- 更新日 : 2025年5月1日
創業融資の支援は行政書士に依頼できる!メリットや報酬の相場を解説
創業融資の支援は行政書士に任せることで、複雑な書類作成や金融機関との対応をスムーズに進められます。
本記事では、行政書士に依頼するメリットや依頼できる業務、費用の相場、相談先の選び方について詳しく解説します。
目次
創業融資のサポートを行政書士に依頼する経営者は多い
創業融資の支援は、行政書士に依頼できます。実際に、創業直後の経営者や個人事業主の多くが行政書士によるサポートを活用しています。
創業融資支援を専門とする行政書士事務所や行政書士法人が増えている背景には、創業時に直面する課題の多様化と、専門的な支援を求めるニーズの高まりがあります。とりわけ、日本政策金融公庫や地方自治体が実施する創業融資制度では、事業計画書や資金繰り表の作成、金融機関とのやり取りなど、専門的な知識を必要とする手続きも少なくありません。
こうした煩雑な手続きを行政書士が代行・支援することで、創業者の負担を大きく軽減できる点が評価されています。また、行政書士は許認可申請や法務書類の作成などの実務経験を通じて培った知識を活かし、創業融資においても必要な書類の整備や審査通過率の向上に貢献してくれるでしょう。特に、融資の可否を左右する事業計画書の完成度を高めることで、金融機関からの信頼性を引き上げる効果も期待できます。
また、創業者は融資の成功率を高めつつ、資金調達にかける時間や労力を削減できるメリットがある点も特筆ポイントといえるでしょう。
このようなニーズに応える形で、創業融資に特化したサポートパッケージや総合的な支援サービスを提供する行政書士事務所が増えています。事業に専念できる体制を整える意味でも、行政書士の支援は非常に有効な選択肢といえるでしょう。
創業融資のサポートで行政書士に依頼できる業務内容
創業融資のサポートを行政書士に依頼する場合、一般的には次のような業務に対応しているケースが多く見られます。ただし、対応範囲は事務所や案件によって異なることがあるため、依頼前に確認しておくと安心です。
事業計画書の作成
事業計画書は、融資審査を受ける際に重要視される書類のひとつです。金融機関は、事業の将来性や収益性、返済能力を見極めるために事業計画書の内容を詳細に検討します。
行政書士は、これまで培った法的知識や書類作成のノウハウを活かし、金融機関が重視する要素(マーケット分析や売上根拠、収支計画など)を反映した説得力のある計画書を作成するサポートが可能です。
結果として事業計画書の精度が上がり、金融機関からの信頼を得やすくなり、結果、融資審査通過の可能性が高まることが期待できるでしょう。
資金計画についてのアドバイス
創業時には自己資金をどの程度用意し、どれだけ融資を受けるべきかを慎重に検討する必要があります。借入額が過大であれば返済負担が大きくなり、返済が滞るリスクが高まる一方で、必要な資金を確保できないと事業運営がスムーズに進まないおそれもあります。また、借入希望額が高すぎると、融資のハードルが上がる可能性も否定できません。
行政書士は、これまでの支援実績に基づいた経験から、現実的で無理のない借入計画の策定をサポートしてくれます。また、融資制度ごとの特徴や金利、返済期間などのアドバイスも期待できるため、安心して検討を進められます。
金融機関との面談や手続きのフォロー
金融機関との面談では、事業計画書や資金計画の内容について説明を求められることが一般的です。特に、売上見込みの根拠や返済能力などを納得いく形で示す必要があります。行政書士は、面談前に質問されやすいポイントを整理し、受け答えの対策を一緒に検討するなど、創業者が自信を持って面談に臨めるように支援してくれます。
また、融資申請に必要な書類は多数存在します。個人事業主であれば納税証明書や過去の確定申告書類、法人であれば定款や登記簿謄本(履歴事項全部証明書)などが必要です。こうした書類の収集や不備確認を行い、手続きがスムーズに進むようサポートするのも行政書士の役割です。
事業に関連する許認可申請
特定の業種・業態によっては、飲食店営業許可や古物商許可、建設業許可などの各種許認可が必要になる場合があります。
行政書士はこれらの許認可取得手続きを代行することに長けており、スケジュール管理や書類作成までまとめて対応してくれることがあります。創業者は融資の手続きと並行して許認可も進めなければならないケースが多いため、行政書士に相談することで事業開始時のあらゆる手続きを効率よく進められるでしょう。
創業融資のサポートを行政書士に依頼するメリット
行政書士に創業融資サポートを依頼することで、どのような利点を得られるのでしょうか。以下では、代表的なメリットを詳しく解説します。
融資の実行率が向上する
行政書士は、融資審査で重要視される事業計画書や収支計画書の作成支援に強みを持っています。特に「認定支援機関」として登録されている行政書士は、中小企業やスタートアップ向けの支援に必要な一定の知識とスキルを有していることが公的に認められています。
そのため、金融機関が求める書類の内容や水準を満たす計画書作成がしやすく、申請者の信用力アップにつながります。その結果、審査通過率が高まり、必要な資金を確保できる可能性が大きく高まります。
より良い条件で融資が受けられる可能性がある
行政書士に依頼することで、日本政策金融公庫の「中小企業経営力強化資金」など、認定支援機関経由でのみ利用可能な低金利や無担保の融資制度を活用できるケースもあります。
こうした制度は自己資金要件が緩和されているケースもあり、資金力が乏しい創業者にとって大きなメリットになるでしょう。
高額融資を受けられる可能性を高められる
融資金額をより多く確保したい場合、提出する事業計画や収支計画の精緻さが一段と重要になります。行政書士は専門的な視点で事業内容を分析し、説得力ある計画を構築するためのサポートを行います。
プロの力を借りることによって、より精査された事業計画書の提示、それに伴う口頭説明が可能になります。金融機関にとっては、事業が成功する見込みや返済能力の高さを判断しやすくなり、高額融資でも前向きに検討する余地を引き出せるかもしれません。
一般的に融資希望額が高額になるほど審査のハードルは高くなるため、そういうときこそ専門家の力を借りるべきといえます。
面談や経営についてのアドバイスが受けられる
融資面談では、事業計画書の内容に関して多角的に質問されることが通例です。行政書士は単に計画書の作成を手伝うだけでなく、面談で想定される質問や指摘されやすい点について、事前に助言を与え創業者が自信を持って面談に臨めるようサポートしてくれます。
また、創業後の経営課題や許認可手続きについて相談に乗ってくれるケースもあり、その場合は長期的な視点での経営安定に貢献してくれることも期待できるでしょう。
事務手続きの手間を省き、事業に専念できる
創業融資では、さまざまな書類の作成・提出や金融機関との調整が必要です。こうした事務作業に時間を取られすぎると、本来専念すべき開業準備や営業活動に支障が出ることがあります。
行政書士に依頼すれば、書類作成の代行や手続き面のフォローを任せられるため、創業者は自社のビジネスに注力できるようになります。結果として、経営効率が高まり、融資を受けた後の事業拡大や資金活用の面でもスムーズに進められるでしょう。
創業融資のサポートを行政書士に依頼する報酬(費用)の相場
創業融資のサポートを行政書士に依頼する際の報酬相場は、調達額の3~5%程度が一般的です。これは、出資法第4条において「融資斡旋」に該当する業務の場合、報酬が融資実行額の5%までと定められています。
そのため、多くの行政書士事務所はこの範囲内で報酬体系を設計しています。具体的な金額や支払いタイミング、報酬の発生条件(成功報酬型か、着手金と成功報酬を組み合わせるかなど)は事務所によって異なるので、依頼前に確認することが大切です。
創業融資のサポートを依頼する行政書士の選び方
創業融資を成功に導くためには、創業融資のサポートに長けた行政書士に依頼することが重要です。ここでは、行政書士の選定時に注目したいポイントを解説します。
実績と専門性
まず挙げられるのは、創業融資支援実績が豊富な行政書士を選ぶことでしょう。創業融資は専門的な知識と経験が求められる分野であり、すべての行政書士が精通しているわけではありません。
依頼先の行政書士が過去に創業融資支援を行った実績があるか、その実績が具体的にどのようなものであるかを確認することが重要です。特に、日本政策金融公庫以外にも地方自治体の制度融資など、幅広い経験や知見を有しているかは依頼先選定時の大きなポイントといえます。
実績が豊富でさまざまな選択肢を提案できる行政書士を選ぶと資金調達の可能性が広がることはもちろん、的確な提案やサポートを受けやすくなるでしょう。
事業計画書作成への関与度
事業計画書は融資審査の最重要書類といえ、その完成度が審査結果に大きく影響します。事業計画書作成にどの程度時間と手間をかけてくれるのかは、行政書士を選ぶうえで重きをおくべき部分といえるでしょう。行政書士事務所によっては、簡単なヒアリングのみで内容が薄い計画書を作るケースも皆無ではないためです。
ヒアリングを丁寧に行い、創業者のビジョンや事業アイデアを正確に反映した計画書を共に作り上げてくれる行政書士を選びましょう。計画書の完成度が高いほど面談でも説得力が増し、金融機関の信頼度が向上します。
面談対策が受けられるか
創業融資の面談で重要なのは、事業計画書の内容を創業者自身がしっかり理解し、納得のいく説明ができるかどうかです。そのため、行政書士が事業計画書の作成だけでなく、面談で想定される質問や回答例についてもアドバイスしてくれるかを確認しましょう。
面談当日、融資審査担当者から鋭い指摘を受けても、根拠を持って的確に回答できれば審査通過率が高まります。対策を行わずに面談に臨むと、想定外の質問に動揺してしまい、融資獲得のチャンスを逃すリスクがあるため、面談対策も非常に重要です。
対応範囲
創業融資のサポートを行う行政書士は増えていますが、その対応範囲は事務所によってさまざまです。創業融資だけでなく、許認可申請や補助金・助成金のサポートなど、創業者の状況に応じた柔軟な提案や包括的なサポート体制が整っている事務所であれば、事業開始後もフェーズに合わせた総合的な支援を受けられるでしょう。
こうしたポイントを踏まえて、複数の行政書士事務所の実績や費用体系、サポート内容を比較検討することが大切です。電話やメール、あるいは初回相談などで事前に依頼内容を伝え、自分に合ったサービスを提供してくれるかどうかを見極めるようにしましょう。
行政書士以外に創業融資について相談できる窓口や専門家は?
創業融資を検討する際、行政書士以外にも相談を受け付けている公的機関や専門家が存在します。自分の状況や目的に合ったサポートを受けるためにも、以下の窓口や専門家の特徴を把握しておくといいでしょう。
相談窓口
主な相談窓口としては、以下が挙げられます。
日本政策金融公庫
日本政策金融公庫は政府系の金融機関で、創業者向けの融資制度を複数用意しています。支店ごとに「創業サポートデスク」を設けており、事業計画書の書き方や融資制度の説明、申請の流れなどについての問い合わせに対応しています。電話相談も利用可能で、「事業資金相談ダイヤル」では平日19時まで相談が受けられるため、遠方に住んでいる方や多忙な方でも気軽に問い合わせができます。
また、東京・名古屋・大阪にある「ビジネスサポートプラザ」では、予約制で中小企業診断士などの専門家へ相談することが可能です。対面のほか、オンライン相談も受け付けています。
商工会議所・商工会
地域に密着した公的支援機関として、商工会議所・商工会が挙げられます。創業に関するセミナーや経営相談、個別指導などを積極的に行っているため、事業計画書のブラッシュアップや資金調達の方法に関するアドバイスを得られるでしょう。
また、地域の特性や地元金融機関とのつながりを活かした情報提供が期待できる点も特徴です。そのほか、補助金や助成金など地元独自の制度を紹介してもらえる場合もあるため、地域で事業を根付かせたいと考えている創業者には有益な窓口といえます。
独立行政法人 中小企業基盤整備機構(中小機構)
中小企業基盤整備機構(中小機構)は、全国各地に設置された「よろず支援拠点」にて、創業者や中小企業を対象に無料の経営相談を実施しています。創業融資のみならず、売上拡大や経営改善など幅広い課題について専門家のサポートを受けられるため、多角的な視点で経営戦略を考えられることが利点です。
また、中小機構が主催するセミナーやイベントに参加することで、他の起業家との情報交換や人脈づくりが期待できます。
専門家
行政書士以外の以下のような専門家にも、創業融資の相談が可能です。
税理士
税理士は税務の専門家として、創業融資申請時に必要な財務情報の整理や税務書類の作成を支援してくれます。顧問契約を通じて、日々の記帳や決算に関する実務もサポートされることが多く、創業後の経営体制を整えるうえでも心強い存在となってくれるでしょう。また、税理士によっては融資の実務経験を有し、金融機関との交渉に関する助言を行うケースも見られます。
中小企業診断士
中小企業診断士は経営コンサルタントの国家資格であり、事業計画策定や経営戦略立案に特化した専門家です。認定支援機関として融資申請のサポートを行う中小企業診断士も多く、事業全体を俯瞰して問題点や改善策を提案する能力に優れています。
事業計画を精密に組み立てることで、金融機関の審査担当者へアピールする資料が作りやすくなるというメリットがあります。
創業融資専門コンサルタント
創業融資専門のコンサルタント会社には、元銀行員や元日本政策金融公庫の職員が在籍しているケースが少なくありません。これまでの実務経験から融資審査のポイントや金融機関との交渉術を熟知しているため、計画書の作成から面談対策まで一貫してサポートすることが可能です。
多くの場合は成功報酬型を採用しており、融資額に応じて報酬が発生する仕組みになっています。初回の無料相談を実施している会社もあるため、いくつか比較検討してみるのもよい選択肢といえるでしょう。
行政書士を活用して創業融資の成功率アップを狙おう
創業融資は事業のスタートを支える重要な資金調達手段です。行政書士の専門知識を活用すれば、複雑な事務手続きや事業計画書の精度向上が期待でき、融資審査を有利に進められる可能性が高まります。適切な専門家のサポートを得ることで、経営者自身はビジネスの成長戦略に注力し、より大きな成果を生み出せるでしょう。
創業融資の成功率を高めるために、行政書士の力をうまく活用してみてはいかがでしょうか。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
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