• 作成日 : 2025年3月21日

猫カフェの事業計画書の書き方は?テンプレートをもとに記入例を解説

猫カフェは猫と人がくつろげる空間です。開業前に作成する事業計画書は、融資や出資を得るための要となります。必要事項を整理し、猫カフェ特有のポイントを押さえましょう。本記事では、猫カフェの開業時に作成する事業計画書の書き方のポイントや、猫カフェの開業に必要な資格について解説します。

猫カフェの開業時に作る事業計画書とは

猫カフェの事業計画書は、猫と共に過ごす癒やしの空間を事業として成立させるため、必要な全体像をまとめるものです。開業前に経営戦略や財務計画、市場分析、リスク対策などを体系的に整理することで、事業の具体的な進め方が明確になります。

また、金融機関が融資を検討する際や投資家・出資者にアピールするための説得材料にもなります。猫カフェは動物取扱業や飲食店としての側面を併せ持つため、一般的な飲食業の計画書より確認事項が多い点にも注意が必要です。

猫カフェの事業計画書の書き方・記入例

猫カフェの事業計画書を作成する際は、店舗のコンセプトや業態ならではの注意点を明確に示すことが大切です。以下では、事業計画書の代表的な項目に沿って、猫カフェの事業計画書の記載例を解説します。

創業動機・目的

創業動機や目的は、猫カフェを開業するに至った背景と理念を示す大切な部分です。「保護猫の飼育環境を整え、譲渡先の拡大に貢献したい」「猫の癒し効果を多くの人に体験してほしい」など、社会的意義や個人的な思いを記載します。

さらに、猫カフェに関する市場のニーズや達成すべき目標を示し、ビジネスと社会貢献を両立した事業であることを強調します。この部分は、創業者の熱意や方向性をストレートに表現するのがポイントです。

職歴・事業実績

創業者や経営陣の職歴・実績をアピールすることで、猫カフェ運営に対する専門性や信頼性を裏付けます。

たとえば、過去に接客業や飲食業での経験があれば「接客マナーを熟知し、衛生管理や調理オペレーションに強みがある」と記載し、動物関連の職歴や資格があれば「動物看護師資格保有」「保護猫ボランティア活動歴がある」など、具体的な実例を挙げます。事業運営やマネジメント経験がある場合は、スタッフ管理や店舗運営でどのように役立つかを補足しておきましょう。

取扱商品・サービス

猫カフェで取り扱う具体的な商品・サービスを整理すると、集客や収益に直結するポイントが明確になります。猫カフェで提供する飲食物(メニュー、価格帯)、猫との触れ合い体験(時間制料金、オプション)、イベント(猫譲渡会、写真撮影会)、グッズ販売(猫関連商品、オリジナルグッズ)などについて、詳細に記載しましょう。

特に「競合とどう差別化するか」が重要です。猫の種類や保護猫支援への取り組み、店内のデザイン、提供メニューの特徴などを記載することで、独自性を強調します。

取引先・取引関係

事業計画書には、以下のような仕入れ先や協力企業との連携状況を明示します。

  • 飲食物の仕入れ先:質の高いコーヒー豆や茶葉、食材を提供してくれる卸業者
  • 猫関連グッズの仕入れ先:オリジナルグッズの企画会社や、猫用雑貨の製造業者
  • 動物病院:ワクチン接種や健康診断など猫の健康管理を担う動物病院
  • 清掃業者:定期的な消毒や清掃などを依頼する清掃業者

信頼できるパートナーとの関係は、安定した店舗運営の基盤になります。長期的に安定供給が可能か、地域との連携が図れるかなども加味するとよりよいでしょう。

従業員

猫カフェは猫の世話と接客の両方が必要であり、スタッフの役割が幅広くなります。そのため、組織体制と人材管理の方針をしっかり示しましょう。

  • 採用計画:募集媒体(SNS、求人サイトなど)や採用基準(猫が好き、衛生管理ができる、接客経験など)
  • 役割分担:店長やスタッフの仕事内容(売上管理、猫の健康チェック、イベント企画など)
  • 教育体制:研修内容やOJT内容、定期的な研修の有無
  • 労働条件:給与水準、シフト体制、福利厚生の内容(交通費支給、制服貸与など)

スタッフが安心して働ける環境を整備することは、顧客満足度にも直結します。特に猫の健康管理や衛生関連の研修は欠かせません。

借入の状況

金融機関からの融資や投資家からの出資など、外部からの資金調達がある場合は、その状況を以下のように明示します。

  • 返済計画:毎月の返済額、返済期間、金利など
  • 担保の有無:店舗物件や個人資産を担保として提供しているか

金融機関や投資家にとっては、投資リスクを判断する大切な材料となるため、可能な限り具体的な数字を提示しましょう。

必要な資金と調達方法

猫カフェの開業・運営に必要な費用は、内装工事費や設備投資費に加えて、動物の飼育スペースの設計や安全対策なども含まれるため、一般的な飲食店より初期費用がかさむ傾向があります。開業から運営に必要な資金額を明示し、資金調達の手段なども記載しましょう。

開業から最低でも数か月は赤字運営となる場合を想定して、十分な運転資金を確保しておく必要があります。

事業の見通し

市場動向については、ペット関連市場の拡大や保護猫譲渡のニーズなど、社会情勢を交えた分析を行いましょう。収益予測では開業から1年、3年、5年後など、期間ごとに売上・コスト・利益の見通しを数値化します。

また、猫の感染症対策や災害時の避難計画などリスク管理を含めておくとよいでしょう。数値の根拠を示しながら、持続可能なビジネスモデルであることをアピールすると融資交渉や出資誘致に有利になることが期待できます。

猫カフェの事業計画書に使える無料テンプレート

マネーフォワード クラウドでは、猫カフェ向けの事業計画書のひな形・テンプレートをご用意しております。事業計画書作成の参考として、ぜひダウンロードしてご活用ください。

猫カフェの事業計画書を作成するポイント

猫カフェの事業計画書は、ただの形式的な文書ではありません。猫と人の快適な環境をいかに作るか、どのように事業として収益を確保するか、そしてそれらを継続可能な形で運営していくかを総合的に示すものです。以下のポイントを押さえておくと、より説得力が高まります。

猫カフェのコンセプトやビジネスモデルを明確にする

猫カフェは、単なる飲食店やペットショップとは異なるビジネスモデルです。「保護猫の譲渡を主軸とするのか」「珍しい猫種との触れ合いを売りにするのか」「カフェメニューを充実させてリピーターを狙うのか」など、方向性によって必要な設備やスタッフの専門知識、広告戦略は大きく変わります。

さらに、収益構造(触れ合い料金、フード・ドリンク売上、イベント収入、グッズ販売など)とターゲット層(若年層、ファミリー層、猫好きのシニアなど)を具体的に定義することで、全体のビジョンがはっきりします。ここを曖昧にすると、運営開始後に方向転換を余儀なくされるリスクが高まるため、しっかりと方向性を定めてコンセプトやビジネスモデルを明確にしておきましょう。

猫の臭い対策や衛生管理の方法を記載する

猫カフェならではの大きな課題が、臭い対策と衛生管理です。猫がいる空間を衛生的に保つためには、定期的な清掃や消臭剤の活用はもちろん、換気設備や空気清浄機の導入、猫のトイレや餌場の配置など、店舗設計の段階から工夫が必要です。

また、猫が健康を維持できるようにワクチン接種や定期的な健康診断を行い、病気が疑われる場合は速やかに動物病院を受診するなどの仕組みを整備しておくことが欠かせません。利用客に安心して滞在してもらうための衛生面や安全性をどう担保するか、事業計画書内で記載しておきましょう。

法律による営業時間の制限に注意する

猫カフェは、動物愛護管理法や地域条例、労働基準法など、さまざまな法令を遵守しなければなりません。「深夜営業の制限がある地域は何時まで営業可能なのか」「スタッフの労働時間やシフト管理は適切か」など、事業計画書で示す営業時間と実際の営業オペレーションが法令を順守していることを明確にする必要があります。

特に動物取扱業としての登録条件には厳格な基準が設定されており、猫の飼育環境や管理者の常駐体制などを定期的にチェックされる場合もあります。計画書の段階で法的観点をクリアにしておくことが、後々のトラブル防止につながるでしょう。

猫カフェを開業するときに必要な資格・許可

猫カフェは動物取扱業と飲食店の要素を併せ持つため、取得すべき資格や許可が複数存在します。以下に、代表的なものを紹介します。

動物取扱責任者

猫カフェを運営する場合、動物取扱責任者を選任しなければなりません。これは動物愛護管理法の規定で、猫の健康管理や飼育環境に関する知識を持ち、店舗内の動物取扱に関する責任を担います。

動物取扱責任者になるためには、一定の実務経験や資格が必要となるため、事前に要件を確認しておきましょう。

第一種動物取扱業

猫カフェのように猫を不特定多数の人に見せたり、触れ合わせたりするビジネスは、第一種動物取扱業に該当します。営業開始前に都道府県や政令指定都市などの担当部署へ登録が必要です。店舗のスペースや衛生管理体制、飼育頭数などが審査されるため、あらかじめ条件を満たす設計や管理計画を整えておく必要があります。

食品衛生責任者

飲食物を提供する場合は、食品衛生責任者の資格を持った人を配置しなければなりません。食品衛生責任者は、講習の受講で取得できます。調理設備や提供方法を含めて、衛生管理の徹底と食中毒防止策を講じることが求められます。

保健所の飲食店営業許可

カフェ営業として飲食物を提供するには、管轄の保健所に申請を行い、飲食店営業許可を取得する必要があります。申請には食品衛生責任者の資格を持っていることが条件になるため、申請準備を早めに進めることが重要です。

店舗のレイアウトや設備基準も細かく定められているため、内装工事や厨房設備の計画を立てる際は保健所の基準に合わせて設計しましょう。

防火管理者

店舗の収容人数が30人以上の場合、防火管理者の資格を取得しなければなりません。防火管理者は、防災マニュアルの作成や避難訓練の実施、火災報知器や消火器の点検管理などを担当します。資格の区分は収容人数や店舗面積によって異なる場合があるため、必ず事前に確認しておきましょう。

猫カフェの開業資金を調達する方法

猫カフェの開業には、物件取得費や内装工事費、猫用設備、飲食関連設備、広告宣伝費など多岐にわたる初期コストがかかります。

資金の調達方法としては、地方銀行や信用金庫での融資が一般的ですが、クラウドファンディングやふるさと助成金など、自治体やオンラインプラットフォームからの支援を利用する事例も増えています。特に地域の観光振興や商店街の活性化につながると判断されれば、地域活性化補助金や観光振興補助金を受けられる可能性があるので、対象となりそうな制度をリサーチしてみましょう。

保護猫カフェの場合は助成金も利用できる

保護猫カフェとして動物愛護や譲渡推進活動を積極的に行う場合、動物愛護関連助成金の対象となるケースがあります。各自治体や団体によっては、保護猫の医療費支援や譲渡活動を促進するための助成金を用意していることもあるため、事前に確認するとよいでしょう。

事業計画書は猫カフェの資金調達に必要になる

猫カフェを安定的に運営していくためには、しっかりとした事業計画書が不可欠です。融資や出資を得る際の根拠資料となるだけでなく、自身の経営ビジョンを具体化し、実務レベルでの準備を進める道しるべにもなります。

猫カフェならではの要件やリスクを踏まえ、実行可能な計画を作成することで、より多くの人から信頼と支持を得られるでしょう。


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