- 作成日 : 2025年4月25日
FX取引には資金調達が必要?リスクや注意点も解説
個人や法人でFX取引を始める際、まとまった資金が必要なのではと考えている方もいることでしょう。特に、どの程度の資金を用意すればよいか気になる方もいるのではないでしょうか。
本記事では、FX取引で必要な資金や資金調達の方法について解説します。
目次
FX取引には資金調達が必要?
FX取引で必要な資金は、取引の規模やかけるレバレッジの程度などによって異なります。ここでは、個人がレバレッジ(※証拠金を担保にして何倍から何十倍もの資金を動かす取引)をかけて通貨ペア 円/米ドルの取引をする場合に必要な資金を紹介します。
下記の表は、一般的な10,000通貨の単位で円/米ドルの取引を行った場合の試算をまとめました。なお、円/米ドルは、150円/ドルで計算していますので、実際に運用する際は参考としてご確認してください(※為替相場の変動により必要な資金は変動)。
| レバレッジ | 必要な資金 |
|---|---|
| 2倍 | 10,000通貨×150円÷2=750,000円 |
| 5倍 | 10,000通貨×150円÷5=300,0000円 |
| 10倍 | 10,000通貨×150円÷10=150,000円 |
| 15倍 | 10,000通貨×150円÷15=100,000円 |
| 20倍 | 10,000通貨×150円÷20=75,000円 |
| 25倍 (建玉維持の場合) | 10,000通貨×150円÷25=60,000円 |
個人がFX取引をする場合の最大のレバレッジは25倍です。一方、法人口座の場合、25倍以上の取引も可能であり、中には最大で100倍という証券会社もあります。週単位で証拠品の管理が行われているケースもあるため、各社の公式ホームページで正しい情報を確認しておきましょう。
また、ロスカット(証拠金維持率が一定率を下回る場合に強制的に決済されてしまうこと)や、通貨ペアによって必要な通貨単位が異なる点を考慮すると、資金に余裕を持って準備しておくのが望ましいでしょう。
FX取引の資金調達方法
FX取引を開始するための主な資金調達方法を紹介します。
自己資金を活用する方法
FX取引の特徴は、レバレッジによって手持ち以上の資金での取引が可能になることです。通貨ペアやレバレッジにもよりますが、数万円または数十万円からでもFX取引はできます。
FX取引の経験がない場合は、自己資金を活用する方法を考えることが不可欠です。自己資金は返済の必要がない資金で、FX取引に回す金額を個人の裁量で決められます。ただし、取引を開始するのに十分な自己資金がない場合、すぐに取引を開始できない、規模を拡大して取引が難しいといったケースがあるため、自己資産の現状を考えましょう。
副業やアルバイトで資金を貯める方法
FX取引を開始するにあたり、自己資金で不足する場合は、副業やアルバイトで得た資金を取引に充てる方法も考えられます。
自己資金同様、労働で得た対価に充当するため、返済は不要です。最近はスキマ時間で稼げる副業やアルバイトの案件も多くなっているため、有効活用すれば効率よく資金を得られるでしょう。
一方で、労働時間が長くなることで休息が十分に取れない、勤務先で副業が禁止されているケースもあるため、自身の時間の管理が求められます。
家族や友人からの資金援助を受ける方法
自己資金などで金額が不足する場合は、家族や友人から資金援助を受ける方法も選択肢の一つです。資金援助といっても、将来返済の約束をする借り入れになることも想定されます。家族や友人から借りることで、より多くの資金を集められる場合があるのがメリットです。
ここで注意したいのは、借り入れの目的によって援助を受けられないケースがあることです。借り入れとして受け入れたものでも、利子の支払いがない場合は利子相当額が贈与として扱われたりすることもあります。贈与に該当する場合は、贈与税が発生することもあるため、取り扱いには注意が必要です。
金融機関や消費者金融から借り入れする方法
金融機関や消費者金融のカードローンは、契約上、使用用途の制限がない場合でも、金融機関の方針により投資目的での利用を禁止していることがあります。
特に大手銀行のカードローンでは、投機性の高い金融取引(FX・仮想通貨取引など)への利用を契約違反というケースもあります。利用前に契約内容を十分確認しましょう。
カードローンを利用するメリットは、自己資金に追加することで、FXでの取引規模を拡大できることです。ただし、住宅ローンなどの目的ローンと比較すると、金利が高めに設定されており、返済コストがかかる場合もあります。
FX取引の資金調達を行うリスク
FX取引には、為替変動リスクや流動性リスク、レバレッジにより損失が拡大するリスクなど、いくつかのリスクがあります。これらのリスクは、FX取引のために行った資金調達に影響を与える可能性があります。
FXの損失により返済が困難になる可能性がある
借り入れにより調達資金を元手にFX取引を開始した場合、毎月、元本の一部と利息を支払う義務が生じます。そのため、毎月の返済を踏まえて取引することが不可欠です。特に注意したいのは、FX取引により多大な損失が生じる可能性がある、レバレッジによるリスクとロスカットによるリスクの2点です。
レバレッジは、少額の資金でFX取引を可能にするものです。しかし、レバレッジの倍率が大きくなると、想定以上に損失が拡大するリスクも高くなります。少額で投資しているつもりでも、レバレッジによって証拠金以上の取引単位で金銭が動くため、細心の注意が不可欠です。
ロスカットによるリスクとは、証拠金維持率が一定の水準を下回った場合、規定に従う形で強制決済されるリスクです。必要証拠金を下回るのではなく、証拠金維持率(証拠金と取引額の割合)が一定水準を切ると、証券会社の規定に基づいて強制決済が行われます。
このように、FX取引による損失が膨らむと、借入金の返済が困難になる可能性があるため、慎重な判断が必要です。
FX取引の資金調達を行う場合の注意点
ここでは資金調達に関連するFX取引の注意点について解説します。
生活費とは別の余剰資金を用意する
無理な借り入れなどでFX取引を始めると、生活に支障をきたす、借入金の返済ができないといったケースがあります。FX取引をする場合、生活費とは別に余剰資金を用意しましょう。
FX取引にはさまざまなリスクがあるため、仮に資産をすべて失ったとしても生活に影響が生じない範囲に抑えることで、取引にも精神的な余裕が生まれます。
少額で低レバレッジの取引から始める
レバレッジを安易に設定して取引すると、想定以上に損失が膨らむ可能性があります。例えば、150万円を証拠金として、レバレッジ2倍で取引する場合、取引可能な通貨量は300万円(※2万ドル相当:150円/USDと仮定)となります。この場合、為替が1円下落すると2万円の損失となります。
一方、レバレッジ25倍で同様の証拠金を用いると、取引額は3,750万円(25万ドル相当)となり、1円の為替変動で25万円の損失となります。
過剰な損失を出さないためには、取引に回せる資金に対して、高いレバレッジをかけ過ぎないことがポイントです。また、FX取引の経験が少ない場合、取引量を増やし過ぎると、損失が大きくなることもあります。FX取引に慣れるまでは取引数量を抑え、少額で行うのが適切です。
損切りルールを徹底する
為替変動などによる損失が拡大しないように、損失が発生したタイミングで決済することを損切り(ロスカット)といいます。
FXは為替の変動に左右されます。取引において難しいのが、どこで損切りするかです。持ち直しそうだと自己判断してポジションを保有した状態を続けると、さらに損失が拡大するリスクもあります。
調達した大事な資金を無駄にしないためには、あらかじめ損切りルールを決めておき、それを徹底することが重要です。しかし、注文に人の手が介入すると、チャートの動きで損切りをためらってしまうこともあります。
自己で設定した損切りルールを徹底するためにも、指定した金額に達したときに自動で決済する「指値注文(指定の金額に上昇したときに決済)」または「逆指値注文(指定の金額に下落したときに決済)」をうまく活用することをおすすめします。
※本記事の数値に関する情報は、2025年3月28日時点の情報をもとに反映しています。実際にFX取引をする際には最新情報をご確認ください。
FX取引をするならある程度の資金が必要
FXは、通貨ペアや取引数量次第で、数万円の元手からでも取引できる可能性があります。ただし、資金調達をしてFX取引をする場合、返済も同時にするため、資金面で余裕を持った取引が求められます。また、高レバレッジだと損失が拡大するリスクもあるため、ある程度の資金を確保したうえで、FX取引を開始するのが理想的といえるでしょう。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
会社設立の知識をさらに深めるなら
※本サイトは、法律的またはその他のアドバイスの提供を目的としたものではありません。当社は本サイトの記載内容(テンプレートを含む)の正確性、妥当性の確保に努めておりますが、ご利用にあたっては、個別の事情を適宜専門家にご相談いただくなど、ご自身の判断でご利用ください。
関連記事
日本政策金融公庫の融資を踏み倒すリスクとは?返済困難時の正しい対処法を解説
日本政策金融公庫の融資は、創業支援や経営安定のために心強い存在です。しかし一方で、「踏み倒し」という行為は軽視できるものではありません。返済の放置や延滞は、法的措置や信用失墜といった深刻な事態を招き、今後の資金調達に大きな障害となります。 …
詳しくみる調剤薬局の開業に資金調達は必要?資金の目安や融資、節約方法を解説
薬局を開業するには、多額の資金が必要です。調剤設備や内装費、薬剤の仕入れなど初期費用はもちろん、運転費も含めた資金計画が不可欠です。また、資金調達方法を検討し、融資審査の成功に向けた準備をすることが、経営の安定に大きく影響します。 本記事で…
詳しくみる日本政策金融公庫は不動産投資に使える?賃貸業で融資を受けるための流れを解説
日本政策金融公庫は、創業間もない事業者や小規模企業を支援する政府系金融機関です。不動産投資全般を対象とするわけではありませんが、明確な事業性がある不動産賃貸業であれば、融資対象となる可能性があります。 本記事では、日本政策金融公庫の融資制度…
詳しくみる少人数私募債とは?資金調達するメリット・デメリットや発行方法を解説
少人数私募債とは、企業が特定の少数の投資家に向けて発行する社債です。金融機関を介さずに直接市場から資金調達できる仕組みとなっています。 本記事では、少人数私募債の概要や、これを活用した資金調達のメリット・デメリット、さらには発行方法について…
詳しくみる開業の創業融資にプロパー融資は難しい?メリット・デメリット、審査基準を解説
プロパー融資は、銀行が独自に審査し保証なしで貸し出す融資です。信用力が重視されるため創業期の活用は難しいものの、事業が安定すれば有力な選択肢となります。本記事では、プロパー融資の特徴や審査基準、他の融資制度との違いを解説し、創業者に適した資…
詳しくみる創業融資の流れは?資金調達までのスケジュールを短縮するポイントとあわせて解説
創業融資のスケジュールは、融資先ごとに異なります。日本政策金融公庫の場合は、約1ヶ月程度です。書類に不備があるなど事前準備をしっかり行わないと長引く可能性があるため、注意しなければなりません。 本記事では、創業融資を受けるスケジュールの流れ…
詳しくみる