- 更新日 : 2024年9月27日
たこ焼き屋の事業計画書の書き方とは?ひな形を基に成功のコツを解説
たこ焼きは老若男女から愛される日本人のソウルフード。テイクアウトが基本なので一般的な飲食店のような客席や大がかりな設備もいらず、比較的開業しやすいビジネスモデルです。今回の記事ではたこ焼き屋の開業を考えている方向けに、事業計画書の書き方についてご紹介します。便利なテンプレートもご用意しましたので、ぜひ参考にしてみましょう。
目次
たこ焼き屋の事業計画書とは?
たこ焼きを主にテイクアウトで提供するたこ焼き屋。商店街やショッピングセンターのフードコート、スーパー、公園の駐車場、お祭りやイベント会場など、さまざまな場所で見かけます。人気店ともなれば行列ができるほど繁盛しています。
誰からも愛されるたこ焼きですが、実はたこ焼き屋の軒数自体は年々減少傾向にあります。「タウンページデータベース」(NTT東日本、NTT西日本)によると2012年には全国で3,070軒のたこ焼き屋がありましたが、2021年には2,031軒と34%も減ってしまいました。少子高齢化や食文化の多様化、原材料費や光熱費の高騰、人材不足など、飲食業界は厳しい状況が続いています。廃業を余儀なくされるたこ焼き屋が多いのも事実として受け止めておくべきでしょう。
事業の見通しを立てる
たこ焼き屋は明暗がはっきり分かれるビジネスモデルといえます。おいしいたこ焼きを提供できて、かつ立地が良くて人通りが多い場所だったら、リピーターや口コミによる来客も増え繁盛するはずです。一方でたこ焼きの味が悪い、あるいは立地が悪いとなると、開店してもすぐに閉業に追い込まれる事態にもなりかねません。
たこ焼き屋の経営に失敗しないためには、事前にしっかりと事業に関する計画・戦略を立てて、事業計画書としてまとめておくことが大切です。
金融機関からの融資を受ける
たこ焼き屋は広大な店舗が不要なため一般的な飲食店と比べると開業しやすいといえますが、それでも物件や厨房設備、調理器具、材料、備品などをそろえるとなると、それなりの開業資金がかかります。
自己資金で足りない場合は銀行や信金などの金融機関、日本政策金融公庫から借り入れをするのが一般的です。融資を受ける場合は審査があり、その際に事業計画書の提出が必要となります。
たこ焼き屋の事業計画書のひな形、テンプレート
事業計画書をフォーマットから作成するのは大変です。また、特に初めての方はどのような項目を盛り込むべきか悩まれるかと思います。そこでたこ焼き屋を開業する際にすぐに使える事業計画書のテンプレートをご用意しました。ぜひ参考にしてご自身の事業計画書を作成してみましょう。
たこ焼き屋の事業計画書の書き方・記入例
ここからはたこ焼き屋の事業計画書の書き方やポイントについてご説明します。テンプレートを見ながら読むことでより理解が深まりますので、ダウンロードすることをおすすめします。
創業の動機・目的
まずはたこ焼き屋を開業する動機や目的について記載します。どのような経験あるいは気づきがあって、そこからなぜたこ焼き屋を開業しようと思ったのかという流れで書くと思いが伝わりやすくなります。
職歴・事業実績
これまでの学歴や職歴、経験、取得した資格などを記載します。履歴書の学歴・職歴欄のように、入社(入学)年月と内容を簡潔に書きましょう。また、飲食業や接客業などたこ焼き屋の経営・運営に役立ちそうな経験・実績は、補足説明を記載するとアピールになります。
取扱商品・サービス
取扱商品・サービスの内容や販売戦略、競合や市場などの状況について記載します。サービス名については「たこ焼き」「ドリンク」のように名称と単価を記載します。販売戦略の項目はターゲットや販売の方法などについて書きましょう。競合や市場の状況については出店候補地域の競合となるたこ焼き屋や飲食店などの出店状況について記載します。
取引先・取引関係
販売先、仕入先、外注先の名称や取引シェア、掛取引の割合、回収・支払いの条件(締め日と回収・支払い日)について記載します。販売先に関しては「一般個人」という書き方で問題ありません。仕入先に関しては会社名を具体的に記載しましょう。
従業員
常勤役員の人数(法人の場合のみ)と3カ月以上継続雇用している従業員、家族従業員、パート従業員の人数を記載します。
借り入れの状況
代表者が借り入れをしている場合は借入先や借り入れの種類、借入残高や年間返済額を記載します。事業に関わるものはもちろん、住宅ローンやカードローンなどプライベートに関わるものも全て記載しましょう。特に融資を受ける際には借入状況も重要な審査項目になりますので、うそは書かないようにしましょう。
必要な資金と調達方法
設備資金と運転資金の内訳と見積もり先、金額を記載します。また、資金調達の方法とそれぞれの金額について記載しましょう。必要資金と調達資金の合計は一致させることが望ましいでしょう。特に必要資金が調達資金を上回っていると赤字になってしまいます。この項目も審査で見られる項目です。見積もりを取るなどして試算しましょう。
事業の見通し(月平均)
見込まれる1カ月当たりの売上高と売上原価、経費、利益(売上高から売上原価と経費を差し引いたもの)について、創業当初と1年後(軌道に乗った後)のそれぞれを記載します。また、見通しに関する根拠についても明確にしておきましょう。こちらも融資の審査を受ける上で説明を尽くさなければならない部分となります。計算式で算出したプロセスを記載することで説得力が出ます。
たこ焼き屋の事業計画書成功のポイント
事業計画がたこ焼き屋の開業の成否を分けます。ここからは事業計画書成功のポイントについてご紹介します。ぜひ以下のようなことを意識して計画を立ててみましょう。
コンセプト・ターゲットを明確にする
まずは「どのようなたこ焼き屋を開業したいのか」「どのようなお客さまに来てほしいのか」といったコンセプト・ターゲットを明確にしましょう。コンセプトが決まっていないと行き当たりばったりの運営・経営になり、場合によっては品質の低下や資金ショートにもつながりかねません。コンセプトが決まっていれば、ブレずにたこ焼き屋の運営・経営ができるようになります。
立地調査を行い商圏や競合を把握する
たこ焼き屋の成否を大きく分ける要素は立地です。特にたこ焼きはテイクアウト需要が高く、ちょっとした軽食やお土産として買う人が多いので、駅前や商店街、ショッピングセンター、スーパーなど人が多い場所、気軽に立ち寄れる場所であれば集客が見込めるでしょう。
ただし、こうしたエリアは競合も多く、賃料も高い傾向があります。立地や競合の状況、賃料などを総合して考慮しながら出店地を決めましょう。
客観的な売上予測・価格設定をする
売上予測はシビアに、少し悲観的に考えましょう。大まかに考えたり、楽観的過ぎる予測に基づいて資金計画を立てたりすると、資金がショートするリスクが高くなります。
また、価格設定についても非常に重要です。高過ぎると顧客から嫌厭されてしまいます。逆に安過ぎると利益がほとんど得られなくなってしまいます。周辺の相場や原価などを鑑みて適正な価格を考えてみましょう。
消費者ニーズをうまくくみ取る
たこ焼きを購入する人にはそれぞれニーズがあります。食事として買いたい人、軽食やおやつとして購入したい人、家族へのお土産として買う人など多種多様です。
特に移動販売を考えられている方は、ニーズに合わせて出店場所やメニューを考えてみましょう。例えばランチ需要を狙うのであれば、お昼にオフィス街で出店し、ボリュームが多めのメニューを提供するといいかもしれません。軽食やおやつとしての需要であれば、午後にショッピングセンターやイベント会場などに出店し、気軽に買えるよう安価に販売するという方法もあります。
オリジナルメニューなどで差別化を図る
今、たこ焼きのメニューは多様化しています。従来のソースの代わりにしょうゆやポン酢、だし汁を使ったもの、トッピングもネギやチーズ、明太子など、個性的な商品を提供するお店が増えてきました。
従来のソースたこ焼きにこだわって味を追求するのも手ですが、ベーシックなメニューだけにかなりライバルが多くなってしまいます。他店にはないオリジナルメニューを提供する、商品のバリエーションを豊富にすることで、集客につながりやすくなります。
また、たこ焼きのほかにも余裕があればお好み焼きや焼きそばなどのメニューの多角化に取り組んでみるのも一つの戦略です。
競争が激しいたこ焼き屋の開業には事業計画が必須
たこ焼きは誰もが愛する日本のソウルフードです。需要が高く、行列ができるような繁盛店になれば大きな利益が見込めるかもしれません。一方で廃業に追い込まれてしまうたこ焼き屋も少なくないのが実情です。
たこ焼き屋開業の成否を分けるのは事業計画です。コンセプトや開業・運営資金、資金調達の見込み、事業の見通しなどがしっかりとしていれば、失敗する確率を抑えることが可能です。今回の記事やテンプレートを参考に、ぜひご自身で事業計画書を作成してみましょう。
たこ焼き屋を開業する流れや成功するためのポイント、必要資金や確定申告の方法についてはこちらの記事でもご紹介しています。ぜひ本記事と併せてお読みいただくことをおすすめします。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
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