• 更新日 : 2025年11月25日

合同会社(LLC)設立時に必要な印鑑は?法人印鑑の種類や費用などを解説

株式会社だけでなく、合同会社を設立する際も印鑑が必要です。電子定款を用いてオンラインで登記申請する場合は印鑑の提出(届出)が任意となり不要ですが、設立後に各種取引や申請などさまざまな場面で印鑑を使うため、あらかじめ作成しておいたほうがよいでしょう。

本記事では、会社実印(代表者印)や銀行印など、合同会社設立時に必要な印鑑の種類や、登録方法について解説します。

そもそも合同会社設立時に印鑑は必要?

合同会社設立の登記申請を書面で行う場合、印鑑(会社実印)が必要です。申請時には、法務局へ「印鑑届出書」を提出し、会社代表者印(会社実印)を登録しなければなりません。この「印鑑届出書」には、合同会社の代表社員(代表者)個人の実印を押印し、その個人の印鑑証明書(作成後3か月以内のもの)を添付する必要があります。

法人印鑑の作成を含む、合同会社の設立は以下の流れで進められます。

合同会社の設立の流れ
  1. 社名や事業内容など基本事項を決定する
  2. 定款を作成する
  3. 法人印鑑を注文する
  4. 出資(金銭・現物出資)を履行する
  5. 設立の登記申請をする

設立にあたって、印鑑届出書や代表社員個人の印鑑証明書以外にも「出資にかかる払込・給付があったことを証明する書面」「登録免許税」「定款」などが必要です。 また、合同会社設立後は、税務署に「法人設立届出書」や「給与支払事務所等の開設届出書」等の届出書を提出しなければなりません。

参考:合同会社の設立手続について|法務省

広告

この記事をお読みの方におすすめのガイド4選

続いてこちらのセクションでは、この記事をお読みの方によく活用いただいている人気のガイドを簡単に紹介します。すべて無料ですので、ぜひお気軽にご活用ください。

※記事の内容は、この後のセクションでも続きますのでぜひ併せてご覧ください。

会社設立時に決めることチェックリスト

「会社設立時に決めることチェックリスト」では、会社設立の基本事項や、株式会社・合同会社別の決めることチェックリストなどを、1冊にまとめています。

図解でカンタンにまとめており、完全無料でダウンロードいただけます。

無料ダウンロードはこちら

補助金をまるっと理解!会社設立時の補助金ガイド

補助金の概要や各制度の内容に加え、会社設立直後の企業でも使いやすい補助金や実際の活用事例などについてまとめました。

「使えたのに知らなかった!申請が漏れてた!」といったことを防ぐためにも、会社設立時の資金調達方法の一つとしてお役立てください。

無料ダウンロードはこちら

法人成り手続きまるわかりガイド

初めて法人成りを考える方に向けて、法人成りの手続きや全体の流れ、個人事業の整理方法など、必要な情報をわかりやすくご紹介したガイドです。

多くの個人事業主の方にダウンロードいただいておりますので、ぜひお気軽にご利用ください。

無料ダウンロードはこちら

起業家1,040人への調査でひも解く!先輩起業家が一番困ったことガイド

マネーフォワード クラウド会社設立では、会社設立の経験がある方1,040名に対して、会社設立に関する調査を実施しました。

先輩起業家が悩んだ部分や、どのように会社設立を行ったかを、定量的に分析していますので、ぜひご活用ください。

無料ダウンロードはこちら

合同会社設立時に作成すべき法人印鑑の種類は?

合同会社設立時に作成すべき主な法人印鑑の種類や特徴を確認していきましょう。

法人印鑑

会社実印

会社実印(代表者印)とは、法人が本店所在地を管轄する法務局(登記所)に登録した印鑑のことです。一般的に、丸い形状で外側に会社名、内側に「代表者印」といった役職名が彫られているのが特徴です。

合同会社の場合、株式会社の「代表取締役印」に相当する印鑑として、「代表社員之印」と彫るケースが多く見られます。

この表記は法令で定められたものではありませんが、登記上の代表者(代表社員)を示す印鑑として広く使われており、合同会社の設立登記(書面申請の場合)や、重要な契約書、公的機関への提出書類などに押印する際に使用されます。

会社実印の登録方法

会社実印(代表者印)は、法務局(登記所)に「印鑑届出書」を提出して登録します。書面で登記申請する場合は、設立登記申請書と一緒に印鑑届出書を提出します。

オンライン申請の場合でも、設立後に印鑑登録だけを法務局の窓口で行うことが可能です。印鑑届出書には、登録する会社実印と、代表社員個人の実印を押し、代表社員個人の印鑑証明書(発行から3ヶ月以内)を添付する必要があります。

印鑑カードの取得

会社実印を法務局に登録すると、「印鑑カード」の交付を申請できるようになります。会社の印鑑証明書(印鑑登録証明書)を取得する際には、この印鑑カードが必要になるため、必ず発行しておきましょう。

銀行印

銀行印とは、会社が取引する金融機関に口座開設時に届け出た印鑑のことです。会社の銀行口座から出金時や、小切手・手形の振り出しなど、金融取引に関わる場面で使用します。

形状は丸いものが一般的で、外側に会社名、内側に「銀行之印」と彫られたものを使うケースが多く見られます。会社実印を銀行印として兼用することも可能ですが、盗難・偽造リスクを分散させるため、別々に作成しておいた方がよいでしょう。

角印

角印とは、会社名を彫刻した四角い形状の印鑑のことです。会社印・社印とも呼ばれ、主に領収書請求書見積書など、日常的な業務で発行する書類に押印するのが一般的です。

会社実印や銀行印とは異なり、法務局(登記所)や銀行に届け出る印鑑ではありません。そのため、公的書類や契約書には通常使用しません。ただし、会社の大切な印鑑であることに変わりはないため、盗まれたり悪用されたりしないよう厳重に保管しましょう。

ゴム印

上記3つの印鑑のほか、ゴム印も作成しておくと便利です。ゴム印は、会社の住所、会社名、代表社員の氏名、電話番号などが組み合わさったスタンプタイプの印鑑です。契約書や領収書、封筒などに手書きで記入する手間を省けるため、事務作業の効率化につながります。

法人印鑑セットの利用もおすすめ

印鑑を作成する際、会社実印・銀行印・角印の3本がセットになった「法人印鑑セット」を選ぶと便利です。セットで購入することで、個別に注文するよりも費用を抑えられたり、印鑑ケースが付属したりする場合があります。素材や書体を統一できるため、会社の印鑑としての一体感も出せるでしょう。

合同会社設立時の印鑑の費用相場は?

法人印鑑の費用相場は、素材やセット内容によって大きく異なります。ここでは、マネーフォワード クラウド会社設立で購入できる印鑑の金額を紹介します。

  • 柘(ツゲ)など:4,980円(税・送料込)
  • 黒水牛:10,500円(税・送料込)
  • チタン:33,340円(税・送料込)

参考:マネーフォワード クラウド会社設立では、設立する会社の印鑑を購入できます。

合同会社設立時の印鑑サイズや書体、素材は?

法人印鑑の書体や素材に厳密な決まりはありませんが、会社実印については法務局に登記する際の規定サイズが定められています。一般的な例を紹介します。

  • サイズ:会社実印は、一辺が1cmを超え、3cm以内の正方形に収まるものと規定されています。一般的には18.0mmの丸印がよく使われます。銀行印は実印と区別するため少し小さい16.5mm、角印は21.0mmや24.0mmといったサイズが一般的です。
  • 書体:偽造されにくい「篆書体」や「印相体」が好まれます。
  • 素材:耐久性の高い「チタン」や「黒水牛」、「柘(つげ)」などが人気です。

電子定款で登記する場合は印鑑が不要?

法人設立をオンラインで申請する際に、法務局(登記所)への印鑑提出(届出)は任意となりました。そのため、オンラインで登記申請を行う場合は、会社実印や代表社員個人の印鑑証明書は原則として不要です。

また、定款をPDF形式に変換した電子定款を添付して登記できます。紙の定款と異なり、電子定款で登記する場合は収入印紙(4万円)の貼付が不要となる点が大きなメリットです。

ただし、合同会社設立時にオンライン申請をすれば印鑑の作成自体が不要になるわけではありません。設立後、取引先との契約や金融機関への融資申し込み、官公庁への書類提出など、依然として印鑑が必要になる場面は多くあります。

そのため、合同会社設立のタイミングにあわせて印鑑を作成しておいた方が、その後の業務がスムーズに進むでしょう。

参考:商業登記規則が改正され、オンライン申請がより便利になりました(令和3年2月15日から)|法務省合同会社の設立の登記をしたい方(オンライン申請)|法務局合同会社の設立の登記申請(オンライン申請)に必要な添付書面情報|法務局

合同会社の印鑑作成についてよくある質問

最後に、合同会社の印鑑作成に関してよくある質問をまとめました。

合同会社の印鑑はいつまでに作成すべき?

合同会社の印鑑は、設立登記申請前までに作成しておくのが理想です。特に書面で申請する場合、法務局へ登録する会社実印(代表者印)が必須だからです。

登記申請までに手元にある状態にしておきましょう。オンライン申請で印鑑届出をしない(不要な)場合でも、設立後の銀行口座開設や契約ですぐに必要となるため、設立準備と並行して注文するのがスムーズです。

合同会社の代表社員が複数いる場合の印鑑はどうなる?

合同会社の代表社員が複数いる場合でも、会社実印として法務局に登録できる印鑑は、代表社員のうちの1人が届け出る1つの印鑑のみです。合同会社では定款で代表社員を複数定めることも可能ですが、複数の代表社員がそれぞれ別の印鑑を登録することはできません。

合同会社設立時も印鑑は作成しておこう

2021年の商業登記規則改正により、オンラインで会社設立の登記申請をする場合、登記所(法務局)への印鑑提出は任意となりました。

ただし、書面で法人設立の登記を申請する際には、依然として会社実印(代表者印)の登録と、代表社員個人の印鑑証明書が必要です(印鑑届出書を提出します)。

また、オンラインで申請した場合でも、設立後に取引先との契約や官公庁への書類提出、銀行口座の開設など、さまざまな場面で印鑑を求められるケースがまだ多くあります。

株式会社だけでなく、合同会社を設立する場合でも、業務をスムーズに進めるために「会社実印」「銀行印」「角印」の3種類は、設立のタイミングで用意しておくことをおすすめします。これらをまとめて注文できる「法人印鑑セット」の利用や、事務作業を効率化する「ゴム印」の作成も検討しましょう。


※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。

※本サイトは、法律的またはその他のアドバイスの提供を目的としたものではありません。当社は本サイトの記載内容(テンプレートを含む)の正確性、妥当性の確保に努めておりますが、ご利用にあたっては、個別の事情を適宜専門家にご相談いただくなど、ご自身の判断でご利用ください。

印鑑の関連記事

新着記事