- 作成日 : 2025年3月21日
法人の登記簿謄本・全部事項証明書とは?必要な場面や取り方、費用を解説
法人の全部事項証明書とは、法務局に登記されている法人の名称や役員構成など法人の概要が記載された書類です。全部事項証明書は登記簿謄本と同じ意味で使われており、複数の種類が存在します。今回は、全部事項証明書の種類や見方、取得方法などについて解説します。
目次
法人の登記簿謄本・全部事項証明書とは?
全部事項証明書は、これまでに行われた登記事項のすべてが記載された書類のことです。全部事項証明書と対極にあるのが、一部事項証明書です。一部事項証明書は、全部事項証明書に記載される項目の中から一部抜粋して記載が行われたものです。
なお、全部事項証明書と一部事項証明書については、さらに現在事項証明書と閉鎖事項証明書、履歴事項証明書に分けることができます。履歴事項証明書は、現時点で効力のある登記事項に加え、過去に抹消された登記事項が記載された証明書です。事項証明書とは現在の登記事項のみ記載された証明書、閉鎖事項証明書とはすでに効力を失った過去の登記事項が記載された証明書を指します。
以上のように、全部事項証明書や一部事項証明書には複数の種類が存在します。どの証明書を取得すればよいかわからない場合は、すべての登記記録をさかのぼれる履歴事項全部証明書を取得するとよいでしょう。
全部事項証明書と登記事項証明書との違い
登記事項証明書とは、登記された内容を証明する書類のことです。全部事項証明書は、先述したように登記されたすべての事項を記載した証明書です。登記事項証明書も全部事項証明書も登記簿謄本と同じ意味で使われており、登記事項証明書と全部事項証明書の間に大きな違いはありません。
全部事項証明書に書かれている内容
全部事項証明書は、登記に関する記録を記載した書類です。不動産登記に関するものもあれば、登録されている法人に関するものもあります。ここでは、法人の登記に関する全部事項証明書について、記載されている項目を紹介します。
会社法人等番号 | 会社の法人番号が記載される |
---|---|
商号 | 登記している会社の正式名称が記載される |
本店 | 登記している会社や本店の所在地が記載される |
公告をする方法 | 官報や新聞などに公告の方法が記載される |
貸借対照表に係る情報の提供を受けるために必要な事項 | 自社のホームページに掲載する形で公告する場合はURLが記載される |
会社成立の年月日 | 会社設立の日が記載される |
目的 | 事業の目的が記載される |
単元株式数 | 企業が自由に決められる株式の売買単位 |
発行可能株式総数 | 発行可能な株式数が記載される |
発行済株式の総数ならびに種類および数 | 発行済株式の数や種類に関する項目 |
株券を発行する旨の定め | 株券に関する項目 |
資本金の額 | 資本金の額が記載される |
株式の譲渡制限に関する規定 | 譲渡制限に関する内容について記載される |
役員に関する事項 | 役員の氏名や住所地が記載される |
支店 | 支店が存在する場合は記載される |
存続期間 | 会社が存続している年数が記載される |
取締役会設置会社に関する事項 | 関連する事項が記載される |
監査役設置会社に関する事項 | 関連する事項が記載される |
監査役会設置会社に関する事項 | 関連する事項が記載される |
登記記録に関する事項 | 関連する事項が記載される |
全部事項証明書が必要なケース
全部事項証明書は、以下のような場合で全部事項証明書の提出が必要です。
全部事項証明書の取り方と費用
全部事項証明書の取得方法として、窓口で申請する方法、オンラインで申請する方法、郵送で申請する方法の3パターンがあります。
法務局の窓口で申請
全部事項証明書は、商業・法人登記情報交換システムにより、実際に登記された登記所でなくても、最寄りの登記所から取得できます。会社の全部事項証明書は、誰でも申請すれば取得できる書類です。窓口で申請する際には、以下の「登記事項証明書・登記簿抄本・概要記録事項証明書 交付申請書」に記載して提出します。
出典:登記事項証明書・登記簿抄本・概要記録事項証明書 交付申請書|法務局
申請書には、申請者の氏名と住所、取得したい会社法人の商号・名称、主たる事務所、会社法人等番号の記載が必要です。全部事項証明書(謄本)の項目のうち、履歴事項証明書、現在事項証明書、閉鎖事項証明書の中から取得したい書類にチェックして窓口に提出します。なお、申請の際には、書面請求の登記手数料として600円が必要です(※2025年2月時点)。
オンラインで申請(登記・供託オンライン申請システム)
会社法人の全部事項証明書は、登記・供託オンライン申請システム(かんたん証明書請求)により、オンライン上で取得することも可能です。電子署名が必要ない利用しやすいシステムで、複雑な操作は必要ありません。Webブラウザから申請に必要な事項を入力して手続きを行います。
オンライン請求のメリットは、法務局に直接足を運ばなくても遠隔地から証明書を請求できることです。システムは平日の午前8時30分から午後9時まで利用可能です。また、オンライン申請のほうが法務局に行くよりも手数料が安く設定されており、郵送受取の場合は500円、窓口交付の場合は480円です(※2025年2月時点)
郵送で申請
全部事項証明書は、法務局宛に郵送で請求することも可能です。郵送での請求の場合、使用する交付請求書は、窓口に提出するものと同様です。法務局のホームページから様式をダウンロードして、必要事項を記載したうえで、収入印紙を貼付し、返信用の切手を貼った封筒(返信先も記載)を同封して郵送します。
全部事項証明書はさまざまな場面で必要になる書類
全部事項証明書と登記事項証明書は、ほとんど同じ意味合いで使われます。どちらも、これまで登記した事項について記載された書類です。法人の全部事項証明書には、法人の名称や住所地のほか、資本金や発行済株式数、役員の構成、事業の目的など、法人の概要がわかる項目が表示されます。会社の全部事項証明書は、申請書を所定の方法で提出し、手数料を支払えば誰でも取得可能です。自社の手続きでも必要になる書類であるため、取得方法など今一度確認しておきましょう。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
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