社会福祉法人とはどんな法人か?制度と事業の内容を解説

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老人ホームやデイサービスの会社に多い「社会福祉法人」という法人格。

ここではこの社会福祉法人について定めた制度と、社会福祉法人の定義とも言える「社会福祉事業」について解説するとともに、平成29年4月から施行される制度改革についても概観します。

社会福祉法人制度について

社会福祉法人制度とは

社会福祉法人制度は昭和26年に公布された「社会福祉法」に基づいて整備された、社会福祉法人についての法律です。昭和26年以前における社会福祉事業を行う主体は民法の公益法人制度に基づいて運用されていました。

しかしこれはより高い公共性と、社会福祉の向上を実現するには不十分な法律でした。そこで社会福祉法人制度では民法とは別に法人の設立や解散、管理などについてより詳細に定め、社会福祉法人を従来の公益法人よりも高い公共性を持つ法人として定めたのです。

社会福祉法人の設立要件

社会福祉法人の設立には主として「役員等」と「資産等」についての要件が設けられています。役員等に関する要件は「理事」「監事」「評議員」に分かれています。

最低定員数が定められていたり、名目上の役員就任の禁止事項であったり、役員等と親族などの特殊な関係にある者に対する制限や、専門的な知識を持っている者を任命することなど、様々な要件を満たさなくてはなりません。

資産等に関する要件は「社会福祉施設を経営する法人」か「社会福祉施設を経営しない法人」かによって要件が変わります。

前者では社会福祉事業の運営に直接必要なすべての物件について「所有権を保有している」または「国もしくは地方公共団体から貸与あるいは使用許可を受けている」必要があります。

後者では一般的に設立後に収入が不安定になる可能性が高いため、そのような状況になっても事業継続ができるように原則として1億円以上の基本財産を所有していなくてはなりません。

これらは数多くある設立要件の一部です。より詳細な要件は「社会福祉法人審査基準」を参照ください。

社会福祉法人のメリットとデメリット

社会福祉法人の法人格を認められると、大きく3つの支援・助成が受けられます。

第一に社会福祉施設利用者の福祉向上を目的として、施設整備に対して一定額の補助を受けることができます。第二に社会福祉事業の公益性を根拠に、法人税・固定資産税・寄付等についての税制優遇措置が受けられます。第三に社会福祉事業の振興を目的として、社会福祉施設職員等を対象に国家公務員の給付水準に準拠した退職金制度が設けられています。

このようなメリットがある一方で、ある程度のデメリットも覚悟しなくてはなりません。設立の際には先ほど挙げたような細かな要件を満たす必要がありますし、そのほかにも経費等の計上についての規制や、事業収入の使途についての規制などもあります。

「社会福祉事業」とは?

社会福祉法人が行うことができる3種の事業

社会福祉法人は「社会福祉を目的とする事業」「公益事業」「収益事業」の3種の事業を行うことができます。

社会福祉を目的とする事業とは利用者それぞれが自分の力で日常生活を送れるようにサポートするための事業です。給食や入浴サービスなどがこれにあたります。

社会福祉法人における公益事業とは、公益を目的とし、かつ社会福祉に関係のある事業でなくてはなりません。介護老人保健施設や有料老人ホームの経営がこれにあたります。収益事業とは、社会福祉法人においてはその収入を他の公益性のある事業の運営にあてることを目的とした事業のことです。貸ビルや駐車場の経営などがこれにあたります。

「社会福祉を目的とする事業」はさらに2種ある

社会福祉を目的とする事業に対しては、法的な規制や行政からの関与は最小限に抑えられています。またこの種の事業は社会福祉法人の法人格を持たなくても運営が可能です。

しかし社会福祉を目的とする事業のうち「第1種社会福祉事業」「第2種社会福祉事業」と呼ばれるものには、一定の規制と行政の関与があります。

第1種社会福祉事業とは、特に利用者への影響が大きい社会福祉事業です。そのため国もしくは地方公共団体または社会福祉法人でなければ運営できません。また都道府県知事などによる指導・監督を受ける必要もあります。

具体的には障害者支援施設や養護老人ホームなどの入所サービスがこれにあたります。

対して第2種社会福祉事業とは比較的利用者への影響が小さな社会福祉事業です。経営主体が届け出さえすれば事業運営が認められます。具体的にはホームヘルプやデイサービスなどの在宅サービスがこれにあたります。

社会福祉事業

社会福祉法人制度改革について

社会福祉法人制度改革の概要

社会福祉法人制度を含む社会福祉法は平成29年4月から大幅に改正されました。この改正の主な目的は福祉サービスの供給体制の整備と充実です。

このために経営組織をより強固にするとともに、事業運営の透明性向上を目指して会計監査人の導入や財務諸表等の公表に関係する規定の整備などが改正されています。

また都道府県知事などの所轄庁による指導・監督の機能強化など行政の関与の在り方も見直され、より公益性の高い安定的な福祉サービス供給が期待されます。

福祉人材確保の促進政策

福祉サービスの供給体制の整備と充実を語るうえで人材不足問題は避けられません。そこで今回の改正では特に介護人材確保に向けた施策を拡大する方針も取っています。

例えば離職した介護福祉士の届出制度の創設や、ハローワークとの連携強化などが具体的な施策です。介護福祉士の国家資格取得方法の見直しなど、あらゆる面から人材確保を促進できるよう、改正を行います。これから社会福祉法人の設立を検討している方は、どのように改正されるのかをきちんと理解しておきましょう。

参考:社会福祉法人制度改革について|厚生労働省

まとめ

高齢化が進む日本において、福祉サービスを基幹事業とする社会福祉法人はなくてはならない存在です。ただし社会福祉法人には様々な規制があり、実際に事業展開を考える場合は制度をよく理解する必要があります。

社会福祉法人の役割や置かれている状況をあらかじめよく調べておきましょう。

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※掲載している情報は記事更新時点のものです。

監修:加地 延行 (公認会計士 / 税理士)

税理士法人ゆびすい
ゆびすいグループは、国内8拠点に7法人を展開し、税理士・公認会計士・司法書士・社会保険労務士・中小企業診断士など約250名を擁する専門家集団です。
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