- 作成日 : 2025年7月18日
何もない主婦でも起業できる?資格や資金ゼロから始める起業のポイントを解説
主婦の方が起業する場合、「資金や資格がない」「特別な経験がない」と不安になることもあるでしょう。しかし実際には、日常生活の中にある得意なことや趣味がビジネスのきっかけになります。近年では、行政の創業支援制度やインターネット環境の整備も進んでいるため、特別な準備がなくても自分らしい働き方で起業することが十分可能です。ここでは主婦がスムーズに起業するポイントをまとめます。
目次
何もない主婦でも起業は可能?
経験や資金が乏しくても、主婦がゼロから起業することは十分可能です。実際に短時間で働く「プチ起業」を選ぶ主婦も増えており、行政も女性の起業を後押ししています。インターネット環境の整備や新制度の導入など、今は主婦起業のチャンスが広がっている時代と言えるでしょう。
増えるパートタイム起業と主婦の活躍
近年、「週35時間未満」で起業するパートタイム起業家が増加傾向にあります。日本政策金融公庫の2024年の調査では、そのうちの約9割が月商50万円未満の小規模ビジネスを展開しており、家庭と両立しやすいスタイルが主婦に支持されています。特に美容・家事代行といった個人向けサービス業は、主婦の起業分野で最も多く、全体の約2割を占めています。
出典:「2024年度起業と起業意識に関する調査」、起業家の 7 割、パートタイム起業家※の 9 割が月商 50 万円未満
これは、日常生活で培ってきた経験がそのままビジネスに直結する点で、主婦にとって親和性の高い分野といえるでしょう。
行政の支援と制度の変化が後押しに
2024年10月より、会社設立時における代表取締役の住所非公開制度が始まりました。これにより、起業者の自宅住所が登記簿に記載されずに済むようになり、プライバシーの懸念が減りました。自宅で起業を考える主婦にとっては、安全面や心理的ハードルの軽減に繋がる制度となっています。また、自治体や金融機関が主催する女性向け起業セミナー、創業スクールの開催も増加しており、初心者でも知識やスキルを身につけるチャンスが広がっています。
情報の拡充と学びやすい環境の整備
インターネットを通じて起業ノウハウや事例が簡単に手に入るようになり、情報収集がしやすくなりました。動画講座やSNS、起業ブログなど、実体験に基づく発信が豊富にあることで、「何もない」状態からでも一歩を踏み出すヒントを得られる環境が整っています。多くの主婦がこのような情報を活用し、家庭と両立できる働き方を自らの手で築いている現状があります。
何もなくてもできる!主婦の起業アイデアを見つける方法
起業を考えたとき、多くの主婦が最初にぶつかるのが「何を始めるか」という課題です。ここでは、自分の強みの見つけ方から、市場のニーズを確かめる方法まで、初心者でもわかりやすく、段階的にアイデアを整理する方法をご紹介します。
自分の強みや経験を棚卸しする
何も特別なものがないと感じる主婦の方でも、家計管理や料理、整理整頓、人付き合いなど日常のスキルが起業のきっかけになります。小さな特技でも書き出してみると、「子どもと遊ぶのが上手」「趣味の手芸が続いている」など意外な強みに気づきます。ハンドメイド作品をネットで販売したり、家事ノウハウをブログで紹介したりして起業した例も見られます。また、過去の社会経験や子育て経験と組み合わせて新しいサービスを生み出すことも可能です。
「Will・Can・Need」を使って発想する
起業アイデアを考える時に役立つのが「Will(やりたいこと)」「Can(できること)」「Need(市場の需要)」を重ね合わせる方法です。まず自分がなぜ起業したいか(Will)を明確にし、次にできること(Can)を確認します。最後にそれが市場で求められているか(Need)を調査します。例えば、「料理が得意でお菓子販売をしたい」なら、インターネットやAIを使って同じようなサービスの需要を調べます。これにより、情熱を注げて市場にも求められるビジネスが見つかります。
小規模なテストでニーズを確認する
アイデアが決まったら、まずは小規模で試してみましょう。不要品をフリマアプリで売ったり、試作品を友人に使ってもらったりすると、実際のニーズが確かめられます。この段階は利益よりも市場の反応を得ることが目的で、副業から始めて軌道に乗ったら本格的に展開するという手法もよく取られています。小さな成功経験を積むことで自信がつき、起業が成功しやすくなります。
スキルがなくてもできる主婦起業の業種
起業に興味はあるけれど、特別な資格や高度なスキルがなくても始められるか不安に感じている主婦の方も多いでしょう。ここでは特別なスキルを持たずに、日常生活での経験を活かして気軽に取り組める主婦起業の業種を紹介します。
オンラインショップやフリマアプリ販売
自宅で手軽に始められるオンラインショップやフリマアプリでの販売は、特別なスキルがなくても気軽に取り組める業種の一つです。自宅に眠っている不要品や、趣味で作ったアクセサリー、ハンドメイド雑貨などを販売することで、小さくビジネス経験を積むことができます。初心者向けのサポートが充実しているプラットフォームも多く、初期費用もほとんどかからずリスクも少ないため、安心してスタートできます。
ブログやSNSを活用した情報発信
ブログやSNSを活用した情報発信も主婦起業に向いています。例えば、料理のレシピや家事のコツ、育児経験など、普段何気なく行っている日常の知識や経験を発信するだけで共感を得ることができます。継続して投稿を続けていくと、広告収入や商品紹介を通じて収益化につながります。SNSはスマートフォン一つで手軽に始められるため、特別な知識がなくても挑戦しやすいでしょう。
家事代行やベビーシッターサービス
主婦ならではの家事や育児経験を活かした家事代行やベビーシッターサービスもおすすめです。特別な資格は必須ではなく、普段家庭で行っている掃除や料理、子育ての経験をそのまま活かせる仕事です。共働き家庭や忙しい単身世帯が増えていることから、需要も高まっています。最初は知人や地域の小さなネットワークから始め、口コミで広げていくことで、無理なく規模を拡大していくことも可能です。
資格がなくてもできる主婦起業の業種
起業したい主婦の方の中には「資格がないから難しい」と考える人もいますが、資格なしで始められるビジネスは多く存在します。ここでは資格取得が不要で、生活の延長線上で気軽に始められる主婦向けの起業業種を紹介します。
ハンドメイド作家や手作り商品の販売
特別な資格がなくても、趣味や得意なことを活かしてハンドメイド作家として起業できます。アクセサリーや雑貨、洋服、バッグなど、自分が楽しみながら制作した作品をネットショップやフリマサイトで販売することで収益化が可能です。近年はハンドメイド市場が拡大しており、オリジナル商品に対する需要も高まっています。自宅で手軽に作業でき、オンラインを通じて全国の顧客に届けられるため、始めやすい起業分野です。
オンライン家庭教師や習い事講師
自分の得意な教科やスキルがあれば、資格がなくてもオンラインで家庭教師や講師業を始められます。子供向けの学習サポートや、大人向けの趣味教室(料理、手芸、英会話)など、自分の経験を生かして教えることができます。最近ではビデオ通話アプリを活用することで、遠方の生徒も獲得しやすく、初期投資も最小限で済むため、主婦にとって魅力的な選択肢です。
イベント企画・運営サービス
資格が不要なイベントの企画や運営代行も、主婦が取り組みやすい業種です。地域のママ会や子ども向けイベント、趣味のワークショップなど、身近な集まりや行事を企画・運営することで、収入を得ることができます。主婦ならではの視点で、子育て世帯や地域のニーズを捉えやすく、口コミを通じて評判が広がるケースも少なくありません。特別な許可が必要でない範囲で、規模やテーマを工夫しながら徐々に活動範囲を広げていくことができます。
他社の仕組みを活用して主婦起業を始める方法
起業に興味はあるけれど、一から全てを準備するのは不安という主婦の方には、他社の仕組みを利用する起業方法が適しています。ここでは既存のビジネスモデルを活用して手軽に起業を始める方法を解説します。
フランチャイズ加盟でビジネスをスタート
フランチャイズ加盟は、飲食店や学習塾、家事代行など、さまざまな業種で既存ブランドの看板やノウハウを使って起業できる方法です。開業時のマニュアルやサポートが整っているため、未経験でも比較的容易に始められます。ただし、初期費用や毎月のロイヤリティが発生し、運営の自由度も一定の制限を受けることになるため、契約内容をよく確認して選ぶ必要があります。
商品の代理販売や代理店ビジネス
他社の商品やサービスを代理販売する代理店ビジネスも主婦起業に適しています。在庫を持たずに、化粧品、健康食品、Webサービスなどを紹介・販売し、販売手数料を得る仕組みです。初期投資が少なくリスクが抑えられますが、収益は提供元企業の方針に左右されるため、提携先企業の安定性や評判の見極めが重要です。
業務委託やクラウドソーシングで独立準備
業務委託契約を通じて在宅ワーカーとして企業のプロジェクトに参加し、経験を積んで独立を目指す方法もあります。Webデザインやライティングなど、スキルを少し勉強してクラウドソーシングで仕事を受注し、実績を作りながら徐々に個人事業主へ移行できます。この方法は低リスクでスキルや顧客獲得につながるため、起業準備として効果的です。
主婦の起業で活用したい無料相談先
起業を目指す主婦の方が一人で悩みを抱え込まず、専門家に気軽に相談できる公的な無料窓口が多く存在します。ここでは主な無料相談先を紹介します。
商工会議所などの創業相談窓口
全国の商工会議所は起業を希望する主婦へのサポートが充実しています。創業計画の立て方から資金調達の方法まで幅広く相談可能で、特に東京商工会議所では初心者向けの開業ガイドブックも提供しています。また、経済産業省所管の中小企業基盤整備機構も支援サービスを提供しており、全国の「よろず支援拠点」では専門家が無料で個別相談に対応します。日本政策金融公庫の創業支援サービス
日本政策金融公庫では資金面の支援だけでなく、創業に関する無料相談も行っています。全国主要都市に創業支援拠点が設置されており、中小企業診断士などの専門相談員が事業計画や資金繰りの相談に応じてくれます。オンラインや電話での相談も可能で、平日の夜間や土日の対応もあるため、忙しい主婦にも便利です。融資を考える際にも、事前に相談しておくとスムーズに進められます。
地域の創業支援センターを利用
各自治体が設置する創業支援センターも便利です。例えば東京都の「TOKYO創業ステーション」では起業経験者が相談対応し、具体的なアドバイスが好評です。相談はオンライン・電話・対面から選べ、土日や夜間の対応もあるため気軽に利用できます。大阪や名古屋など主要都市にも同様の施設があり、無料で何度でも相談できるため、まずは地元の窓口に問い合わせてみることをおすすめします。
主婦起業の資金調達のポイント
主婦が起業する際の最大の悩みの一つは資金面でしょう。しかし、自己資金が乏しくても工夫次第でスタートすることが可能です。ここでは、資金が少ない場合の工夫や、主婦向けに設けられている公的な融資・補助金制度の活用方法を紹介します。
少ない自己資金でも始められる工夫
自己資金が少なくても、小規模なスタートなら十分起業できます。まず、自宅を事務所や店舗に利用すれば、家賃が不要となりコストを削減できます。また、既に持っているパソコンやスマホを活用すれば、初期投資は最小限で済みます。法人ではなく個人事業主として開業届だけ出せば、法人登記費用や税務処理の負担も少なくて済みます。最近ではクラウドファンディングも増加傾向にあり、魅力的なアイデアがあれば不特定多数の支援者から少しずつ資金を集めることも可能です。
公的な融資制度の活用
女性起業家向けに、国の日本政策金融公庫が提供する「女性、若者/シニア起業家支援資金」という低利融資制度があります。これは女性や若年層などを対象にした融資で、比較的借りやすい条件が設定されています。申込時には専門家のサポートも受けられるため、起業初心者でも安心です。
返済不要の補助金・助成金の活用
返済不要の補助金・助成金制度を活用すると資金のハードルが下がります。たとえば「小規模事業者持続化補助金」では小規模事業者が販路開拓や設備導入を行う際、最大50万円(特例を活用すると最大250万円)を補助します。また、「DBJ女性新ビジネスプランコンペティション」では最大1,000万円の奨励金が提供され、事業開始後も専門家からアドバイスを受けられます。東京都では「創業助成事業」、横浜市では「創業おうえん資金」など、多くの自治体が起業家向けの支援を行っていますので、地元の制度も確認しましょう。
主婦だからこそ実現できる起業スタイルを見つけよう
経験や特別な資金、資格がなくても、主婦が起業することは可能です。日常生活のスキルを活かしたパートタイム起業が広がり、行政による住所非公開制度や創業支援、インターネットを通じた情報環境の充実も追い風となっています。身近な特技や趣味、経験を活用し、公的な支援や補助金も上手に取り入れながら、自分らしい起業スタイルをぜひ実現しましょう。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
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