• 更新日 : 2026年3月11日

見せ金とは?会社設立時の違法性やバレる理由、正しい資金調達方法をわかりやすく解説

Point見せ金とは?

見せ金とは、会社設立時に一時的な借入金資本金に見せかける違法な偽装工作です。実態のない資金で登記を行うため、以下の重大なリスクを伴います。

  • 刑法上の犯罪(公正証書原本不実記載等罪)に該当
  • 最高裁判決でも「見せ金による払込は無効」と判断
  • 決算書の「役員貸付金」計上で銀行からの信用を失う

見せ金は高い確率で発覚します。 金融機関や税務署は、通帳にある「不自然な同額の入出金」や、見せ金処理で生じる「役員貸付金」を必ずチェックするため、プロの目はごまかせません。

会社設立にあたり、「取引先からの信用を得たい」「創業融資を有利に進めたい」という理由から、資本金を少しでも多く見せたいと考える経営者は少なくありません。

しかし、自己資金がないにもかかわらず、他人から一時的に借りたお金を資本金として見せかける「見せ金(みせがね)」は、法律で禁止された危険な行為です。

本記事では、見せ金の仕組みや具体的な手口の流れ、違法とされる法的根拠、そして社会的信用を失うリスクについて解説します。また、見せ金に頼らずに資本金を準備する正しい方法についても紹介します。

見せ金とは?

見せ金とは、実態のないお金を資本金として見せかける、違法な偽装工作のことです。

起業家が十分な自己資金を持っていない場合に、友人や知人、金融業者などから一時的にお金を借り、それを資本金として口座に入金して会社設立の手続きを行います。そして、会社ができた直後にそのお金を引き出して返済してしまう行為を指します。

登記簿上は資本金があるように見えますが、実際には会社に資金が残っていないため、実質的には中身のない「空っぽの会社」となります。

見せ金が行われる理由は?

見せ金が行われる主な理由は、実態以上の「対外的な信用」を偽装するためです。具体的には以下の3つの目的で行われるケースが大半です。

  • 金融機関対策:資本金額を大きく見せることで、融資審査を有利に進めたいと考えるため。
  • 取引先対策:資本力がある会社だと思わせて、新規取引や契約をスムーズに行いたいと考えるため。
  • 許認可対策:建設業や派遣業など、特定の業種で許可を得るために必要な「資本金要件」を満たしたいと考えるため。

しかし、これらはすべて虚偽に基づいた信用であり、発覚すれば法的責任を問われるだけでなく、経営生命を絶たれるほどのリスクを伴います。

見せ金が行われる流れは?

見せ金は、一時的に会社にお金があるような証拠を作るために行われます。一般的な手口の流れは以下の通りです。

  1. 借り入れ
    発起人(会社を作る人)が、友人、親族、あるいは「見せ金屋」と呼ばれる金融業者から、資本金として見せかけたい金額を一時的に借ります。
  2. 振込(出資金の払い込み)
    借りた現金を、発起人個人の銀行口座へ振り込みます。これにより、通帳に「出資金としての入金記録」を残します。
  3. 証拠取得(通帳コピー)
    入金記録が記帳された通帳のコピーをとり、これを「払込証明書」の一部として法務局へ提出します。これにより、あたかも正当な出資が行われたかのように装って設立登記申請を行います。
  4. 返済
    会社の設立登記が完了し、会社の銀行口座が開設できるようになった段階で、すぐに口座からお金を引き出し、借入先へ返済します。

この一連の流れにより、会社には借金の返済義務や、実態のない資産計上が残ることになります。

見せ金と預け合いの違いは?

見せ金とよく似た違法行為に「預け合い」があります。どちらも資本金を偽装する行為ですが、協力者が誰かという点に違いがあります。

  • 見せ金:発起人(会社を作る人)が、友人や金融業者などから一時的にお金を借りて行うもの。設立後すぐに引き出して返済します。
  • 預け合い:発起人と「銀行などの金融機関」が結託して行うもの。借り入れたお金を特定口座に入れ、返済までは引き出さないことを条件に資本金に見せかける方法。

現在では銀行のコンプライアンスが厳しくなり「預け合い」はほとんど見られなくなりましたが、どちらも債権者や取引先を欺く行為であり、会社法で厳しく禁じられています。

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会社設立の際の見せ金は違法行為!法的責任や刑事罰は?

​​見せ金を使った会社設立は、会社法違反であるだけでなく、刑法上の犯罪にも該当する重大な違法行為です。安易な気持ちで利用すると、以下のような重い法的責任を負うことになります。

1. 刑法上の責任(公正証書原本不実記載等罪)

登記官という公務員に対し、虚偽の事実(嘘の資本金額)を申告して登記簿(公正証書原本)に記載させる行為は、刑法第157条の「公正証書原本不実記載等罪」に問われる可能性があります。

「少し借りてすぐ返すだけ」という軽い認識であっても、法律上は懲役刑もあり得る犯罪として扱われます。

参考:刑法 第157条(公正証書原本不実記載等)|e-Gov法令検索

2. 会社設立の無効

過去の裁判例(最高裁 昭和38年12月6日判決など)において、見せ金による株式の払込みは「無効」であると判断されています。株主などから訴えを起こされた場合、会社設立そのものが無効となるリスクがあります。設立が無効になれば、当然ながら法人としての事業継続は不可能です。なお、会社設立の無効の訴えができる期間は、会社の成立の日から2年以内となっています。

3. 発起人の支払義務

会社法では、仮装して出資の払い込みを行った場合、発起人はその全額を支払う義務を負うと定められています(会社法第52条の2)。見せ金と認定されれば、実際に自分のお金で穴埋めをするまで株主としての権利も行使できません。

参考:会社法 第52条の2(発起人の責任等)|e-Gov法令検索

見せ金の取引上・税務上のデメリットは?

見せ金のリスクは法律面だけではありません。金融機関や税務署はプロであり、不自然なお金の動きはすぐに発覚します。

1. 金融機関や取引先からの信用失墜

見せ金が発覚した時点で、「嘘をつく経営者」と判断され、創業融資は否決されます。一度「見せ金による融資申請」という履歴が残ると、その後の再申請も極めて困難になります。

2. 決算書の悪化

見せ金の返済処理によって生じる「役員貸付金」は、以下の税務リスクを招きます。

  • 利息の計上:会社は当該役員から利息を取らなければならず、その利息分に対して法人税がかかります(実際には利息を受け取っていなくても課税されます)。
  • 賞与認定のリスク:返済の見込みがないと判断されれば、貸付金そのものが「役員賞与」とみなされ、損金として認められない上に、社長個人に所得税・住民税が課される可能性があります。

参考:No.2606 金銭を貸し付けたとき|国税庁

見せ金はなぜバレる?金融機関や税務署が見抜くポイント

金融機関や税務署は「お金の流れ」と「決算書」の不整合を必ずチェックするため、見せ金は高い確率で発覚します。素人が「バレないだろう」と思っていても、プロの目は以下のポイントを見逃しません。

融資審査時:通帳の不自然な入出金履歴

創業融資の審査では、必ず「通帳の原本」が確認されます。法人の通帳だけでなく個人の通帳の提示も求められるため、「設立直前に発起人の口座にまとまった入金があり、設立直後に法人の口座から同額の出金がある」という履歴は、誰が見ても不自然です。資金の出所(誰から借りたのか)や、出金先(どこへ消えたのか)の説明ができなければ、即座に見せ金と判断されます。

税務調査時:決算書の役員貸付金の計上

見せ金をして返済してしまった場合、会社にあるはずの現金が消えてしまうため、会計処理上は「会社が社長にお金を貸している」という形をとらざるを得ません。 決算書の資産の部に多額の「役員貸付金」が計上されている場合、税務署や銀行は「資本金が不当に引き出されている(=見せ金の可能性が高い)」と疑います。

見せ金にならない正しい資本金の準備方法は?

違法な見せ金を使わなくても、資本金を準備し、信用を高める合法的な方法は存在します。自己資金が不足している場合に検討すべき、正しい手段を紹介します。

1. 親族・友人から出資や贈与を受ける

一時的に「借りて返す」のではなく、親族や友人から正式に「出資」してもらうか、「贈与」を受ける方法です。返済義務のないお金であれば、正当な自己資金(資本金)として認められます。ただし、贈与の場合は年間110万円を超えると贈与税の対象になるため、税理士等の専門家に相談することをおすすめします。

2. 保有資産(株・不動産)を売却する

手元の現金が少なくても、株式や投資信託、不動産などの資産がある場合は、それらを売却して現金化し、資本金に充てることができます。売却による入金履歴は通帳に残るため、資金の出所が明確であり、融資審査でもプラスに評価されます。

3. クラウドファンディングを活用する

インターネットを通じて不特定多数から資金を集めるクラウドファンディングも有効です。特に「株式投資型クラウドファンディング」であれば、集めた資金を資本金として計上することが可能です。事業の将来性をアピールできれば、資金調達と同時にファン作りも行えます。

4. 自己資金の範囲でスモールスタートする

無理に資本金を大きく見せるよりも、現在用意できる自己資金の範囲内で会社を設立するのも賢明な判断です。現在は資本金1円からでも会社設立が可能です。まずは小さく始めて実績を作り、利益が出てから増資をする方が、経営の健全性は保たれます。

見せ金は百害あって一利なし

見せ金による資本金の偽装は、一時的に体裁を取り繕うことができても、その後に「融資を受けられない」「追徴課税される」「刑事罰のリスクを負う」といった甚大なデメリットをもたらします。

信用を得るために行った行為で、逆に信用を全て失っては本末転倒です。会社経営は長期戦です。目先の資本金額にとらわれず、合法的な方法で資金を準備し、クリーンな状態で事業をスタートさせましょう。


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