• 更新日 : 2025年5月19日

キャンプ場の経営は儲かる?許認可や資格、資金の目安を確認しよう

脱サラでキャンプ場の経営を始め、安定した収益を得ている方もいらっしゃいます。ただし、運営に必要な資格がある点や、初期費用がかかる点などに注意しなければなりません。

また、得られる収入は施設形態(グランピング施設・オートキャンプ場など)によっても異なります。キャンプ場経営で失敗しないため、本記事でコストや課題などについて理解しましょう。

最近アウトドアが流行しているけど、キャンプ場経営って実際どうなの?

キャンプ場経営とは、主に大自然に囲まれた土地をキャンプ場として貸し出し、利用料や売店の売り上げから収益を得る土地活用方法です。ここから、キャンプ場経営の特徴を詳しく確認しましょう。

アウトドアブームに伴い需要は増加中

コロナ禍をきっかけとしたアウトドアブームに伴い、キャンプ場利用の需要は堅調です。観光庁によると、2017年7月から9月に国内宿泊施設としてキャンプ場・オートキャンプ場を利用した人が約250万人に対し、2024年と同時期にキャンプ場の利用者は約255万人でした。

参考:国土交通省観光庁 旅行・観光消費動向調査

新規開業だけでなく、既存のキャンプ場を引き継ぐ人も

所有している土地をキャンプ場にして新規開業するだけでなく、既存のキャンプ場を引き継ぎ、経営を始められる方もいらっしゃいます。なお、引き継ぐキャンプ場物件は、M&Aのマッチングサイトや日本オートキャンプ協会などのサイトで見つけられます。

参考:一般社団法人 日本オートキャンプ協会 キャンプ場公募物件お探しの方

保守や修繕など自分でできることも多い

キャンプ場経営では、保守や修繕など自分で対応できる業務も多岐にわたります。自分で修繕すればコストを抑えられるでしょう。ただし、材料費が別途発生するため、注意が必要です。

キャンプ場の種類は?

キャンプ場経営を始めるにあたって、あらかじめ種類を把握しておくことが大切です。キャンプ場には、1組ごとに区画を確保する区画サイトのほかに、主に以下の3種類があります。

  1. 野営のキャンプ場
  2. グランピング施設
  3. オートキャンプ場

それぞれの特徴を確認しましょう。

野営のキャンプ場

野営のキャンプ場とは、人の手による管理がなされていない、自然の状態を活かしたキャンプ場のことです。火事や事故が遭った場合、基本的にキャンパーがすべて責任を負うなど、キャンパーに課される責任は大きいでしょう。

経営者側は土地を貸し出すだけで時間や労力がかからない点は、野営キャンプ場を経営するメリットです。ただし、その分収益性は低い傾向にあります。

グランピング施設

グランピング施設とは、さまざまな施設や設備を取り入れたキャンプ場のことです。一般的に、常設されたテント内には寝具が、屋外には椅子やテーブルが用意されています。

グランピング施設でキャンプする場合、キャンパーが必要な持ち物はほとんどありません。また、初心者でも楽しみやすい点がグランピング施設の魅力といえるでしょう。

グランピング施設を経営するメリットとして、収益性が高い点が挙げられます。ただし、開業に際しては旅館業法の適用が必要な場合があるため、許認可の確認が必須です。また、設備の維持・管理の手間がかかる点も考慮しましょう。

オートキャンプ場

オートキャンプ場とは、車ごと乗り入れできるキャンプ場のことです。テントのそばに駐車できるため、キャンパーは手軽に車からテントまで荷物を運べます。テント設営前に雨が降った場合でも、一時的に車に避難することが可能です。

オートキャンプ場を経営する場合、区画整備やインフラ整備を適切に行えば、比較的手間をかけずにスペースを貸し出せる点が主なメリットとして挙げられます。

キャンプ場の開業・経営に必要な許認可や資格

キャンプ場の形態によって、許認可が必要なケースはあります。

例えば、ロッジやコテージなどの施設を設けて、宿泊料を受ける場合は旅館業法上の許可が必要です。

また、キャンプ場で食材や料理を提供する場合に飲食店の食品衛生法に基づく飲食店営業許可や、アルコールを提供する場合には酒税法に基づく酒類の販売業免許を取得しなければなりません。

そのほか、キャンプ経営に必須ではないですが、キャンプインストラクターキャンプディレクターのようにキャンプの専門家としての資格を取得していれば、お客さまが安心して来場できるでしょう。

キャンプ場の新規開業資金の目安

キャンプ場の種類や取得する土地の広さによっても異なりますが、新規開業には800万円前後の費用がかかるといわれています。主な内訳は以下の通りです。

キャンプ場の新規開業資金の内訳
  • 不動産(土地)の取得代
  • 建設費(コテージ・バンガロー・管理棟など)
  • 備品購入費
  • 整地費用

すでに開けた土地で、手作業で整地可能であれば、数十万円程度の整地費用で済むでしょう。一方、重機を使う大規模な伐採が必要な際は、1,000万円以上の費用が発生する可能性があります。(金額については、依頼先によって異なるため、事前に確認が必要です)

また、運営には以下のような費用がかかります。

キャンプ場の運営資金の内訳
  • 人件費
  • 光熱費
  • 広告宣伝費
  • 土地や設備のメンテナンス費用

従業員の人数、敷地の広さや設備によって異なりますが、毎月少なくとも数十万円、そこそこの規模以上だと数百万円単位のランニングコストがかかる場合があります。

そのため、開業時には売上が不十分でも数カ月間運営できるくらいの資金を用意しておくのが望ましいでしょう。

キャンプ場での資金調達方法

キャンプ場での資金調達方法としては銀行や日本政策金融公庫から融資を受けるほか、投資家から出資を受けるといった方法が挙げられます。

また、レジャー産業という特性上、クラウドファンディングで特典を用意してキャンパーから資金を募るという方法も選択肢の一つです。さらに、地域振興という目的で、地元の企業や自治体とのパートナーシップを組んで運営するという方法もあります。

キャンプ場の開業に必要な届出・手続き

キャンプ場経営で新規開業に必要な作業の流れは、以下の通りです。

キャンプ場の開業に必要な届出・手続き
  1. キャンプ場のイメージやターゲットにするキャンパーの層を決める
  2. 運営するパートナーを探す
  3. 開業までのスケジュールを立てる
  4. 経営方法を決める
  5. 不動産会社が地域住民の協力を得ながら土地を探し、購入する
  6. 建設が必要な場合は建築会社と契約する
  7. 許認可を取得する
  8. SNSなどで集客を図る
  9. 開業する

なお、キャンプ場経営にかかる期間は種類や規模によってさまざまです。整備されていない土地を購入した場合、整備だけで半年以上かかるでしょう。

また、建築物を建てる際には建築確認申請、コテージなどの宿泊設備を設ける場合は旅館業許可、飲食店を設ける場合は飲食営業許可の取得や消防署への届出などの手続きが必要になる場合があります。

キャンプ場の主な収入源やランニングコスト

キャンプ場経営の主な収入源やランニングコスト、売り上げアップのコツなどを解説します。

主な売上・収入

キャンプ場経営で主な売上(収入源)となるのは、場所を貸し出すことで受け取るサイト利用料や駐車料です。そのほかにも、キャンプ場の種類によって以下の収入を得られます。

  • 備品・器具のレンタル料
  • 売店の売上
  • 体験料

グランピングの場合、数万円の宿泊料を得られるケースもあるでしょう。なお、集客できるかによって売上は大きく異なります。

必要になるコスト

キャンプ場経営では、初期費用以外にランニングコスト(運転費用・維持費用)もかかります。ランニングコストの内訳は、以下の通りです。

ランニングコストの内訳

キャンプ場経営は、一人での運営が難しいためスタッフを雇うのが一般的です。規模が大きければ、人件費の負担も大きくなるでしょう。

そのほか、オンライン上での予約受付を可能にする場合、システム管理料などが発生します。

売上を上げる方法、コストを抑える方法

キャンプ場経営で売上を上げるためには、初心者向けの施策を考えることがポイントです。

設備を充実させる、清潔感ある雰囲気を演出するなど、初心者を中心にアピールして裾野を広げれば、売上増につながります。

一方、コストを抑えるためには、集客にお金をかけすぎないことも大切です。ターゲットを絞らずに設備だけを導入しても、収益率が下がる可能性が高いでしょう。ターゲットやキャンプ場のコンセプトを踏まえ、売上アップやコスト軽減の方法を考えましょう。

実際の年収は?収益化は可能?

キャンプ場経営で得られる年収の情報は公開されていません。集客の工夫をして売上を上げて、コストを抑えて収益化すれば、高年収も期待できるでしょう。

ただし、キャンプ場の稼働できる期間が限定される点を理解したうえで、経営計画を立てることが大切です。エリアによっても異なりますが、冬季(12月〜翌年3月の4カ月間)は季節的に稼働が見込めません。冬季の稼働も検討する場合は、グランピング施設の導入を検討しましょう。

キャンプ場の開業に活用できる助成金・補助金

キャンプ場の開業では以下のような補助金・助成金が活用できます。

小規模事業者持続化補助金

小規模事業者持続化補助金は、中小企業や個人事業主が販路拡大や業務改善に取り組む際の経費の一部を支援する制度です。

申請時には事業計画書の提出が必要で、補助金額は最高50万円の範囲で経費の1/2までとなっています。

参考:小規模事業者持続化補助金|全国商工会連合会

IT導入補助金

IT導入補助金は、中小企業の生産性向上を目的に、ITツールの導入費用の一部を国が補助する制度です。申請には事業計画書の提出や、導入するツールの選定をします。補助率や上限金額は年度により異なりますが、一般的には数十万円~数百万円規模が目安です。助成金額は最大450万円の範囲で、ITツールの導入にかかった経費の1/2まで補助を受けられます。

参考:IT導入補助金|独立行政法人中小企業基盤整備機構

キャリアアップ助成金

キャリアアップ補助金は、非正規雇用者の正規雇用化や賃金改善、職業能力向上を支援する制度です。企業が実施する研修や処遇改善にかかる費用の一部が補助され、事業規模や取り組み内容に応じた上限額が設定されています。

参考:キャリアアップ助成金|厚生労働省

雇用調整助成金

雇用調整助成金は、経済状況の悪化などで一時的に業績が低迷した企業が、従業員の雇用維持を図るために休業や短縮勤務を行う際、その費用負担を軽減する目的で支給される制度です。

申請には、休業計画や事業再生計画などが必要で、中小企業の場合は従業員に支払った休業手当の2/3の額が助成されます。

参考:雇用調整助成金|厚生労働省

キャンプ場の開業に役立つひな形・テンプレート

マネーフォワード クラウドでは、ホテル・旅館の開業(会社設立)に役立つひな形やテンプレートを提供しています。下記リンクから無料でダウンロードできますので、自社に合わせてカスタマイズしながらご活用ください。

工夫次第で売上アップも!人気のキャンプ場を始めてみよう

キャンプ場経営とは、所有または借りた土地をキャンプ場として運営し、主に利用料や施設利用料、売店収益などを通じて収益を得る土地活用方法です。キャンプ場経営には、土地購入などの初期費用のほかに、人件費や水道光熱費などのランニングコストがかかります。

初心者にアピールして売上をアップさせれば、キャンプ場経営で収益化も可能です。気になる方は、土地探しから始めましょう。


※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。

※本サイトは、法律的またはその他のアドバイスの提供を目的としたものではありません。当社は本サイトの記載内容(テンプレートを含む)の正確性、妥当性の確保に努めておりますが、ご利用にあたっては、個別の事情を適宜専門家にご相談いただくなど、ご自身の判断でご利用ください。

関連記事