- 更新日 : 2025年3月27日
埼玉県で利用できる創業支援は?特定創業支援等事業や独自の支援・融資について解説
埼玉県は、特定創業支援等事業を実施している自治体です。創業支援にも力を入れており、埼玉県と県内の市町村が共同して創業をサポートする事業も展開されています。具体的にどのような支援が行われているのか、埼玉県の創業支援や融資制度について紹介します。
目次
埼玉県の特定創業支援等事業とは
埼玉県では、これから創業する方に向けた「特定創業支援等事業」が実施されています。特定創業支援等事業は、産業競争力強化法に基づく創業支援等事業計画の中で定められたものです。創業支援等事業者と市区町村が策定する計画は、2024年12月25日時点において、全国の1,518市区町村で認定が行われています。
特定創業支援等事業の取り組みは、自治体によりさまざまです。例えば、東京都中央区では、年間306件の創業を目指し、創業希望者向けに窓口相談、起業家塾、創業支援融資のあっせんなどのサポートが行われています。
特定創業支援等事業を受けた証明書の取得で受けられる優遇措置
埼玉県では、特定創業支援等事業を1カ月以上、かつ4回以上利用し、「経営」「財務」「人材育成」「販路開拓」の4分野の事業経営に必要な知識を習得したうえで自治体に申請をした場合、支援証明書が発行されます。支援証明書を取得することで、以下3つの優遇措置を受けることが可能です。
登録免許税の優遇 | 会社設立時の登録免許税が半額 |
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創業関連保証の特例 | 通常は創業の2カ月前からが対象の無担保・第三者保証なしの創業関連保証について、創業の6カ月前から利用可能 |
日本政策金融公庫の金利の引き下げ | 日本政策金融公庫の新規開業資金について、貸付利率を引き下げられる |
埼玉県で受けられる創業支援
ここでは、埼玉県で受けられる創業支援を紹介します。
創業・ベンチャー支援センター埼玉
創業・ベンチャー支援センター埼玉は、創業に関する総合支援窓口です。2004年に設置され、2012年に公益財団法人埼玉県産業振興公社に移管されました。創業・ベンチャー支援センターでは、以下のような支援が行われています。
専門家による相談対応 | 創業前・創業・創業後の各ステージに応じて、経験豊富なアドバイザーが、事業計画書の作成や販路開拓など、事業に関するさまざまな相談に対応します。 |
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士業の無料相談会 | 各士業協会の協力のもと、司法書士や社会保険労務士が会社設立や手続きなどに関する専門的な相談に対応します。 |
各種セミナー | 開業手続きやビジネスプラン作成など、会社設立にかかわるセミナーを開催しています。 |
埼玉県中小企業制度融資 | 起業家育成資金の融資を受け付けています。 |
ふれあいキューブ 創業支援ルーム
ふれあいキューブは、埼玉県と春日部市が共同で開設した複合拠点施設です。住民の活動と交流の促進、産業の振興を目的として設置されました。創業を予定している個人事業主や創業から間もない事業者を対象に、創業支援ルームを開放しています。創業支援ルームは、創業のステージをイメージして設置された入居スペースです。個室型とブース型の全18区画が用意されており、入居審査に通過することで利用できるようになります。ふれあいキューブには、以下のような特徴があります。
- 年中無休・24時間利用できる
- インキュベーションマネージャーに起業や経営の相談ができる
- 平日は来客取次や郵便物受取サービスを利用できる
- 起業支援マネージャーによる面談を利用できる
- ビジネスセミナーに参加できる
- オプションで自社ホームページの作成を依頼できる
- 入居期間は3年以内、最長で5年
ウェスタ川越 創業支援ルーム
ウェスタ川越は、埼玉県と川越市の共同事業により設立された施設です。創業支援ルームが設置されており、全25区画が設置されています。創業支援ルームは、これから創業する方や創業から5年以内の方を対象にしたスペースです。入居が許可されると、事業に関するさまざまなサポートを受けられます。ウェスタ川越の特徴は以下の通りです。
- 施設の住所で会社設立の登記ができる
- 川越駅から徒歩5分の交通アクセスがよい場所に立地
- 電話の応対や宅配便の受け取りのサポートがある
- インキュベーションマネージャーに無料で相談できる
- 情報交換会で入居者同士のやり取りができる
- ビジネスマッチングのサポートがある
- 有料で経理や助成金申請、翻訳、Webサイト作成などの支援が受けられる
さいたま商工会議所の創業支援
さいたま商工会議所でも、創業に関する支援が行われています。相談窓口では、創業計画書や資金調達などの創業に関する相談が可能です。創業計画書の作成支援にも応じてもらえます。不定期で行われる「さいたま創業塾」も開催されており、創業に関する基礎的な知識を数日間のカリキュラムを通して提供しています。
埼玉県で創業する場合に利用できる融資制度
埼玉県で創業する際に利用可能な融資制度を3つ紹介します。
起業家育成資金
用途 | 設備資金、運転資金 |
---|---|
限度額 | 3,500万円 |
期間 | 設備投資は10年以内、運転資金は7年以内 |
担保 | 不要 |
保証人 | 法人の場合、スタートアップ創出促進保証を利用する場合は不要 |
起業家育成資金は、新規で事業を興す方や開業から5年未満の事業者を対象にした融資制度です。個人事業主から法人成りした場合は、個人事業の開始から5年未満であれば申込みが可能です。スタートアップ創出促進保証を申し込めるため、保証人不要で創業融資を受けたい事業者におすすめの制度です。
創業関連保証
用途 | 設備資金、運転資金 ※新会社設立に必要な資本金を除く |
---|---|
限度額 | 3,500万円 |
期間 | 10年以内 |
担保 | 不要 |
保証人 | 必要になる場合がある |
創業関連保証は、創業前の方や創業から5年未満の方が利用できる融資制度です。創業前の場合は、融資から1カ月以内に創業すること、または融資から2か月以内に会社設立をすることが求められます(認定特定創業支援等事業の支援を受けた場合は6か月以内の開業も認められます)。
先に紹介した起業家育成資金と比べると、限度額や融資期間は基本的に同等です。創業関連保証に関しては、融資利率が金融機関所定利率の運用となるため、申請する金融機関で異なる可能性があります。
スタートアップ創出促進保証制度
用途 | 設備資金、運転資金 ※新会社設立に必要な資本金を除く |
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限度額 | 3,500万円 |
期間 | 10年以内 ※原則として同時にプロパー融資も実行 |
担保 | 不要 |
保証人 | 不要 |
スタートアップ創出促進保証制度は、法人を設立する場合に限り利用できる制度です。法人設立を融資実行から2カ月以内(認定特定創業等事業の支援を受けた場合は6カ月以内)に会社を設立、または創業から5年以内の法人が申し込めます。
「創業関連保証」と融資の内容は似ていますが、連帯保証人が求められないのが特徴です。創業関連保証と同じく、金利は金融機関所定の利率に基づきます。
なお、スタートアップ創出促進保証制度については、自己資金を融資金額の10分の1以上有していなければならない点に注意しましょう。また、設立から3年後および5年後のタイミングで、中小企業活性化協議会の助言を受けることなどが求められます。
埼玉県の創業支援や融資制度を活用しよう
埼玉県は、特定創業支援等事業が実施されている自治体です。会社設立時の登録免許税の軽減措置や創業融資関連の優遇を受けることができます。利用するには要件を満たす必要があるため、事前に確認しておきましょう。
埼玉県では、創業者が安心して利用できる創業支援や融資制度が充実しています。埼玉県で創業を検討している方は、本記事で紹介した制度を活用しながら、自身に適した支援を検討してみましょう。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
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