- 更新日 : 2025年3月13日
30代で起業する方法は?アイデアの出し方や成功のポイント、注意点を解説
ある程度社会的な経験を積んだ30代になって、起業を考えることもあるでしょう。30代ではどのような起業のパターンが考えられるのでしょうか。本記事では、30代で起業する方法やメリット・デメリット、起業するまでの流れなどを解説します。
目次
30代で起業する方法
30代で起業する主な方法は、以下の2つです。
- 本業と並行して起業する方法
- 本業を辞めて起業する方法
本業と並行する方法としては、本業に支障のない小規模な事業を始める方法や社内スタートアップ制度を利用する方法などが考えられます。
本業を辞めて起業する場合は、個人事業主として起業するケースと会社を設立するケースが考えられるでしょう。事業を一からスタートする方法もあれば、フランチャイズ契約で起業したり、M&Aで事業を引き継いで起業したりする方法もあります。
30代は体力もあるため、さまざまなパターンでの起業が検討できるでしょう。
30代で起業を考えるメリット
日本政策金融公庫の「2024年度新規開業実態調査」のアンケート結果によると、開業時の年齢について、30代は28.6%でした。もっとも多かったのが40代の37.4%で、次いで30代であるため、30代で起業する方は割合として多いことがわかります。ここ数十年の動きとして、開業時の平均年齢は上昇傾向にありますが、依然として30代あたりから本格的に起業を検討し、実行に移す人が多い状況です。
ここでは、30代で起業することの主なメリットについて取り上げます。
社会経験のある状態で起業できる
30代は、10代や20代と比べると、ある程度社会経験を積んできた年代です。社会人として働いており、役職に就いている方の起業が想定されます。個人が経験してきた職種によるものの、業界の知識やスキルもある程度身につけてきた年代と言えるでしょう。社会経験を積んだ状態で起業できることから、これまでの会社で磨いてきたスキルや知識、社内外の人脈を活用して起業することもできます。
体力もまだある中で起業できる
40代以降と比べると体力がある中で起業できる点も、30代のメリットの一つです。会社を起業するためには、さまざまな手続きを行い、さらに市場調査や開業に向けての準備などをしていかなくてはなりません。起業後も主体となって動くため、時間に追われながら、さまざまなことをこなしていく必要があります。会社の代表となって動くには、それなりの体力や気力が必要です。30代はまだまだ精力的に動ける年代であることから、起業後もさまざまな挑戦をしやすいでしょう。
若年者向けの支援を利用できる可能性がある
30代であれば、若年者向けの起業支援を受けられる可能性があるのもメリットと言えます。実際に、若年者向けの支援は、30代半ばや30代後半までを対象にしているケースも見られるためです。
例えば、30代前半であれば、日本政策金融公庫の新規開業資金(女性、若者/シニア起業家支援関連)の申込みができます。女性や55歳以上のシニア起業家を除き、35歳未満の若年者を対象にした融資で、最大7,200万円を設備資金や運転資金として借り入れできる制度です。
地方自治体の起業支援としては、例えば、東京都の「TOKYO STARTUP GATEWAY」があります。これは、日本を代表する起業家などがメンターや講師としてバックアップして起業家の輩出を目指すコンテストであり、15歳以上39歳までの個人で応募できるプロジェクトです。
上記のように、30代であれば、若年者向けの支援や融資を受けられたり、プロジェクトに参加できたりする可能性があります。
30代で起業を考える際の注意点
30代で起業することにはリスクもあります。30代の起業で注意したいポイントを2つ取り上げます。
ライフステージが絡んでくる
30代の起業で注意したいのは、ライフステージの変化が生じる時期に重なりやすい点です。30代は、結婚して新たな家族ができたり、子どもが生まれて家族が増えたりといった生活環境の変化が訪れる確率が高い時期です。
生活環境が変わり家族が増えることによって、自分の人生が、自分だけのものではなくなります。パートナーや子どもなどの家族の人生も考えていかなくてはなりません。30代で起業をする場合、家族の同意がなければ現実的に難しい状況も考えられるでしょう。家族を説得するために、将来的なビジョンをしっかり共有するなど、周りから理解を得ながら起業に向けた準備を進めていく必要があります。
資金面のリスクがある
30代になって家族が増えると、自分だけでなく、家族に対する責任も生まれます。経済的な不安がある中で起業すると、事業が軌道に乗るまでの間、家族にも経済面で負担をかけることになります。会社員のように毎月一定の収入が得られるとは限りません。
また、起業は成功することもあれば、失敗するリスクもあります。事業がうまくいかなかった場合、思い描いていた家族との団らんを実現できない可能性もあります。資金面でのリスクも踏まえ、起業するかどうか検討する必要があるでしょう。
起業アイデアの出し方、選び方
30代で起業する場合、どのようなビジネスを展開していけばよいのでしょうか。軸となる事業のアイデアの出し方を紹介します。
これまでの経験から考える
これまでの会社での経験などから、自分のスキルや知識を洗い出していきます。目に見えるスキルとして代表的なのは資格です。独立開業に役立つ資格であれば、資格を軸に起業のアイデアを出してみるのもよいでしょう。
資格以外にもさまざまなスキルが存在します。例えば、機械のメンテナンスのスキル、植物の栽培スキル、写真を撮るスキルなどです。自分にどのようなスキルがあるかわからない場合は、得意なことや他の人よりも早くできることなどからアイデアを出していきます。より多くのアイデアが出てくるように、まずは細かい部分も含めて自分のスキルを書き出していきましょう。
市場やニーズから考える
ビジネスは、需要が存在しないと成り立ちません。アイデアをもとに事業を立ち上げても、商品を購入したいと思う方やサービスを利用したいと思う人がいないと収益を生み出せないからです。
市場ニーズの調査を行い、需要のある分野をヒントにアイデアを出す方法も考えられます。需要からビジネスを考えるため、起業後のビジョンを想像しやすいのがメリットです。市場ニーズを知る方法としては、トレンド分析ツールを使用する方法やターゲット層にインタビューを行う方法、Webアンケートを募集する方法などがあります。
ビジネスの将来性から考える
起業で大事なことは、事業存続を意識することです。起業しても、将来的に規模が縮小傾向にある業界の場合、廃業するリスクが高まります。将来性のあるビジネスを軸に起業のアイデアを考えるのも方法の一つです。
例えば、近年注目されている分野には、DX関連のIT業界やサブスクリプション配信が人気のエンタメ業界などがあります。注目度の高い分野は他社との競争も激しくなる可能性があるため、優位性や独自性を持ってビジネスを展開できそうか見極めることも重要です。
30代で起業をする際の手順
30代の起業は、おおむね以下の手順で行います。
- どのような方法で起業するか考える
- 事業計画書を作成する
- 家族に計画を共有して理解を得る
- 開業資金を用意する
- 開業する
起業の方法としては、会社で働きながら起業する方法と、会社を辞めて起業する方法があります。開業したい分野で、本業をしながら起業は可能かなどを検討し、方法を決定します。
事業計画書は、事業の内容や事業で必要な開業資金、開業後の収支の予測などをまとめた書類です。開業時に融資を受ける際にも必要な書類であるため、早期に作成しておきます。
家族の了解を得て起業することが決まった後は、開業に必要な資金を集めます。自己資金だけで開業が難しい場合は、金融機関からの借り入れなどを検討するとよいでしょう。資金調達を行い、許認可など業種別に必要な手続きを行った後、個人事業主は税務署へ開業届を提出し、法人の場合は法務局で設立登記を行います。
30代での起業を成功に導くポイント
30代は、20代よりも社会での経験が長く、体力も気力もある年代であることから、失敗してもやり直しがしやすい年代です。失敗から得られるヒントもあるため、今後の自分の成長にプラスになるものと考え、挑戦するという心意気で起業を進めていきましょう。
また、固定マインドセットに支配されないことも重要です。固定マインドセットとは、生まれ持った資質や性格などは変えられないという考え方です。自分では何も変えられないと考えてしまうと、自分の成長を妨げることになります。起業をするうえでも、固定マインドに支配されるのはよくありません。
自分次第で変えていけるという成長マインドに切り替えていくことが成功のポイントです。まずは、自分は変えられないという思いを口にしないようにしましょう。現状できていなくても、自分は変えられるという思考に切り替えることで、成功に近づきやすくなります。
30代の起業は、メリットもデメリットもあります。現状や家族との関係も考えて、30代からの起業を考えていきましょう。
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