- 更新日 : 2026年8月20日
定款の原本証明が必要になる場面と作成方法
定款の原本証明とは、定款のコピーに「原本と相違ありません」と記載し、会社名・代表者名・日付・代表者印を添えて会社自身が証明する手続きです。
- 許認可・口座開設・補助金申請で必要になる
- 定款変更後は現行定款の写しを使用する
- 電子定款は公証役場で定款謄本を取得する
Q. 定款の原本証明はどうやって作成する?
A. 定款のコピー最終ページに「この写しは原本と相違ありません」と記載し、証明日・会社所在地・会社名・代表者氏名を記入して代表者印を押印します。
許認可申請などを行う際に「定款の写しについては、原本証明が必要となります。」という指示が出ている場合があります。定款の原本証明とはどのようなものかを解説し、定款の原本証明が必要になる場面や定款の原本証明の作成方法についても紹介していきます。
定款の原本証明が果たす役割は?
定款の原本証明は、提出する定款の写しが原本と同じ内容であることを示すために行います。会社設立後の各種手続きでは、定款そのものではなくコピーを提出する場面も多いため、原本証明を付けることで書類の信用性を補う役割があります。
定款の写しが原本と同一であることを証明する
定款の原本証明とは、定款のコピーに対して「この写しは原本と相違ありません」と記載し、会社名、代表者名、日付などを添えて証明することです。つまり、提出先に対して「この定款は会社で保管している原本と同じ内容です」と示す役割があります。
会社設立後は、金融機関での法人口座開設、許認可申請、補助金申請、取引先への提出などで定款の写しを求められることがあります。その際、コピーだけでは、内容が改ざんされていないか、最新の定款なのかを提出先が判断しにくい場合があります。原本証明を付けることで、会社側が内容の正確性を確認した書類として扱いやすくなります。
ただし、原本証明を付ければ必ずすべての手続きで有効になるわけではありません。提出先によっては、公証役場で認証された定款、登記簿謄本、履歴事項全部証明書などを別途求められることもあります。そのため、原本証明は「定款の写しの信頼性を高める手段」であり、提出先の要件に合わせて使うことが重要です。
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定款の原本証明が必要になる場面は?
行政機関等への書類申請
助成金の申請や許認可申請などで、申請書類と共に定款原本の提出を求められる場合があります。定款の写しを原本証明とセットにして提出するだけでなく、原本と相違ないか受領時に確認する場合があります。
受付窓口に直接申請する場合は、定款原本確認後ただちに返却してもらうことになりますが、郵送によって申請を行なう場合は返信用封筒を同封しなければならない場合があるため、どのように対応すればよいか申請先に確認するようにしましょう。
金融機関との取引
金融機関によりますが、法人口座を開設する場合に定款の提出を求められることがあります。口座開設以外にも、一定金額を超える大口取引を行なう場合や、貸金庫サービス契約時にも「取引時確認」として提出することがあります。
定款は公証人による認証を受けた「原始定款」と、株主総会の特別決議で変更することになった「現行定款」があります。株式会社の設立時に作成する「原始定款」は、公証人の認証を受けなければ効力を生じません。「定款認証」は、定款が正当な手続きによって作成されたことを証明し、設立後の紛争や不正な会社設立を防止するための手続きです。一方、会社成立後の定款変更には、通常、公証人による再認証は必要ありません。
公証人による認証を受けていない「現行定款」も法的な効力は認められていますが、公証人の署名が入った「原始定款」の提出を求められることがあります。原始定款の提出を求められた場合に備えて、適切に管理するようにしましょう。
税務署への法人設立届出書
会社を設立登記して2か月以内に、本店所在地を管轄する税務署へ「法人設立届出書」を提出しなければなりません(法人税法第148条)。2026年8月現在、添付書類として求められているのは、定款、寄附行為、規則または規約の写しです。書面で提出する場合は原則として1部ですが、調査課所管法人は2部提出します。税務署への法人設立届出書の添付書類の場合は、「写し」しか記載されておらず原本証明が必要である旨の記載はないため、原本証明をする必要はありません。
定款の提出を求められた場合であっても、必ずしもすべての定款に原本証明が必要ではないため、十分に確認する必要があります。
原本証明付き定款・定款謄本・履歴事項全部証明書の違いは?
原本証明付き定款、定款謄本、履歴事項全部証明書は、いずれも会社に関する確認資料として使われます。ただし、証明する内容と発行・作成する主体が異なります。
【原本証明付き定款】「会社が保管する定款の写し」を証明する書類
原本証明付き定款は、会社が保管している定款のコピーに「原本と相違ない」旨を記載し、会社名、代表者名、日付などを添えて証明した書類です。会社自身が作成するため、提出先に対して「この写しは会社で保管している定款と同じ内容です」と示す役割があります。
【定款謄本】「公証役場で認証された定款の内容」を証明する書類
定款謄本は、公証役場で認証を受けた定款の内容を確認するための書類です。株式会社の設立時に作成した原始定款や、電子定款の内容を証明する場面で使われます。電子定款の場合、PDFを印刷したものではなく、公証役場から取得した定款謄本を求められることがあります。
【履歴事項全部証明書】「法務局に登記された会社情報」を証明する書類
履歴事項全部証明書は、法務局で取得する登記事項証明書の一種です。商号、本店所在地、会社成立年月日、目的、資本金の額、役員などの現在の登記事項に加え、一定期間内に変更・抹消された登記事項を確認できます。ただし、会社設立以降のすべての変更履歴が記載されるわけではなく、古い履歴については閉鎖事項証明書などが必要になる場合があります。
迷ったときは「定款の内容」か「登記情報」かで判断する
原本証明付き定款と定款謄本は、どちらも定款の内容を確認するための書類です。履歴事項全部証明書は、法務局に登録された会社情報を確認するための書類です。
提出先から「定款」の提出を求められた場合は、現行定款、原本証明付き定款、公証人の認証を受けた原始定款の謄本のうち、どれが必要なのかを確認しましょう。「登記事項証明書」と指定された場合も、履歴事項全部証明書や現在事項全部証明書など、必要な証明書の種類を確認することが大切です。
定款の原本証明のやり方は?
定款の原本証明は、提出先に出す定款の写しが原本と同じ内容であることを会社側が示す手続きです。基本的には、必要な定款を確認し、コピーを用意し、証明文・日付・会社情報・代表者名を記載して提出します。電子定款の場合は、公証役場で同一情報の提供を受けるケースもあります。
1. 提出先が求める定款の種類を確認する
まず、提出先が「現行定款」を求めているのか、「原始定款」を求めているのかを確認します。現行定款とは、現在有効な内容に更新された定款のことです。設立後に目的、商号、本店所在地、事業年度などを変更している場合は、変更後の内容を反映した定款を用意します。設立後に一度も定款を変更していない場合は、原始定款がそのまま現行定款になります。
2. 定款のコピーを作成して証明文を記載する
必要な定款を用意したら、提出部数に応じてコピーを作成します。そのうえで、最終ページの余白などに「この定款の写しは、原本と相違ないことを証明する。」と記載します。あわせて、証明日、会社所在地、会社名、代表者氏名を記載し、代表者印を押印するのが一般的です。提出先によっては、押印ではなく代表者の署名で足りる場合もあります。
3. 製本や押印の要否を提出先に確認する
原本証明の形式は、提出先によって細かい指定が異なります。複数ページの定款では、ホチキス留めや袋とじ、契印を求められる場合があります。また、会社実印の押印が必要な場合もあれば、認印や署名で足りる場合もあります。形式が違うと再提出になる可能性があるため、申請窓口や提出先の案内で事前に確認しておくことが重要です。
4. 電子定款の場合は同一情報の提供を請求する
電子定款で設立した場合、PDFを印刷しただけでは提出先が求める書類として扱われないことがあります。この場合は、公証役場に「同一の情報の提供」を請求し、電子定款の内容と同一であることが確認できる定款謄本を取得します。同一の情報の提供手数料は1通700円で、書面交付の場合は1枚につき20円が加算されます。たとえば定款5枚に認証文1枚を加える場合は、700円+20円×6枚で820円です。
定款変更後に原本証明をする場合の注意点は?
定款変更後に原本証明をする場合は、設立時の原始定款ではなく、変更内容を反映した現行定款を用意することが重要です。古い内容の定款に原本証明を付けて提出すると、現在の会社情報と一致せず、書類の差し戻しや追加確認につながるおそれがあります。
定款変更後は最新内容を反映した現行定款を使う
定款変更後に原本証明をする場合は、まず提出する定款が現在有効な内容になっているかを確認します。商号、本店所在地、事業目的、発行可能株式総数、事業年度などを変更している場合、設立時の原始定款のままでは実態と合わないことがあります。
原本証明は「この写しは原本と相違ありません」と会社が証明する手続きです。古い定款の写しに原本証明を付けても、現在の会社内容を証明する書類としては不十分になる場合があります。提出先が現行定款を求めている場合は、変更後の内容を反映した定款を作成し、その写しに原本証明を付けます。
また、定款変更の内容によっては、株主総会議事録や登記事項証明書との整合性も確認が必要です。特に商号や本店所在地、目的など登記事項に関わる変更では、定款、議事録、登記内容が一致していないと提出先から確認を求められる可能性があります。
提出前には、定款の内容が最新か、変更決議の記録が残っているか、登記情報と矛盾していないかを確認しておくことが大切です。
電子定款なら原本証明もスムーズに対応可能
電子定款で設立した会社でも、会社が保管する現行定款の写しに原本証明を付けることは可能です。また、提出先から、設立時に認証を受けた電子定款について公証役場の証明が付いた書面を求められた場合は、公証役場へ「同一の情報の提供」を請求します。いずれも、紙の定款よりスムーズに対応できるケースが多いでしょう。
また電子定款の最大の利点は、デジタルデータとして管理できることです。許認可申請や金融機関との取引で頻繁に原本証明が必要になる企業では、電子定款のバックアップを社内で適切に管理することで、必要時に即座に対応できます。定款変更があった場合も、変更履歴をデジタルで管理できるため、現行定款と原始定款の区別が明確になります。
さらに、電子定款は設立時の印紙税4万円が不要なため、その節約分で将来の原本証明請求費用を十分に賄えます。
マネーフォワード クラウド会社設立の利用者へのアンケートによると、電子定款の利用者は98.07%(紙定款の利用者は1.93%)というデータがあります。
出典:マネーフォワード クラウド会社設立、利用後のユーザー様へのアンケート(回答者:1449名、集計期間:2022年7月~2025年9月)
定款の原本証明は提出先の要件を確認して正しく作成しよう
定款の原本証明は、提出する定款の写しが会社で保管している原本と同じ内容であることを示すために行います。許認可申請、金融機関との取引、補助金申請などで求められる場合がありますが、定款の提出が必要な場面でも、必ず原本証明が必要とは限りません。
作成する際は、提出先が原始定款を求めているのか、現行定款を求めているのかを確認することが重要です。定款変更後は、最新内容を反映した現行定款を用意し、登記情報や株主総会議事録との整合性も確認します。
また、電子定款の場合は、PDFを印刷しただけでは足りず、公証役場で取得する定款謄本が必要になるケースもあります。原本証明付き定款、定款謄本、履歴事項全部証明書は役割が異なるため、提出先が何を確認したいのかを見極めて、適切な書類を準備しましょう。
よくある質問
定款の原本証明が果たす役割とは?
定款原本をコピーした「定款の写し」に対して「原本証明」を付加することによって、同義であるとしたものが、定款の原本証明の役割です。詳しくはこちらをご覧ください。
定款の原本証明が必要になる場面は?
行政機関等への書類申請の場面、金融機関との取引の場面、税務署への法人設立届出書の場面などです。詳しくはこちらをご覧ください。
定款の原本証明で必要なものは?
定款の原本証明を求められた場合には、原則として「現行定款」が必要になります。詳しくはこちらをご覧ください。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
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