- 更新日 : 2026年1月14日
脱サラ起業とは?失敗しないための準備やおすすめ業種、活用できる補助金制度まで解説
働き方の多様化が進む中、会社員としてのキャリアを卒業し、自分の力でビジネスを始める「脱サラ起業」への関心が高まっています。しかし、自由や高収入への期待がある一方で、失敗のリスクに対する不安もつきものです。
本記事では、脱サラ起業の基礎知識から、メリット・デメリット、失敗しやすい理由、そして成功するための具体的な手順まで解説します。
目次
脱サラ起業とは?
脱サラ起業とは、現在所属している会社を退職し、個人事業主または法人として独立・起業することです。
会社という組織の看板を外し、個人としての実力で勝負することになります。会社員時代のように与えられた業務をこなすのではなく、自ら仕事を獲得し、価値を生み出す必要があります。ゼロからのスタートとなるため、入念な事前準備が成功のポイントとなります。
個人事業主と法人設立の違いは?
脱サラ後の形態には大きく分けて2種類あります。
まずは個人事業主としてスモールスタートし、売上が伸びてから法人化(法人成り)するケースが一般的です。
脱サラ起業のメリットは?
脱サラ起業には、会社員では得られない大きな魅力があります。主なメリットは以下の3点です。
1. 収入の上限がなくなる
最大のメリットは、自分の努力次第で収入を青天井に伸ばせることです。給料制の会社員とは異なり、成果がダイレクトに収入へ反映されます。事業が軌道に乗れば、会社員時代には想像できなかった大きな資産を築くことも可能です。
2. 時間と場所の自由度が増える
働く時間、休日、場所をすべて自分の裁量で決められます。満員電車での通勤や決められた勤務時間から解放されるため、自身のライフスタイルに合わせた働き方が実現できます。仕事量を調整して家族との時間を増やすなど、ワークライフバランスのコントロールもできます。
3. 人間関係の制約がなくなる
会社員特有の上司や部下とのしがらみや不要な付き合いから解放されます。基本的に一人、または自分が選んだパートナーと仕事をすることになるため、人間関係によるストレスが軽減されます。
脱サラ起業のデメリット・やめとけと言われる理由は?
一方で、「脱サラ起業はやめとけ」という声があるのも事実です。その背景には、会社員時代には見えなかった厳しい現実があります。
1. 収入が不安定になる
最大のデメリットは、毎月の安定した給与がなくなることです。自ら仕事を取らなければ収入はゼロになりますし、取引先によっては入金サイト(支払い時期)が数カ月先になることもあります。いつ入金されるかを管理し、資金ショートを防ぐシビアな金銭感覚が求められます。
2. 原則、すべて自己責任となる
仕事上のミスやトラブルに対し、会社という後ろ盾がなくなります。会社員であれば会社がカバーしてくれる損害も、起業後はすべて自分で対応し、責任を負わなければなりません。常にリスクと隣り合わせであるという覚悟が必要です。
3. 事務処理や税金・保険の手続きも自分で行う
本業以外の事務作業(請求書作成、経理、確定申告など)もすべて自分で行う必要があります。会社では各部署が担当していた業務を一人でこなすため、慣れるまでは本業に割ける時間が削られる可能性があります。
4. 社会的信用が一時的に低下する
会社員時代に比べて、クレジットカードの審査や住宅ローンの借入が難しくなる傾向があります。特に開業直後は実績がないため、金融機関からの信用を得るのに時間がかかります。必要な契約やカード作成は、退職前に済ませておくことを強くおすすめします。
脱サラ起業におすすめの業種は?
どのような職種で起業するかを決める必要があります。ここでは、初心者でも参入しやすい職種や、高収入が狙える職種を紹介します。
1. IT・Web関係(エンジニア・デザイナー・ライター)
パソコン1台で始められ、初期費用があまりかかりません。在庫リスクがない点も魅力です。スキルなしの状態からでも、スクール等で学んでから独立するケースが増えています。場所を選ばずに働けるため、自由度を優先したい方に最適です。
2. 店舗経営・フランチャイズ(コンビニ・買取店など)
本部の成功ノウハウを使って開業できるため、ゼロからでも比較的始めやすいです。スキルなしでも研修を受けることで事業の仕方を学べますが、加盟金やロイヤリティが発生するため、利益率は独自開業より低くなる傾向があります。
3. コンサルタント・コーチング
前職の経験や専門知識を切り売りするビジネスモデルです。原価がかからず、自身のブランディング次第で高単価な報酬を得られます。特定の分野で実績がある人にとって効率的な起業方法です。
4. 代行サービス(家事代行・営業代行)
人手不足の社会背景もあり、需要が伸びている分野です。特別な資格がなくても始められる場合が多く、体力やコミュニケーション能力が武器になります。
脱サラ起業に必要な準備は?
脱サラ起業にはリスクが伴います。脱サラ起業で失敗するリスクを減らすよう、退職前から以下の準備を入念に進めてください。
1. 起業のための情報収集をする
まずは業界の動向や市場規模、競合他社について徹底的にリサーチしましょう。「今流行っている業種は何か」「どの分野なら勝算があるか」「どのようなリスクがあるか」をインターネットや書籍、セミナー等で調べます。事前の情報収集が、起業後の成功確率を高めます。
参考:起業マニュアル | J-Net21[中小企業ビジネス支援サイト]
2. ビジネスモデルを考える
「誰に」「何を」「どのように」提供して利益を出すのか、具体的なビジネスモデルを構築します。自分のスキルや得意分野を活かすのか、流行に乗るのか、どの分野で戦っていくのか考えるのが重要です。また、原価率や利益率を計算し、ビジネスとして成立するかどうかを冷静に判断しましょう。
3. 事業計画書を作成する
ビジネスモデルが固まったら、事業計画書に落とし込みます。自己資金だけで起業する場合でも、事業計画書の作成は必須です。「売上が上がらない場合いつ資金がショートするか」「目標売上はいくらか」を可視化することで、不測の事態に備えられます。また、金融機関から融資を受ける際には必ず提出を求められる重要書類となります。
参考:事業計画書の作成例 | 起業マニュアル | J-Net21[中小企業ビジネス支援サイト]
4. 開業資金・生活防衛資金を準備する
起業には「開業資金」「運転資金」に加え、「当面の生活費」が必要です。売上がすぐに立つとは限らないため、目安として半年分の生活費と運転資金は確保しておきましょう。資金に余裕があることは精神的な余裕に繋がり、焦って条件の悪い仕事を受けるリスクを回避できます。
5. 退職手続きや税金・保険の切り替えを行う
退職に伴い、以下の切り替え手続きが必要になります。忘れずに行いましょう。
脱サラ起業の資金調達に活用できる制度や補助金は?
自己資金だけでなく、国や自治体の支援制度を活用することで、資金繰りが圧倒的に楽になります。
- 日本政策金融公庫の創業融資:無担保・無保証で借りられる可能性があり、多くの起業家が利用します。
- 小規模事業者持続化補助金:販路開拓の費用を一部補助してくれます。
- 再就職手当:失業保険の受給中に開業した場合、残日数に応じて手当が支給される場合があります。
- 雇用保険関連の助成金:従業員を雇用する場合に、条件を満たせば給付が受けられるケースがあります。
※具体的な金額や要件は、そのときの政策によって異なります。常に最新情報をチェックしましょう。
脱サラ起業に失敗する人の共通点は?
脱サラ起業で失敗する人には共通点があります。リスクを回避するために、以下の点に注意してください。
準備不足のまま勢いだけで辞める
「会社が嫌だから」というネガティブな理由だけで、ノープランで辞めてしまうケースです。在職中に副業として小さく始め、手応えを得てから退職するのが安全です。
資金ショートへの認識が甘い
計画通りの売上が立たず、生活費や経費が払えなくなるパターンです。半年〜1年分の生活防衛資金と運転資金を貯めてから独立しましょう。
相談相手がおらず孤立する
一人で悩みを抱え込み、誤った判断をしてしまうことがあります。商工会議所や先輩起業家など、第三者のアドバイスをもらえる環境を作りましょう。
脱サラ起業に成功するためのポイントは?
脱サラ起業に成功するためには、「計画」と「修正」の繰り返しが重要です。
- 事業計画書を綿密に作る:頭の中だけでなく、数字に落とし込んでシミュレーションします。
- スモールスタートを心がける:最初から大きな借金や固定費を抱えず、小さく始めて徐々に大きくします。
- 定期的に振り返る:最低でも3カ月に一度は計画と現状のズレを確認し、軌道修正を行います。
脱サラの目的を明確にして一歩を踏み出そう
脱サラ起業は、自由と引き換えに責任を負う生き方です。しかし、入念な準備と正しい知識があれば、会社員時代には味わえなかった充実感と成功を掴めます。
- なぜ起業するのか?
- 起業してどんな生活を送りたいのか?
- 社会にどのような価値を提供したいのか?
この目的(ゴール)が曖昧だと、困難に直面したときに心が折れてしまいます。目的を明確にし、そこから逆算して行動し続けることが、脱サラ起業成功への第一歩です。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
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