- 作成日 : 2025年7月18日
40代女性が起業で成功するには?成功例から学ぶポイントを解説
40代での起業は、豊かな人生経験やキャリアを活かせる絶好のタイミングです。本記事では、「成功とは何か?」という視点から、経済的自立・自分らしい働き方・社会貢献という3つの観点で解説を行い、事業を軌道に乗せた女性たちの事例を紹介します。(なお、事例には現在40代の女性起業家・起業時に40代だった女性の場合のどちらも含みます。)
目次
40代女性の起業における「成功」とは?
40代で起業する女性たちにとって、「成功」は売上や事業拡大だけを指すものではありません。ライフステージやキャリアの背景、価値観によって、その定義は多様です。ここでは、3つの観点から「成功」とされる状態を解説します。
経済的な自立と安定を実現している
40代女性起業家は、家庭を持ちながらも自らの収入を確保したいという思いから独立を選択する場合が多いです。そのため、安定した売上と利益を得て、生活費や教育費、老後資金を自力でまかなえる状態は「成功」として位置づけられます。家計の一部を担う立場にある場合、事業から安定収入が得られることは精神的な安心感にもつながります。また、事業が軌道に乗り、従業員を雇用できるようになると、地域経済への貢献も加わり、社会的にも価値ある成果といえます。
自分らしい働き方・生き方を実現している
40代女性の多くは、子育てや介護など家族との関わりが深まる時期にあります。そのなかで、「時間や場所に縛られない柔軟な働き方を実現できた」こと自体が、事業の成否以上に大きな達成感につながる場合もあります。たとえば、在宅勤務や週3日稼働などライフスタイルに合わせた働き方を選べること、また自分の得意な分野や関心のあるテーマで事業を進められることは、仕事と人生を統合的に楽しむという意味での「成功」と捉えられています。
社会的な評価や他者への貢献がある
自身のビジネスを通して社会課題の解決に寄与したり、地域住民や顧客から感謝の声を受けたりすることも、女性起業家にとって大きなやりがいとなります。売上が大きくなくても、困っている人の役に立てた実感や、同じように挑戦する女性たちへのロールモデルとなれたという実感が、「成功体験」として認識されることがあります。近年では、講演やメディア出演、表彰などを通じて影響力を発揮する起業家も増えており、社会的承認もまた一つの成功の形といえるでしょう。
女性の起業成功事例①:子育てママが立ち上げた小規模保育園
東京都墨田区で小規模保育施設「ちゃのま保育園」を立ち上げた宮村柚衣さんのケースは、女性による社会的意義の高い起業成功例です。育児中の不便を出発点に、地域の課題解決と持続可能な事業経営を両立させたその歩みを紹介します。
保育園不足を自らの手で解決しようとした原点
宮村柚衣さんが「ちゃのま保育園」を設立しようと考えたきっかけは、自身の子どもを保育園に預けられなかった経験でした。
「保育園がないなら自分で作るしかない」という思いから、2014年頃より開園の準備を始めました。彼女は過去に司法書士事務所の立ち上げに関わった経験があり、新しい仕組みをゼロから構築することに強い関心と適性を持っていました。「子育て中の母親」としてではなく、事業を計画し、実行に移せるスキルを持っていたことが、成功の第一歩でした。
行政や地域と連携し、信頼される保育園を目指した
開園に向けて宮村さんは墨田区役所に相談を重ね、制度面の支援や認可の手続きについて理解を深めていきました。また、物件オーナーや地域住民にも丁寧な説明を行い、地域に歓迎される保育園づくりに努めました。職員の採用にはハローワークを活用し、信頼できる人材を一人ずつ集め、チームを構築していきます。2015年に開園した「ちゃのま保育園」は、0~2歳児19人の定員に対し、国の定める最低配置基準を大きく上回る保育士体制で運営されており、子ども一人ひとりに丁寧に向き合う保育を可能にしています。
経営と理想の両立に向けた柔軟な発想と実行力
事業を進める中で、宮村さんは「理想的な保育」と「経営効率」の両立という壁にも直面しました。当初はすべてを自ら管理・指導していたものの、「従業員満足なくして顧客満足なし」という気づきを得て、経営スタイルを見直します。園長職を保育士に委ねるという思い切った方針転換を行い、自身は経営と支援に注力する立場へ移行しました。その結果、職員同士のチームワークも向上し、園の運営はより安定的かつ活気あるものとなりました。こうした取り組みは保護者からの信頼にもつながり、地域に根ざした保育園としての評価を確立しています。
このように、宮村さんの起業は「自らの課題を事業として解決する」発想から始まり、地域社会との連携、従業員を尊重した経営判断へと発展しました。東京都の認証保育所制度という公的制度を適切に活用し、待機児童の解消にも貢献している点からも、持続性のある社会的意義を持つ起業モデルと言えます。
参考:ちゃのま保育園
参考:「合同会社はひぷぺぽ」墨田区で小規模保育所をゼロから立ち上げ | 女性起業家応援ページ
参考:卒業生のご紹介(合同会社はひぷぺぽ)|ひがしんの創業支援事業について|法人・個人事業主のお客さま|東京東信用金庫
女性の起業成功事例②:キャリア女性の強みを活かした人材マッチング事業
田中美和さんが創業した「株式会社Waris(ワリス)」は、専門性を持つ女性たちに柔軟な働き方を提供し、同時に企業の人材ニーズにも応える新しいサービスモデルを構築しています。キャリアと家庭を両立させたい女性たちの選択肢を広げ、社会的にも注目を集める歩みを紹介します。
同世代の仲間と立ち上げた共感型のスタートアップ
田中美和さんは、出版社勤務などを経てキャリアを積んだ後、2013年に同世代の女性2人とともにWarisを創業しました。彼女たちは、結婚や出産後も仕事を諦めず、専門性を活かして働きたいという自身の思いと周囲の声に応えるかたちで、人材マッチングのビジネスを構想しました。企業側も、正社員では確保しにくい即戦力人材をフレキシブルに活用したいというニーズを抱えており、Warisは両者をつなぐプラットフォームとして位置づけられました。2013年4月の設立からわずか2か月後にはサービスを開始し、スピード感をもって事業を本格化させました。
起業リスクを抑えた堅実なスタートと持続的成長
起業初期、田中さんたちは収入面のリスクを抑えるために別の仕事も継続しながら活動を開始しました。シェアオフィスを活用してコストを最小限に抑え、営業活動と登録者の確保に注力します。こうした着実な取り組みにより、顧客企業は累計2,000社以上に拡大しています。顧客企業は中小企業やベンチャー企業が中心であり、大企業からも新規事業人材の確保の手段として高く評価されています。創業から5年が経過した頃には、社員16名、役員3名、外部委託スタッフを含めて約20名規模の組織へと成長しました。Warisの働き方の柔軟性に魅力を感じた40代男性や大手企業出身者も参画するなど、多様な人材を巻き込んだ企業へと発展しています。
公的支援を活かし、事業の加速と信頼を獲得
Warisの成長には、公的支援制度の積極的な活用も大きく寄与しています。創業初期に田中さんが応募した「かわさき起業家オーディション」では、事業モデルの講評や中小企業診断士によるアドバイスを受け、自信を深める機会となりました。また、日本政策投資銀行主催の「女性新ビジネスプランコンペティション」では入賞を果たし、元マッキンゼー経営者から1年間のメンタリングを受ける副賞を獲得しました。創業3年目には東京都のアクセラレーションプログラムに採択され、専門家の支援やネットワークを通じてさらなる成長を実現しました。これらの経験は、事業の信頼性向上や社外パートナーとの連携に直結する成果を生んでいます。
Warisの取り組みは、40代前後の女性が自らのキャリアで培った専門性を活かし、新たな働き方の選択肢を社会に提案する好事例です。Warisは「ママ向け起業」という枠にとどまらず、社会構造の変化に即応したビジネスモデルとして位置づけられ、女性の多様な働き方を支援する企業として注目されています。」柔軟な働き方を求める時代の流れをつかみ、起業という形で新たな価値を創出した田中さんの事例は、多くの女性にとって大きな刺激となるでしょう。
参考:株式会社Waris
参考:「株式会社Waris」文系総合職の専門性を生かせる人材マッチング | 女性起業家応援ページ | J-Net21[中小企業ビジネス支援サイト]
女性の起業成功事例③:大企業管理職から転身、社会課題に挑むコンサルティング起業
キャリアの中核を大企業で積んだ女性が、安定を手放し、自らの理念に基づく事業を起こす例は少なくありません。小嶋美代子さんが設立した「株式会社ourshare(アワシャーレ)」は、社会的意義の高いテーマに取り組むコンサルティング会社として、独立後も多方面から注目を集めています。彼女の実例を通して、志あるキャリア女性の起業像をひもときます。
大企業からの転身と、多彩な経験を生かした事業内容
小嶋美代子さんは、長年勤めた大手IT企業で部長職まで務めた後、2017年に退職し、株式会社ourshareを創業しました。在職中にはダイバーシティ推進を担当し、技術と組織運営の双方に明るい人材として活躍していました。起業後は、その専門性を活かし、ウェブセキュリティ、ダイバーシティ研修、企業ビジョンの策定支援、講師の育成といった幅広いテーマでコンサルティングの依頼を受けています。印象的なのは、前職での経験を活かしつつも、多様な領域からの依頼を受けている点です。顧客との関係性を大切にする姿勢が、事業の広がりを生んでいます。
安定からの脱却と、リスクヘッジのある起業準備
起業に際して小嶋さんが行ったのは、徹底したリスクヘッジでした。たとえば、「日本での生活が困難になったら海外の物価の安い国で暮らせばよい」といった柔軟な視点から、経済的なリスクを最小化するシナリオを用意していたのです。こうした冷静な判断と現実的な計画性は、40代というライフステージでの起業においてとても重要です。さらに「このまま会社員人生を終えることが自分の望む未来なのか」と自問した末、「安全圏の外に出て考えたい」との思いから、あえて安定を手放す選択をしました。その勇気ある決断は、多くのキャリア女性たちにとっても共感と刺激を与える要素となっています。
社会課題と向き合う姿勢が信頼を生み、支援を呼び込む
ourshareのサービスは、表面的な課題解決にとどまらず、企業の理念や人材育成といった本質的なテーマに深く関わっていることが特長です。小嶋さんのように社会的意識の高い起業家は、クライアントからも信頼されやすく、持続的な取引につながっています。また、女性起業家に対する公的支援が重視される中、小嶋さんのような「超初期段階から支援を必要とする起業家」への相談体制やネットワーク支援が、全国的に整備されつつあります。これにより、志ある個人が孤立せずにチャレンジできる環境が広がっており、小嶋さん自身もその恩恵を受けながら事業を育てている一人といえるでしょう。
小嶋さんの事例は、キャリアを生かして起業しただけではなく、自分の価値観と社会の課題とを結びつけ、地に足のついたビジネスとして実現している点で示唆に富んでいます。ourshareのように「自分らしい働き方」と「他者への貢献」を同時に叶える起業モデルは、今後ますます求められる存在となるでしょう。収入や地位を手放すリスクを超えて、新しい社会的価値を創出する女性起業家として、小嶋さんの歩みは多くの40代に勇気を与えるものです。
参考:株式会社ourshare
参考:「株式会社ourshare」大手IT企業の部長から新しい世界へ | 女性起業家応援ページ
参考:“ひとりじめしない”という気持ちを大切にがんばる女性たちに「恩送り」をしていきたい | マイナビキャリアリサーチLab
事例から学ぶ40代女性の起業を成功させるポイント
40代での起業は、人生経験やキャリアの蓄積を活かせる絶好のタイミングです。実際の成功事例からは、共通する姿勢や工夫がいくつも見られます。ここでは、それらを一般的な視点で整理し、これから起業を目指す方へのヒントとして解説します。
自身の課題や経験を事業の起点にする
40代で起業した女性たちは、多くの場合、自らの困りごとや家族の課題、または職業経験の中で感じた社会的なニーズを出発点にビジネスを構想しています。たとえば、保育園の不足や、柔軟な働き方の選択肢が少ないといった状況をきっかけに、保育施設の開設や人材マッチングサービスの立ち上げへとつなげるケースが見られます。このように、実体験に基づいたテーマは共感を得やすく、着実な需要につながる可能性が高いと考えられます。
スモールスタートと資金管理を徹底する
40代の起業では、生活との両立や家計への影響を最小限にしながら、着実に事業を進めていく計画性が重視されます。多くの成功例に共通するのが、初期投資を抑えた小規模なスタートです。たとえば、シェアオフィスの利用や副業収入によってリスクを分散しながら起業準備を行う手法が採用されています。また、人材採用においても、公的機関を活用して無理のない人員体制を整えるなど、堅実な経営判断が事業継続を支えています。
公的支援制度とネットワークを積極的に活用する
起業初期の不安や孤独を乗り越えるためには、公的支援の積極的な活用が大きな助けとなります。ビジネスプランコンテストや創業支援プログラムに参加することで、専門家からのアドバイスやメンタリングを受け、自信や戦略を磨く機会が得られます。また、各地の創業支援拠点やアクセラレーションプログラム、融資制度などの制度を活用することで、起業を一過性で終わらせず、継続可能な事業として育てる土台を築くことができます。
このように、40代の起業は、経験と実行力を活かすことで、無理のないかたちで安定的に成功へと近づける可能性を十分に持っています。
経験と共感を力に、自分らしい起業で新しい未来を切り開こう
40代で起業する女性たちは、これまでに培ったキャリアや人生経験を土台に、社会に求められる事業を実現しています。共感を呼ぶテーマから始め、無理のない規模でスタートすることで、家庭や生活との両立も可能になります。さらに、公的支援や地域ネットワークを活かすことで、より確かな成長が期待できます。自分の強みを活かし、あなただけの起業スタイルで未来を切り開いていきましょう。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
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