• 作成日 : 2025年7月18日

女性起業家がつまずきやすい悩みは?原因と対策を解説

女性の起業は過去と比較し増加傾向にある一方で、「何をビジネスにすればいいか分からない」「資金が足りない」「育児や家事とどう両立するか不安」など、起業前からさまざまな悩みに直面する方も多くいるでしょう。

本記事では、これから起業を目指す女性が抱えやすい代表的な悩みを取り上げ、原因と解決策を解説します。

目次

女性起業家によくある悩み:ビジネスアイデアに迷う

起業を目指す女性の多くが直面するのが、「自分は何のビジネスで勝負すべきか」というアイデアの迷いです。アイデアが決まらなければ、どれだけ起業意欲が高くても次のステップに進めません。ここでは、ビジネスアイデアに迷う女性起業家の悩みの原因と、解決策を紹介します。

原因:自信のなさがアイデア決定を妨げている

ビジネスアイデアに迷う原因としてよく見られるのが、「やりたいことがない」「得意なことが見つからない」といった自己理解の不足と、やろうと思ったことへの自信のなさです。「こんなことがビジネスになるの?」「私なんかができるのだろうか」という不安が、思考を先に進めさせない要因となっています。女性の中には完璧主義になりやすい人もおり、そのような方は「すでに誰かがやっている」「専門的な資格がない」といった理由で選択肢を消してしまいやすいです。しかし、他人と違うアイデアである必要はなく、むしろ「自分だからできる切り口」を意識することが大切です。

解決策(1):SNSやビジネスツールを活用してアイデア収集する

ビジネスアイデアが思いつかないと感じているときは、頭の中だけで考えず、外からの刺激や情報を取り入れることが効果的です。まずおすすめなのがPinterestやInstagramといった視覚的SNSです。ビジネスロゴ、商品パッケージ、ワークショップ風景などの画像を見ながら、自分の感性に合うジャンルを探すことができます。

noteやVoicyなどのプラットフォームでは、女性起業家の体験談や失敗例、ビジネスの始め方がリアルに語られており、現実的な気づきを得られます。さらに、ChatGPTやGeminiなどの生成AIを使えば、「趣味×副業」「得意分野×サービス」といった切り口で、自分でも思いつかなかったアイデアを引き出すことが可能です。AIは壁打ち相手としても活用できるため、起業初期の孤独感を軽減するツールとしても役立ちます。こうしたツールを活用し、日常の延長では得られない視点に触れることで、自分の中にあるアイデアの種が見つかることがあります。

解決策(2)相談・壁打ちの場を活用して軸を固める

ビジネスアイデアに迷ったとき、自分一人で考え続けるよりも、誰かとの対話の中で新たな視点を得ることが効果的です。起業初心者にとって有益なのが、相談窓口や壁打ちの場の活用です。たとえば、経済産業省と中小企業庁が共同で運営するの「ミラサポplus」では、中小企業・小規模事業者が経営課題について相談できる窓口や支援制度を紹介しています。その中には創業支援に関するものや、専門家への無料相談が含まれる場合があります。

各地の商工会議所や創業支援センターも、事業計画の立案から補助金情報まで幅広く対応してくれます。

また、同じ志を持つ仲間とつながることも大切です。起業を検討している女性が日々の迷いや不安を分かち合い、経験者からのフィードバックを得る場として、女性起業家向けのコミュニティや支援プログラムが活用されています。自分の経験や想いを言語化し、他者と共有することで、「実はここが強みだった」と再発見できることもあります。

女性起業家によくある悩み:資金調達や収入面の不安

起業を考える女性にとって、資金と収入に関する不安は常につきまとう問題です。準備段階から「お金の問題で動けない」と感じる方も多く、家庭を持つ女性にとってはさらに深刻です。ここでは、起業前の金銭的な悩みの原因と、不安を軽減する対策を紹介します。

原因:起業時の資金準備に対する心理的ハードルと収入の不安定さ

起業するには、開業資金・運転資金・生活資金など複数の費用が関係します。多くの女性が悩むのは、「まとまった資金をどう確保するか」という点です。自己資金が十分でない場合、融資や助成金に頼る必要がありますが、「借金への不安」や「返済できなかったらどうしよう」という気持ちが強く、初期段階で二の足を踏んでしまう方が少なくありません。

また会社員であれば毎月決まった給与が支払われますが、起業後は自分の売上が収入のすべてになります。収益が出ない期間が続いた場合、生活資金が枯渇するリスクもあります。こうした状況は、特に子育て中の女性や、家計を支える役割を担っている方にとって、精神的なプレッシャーを大きくします。

解決策(1):事業計画と生活設計を数値で「見える化」する

資金面の不安は、具体的な数値が見えないことでより大きくなります。まず取り組むべきは、事業計画書とライフプランの両方を、数字を使って「見える化」することです。たとえば、必要な初期費用・毎月の固定費・理想とする生活費を算出し、最低限必要な売上を明確にしておくことで、不安の正体が曖昧な恐れではなく「現実的に対処すべき目標」に変わります。生活費が不足する見込みがある場合は、短期的にパートタイムを組み合わせる選択肢も含めて、現実的な収支バランスを検討することが重要です。

解決策(2):公的支援制度・融資を積極的に活用する

資金調達に対して「借金は怖い」と感じる方も多いですが、女性向けの創業支援制度は充実しています。たとえば、日本政策金融公庫の「女性、若者/シニア起業家支援資金」や、自治体の創業補助金、商工会議所が紹介する地域密着型支援などがあります。こうした制度は、金利が低く、返済期間も柔軟であることが多いため、無理のない範囲で活用すれば、資金面のハードルを大きく下げることができます。また、助成金については返済義務がないものもあるため、対象条件を満たすかどうか事前にチェックしておきましょう。不明点があれば、商工会議所や創業支援センターなどで無料相談を受けることが可能です。

解決策(3):起業コミュニティでの情報収集と交流を活用する

同じような境遇の女性起業家との交流は、情報だけでなく安心感にもつながります。「収入が安定しない時期をどう乗り越えたか」「どの支援制度が役に立ったか」といった体験談からは、現場に即したヒントが得られます。女性起業家向けのオンラインコミュニティとして、ママ起業家向けのグループや、特定のテーマに特化したオンラインサロンなどが情報収集や交流の場として活用されています。自分では気づかなかった視点やリスクを指摘してもらえることで、判断材料が増え、安心して次のステップへ進むことができます。

女性起業家によくある悩み:育児や家族との両立が難しい

起業を目指す女性にとって、家庭との両立は避けて通れない課題のひとつです。ここでは、家庭との両立に関する不安の原因を明らかにし、対策を紹介します。

原因:家族の理解と役割分担が不十分なままビジネスを始めてしまう

育児や家事を担う立場の女性が起業する場合、家族からの理解と協力が不可欠です。しかし、「起業を反対された」「事業に本気で取り組んでいるのに、家族からは“趣味の延長”と見られている」といった声も少なくありません。家族が起業の意義や内容を十分に理解していないまま、女性がすべてを背負い込んでしまう構図ができると、起業の継続は難しくなります。また、家族の協力体制が整っていない状態で事業を進めると、結果として家庭内の摩擦が生まれ、精神的負担が増すことにもつながります。

解決策(1):起業前に家族との対話と役割分担を明確にしておく

まず取り組みたいのは、家族との対話です。起業を進めるうえで「なぜこの事業をしたいのか」「どのくらいの時間や労力が必要なのか」を率直に説明し、家族の理解を得ておくことが大切です。とくにパートナーや同居する親族とは、家事や育児の分担について具体的に話し合い、起業後の生活イメージをすり合わせておくと、予期せぬトラブルや摩擦を避けやすくなります。「家庭のことは私が全部やるから起業も頑張る」という無理なスタンスは長続きしません。信頼と協力を土台にした関係を築くことで、事業にも家庭にもエネルギーを注げる体制が整います。

解決策(2):サポートサービスや外部の力を柔軟に取り入れる

育児や家事をすべて一人で抱え込むのではなく、信頼できる外部サービスを取り入れることは、家庭と事業の両立を助けるうえで効果的です。たとえば、家事代行サービスの「CaSy(カジー)」は、定期利用プランで1時間あたり2,790円(税込)から依頼でき、掃除・料理代行などが利用可能です。

出典:家事代行・家政婦の料金【CaSy(カジー)】家事代行サービス【CaSy(カジー)】家事代行サービス

「ベアーズ」も、子育て中の家庭向けに柔軟なプランを提供しており、ベビーシッターと家事代行を組み合わせたサービスも展開しています。「キッズライン」は、スマホやPCでシッターの検索・予約・決済ができ、急な依頼や夜間の利用にも対応しています。口コミや評価も事前に確認できるため、安心して利用できる環境が整っています。

また、子どもを預けたい場合には、地域の「ファミリー・サポート・センター(ファミサポ)」が心強い味方です。自治体が運営する会員制の預かり支援制度で、送り迎えや一時預かりを依頼できます。費用も1時間あたり500円〜700円程度と比較的利用しやすいのが特徴です。

このように、信頼性が高く利便性にも優れた支援サービスを上手に活用することで、限られた時間を有効に使い、事業に集中することが可能になります。

女性起業家によくある悩み:自己ブランディング・発信が苦手

起業を目指す女性に多く見られるのが、「自分のことをどう発信すればよいか分からない」「目立つことに抵抗がある」といった発信に対する苦手意識です。ここでは、自己ブランディングが苦手と感じる背景と克服方法を紹介します。

原因:「発信=自己主張」と感じてしまう

女性起業家が発信をためらう理由の一つは、「自分を売り込むことに抵抗がある」「自慢しているように思われたくない」といった心理です。「ビジネスとしてアピールすること」と「個人的な自己顕示」との区別がつきにくくなってしまうと、「発信=恥ずかしいもの」「誤解されるのでは」という不安から、発信を避けるようになります。

また、「他の人に比べて自分には実績がない」「顔出しや肩書きに自信がない」といった自己評価の低さも、発信をためらう原因になっています。完璧な状態でないと発信してはいけないと思い込むことで、チャンスを逃してしまう女性もいるようです。

解決策(1):「誰に伝えたいか」を明確にして目的を再確認する

発信の苦手意識を克服する第一歩は、「なぜ、誰に伝えたいのか」を言語化することです。自分の価値を広くアピールするのではなく、「目の前にいる1人の理想のお客さま」に語りかける感覚を持つと、必要以上に気負わずに言葉を紡ぐことができます。たとえば、「同じように悩んでいる子育て中の女性に、自分の経験を届けたい」という具体的な目的が見えると、内容や言葉選びも自然と整ってきます。

また、すべてをさらけ出す必要はありません。自分が話しやすいテーマ・媒体から始めるのも一つの方法です。たとえば、Instagramで商品写真だけを投稿する、noteで文章中心に綴る、Voicyで音声だけで伝えるなど、無理なく継続できるスタイルを見つけましょう。

解決策(2):小さなアウトプットの習慣から自信を育てていく

発信は「センス」よりも「慣れ」が大切です。最初から多くの反応を期待せず、日々の思いや気づきを発信するところから始めてみましょう。たとえば、「今日のお客様との会話」「失敗から学んだこと」など、日常の一部を言葉にするだけでも十分なコンテンツになります。発信を続けていくうちに「伝わった」「ありがとう」といった反応が返ってくると、自分の活動に自信が持てるようになります。

また、発信の壁を乗り越えるためには、仲間の存在も効果的です。女性起業家同士が交流できるコミュニティに参加することで、他者の工夫や苦労から学ぶことができ、「自分だけじゃない」という安心感にもつながります。

女性起業家の悩み解消につながるコミュニティ

起業準備中や起業初期の女性にとって、共通の課題を持つ仲間とつながることは大きな支えになります。ここでは、発信やブランディングの不安、孤独感、情報不足を乗り越えるヒントとなる、女性起業家向けのコミュニティを紹介します。

SHElikes(シーライクス)

SHElikesは、20〜30代の女性に人気のキャリアスクール型コミュニティです。デザイン、マーケティング、ライティングなど45種類以上のレッスンに加えて、オンラインイベントや課題添削、メンター制度が充実しています。会員同士のつながりも盛んで、学びながら同じ志を持つ仲間と出会える環境が整っています。自分らしい働き方を模索中の女性、スキルを活かして起業したいと考えている女性にとって、実用性の高いコミュニティです。

参考:SHElikes (シーライクス)

女性起業ゼミ

公益財団法人東京都中小企業振興公社が運営する「女性起業ゼミ」では、創業準備中の女性向けに専門家による講義やワークショップを提供しています。ビジネスモデルの設計、資金計画、販促などの実践的な内容に加え、同時期に学ぶ受講者同士が自然とつながれる仕組みも魅力です。行政主導のため、情報の信頼性が高く、起業初心者でも安心して参加できます。都内在住・在勤の女性が対象となりますが、無料または低価格で高品質な支援を受けられる点も特長です。

参考:女性起業ゼミ – セミナー | TOKYO創業ステーション

J300(女性社長.net)

J300は、株式会社コラボラボが運営する、全国規模の女性起業家・経営者向けネットワークです。年に一度開催される「J300」イベントでは、女性社長たちが一堂に会し、事業紹介・ビジネスマッチング・表彰などが行われます。そのほかにも随時オンライン交流会やコラボ企画が実施され、参加者同士が新たなビジネスチャンスを見つけるきっかけにもなっています。すでに事業を始めている女性や、法人化を視野に入れている方におすすめです。

参考:J300 – 女性社長.net

女性起業家に多い悩みと乗り越え方を知ろう

起業を目指す女性にとって、「ビジネスアイデアが浮かばない」「資金面が不安」「家庭との両立が難しい」といった悩みは身近なものです。これらの課題は、特別なものではなく、多くの女性起業家が経験してきた通過点です。自己理解を深め、支援制度やコミュニティを活用しながら、自分らしい起業スタイルを築いて乗り越えていくことが大切です。小さな一歩を積み重ねることで、ビジネスへの不安を確信へと変えましょう。


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