• 更新日 : 2026年3月13日

出資金と資本金の違いは?会社設立時に損しない決め方と節税のポイントを徹底解説

Point出資金と資本金の違いまとめ

出資金は「事業の元手となる金銭等の総額」、資本金はそのうち「登記し純資産として確定させた金額」です。

  • 出資金は「資産」、資本金は「純資産」に計上
  • 出資額の半額までは「資本準備金」に可能
  • 資本金1,000万円未満なら消費税免税も

出資金は、全額資本金にする必要はありません。会社法上、出資額の1/2までは資本金にせず「資本準備金」としてプールでき、あえて資本金を抑えることが節税対策になります。

出資金と資本金は、一見同じ事業の元手に見えますが、法律上の定義や税務面、そして会計処理においては明確に区別されます。

本記事では、この2つの用語の定義から、資本金の額によって変わる節税メリット、融資への影響までを詳しく解説します。創業時の資金計画で失敗しないための判断基準としてご活用ください。

出資金と資本金の違いは?

出資金は実際に集まったお金そのものを指し、資本金はその中から対外的な信用力として登記した金額を指します。

まずは以下の比較表で、全体像とそれぞれの役割を把握しましょう。

項目出資金資本金
定義発起人や投資家から会社に提供された財産・金銭の総額出資金のうち、登記簿に記載され事業の元手として確定した金額
主な用途会社の設立資金、設備投資、運転資金会社の信用力の証明、許認可取得の要件
会計上の扱い現金預金などの「資産」として着金純資産の部(株主資本)に計上
法的ルール出資された資金の用途については特段の制限はない出資金全額を資本金にするのが原則だが例外あり。会社法に基づき金額を確定し、法務局へ登記する必要がある

出資金とは?

出資金とは、会社設立や増資の際に、発起人(創業者)や投資家が事業のために提供する金銭や財産のことです。

会社にとっては、事業活動を行うための最初のキャッシュ(現金)となります。金銭だけでなく、不動産や車両、有価証券などで出資する「現物出資」も出資金に含まれます。

  • 返還義務:原則として返済義務はありません。
  • 資金使途:会社の運転資金や設備投資など自由に使えます。

資本金とは?

資本金とは、払い込まれた出資金のうち、会社法に基づき法務局へ登記し、会社の「純資産」として確定させた金額を指します。

会社設立時に集まった出資金は、原則として全額が資本金となります。しかし、会社法(第445条)の規定を活用することで、出資金の全額を資本金にせず、出資金の2分の1を上限に資本準備金として計上することが可能です。

参考:会社法|e-Gov法令検索

出資金と資本金の関係式

出資金の全額を資本金にする必要はありません。出資金の2分の1を超えない額を「資本準備金」として計上することができます。

計算式で表すと以下の関係になります。

出資金 = 資本金 + 資本準備金

例えば、投資家から 2,000万円の出資金 を集めた場合、以下のような配分が可能です。

  • パターンA:資本金 2,000万円
  • パターンB:資本金 1,000万円 + 資本準備金 1,000万円

このように、出資金の総額を変えずに、登記上の資本金を調整することは、会社設立時の重要な節税・財務戦略となります。

広告

この記事をお読みの方におすすめのガイド4選

続いてこちらのセクションでは、この記事をお読みの方によく活用いただいている人気のガイドを簡単に紹介します。すべて無料ですので、ぜひお気軽にご活用ください。

※記事の内容は、この後のセクションでも続きますのでぜひ併せてご覧ください。

会社設立時に決めることチェックリスト

「会社設立時に決めることチェックリスト」では、会社設立の基本事項や、株式会社・合同会社別の決めることチェックリストなどを、1冊にまとめています。

図解でカンタンにまとめており、完全無料でダウンロードいただけます。

無料ダウンロードはこちら

補助金をまるっと理解!会社設立時の補助金ガイド

補助金の概要や各制度の内容に加え、会社設立直後の企業でも使いやすい補助金や実際の活用事例などについてまとめました。

「使えたのに知らなかった!申請が漏れてた!」といったことを防ぐためにも、会社設立時の資金調達方法の一つとしてお役立てください。

無料ダウンロードはこちら

法人成り手続きまるわかりガイド

初めて法人成りを考える方に向けて、法人成りの手続きや全体の流れ、個人事業の整理方法など、必要な情報をわかりやすくご紹介したガイドです。

多くの個人事業主の方にダウンロードいただいておりますので、ぜひお気軽にご利用ください。

無料ダウンロードはこちら

起業家1,040人への調査でひも解く!先輩起業家が一番困ったことガイド

マネーフォワード クラウド会社設立では、会社設立の経験がある方1,040名に対して、会社設立に関する調査を実施しました。

先輩起業家が悩んだ部分や、どのように会社設立を行ったかを、定量的に分析していますので、ぜひご活用ください。

無料ダウンロードはこちら

会計上の出資金と資本金の違いは?

出資金は実際に払い込まれた資金そのものを指していて、会計上の「資産」であり、資本金はその出処を示す「純資産」です。

会計ソフトに入力する際、借方と貸方で明確に分かれます。

  • 借方(資産の部):現金預金
  • 貸方(純資産の部):資本金

仕訳のイメージは以下の通りです。

借方貸方
現金預金1,000万円資本金1,000万円

法人形態による出資金の違いは?

出資金に対する権利は、会社形態によって異なります。

株式会社「所有と経営の分離」

株式会社の最大の特徴は、お金を出す人(株主)と、会社を経営する人(取締役)が別人でも良いという「所有と経営の分離」です。

出資者(株主)は、お金を出して「議決権」や「配当請求権」を得ますが、経営そのものは取締役に任せるのが原則です。

参考:第1節 企業の所有と経営の分離|内閣府

合同会社「所有と経営の一致」

合同会社では、出資者(社員)がお金を出すと同時に自ら経営権を持ちます。

株式会社は「出資額」に応じて配当が決まりますが、合同会社は定款で自由に配当の分配割合を決めることができる柔軟性があります。

出資金と資本金の法的拘束力の違いは?

出資金(現金)は事業のために消費されることが前提ですが、資本金は債権者を守るための「拘束された財産」として維持が義務付けられています。

資本維持の原則

会社法には「資本金として登記した金額相当の財産は、会社の中に確保しておかなければならない」という考え方があり、資本金は配当の原資にならないよう記載されています。銀行や取引先にとって、返済義務のない資本金は会社の安全性を測る担保となるからです。

減資の厳格さ

出資金(現金)を給与支払いや家賃に使って残高が減っても、何の手続きも必要ありません。 しかし、登記された「資本金の額」を減らす(減資する)には、「株主総会の特別決議」や、官報公告による「債権者保護手続き」といった厳格な手続きが必要です。

資本金・出資金が企業の経営に与える影響は?

出資金を資本金へどのように割り振るかによって、税負担や資金調達の難易度が変わります。ここでは経営への具体的な影響を解説します。

税務への影響(消費税・法人税)

「登記された資本金の額」で金額が変わる税金も多いため、出資金の一部を資本準備金に回して資本金額を抑えることで、大きな節税メリットを受けられます。

消費税免税のボーダーライン(1,000万円未満)

設立時の資本金が1,000万円未満の場合、会社設立から最大2年間、消費税の納税義務が免除される特例があります。一方で、資本金が1,000万円以上で設立した場合は、初年度から消費税の課税事業者に該当します。

インボイス制度や特定期間の売上要件等による例外もあるため、税理士や税務署へ確認されることをおすすめします。

参考:No.6501 納税義務の免除|国税庁インボイス制度について|国税庁

法人税率と中小企業特例(1億円以下)

資本金が1億円以下の中小法人は、税制上の優遇措置を受けられます。

  • 軽減税率の適用:年800万円以下の所得部分について、法人税率が本来の23.2%から15%に引き下げられます。
  • 交際費の損金算入:年間800万円までの交際費を全額経費(損金)にできます。
  • 法人住民税の均等割:赤字でも支払う「均等割」の金額は資本金額で決まるため、資本金が少ないほうが安くなります。

参考:No.5759 法人税の税率|国税庁

資金調達・融資への影響

銀行融資においては、「資本金の額」だけでなく「出資金(自己資金)の総額」が評価されます。

創業融資(日本政策金融公庫など)では、融資希望額に対して一定割合の「自己資金」が必要です。 この際、節税のために登記上の資本金を低く設定していても、決算書などで「資本準備金(=出資金の一部)」としてしっかり会社にお金が入っていることが確認できれば、融資審査上のマイナスにはなりにくい傾向があります。

重要なのは「登記額(資本金)」だけではなく、「実際に会社に返済不要な元手(出資金)がいくらあるか」だからです。

参考:創業融資のご案内|日本政策金融公庫

会社設立時の資本金の額を決める方法は?

適切な資本金額を決定するには、初期費用・税金・許認可の3つの要素を順に確認するプロセスが有効です。以下のステップに沿って、出資金のうちいくらを資本金に設定するかを検討してください。

STEP1. 初期費用と運転資金の算出

まず、事業開始から売上が安定して入金されるまでの期間(通常3〜6ヶ月分)に必要な資金を計算します。

  • 設備投資費(PC、内装、車両など)
  • 固定費(家賃、人件費)
  • 仕入れコスト

この総額が、最低限用意すべき「出資金」の目安となります。

STEP2. 許認可要件の確認

業種によっては、事業許可を得るために自己資本等の金額の制限が法律で定められています。この要件がある業種では、節税よりも許可取得が優先されます。

  • 一般建設業:自己資本(※1)500万円以上
  • 有料職業紹介事業:基準資産額(※2)500万円以上
  • 労働者派遣事業:基準資産額(※2)2,000万円以上

(※1)資産の総額から負債の総額を差し引いた金額
(※2)資産(繰延資産及び営業権を除く)の総額から負債の総額を控除した額

この要件がある業種では、節税よりも許可取得が優先されます。

許認可が必要なビジネスを行う場合は、この金額も満たすように資本金の額を決める必要があります。

STEP3. 節税ラインとの調整

STEP1と2で算出した金額をもとに、税務上のボーダーライン(1,000万円)と比較して最終調整を行います。

  • ケースA:必要資金が800万円
    そのまま資本金800万円に設定(消費税免税、法人住民税も安価)
  • ケースB:必要資金が1,500万円
    資本金900万円 + 資本準備金600万円に設定 これにより、1,500万円の資金を確保しつつ、消費税免税メリット(資本金1,000万円未満)を享受できます。

会社設立時の出資金・資本金に関する悩みとは?

株式会社マネーフォワードは、会社設立の経験がある方を対象に、設立手続きや起業後の悩みに関する調査を実施しました。

調査結果では、会社設立の手続きにおいて最も大変さを感じたのは「申請書類の作成」で、48.7%でした。次いで、「会社設立のやり方・手続きを調べること」が44.9%、「会社の基礎情報を決定すること(定款内容など)」が37.5%でした。出資金や資本金の額をいくらにするかといった基礎情報の決定は、多くの方が設立準備の中で難しさを感じている部分です。

さらに、会社設立直後から1年後までに、最も頭を悩ませた項目についても調査を行いました。最も頭を悩ませたのは「資金繰り・資金調達」で、37.5%でした。資本金の設定は、会社設立後の銀行融資や資金調達の難易度にも影響を与えるため、設立前から適切な金額を慎重に検討することが重要であると読み取れます。

出典:マネーフォワード クラウド、先輩起業家が一番困ったことは?【会社設立の意思決定調査】(回答者:会社設立の経験がある方1,040名、集計期間:2024年1月)

出資金と資本金に関するよくある質問(FAQ)

会社設立時によくある疑問をQ&A形式でまとめました。

資本金を後から増やすことはできますか?

はい、可能です。 事業拡大や融資対策のために、後から株式を追加発行して「増資」を行うことができます。ただし、登記変更の手続きが必要となり、登録免許税(最低3万円〜)などのコストが発生します。

現金以外も出資金にできますか?

はい、「現物出資」として認められます。 金銭以外の不動産、車両、PC、有価証券などを資本金に組み入れることが可能です。ただし、資産価値の証明が必要となる場合があるため、定款への記載や調査などの手続きが通常より複雑になります。

資本金1円でも会社は作れますか?

会社法上は可能ですが、実務上のデメリットが大きいため推奨されません。 1円会社は法的には問題ありませんが、銀行口座が開設できない、融資が受けられない、取引先と契約できないといった信用面での問題が生じやすくなります。最低でも100万円〜300万円程度の設定が一般的です。

会社設立時の出資金と資本金の考え方を理解しよう

本記事では、混同しやすい「出資金」と「資本金」の違いについて、法務・会計・経営の視点から解説しました。

会社設立においては、単に「出資金全額を資本金にする」と決めるのではなく、「必要な資金(出資金)を集め、その中から税金や信用のバランスを見て最適な額を資本金として設定する」という視点が成功への近道です。

特に資本金1,000万円の壁や許認可要件は事業のスタートダッシュに大きく影響するため、税理士や司法書士と相談しながら慎重に決定することをおすすめします。


※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。

※本サイトは、法律的またはその他のアドバイスの提供を目的としたものではありません。当社は本サイトの記載内容(テンプレートを含む)の正確性、妥当性の確保に努めておりますが、ご利用にあたっては、個別の事情を適宜専門家にご相談いただくなど、ご自身の判断でご利用ください。

資本金の関連記事

新着記事