにし、目的を達成するための具体的な計画を示した書類
  • 資金調達や許認可申請などの際に必要になることが多い
  • 法的な作成義務やフォーマットの指定はない

事業計画書とは、企業の目標や事業戦略、行動計画、収益見込みなどの事業計画を明らかにし、関係者と共有するために作成する書類です。

例えば、「どんな商品やサービスを売るのか」「誰に売るのか」「どれくらい資金が必要か」「いつまでにどんな目標を達成するのか」などをわかりやすく説明します。このような事業計画書を作ることは、自分の考えを整理し、資金調達を検討するときに役立ちます。つまり、事業計画書とはビジネスの設計図のようなものと言えます。

事業計画書の目的

事業計画書を作成する目的は、「ビジネスの設計図」を具体化することです。頭の中にある考えを整理したり、銀行や投資家に協力を依頼したりするために、事業の内容や目標、進め方を明確にし、関係者と共有することを目的とします。

さらに事業を進める中で、事業の進み具合を確認し、必要に応じて修正するため、事業の目的達成への道しるべとなる大切な書類であるとも言えます。

事業計画書の必要性

事業計画書の作成は事業主に義務付けられているものではありません。しかしながら、特に資金調達の際等に銀行や投資家が融資を判断するための判断材料として作成を依頼されることが多い書類です。

計画書には、事業の内容や収益の見込み、資金の使い道などが具体化されており、出資者はリスクや将来性を確認することができます。

また、事業に対する計画を明文化しておくことで、創業者自身が事業の方針や目標を確認しやすくなるメリットもあります。

事業計画書の書き方・記載事項

事業計画書の主な記載項目
  1. 創業動機・目的
  2. 職歴・事業実績
  3. 取扱商品・サービス
  4. 取引先・取引関係
  5. 従業員
  6. 借入の状況
  7. 必要な資金と調達方法
  8. 事業の見通し

それでは事業計画書の各項目の書き方のポイントを解説していきます。計画書作成で忘れてはならないのは、ただ創業者の想いをぶつけるのではなく、あくまでも読者目線に立つことです。説得力のある文章を心掛けましょう。

実際の作成例は、「会社設立ナビ」からお好きなものを無料でダウンロードできます。

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1.創業動機・目的

1.創業動機・目的

意外かもしれませんが、金融機関の融資担当者は創業動機・目的をあまり見ていないそうです。担当者が注目しているのは社会的に意義のある事業かどうかというより、創業者の実体験が事業にどのように結びついているかという点です。

例えば、飲食店での勤務経験が全くない人が、いきなり「ラーメン屋を始める」と言っても首を傾げるでしょう。しかし、勤務経験がなくても「ラーメンの食べ歩きで全国の店1,000店制覇」といったSNSの記録などを提示すれば説得力が増します。

そのため、審査判断に関係のある事業に関連のある内容を書きましょう。創業者が経験を活かせるビジネスであることを強調し、新規性や独自性を提示します。さらに、すでに顧客を確保していたり、起業前の準備で取り組んだりした事実を書けば信頼性が増します。

2.職歴・事業実績

2.職歴・事業実績

記入できる枠に限りがあるので、事業に関連する経歴を強調して書きましょう。会社勤めの中でチームリーダーとして仕事をしていた場合は、そのときの肩書や実績、獲得したスキルを書けば、経営者としての資質があると評価されやすいです。

直近の収入の状況についても、実績に基づいて書いておきましょう。学歴はできるだけ記入してください。とくに始める事業に関連する経験や知識を学んだ学校や留学先があるなら強みになるでしょう。

飲食店や美容室なら、勤めていた店の名前を記入すると、実力がアピールできます。IT関連のスキルや経験の場合、独学で学んだ場合も多いでしょう。しかし、担当者はITに関して詳しくないこともあるので、具体的にどんな経験をしてどんなスキルを獲得したのかを記入する必要があります。

3.取扱商品・サービス

3.取扱商品・サービス

ビジネスの肝ともいうべき「取扱商品・サービス」の項目ですが、これも記入スペースはごくわずかです。短い言葉で明確に商品・サービスの魅力を伝えることがポイントです。キャッチコピーのようなふんわりと抽象的な言葉では伝わりません。客観的で具体的な内容を伝えると、商品・サービスの特徴が際立ちます。

「取扱商品・サービス」の欄は、「誰に何をどのように提供するのか?」「料金・単価を記入する」「商品・サービスの特色を出す」「誰もが分かる言葉を使う」「経営者の略歴と関連付ける」ということが重要です。

専門用語を避けて、誰もが分かるような言葉に変換して分かりやすい言葉を心掛けてください。セールスポイントとしては、「多くのお客様候補がいること」「会社勤務時に高い営業成績を上げたこと」「独自の販売チャネルがある」などでしょう。

また、市場調査を行った結果を記載するといったことも大事です。集客がすでにできており、創業後すぐに軌道に乗ることがアピールできます。

4.取引先・取引関係

4.取引先・取引関係

実際に事業を開始して「こんなはずじゃなかった!」と気付きがちなのが、取引先とのやりとりです。事業を始めてから分かることも多いものですが、起業したばかりだと信用がなく、現金仕入も多くなる傾向があります。

加えて、商品・サービスを安く買い叩かれる、支払いサイトが長くなるなど、取引先と不利な条件で契約せざるを得ない場合も多くなります。

お金は出ていく一方、しかし入金はないという状態が続くと、たちまち資金はショートします。担当者はこういう部分をよく見ています。

ですから、起業前から信頼できる取引先の確保は必須で、取引先は固有名詞で書きましょう。小さい会社ほどお金の流れがスムーズなビジネスモデルを組む必要があります。

5.従業員

5.従業員

創業時はできるだけ最少人数で立ち上げることが必須になります。

例えば、仲間と事業を始めても、1人前の給料を支払うのは大変です。創業者は利益が出るまで無給で働いたとしても、勤める側はそうはいきません。

仮にビジネスが順調にスタートしても人件費が過剰だと資金繰りが大変になります。目立ちませんが、実は重要な収支のポイントになります。無理のない人員計画であれば、担当者の審査も通りやすくなります。

6.借入の状況

6.借入の状況

資金調達したいがために、借入があるのにないように偽るのは絶対にいけません。正直に記入するのが鉄則です。

借入がないのに越したことはありませんが、もしある場合は、返済額も稼がないといけないので、より大きく利益が上がるビジネスプランを立てる必要があります。

なお、消費者ローンやカードローンなどの金利が高い借金をしている場合は審査上のマイナスになるので早めに返済しておきましょう。

7.必要な資金と調達方法

7.必要な資金と調達方法

「必要な資金・調達方法」は、「なぜこの金融機関からこの金額の融資を受ける必要があるのか?」という根拠を示す項目なので、審査を受ける際の最重要項目となります。

必要な資金には「設備資金」と「運転資金」があります。
「設備資金」は事業を始めるときに必要不可欠な投資である裏づけが必要です。改装費ならば業者からの見積書、賃貸ならば賃貸条件が分かる資料などを提出します。

担当者は投資金額が妥当なものかを検証するので、投資に見合った設備投資になるように検討してください。また、融資を受けた後に、申請したものを買わないで、安いものを買って現金を別の用途に使うのは厳禁です。

「運転資金」には「8.事業の見通し」に記入する「売上原価」と「経費」に記載している内容と、必要な運転資金に整合性があるように記載しなければいけません。運転資金の目安は通常3カ月~4カ月分ほどの原価や経費の金額までです。運転資金の欄はそのうえで自己資金相当を上乗せして計上します。

「調達方法」での自己資金の目安は3分の1だと言われています。自己資金と調達資金が無理のないバランスになるように設定しましょう。

8.事業の見通し

8.事業の見通し

現実的に、創業してすぐに黒字経営になるのは難しいものです。
しかし、融資を獲得するためには起業して半年や1年以内に軌道に乗った後に黒字になる形なら、融資可能となるケースもよく見られます

したがって、早期的に黒字化の見込みがある計画にする必要があります。もちろん実現可能である根拠を示さなければいけません。

創業前に売上高はなかなか計算できませんが、「客単価×客数」が一番シンプルな方法です。

そして、経費は多めに計上しましょう。
事業見通しの最後の「利益①-②-③」に税金を考慮した「①-②-③」×0.6〜0.7で算出した金額が、経営者本人と借入金の返済元金以上の額になることを目指しましょう。

事業計画書のテンプレート・フォーマット

事業計画書_テンプレート

会社設立ナビ」から、事業計画書のテンプレート(雛形)がダウンロードできます。
事業計画書を作成する際の参考にしてください。詳しくは以下のページに記載しています。

事業計画書が入手できるサイト一覧

事業計画書に決まった書式はないため、事業計画書の書き方を参考に自分で作成します。

ワードやエクセルを利用し作成しても問題ないですが、各種機関が提供しているテンプレートや作成例を参考にすると、抜け漏れが少なく効率的に作成できるでしょう。

①日本政策金融公庫

日本政策金融公庫は、創業や事業拡大を目指す中小企業や個人事業主を支援する公的な金融機関です。

低金利で長期の融資が可能なため、民間金融機関からの借入が難しいときでも利用しやすいと言えます。新規開業や設備投資など、幅広い資金ニーズに対応していますので、借入先候補として確認しておきましょう。

参考:融資制度 国民生活事業|日本政策金融公庫

②J-Net21

J-Net21は、中小企業基盤整備機構が運営する創業者や中小企業向けの情報ポータルサイトです。

事業計画書など、創業準備から経営まで役立つ情報が多く掲載されており、初めての起業にも心強いサポートが受けられます。

参考:事業計画書の作成例 | 起業マニュアル | J-Net21[中小企業ビジネス支援サイト]

③マネーフォワードクラウド 会社設立「会社設立ナビ」

「会社設立ナビ」では、設立登記申請書や定款、経営改善計画書など、起業や経営に役立つテンプレートを数多く取り揃えています。

業種別の事業計画書も用意しており、無料登録後、ご自由にダウンロードできるのでぜひご活用ください。

参考:「会社設立ナビ」について

事業計画書を作成する際の注意点

事業計画書を作成する際の注意点

ここでは、事業計画書を作成する際の注意点を3つ紹介します。

自分の言葉で計画書を作る

まず、事業計画書を書くうえで絶対にやってはいけないのは、ほかの事業計画書のコピペです。書籍やインターネット上にはたくさんの記入事例が出回っていますが、自分の言葉で書かれていない計画書は、担当者に簡単に見抜かれてしまいます。オリジナリティや強みに欠け、創業する熱意が感じられないと融資が通らない場合もあります。つたなくても自分の力で書き上げてください。

自分の事業内容や強みを「具体的に」記載する

事業計画書には自社商品やサービスについて、市場における「強み」や「差別化ポイント」を具体的に記載しましょう。曖昧な表現ではなく、自分だけの具体的な事例や経験を盛り込むことで、計画書の説得力や独自性が高まります。

数値計画や根拠を「現実的かつ明確に」示す

売上や利益の見込み、コストの計算などは「現実的な」根拠を持って記載することが大切です。楽観的すぎる見積もりや曖昧なデータの使用は避け、実際の市場調査や過去の事例を参考にした上で数字を示しましょう。

また、第三者に説明できるように具体的な数値の根拠は保存しておきましょう。

事業計画書の審査で重要なポイント

事業計画書を作成する際は、前述の注意点を踏まえたうえで、担当者が審査する3つのチェックポイントである「経営者としての資質」「財政状態」「収支の見通し」が整合するように書いていきます。

具体的には、以下のような観点がチェックされます。

【経営者としての資質】
  • どんな経験を積んできたか?
  • 営業や接客はできるか?
  • 論理的思考はできるか?
  • 事業経営への熱意と覚悟はあるか?
  • 金融機関に対して正直に情報開示しているか?
  • お金や数字に関する適切な考え方はあるか?
  • 経営者に向いている性格か?
【財政状態】
  • 資産はどれくらいあるか?
  • 負債はどれくらい抱えているか?
  • 諸支払い振りはどうか?
【収支見通し】
  • 投資内容と資金調達方法が妥当か?
  • 予想収益の実現可能性はどうか?
  • 資金繰りの見通しはどうか?
  • 収益が予想よりも少ない場合の補てん方法はあるか?

起業家はビジネスプランのマーケティングや営業戦略のほうに注意が行きがちですが、融資担当者は「事業計画に無理がないか」「返済可能か」「もし事業が失敗したときでも返済できるあてがあるか」などを見ています。つまり、融資担当者は起業家が注力しがちな創業動機・職歴・商品の項目よりも、それ以降の実際の資産状況やお金の動きのほうに注目しているのです。

ビジネスアイデアの面白さを強調するよりも、堅実性をアピールしたほうが融資をスムーズに受けられます。

融資形態別のポイントとは

資金調達のために事業計画書を作成する際には、提出先を意識することも重要です。

ここでは、「日本政策金融公庫の新規開業・スタートアップ支援資金」「信用保証協会付きの制度融資」「民間金融のプロパー融資」についてそれぞれポイントをまとめてみました。融資形態別といっても大きな差はありませんが、作成にあたって提出先を意識した計画書を作成することは審査時にも影響します。

日本政策金融公庫の新規開業・スタートアップ支援資金

日本政策金融公庫においては、「創業計画書」という専用の書式を使用します。最も重要なのは、経営者の職歴・事業実績、必要な資金と調達方法、事業の見通しの3つです。

創業の動機では、自分の言葉で事業への熱意を伝え、事業と経験等の関連性を具体的に示すことが重要です。

経営者の職歴・事業実績では、事業に関連する経験や資格を積極的に記載し、例えその業界が未経験であっても、関連する業務の経験を見つけて記述します。

資金計画(必要な資金と調達方法、事業の見通し)では自己資金の妥当性が重視され、借入額と必要資金の矛盾がないよう注意深く記載します。事業の見通しでは実現可能性の高い数値を設定し、根拠のある売上予測を立てることが審査通過のカギとなります。

参考:創業計画の書き方|日本政策金融公庫

信用保証協会付きの制度融資

制度融資(信用保証協会付き融資)とは、中小企業や個人事業主が金融機関から資金を借りるにあたって、公的機関である信用保証協会が保証人の役割を果たすことで、金融機関から円滑に融資を受けられる制度です。

したがって、信用保証協会付きの制度融資では、「返済能力重視」の事業計画書が求められます。

審査は「金融機関」だけでなく「信用保証協会」でも行われるため、両者が納得できる説得力のある内容にする必要があります。

最重要ポイントは返済計画の妥当性です。特に想定される売上や利益と返済額が乖離しないように考慮した計画立案であることが必要条件です。

融資制度は地域密着型でもあるため、地域の商工相談員との面談や所定の書式使用が求められる場合があります。また、事業計画書は自治体によって書式が異なるため、申込先の地域で指定されたテンプレートを使用することが重要です。

参考:初めての融資と信用保証|全国信用保証協会連合会

民間金融機関のプロパー融資

プロパー融資とは、信用保証協会等による保証などの第三者機関の保証を付けずに、自らのリスクで事業者に直接資金を貸し出す融資を言います。

したがって金融機関には、ビジネスモデルや事業コンセプトがより明確に伝わる事業計画書が必要となります。その金融機関が直接リスクを負うため、審査は極めて厳格です。

この場合、事業計画書における財務状況の健全性が最重視され、貸借対照表損益計算書が主な返済能力の判断材料となります。したがって、提出時点において債務超過している場合は融資が非常に困難です。事業計画の妥当性と将来性では、具体的で実現可能性の高い内容に加え、市場環境や競合状況の的確な分析が問われます。

さらに、資金使途の明確性として、融資した資金が事業成長にどう貢献するかを論理的に説明する必要があります。

また、経営者自身の資質と信用力も評価対象です。過去の信用情報に問題がないことが前提となります。

事業計画書は個人事業主も必須?

個人事業主として開業する際に、事業計画書の作成・提出は必要ありません。

開業の目的や資金繰りを明確化するのには役立つので、事業計画書を使って頭を整理したい方は作成してみてもよいでしょう。

金融機関などで資金調達を行う場合は、個人事業主でも事業計画書の提出が求められることもありますので、その場合は作成しましょう。

【業種別】事業計画書の作成例・テンプレートリンク集

事業計画書_テンプレート

マネーフォワードクラウド 会社設立「起業関連テンプレート集」で用意している、業種別の作成例・テンプレートをまとめています。

飲食店

美容室・サロン

整骨院・ジム・健康

小売・物販・EC

IT・Web・フリーランス

介護・福祉

学童・保育・教育

医療

製造・建設・不動産

運送・自動車

農業・インフラ

宿泊・観光・サービス

人材業界・コンサル

金融

NPO

その他の事業計画書

パワーポイント形式の事業計画書のテンプレートリンク集

businessplan_pptx

起業する際は、事業計画書を正しく作成しましょう!

以上、資金調達しやすいポイントに絞って事業計画書の書き方を解説しました。融資を受けるためだけの事業計画書なら、意外と簡単に作成できるのがお分かりいただけたでしょうか?正しい事業計画書を作って、順調な起業に備えてください。


※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。

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