- 作成日 : 2025年4月25日
創業融資コンサルとは?支援サービスや手数料の目安、選び方を解説
創業融資コンサルの利用を検討している方に向けて、役割や支援サービスについて解説します。創業融資は、開業資金を確保するための重要な手段です。しかし、申請の準備や審査対策が不十分な場合は、審査の通過を難しくしてしまうでしょう。そこで本記事では、審査通過をサポートする創業融資コンサルのサービス内容や選び方について解説します。
目次
創業融資コンサルとは?
創業融資コンサルとは、創業融資の活用や申し込みについて専門家からアドバイスやサポートを受けられるサービスです。「創業融資支援」や「創業融資サポート」とも呼ばれ、基本的には同じ意味を持ちます。
創業融資は簡単に受けられると思われがちですが、金融機関が重視するポイントと経営者としてアピールしたいポイントがズレている場合も多く、準備不足では審査に通りにくいのが現状です。
創業融資に強いコンサルに依頼することで、金融機関の審査基準に合わせた対策を効率的に行い、融資成功の可能性を高められます。
創業融資コンサルのサポート内容
創業融資コンサルの主なサポート内容は、以下のとおりです。
- 創業計画書・事業計画書の作成代行
- 金融機関への提出書類のチェック
- 融資の申し込みサポート
- 金融機関との交渉
- 面談のロールプレイング
- 適切な融資制度の選定アドバイス
- その他のサポート(登記・税務・補助金など)
それぞれについて、見ていきましょう。
創業計画書・事業計画書の作成代行
創業融資コンサルの主なサポート内容は、事業計画書の作成や修正です。日本政策金融公庫や民間金融機関で融資を受ける際には、事業計画書の提出が求められます。状況によっては、創業融資コンサル側が大まかな計画を作成し、依頼者が内容を確認・修正するケースもあります。
事業計画書の作成代行にも対応しており、ヒアリングをもとに作成を進めてもらうことも可能です。また、作成代行ではなく、アドバイスのみを受けることもできるため、自社のリソースやニーズに応じて適切なサポートを選びましょう。
金融機関への提出書類のチェック
創業融資の申請には、創業計画書以外にも多くの書類が必要であり、不備がないよう準備しなければなりません。また、融資成功のためには、事業計画の実現可能性や返済能力を示す説得力のある資料が重要です。
審査結果を左右する事前準備資料は、主に以下の4つに分類されます。
- 事業計画関連:市場分析データや収支計画
- 財務関連:自己資金証明や資金繰り表
- 個人関連:経歴書や納税証明書
- その他:必要な許認可の証明書など
創業融資コンサルは、これらの書類を的確にチェックし、審査通過の可能性を高めるためのサポートを行います。
融資の申し込みサポート
初めての申請者にとって、金融機関への融資申し込みは手続きが複雑で、不備があると再提出が必要になり、時間や手間がかかることもあります。
創業融資コンサルを利用することによって、融資申請の手順や注意点を事前に把握できるため、必要な書類の準備を効率的に進められます。その結果、スムーズな手続きが可能となり、審査通過の可能性も高まるでしょう。
金融機関との交渉
融資審査では書類提出に加え、面談が実施されることも多く、面談での対応が結果を左右します。創業融資コンサルは、面談前の対策やアドバイスを行い、金融機関の信頼を得るための準備を支援します。
事前に面談のためのシミュレーションを行い、的確に対応できるように備えましょう。なお、創業融資コンサルの同席は金融機関に敬遠されることもあるため、特別な理由がない限り、避けるのが無難です。
面談のロールプレイング
金融機関との審査面談では、事業の動機や実現可能性、資金計画の根拠を明確かつ簡潔に説明する必要があります。
自己資金の出所や支払い状況を確認し、創業計画書との整合性をチェックすることも欠かせません。想定外の質問にも対応できるよう、多様なシナリオで練習を重ねることが重要です。
創業融資コンサルは、融資審査に精通した専門家としてロールプレイングを通じて面談対策を強化し、審査通過の可能性を高めるためのサポートを行います。
適切な融資制度の選定アドバイス
創業融資コンサルは、日本政策金融公庫の「新規開業資金」や地方自治体の補助金・助成金など、さまざまな資金調達手段から相談者の条件に適した制度を提案します。ヒアリングを通じて、審査通過の可能性が高い制度を選定し、効率的な資金調達をサポートします。
また、必要に応じて補助金や助成金の活用方法についてもアドバイスを行い、選択肢を広げてもらえる点も創業融資コンサルの利点といえるでしょう。
その他のサポート
創業融資コンサルによっては、会社設立時の登記手続きや法人成りに関する支援も可能です。行政書士や司法書士と提携し、手続きのサポートをします。
また、設立後の税務手続きや開業届の提出、許認可が必要な事業の申請手続きなど、税理士や行政書士と連携して対応することも可能です。
さらに、補助金や助成金の申請サポートに加え、売上向上や集客に関するアドバイスを行う創業融資コンサルも存在します。
創業融資コンサルに依頼するメリット・デメリット
創業融資コンサルに依頼することで、融資手続きが円滑に進む一方、費用や依存によるデメリットにも考慮する必要があります。ここでは、メリット・デメリットそれぞれについて確認していきましょう。
創業融資コンサルに依頼するメリット
創業融資コンサルを利用するメリットは、融資手続きが円滑に進むことです。専門家が必要書類の準備や手続きをサポートし、金融機関からの追加資料要求にも迅速に対応するため、審査の遅延を防げます。
さらに、プロの知見を活かした融資プランの提案や事業計画書の作成、財務内容の改善支援により審査通過率が向上し、希望する調達金額を得られる可能性が高まります。
加えて、融資申請にかかる負担を軽減し、本業に集中できる環境を整えられる点も大きな利点です。専門家のフィードバックを受けながらビジネスモデルを改善することで、事業の成功確率を高めることも期待できます。
創業融資コンサルに依頼するデメリット
創業融資コンサルを利用するデメリットとして、まず創業融資コンサルが前面に出ることで、金融機関が申込人の熱意を疑問視する可能性があります。ただし、税理士や公認会計士が同席する場合は好意的に受け止められることもあります。
次に、費用がかかる点にも注意が必要です。着手金や成功報酬に加え、契約外業務で追加料金が発生した場合、手元資金が減少するおそれもあります。
さらに、創業融資コンサルに依存しすぎると資金調達のノウハウが社内に蓄積されず、将来再びサポートが必要になる可能性もあります。
創業融資コンサルに依頼した方がいい人
創業融資コンサルは、資金調達の必要があるものの手続きに不安を感じる人、特に初めての起業で融資の知識がない人に適しています。専門家のアドバイスを受けながら事業計画書の作成や面談対策を進められるため、効率的な申請手続きが可能です。
また、許認可が必要な業種では、行政書士による取得手続きの支援で事業開始までの期間を短縮できます。さらに、融資の申込期限が迫っている場合も、必要書類の迅速な準備により手続きを円滑に進められるでしょう。
過去に融資を断られた人にとっても、創業融資コンサルによる原因分析と改善策の提案が再申請の成功率を高める助けとなります。
創業融資コンサルに依頼する流れ
創業融資コンサルに依頼する大まかな流れは、以下のとおりです。
- 事業内容や開業準備状況を創業融資コンサルに相談する
- 事業計画書や審査書類作成のアドバイスを受ける(または、提供した情報をもとに作成を代行してもらう)
- 金融機関との審査面談に備えてアドバイスを受ける
- 審査書類を金融機関に提出する
- 書類審査が始まり、審査面談の日程が決まる
- 面談で事業計画や経歴について質問を受ける
- 審査が完了し、融資が決定。資金調達が完了する
創業融資コンサルを利用することで、スムーズな融資獲得と事業スタートに近づけるでしょう。
創業融資コンサルの選び方
創業融資コンサルの選び方の主なポイントは、以下のとおりです。
- 実績が豊富なこと
- 料金体系が明確であること
- 自社が属する業界・業種へのサポートが可能かどうか
以下で、詳しく見ていきましょう。
実績が豊富な創業融資コンサルを選ぶ
創業融資コンサルを選ぶ際、実績の豊富さは重要な判断材料です。ホームページで過去の実績や顧客のコメントを確認し、SNSやレビューサイトを活用して他の利用者の評価をチェックしましょう。
また、無料相談を利用して実際の対応や雰囲気を確認することも有効です。特に、どの業種に実績があるか、どれだけの融資金額を調達した経験があるかの確認も重要です。
ただし、成功率の高いことが必ずしも優れた創業融資コンサルとは限りません。難易度の高い案件にも対応している場合、成功率が低くなることもあるため、実績内容を総合的に判断するようにしましょう。
料金体系が明確な創業融資コンサルを選ぶ
料金体系が明確かどうかの確認も重要です。成功報酬は出資法により5%を超えてはならず、5%超の金額を請求する業者は避けるべきです。料金体系は主に「完全成功報酬型」と「着手金+成功報酬型」に分けられます。
完全成功報酬型はリスクが少ない反面、サポートが不十分(申請に落ちても料金が発生していないため、責任感に欠けるなど)な場合もあるため注意が必要です。一方、「着手金+成功報酬型」は初期費用がかかるものの、質の高いサポートが期待できます。
手数料の安さやリスクだけで選ぶのではなく、サポート内容も含めた総合的な判断が必要です。
業界・業種に合ったサポートが可能か確認する
創業融資コンサルを選ぶ際は、業界や業種に適したサポートが受けられるかを確認しましょう。
特定の業界に精通した創業融資コンサルであれば、許認可取得や資金調達に関する適切なアドバイスが期待できます。また、法人成りや税務処理など、業種ごとに異なる課題にも対応しやすくなるでしょう。
さらに、売上向上や集客支援を行う創業融資コンサルも存在します。事業成功に必要なサポートを提供できるかを見極めたうえでの依頼が重要です。
創業融資に活用できる事業計画書のテンプレート
創業融資を成功させるには、金融機関が求める内容を網羅した事業計画書が必要です。事業計画書は、事業の目的や収益の見込み、資金調達の方法などを明確に示すことで、融資審査の通過率を高めます。
事業計画書の作成には、決まったフォーマットはありませんが、基本的な記載項目を押さえることが重要です。創業動機や取扱商品、資金調達方法、事業の見通しなどを含める必要があります。
詳細な書き方や業界別のテンプレートは、下記のサイトで確認できます。
このサイトでは、書き方を具体例つきで解説し、70以上の業界別テンプレートを紹介しています。ぜひ参考にしてください。
創業融資で活用したい支援先、支援機関
創業融資を成功させるには、適切な支援先選びが重要です。日本政策金融公庫をはじめ、商工会議所や司法書士、税理士、行政書士などそれぞれの特徴を理解し、自社の状況に合った機関を選びましょう。ここでは、主な各機関の支援内容や活用ポイントについて解説します。
日本政策金融公庫
日本政策金融公庫は、創業融資を検討する際に活用できる重要な支援機関です。融資の提供に加え、事業計画の作成支援や経営相談にも対応しており、創業初期の課題解決を総合的にサポートします。
創業サポートデスクでは、専任担当者が事業計画書の作成や融資制度に関するアドバイスを行っており、全国152支店(2024年4月現在)で利用可能です。最寄りの支店への電話やWeb予約も可能で、アクセスしやすい環境が整っています。
さらに、東京・名古屋・大阪に設置されている「ビジネスサポートプラザ」では、中小企業診断士などによる専門的な相談を受け付けています。土日(日曜は東京のみ)も相談可能で、柔軟な対応が特徴です。
商工会議所
商工会議所は、地域の経営改善と経済活性化を目的とする会員制の民間組織です。経営指導員が財務、税務、労務などの相談に対応し、経営改善を支援します。
会員になると、専門家からのアドバイス、異業種交流会への参加、会員限定の融資や補助金制度の利用が可能です。これらは、事業の継続と発展に役立ちます。
ただし、利用には事前相談が必要なため、早めに入会し準備を進めることが重要です。
司法書士・税理士・行政書士など
創業融資を受ける際、司法書士・税理士・行政書士などの専門家を活用することで手続きの効率化が図れます。
司法書士は、会社設立や法人登記手続きを代行してもらえるため、時間を節約できるだけでなく創業後の法的サポートも期待できるでしょう。
税理士は、事業計画書の説得力のあるデータ作成を支援し、創業後の税務申告業務を一貫してサポートすることで経営の安定化に貢献します。
行政書士は、許認可申請や融資書類の作成を支援し、建設業や飲食店など許認可が必要な業種で支援を得られるでしょう。
創業融資を成功させるために、適切なサポートを活用しよう
創業融資をスムーズに受けるためには、適切なサポートが不可欠です。創業融資コンサルに依頼することで、複雑な手続きを効率的に進められます。
また、事業計画書や融資面談の準備もサポートしてもらえるため、自信を持って融資申請に臨めることでしょう。
創業融資コンサルを選ぶ際は、費用やデメリットを理解したうえで、自社にあった創業融資コンサル選びが重要です。融資手続きを効率化し、事業成功への第一歩を着実に踏み出しましょう。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
※本サイトは、法律的またはその他のアドバイスの提供を目的としたものではありません。当社は本サイトの記載内容(テンプレートを含む)の正確性、妥当性の確保に努めておりますが、ご利用にあたっては、個別の事情を適宜専門家にご相談いただくなど、ご自身の判断でご利用ください。
関連記事
新規事業の融資・資金調達の一覧!融資額の目安、審査のコツを解説
新規事業を始めるときは融資の利用を検討してみましょう。 自己資金で全てカバーするのは難しく、軌道に乗る前に資金ショートを起こしてしまう危険性があります。 ここに資金調達で役立つ融資の情報をまとめたので、「どのような融資が利用できるのか」「融…
詳しくみる自己破産後の資金調達方法は?日本政策金融公庫の再挑戦支援資金などを解説
自己破産は法的に認められた債務整理のスキームであり、事業や生活の再建のための具体的な手法です。事業を立ち上げたものの頓挫してやむを得ず自己破産をしたという人は少なくありません。 本記事では、自己破産後の資金調達の方法や成功させるポイントなど…
詳しくみる資金調達先による審査の違いは?融資で重視されるポイントを解説
資金調達先による審査の違いを知ることは、融資で重視されるポイントを明確に把握し、円滑に資金を得るために重要です。調達先ごとの審査基準を理解し、財務や事業計画の要点を押さえておくと、融資審査の通過率は格段に上がります。 本記事では、資金調達先…
詳しくみる商工会や商工会議所から資金調達は可能?融資や補助金の種類、申請方法を解説
商工会や商工会議所は、地域の中小企業や個人事業主を支援するためにさまざまなサポートを実施しており、資金調達についての支援も行っています。融資や補助金に関する情報提供や申請に必要な経営指導なども行っていますので資金調達を考えている方は相談を検…
詳しくみる連帯保証人なしで創業融資を受けられる?日本政策金融公庫の制度などを解説
創業融資など事業に必要な融資を受ける際には連帯保証人を立てなければならないというイメージがあるかもしれませんが、利用する金融機関や融資制度によっては保証人がいらないこともあります。この記事では、連帯保証人なしで創業融資を受けられるケースにつ…
詳しくみる歯科医院の資金調達方法は?開業資金の平均や失敗しないポイントも解説
歯科医院の開業を検討する際、最初に着手することが「資金がいくら必要なのか」「資金をどのような方法で調達するか」という計画です。開業資金の準備は、医院の成功を左右する重要なステップであり、綿密な計画と効率的な資金調達が求められます。 本記事で…
詳しくみる