- 作成日 : 2024年6月12日
コインランドリーの事業計画書の書き方とは?ひな形を基に記入例を解説
コインランドリー事業に関する事業計画書の書き方をここで解説しています。テンプレート・ひな形を用いて、記入例とともに各記載項目について説明していますので、初めて事業計画書を作成する方や「コインランドリーに特化した書き方を知りたい」という方はぜひ目を通していただければと思います。
目次
コインランドリーの事業計画書とは?
コインランドリーは、備え付けの洗濯機を配置し、利用者がその機器を使って自分で洗濯を行うタイプの店舗をいいます。広い駐車場を備えた店舗も増え、市場は全体として拡大の傾向にあるとされています。
今のところ将来を不安視するほどの状況にはありませんが、各店舗がうまくいくかどうかは経営者の手腕にかかっています。そして経営者が行うべき重要なことの一つが「事業計画書の作成」です。事業計画書を作成する過程で事業の見通しを立てることができますし、その後融資を受ける際にも活用することができます。
事業の見通しを立てるためのツール
コインランドリー経営には、一般的に「粗利率が高い」「収入が安定的である」「創業後の運営が比較的容易」「維持管理にかかる手間が少ない」といった特徴があります。
しかしこれらはあくまで一般論であって、常に成立するものではありません。安易に「コインランドリーの経営なら簡単だろう」などと高をくくってスタートを切ってしまうと、事業が上向きにならず廃業してしまう危険性も高いでしょう。
できるだけそのようなリスクを回避するため、しっかりと事業の見通しを立てておくことが大事です。事業計画書としてその見通しを整理することでより事業方針が明瞭になり、外部に伝えることも、社内で共有することもしやすくなります。つまり事業計画書は、事業の見通しを立てるためのツールとして機能するのです。
金融機関からの融資を受けるためのツール
事業計画書には自社の事業内容をわかりやすくまとめます。そうすることで外部の方にも「自社が何をしようとしているのか」「売り上げや利益がどれだけ出る見込みなのか」が伝えられますので、融資を受けるときの審査材料としても事業計画書は役に立ちます。
実際、金融機関に借り入れを求めたときは事業計画書の提出を求められますので、「事業計画書は融資を受けるために必須のツールである」ということもできるでしょう。
コインランドリーの事業計画書のひな形、テンプレート
事業計画書を作成するときはひな形も参考にするとよいでしょう。
コインランドリー事業の創業を想定したひな形もこちらのページに用意がありますので、ご活用ください。
コインランドリーの事業計画書の書き方・記入例
主な記載項目は次に掲げる通りです。
- 創業の動機・目的
- 職歴・事業実績
- 取扱商品・サービス
- 取引先・取引関係
- 従業員
- 借入の状況
- 必要な資金と調達方法
- 事業の見通し(月平均)
これらの項目について、コインランドリーを立ち上げる場合を想定した解説をしていきます。
創業の動機・目的
まずは、なぜコインランドリー事業を始めようと思うに至ったのか、その経緯・動機について簡単にまとめます。
ただ、ここで重要なのは「信用」や「評価」への影響です。事業計画書を見る人を想定して、計画書に信頼性があると思わせるような書き方をした方がよいでしょう。まったく関連性のない背景を長々と書き記しても効果的ではありません。
そこでコインランドリーへの興味関心・思いだけを書くのではなく、「相続した土地の活用方法を探していたところ、市場調査の結果、コインランドリーの設置が有効であると判断したから」などと記載するのもよいのです。
職歴・事業実績
過去の職歴や役職、保有資格などを端的に記載しましょう。多くの情報を記載する箇所ではありませんので、必要最低限の情報を簡単にまとめることが大事です。
また、立ち上げる事業に関連する背景があるのならそこを強調するように記載します。直接的な関係はなくても、取締役としての経験、部長などの役職に就いた経験などの記載は多少なりともプラスに働くことでしょう。
取扱商品・サービス
コインランドリーであればどこもサービス内容は共通していますが、それでも「利用料金」や「洗濯可能な衣類寝具」、その他附随するサービスなどで差別化を図ることは可能です。
アピールできる他社との違いがあるのならその点を明確化し、短い説明文でわかりやすく伝えることを意識して作成を進めましょう。
また、特に競合となる近隣のコインランドリーとの違いに着目して、「これなら競争に勝てるかも」と思わせるだけのセールスポイントや戦略も記載します。ここで重要なのは説明が抽象的ではなく、具体的でわかりやすいことです。
具体性を持って説明しなければならず、例えば「近くの競合に比べて大きな駐車場スペースが確保できている」といった形でアピールを行います。市場調査の結果も絡めてアピールすると説得力も出て好印象を与えられるでしょう。
取引先・取引関係
コインランドリーの場合は主に一般個人をターゲットとしますし、仕入れや外注なども必須ではありません。
ただし店舗運営を専門の業者に委託するのなら「外注先」欄に当該業者の名称や支払い条件を記載する必要があります。必要に応じて、事業計画書を作成する前に外注先を選定しておき、確保しておくようにしましょう。
従業員
役員の数、従業員の数についても明記します。人件費に直結するという点で大きな意味を持ちますし、事業の規模を表す一つの指標にもなります。
※法人ではなく個人事業主として経営をする場合は役員数「0」でよい。
コインランドリーの運営においては大人数は必要ありません。人件費とのバランスを考慮し、まずは少人数から始めるのが賢明です。ただし24時間営業や特に規模の大きなコインランドリーを運営するのならそれ相応に必要な従業員数も多くなってくるでしょう。
借入の状況
起業者自身の、現在の借り入れ状況をうそ偽りなく記載しましょう。どこから借り入れをしているのか、その借り入れは住宅ローンなのかカーローンなのか、事業用なのか、その種別についても記します。
特に重要なのは「借入残高」です。この金額が大きいと、融資の場ではやや不利です。法人の場合は代表者個人と別の存在ではあるものの、1人会社に近い小規模な法人だと一体として見られて審査に響いてしまいます。
必要な資金と調達方法
コインランドリーの立ち上げに必要な資金を具体的に記し、その調達方法についても記載しましょう。
例えば「物件の取得費」「工事費」などが特に大きな費用として発生します。また一般家庭より大きな洗濯機を多数備えることになりますので「機器購入費」の金額についても調査し、明記しておきましょう。
そして必要な資金の額をどこから手に入れる予定なのか、「自己資金」や「借入」などの内訳をまとめます。全額を借入金で賄うことは現実的ではありません。通常は、全体資金の10%から30%以上を自己資金で用意する必要があり、そうでない場合は審査を通過しづらくなります。
事業の見通し(月平均)
最後に「事業の見通し」として、毎月の売上高や経費、利益の大きさなどを予測して記載します。まだ始まっていない事業ですのであくまで予測ですが、それでも信用に足る根拠があれば金融機関なども「確かに事業を継続させられそうだ」という印象を持ってくれます。
コインランドリーであれば比較的予測もしやすいのです。利用料金が決まっていますし、洗濯機の台数や営業日数も決められますので、次のように計算式を立てることもできるでしょう。
“平均利用単価800円×15台×3回転×30日=108万円”
経費の内訳なども記載し、利益を計算します。借り入れの返済ができるだけの利益が残っていることが理想ですが、その後上向きになる算段があるのなら、立ち上げ直後から黒字になっている必要はありません。
コインランドリーの事業計画書成功のポイント
コインランドリーの事業計画書を作成するときは、以下のポイントもぜひ意識してみてください。
コンセプト・ターゲットを明確にする
事業のコンセプトやメインターゲットを明確にしておくと、事業計画書の作成を進めやすいのです。
一般的には「20代の男女」や「30~40代の女性」の利用が多いため、こうした層に魅力的なコンセプトを持つことが重要だといえるでしょう。ただし店舗の立地によっては異なる戦略を打ち立てることも大切です。
例えばファミリーの多いエリアなら、子連れでも入りやすく快適な待ち時間を過ごせるような空間づくりが重要で、その点を事業計画書でアピールしていきます。
立地調査を行い商圏や競合を把握する
開業予定地における調査も実施しておきましょう。当該エリアでの競合他社や利用者層の特徴を把握しておくことでより質の高い計画を立てられるようになりますし、調査結果に基づいて作成ができていると説得力も増します。
客観的な売り上げ予測をする
「売り上げ予測」を感覚的にしてしまってはいけません。なぜそうなるのか、客観的な指標を用いて計算するなど、予測結果に根拠が必要です。この点に意識して収支計画を立てましょう。
またその前段階で重要な過程が「価格設定」です。同じ利用者数なら価格が大きいほど売り上げも大きくなりますが、通常、価格が大きくなると利用者数も少なくなってしまいやすいのです。そのため利益と客足を確保する絶妙なバランスを保つ必要があります。
衛生と環境への対策を行う
コインランドリーにおいては衛生問題・環境問題への配慮が重要になってきます。洗濯を行う場ですので、清潔なイメージを持ってもらう必要があります。衛生状態を良く保つための施策を事業計画書に反映させたり、清潔な印象を与える店舗デザインにしたり、といった施策も重要です。
騒音や振動、排熱が原因で近隣住民とトラブルにならないようにすることも大事です。その対策がきっちり練られていることもアピールできるとよいでしょう。
消費者ニーズをうまくくみ取る
立地調査から見いだされる消費者ニーズをうまくくみ取り、「あのコインランドリーに行きたい」と思わせる戦略を考えましょう。
最近だと他の店舗と併設する形で開業するケースも多く、スーパーなどに併設することができれば「ついでにコインランドリーも寄って行こう」と顧客確保もしやすいのです。
カー用品店やコンビニとの併設など、コインランドリーを利用したときの待ち時間を有効活用する施策を事業計画書に盛り込めば、好印象を与えることができるでしょう。
サービスの差別化を意識して事業計画書を作ろう
コインランドリーによる売り上げは洗濯機などの機器によって生み出されますが、機器の機能面で差をつけて他店との競争に勝つことは難しいと考えられています。
重要なのはサービス面での差別化であり、清潔さや附随するサービスの充実など、そのエリアの利用者を想定したサービスを考えることに注力するとよいでしょう。そしてその点のアピールを意識して、事業計画書の作成を進めていきましょう。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
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