- 更新日 : 2025年8月29日
【一目でわかる】おすすめ法人登記代行は?依頼先別の料金・特徴を比較
会社設立の際は法人登記代行サービスを利用することで、書類作成など煩雑な手続きを省き、事業のスタートに専念できます。代行サービスの種類は数多くあるため、それぞれの特徴を確認して選びましょう。
本記事では、法人登記代行サービスのパターン別おすすめや、それぞれの特徴、利用するメリット・デメリットなどを解説します。
目次
【一目でわかる】法人登記の代行先別 料金・特徴比較
法人登記を代行依頼する場合の費用は、専門家へ支払う「代行手数料」と、法務局などに支払う「実費」の合計で決まります。
代行手数料の相場は依頼先によって0円~10万円と幅広く、実費は登録免許税15万円に加え、定款認証手数料や謄本取得費などを含めて約20万円が目安となります(株式会社の場合)。
ただし、これは電子定款を利用して印紙代4万円が不要になることが前提です。
これらの総額を踏まえて、依頼先ごとの特徴を以下の表にまとめました。
依頼先 | 合計費用の目安 (株式会社) | 特徴 |
---|---|---|
司法書士 | 約25万~30万円 | ・登記のプロで最も安心感が高い ・複雑な案件にも対応可能 ・費用は比較的高めになる傾向がある |
税理士 | 約20万~25万円 | ・設立後の顧問契約を条件に手数料が割引・無料になることが多い ・節税や資金調達の相談も可能 ・登記申請自体は提携司法書士が行う |
行政書士 | 約25万~30万円 | ・定款作成や、設立後の許認可申請に長けている ・登記申請の代理はできず、別途司法書士への依頼が必要 ・建設業や飲食業など、許認可が必要な場合に頼りになる |
会社設立代行会社 | 約20万~25万円 | ・上記のような有資格者と連携し、低価格で設立手続きワンストップで依頼できる ・サービス品質に差があり、他サービスとの契約が条件の場合もある |
クラウド型サービス | 約20万~22万円 | ・費用を安く抑えられる ・オンラインで手軽に手続きを進められる ・基本は利用者自身で入力や作業を行う |
上記の「合計費用の目安」から、必ず発生する実費(株式会社の場合約20万円~)を差し引いたものが、専門家へ支払う「代行手数料」となります。この手数料の目安は、依頼先によって以下のように異なります。
- 司法書士:
代行手数料の相場は5万~10万円程度。専門性が高く、最も手厚いサポートが期待できます。事務所や地域により変動があります。 - 行政書士:
定款作成・認証の代行で3万~7万円程度。ただし、行政書士は登記申請の代理ができないため、別途、登記申請を依頼する司法書士への費用が発生します。設立と同時に許認可の取得も進めたい場合に相談するケースも少なくありません。 - 税理士や会社設立代行会社:
手数料は0円~5万円程度。特に「手数料0円」を提示している場合は、設立後の税務顧問契約や、他サービスの利用が条件となっていることがほとんどです。 - クラウド型サービス:
書類作成のみの無料プランから、司法書士による申請代行まで含めた有料プラン(2万円前後)まで、必要なサポートの範囲に応じて料金が設定されています。
【自分で手続きする場合の費用】
ご自身で電子定款の手続きを行った場合は実費のみかかりますが、紙で手続きを行った場合は、印紙代4万円がかかり、合計費用は約24.2万円~となります。
出典:会社の定款手数料の改定|日本公証人連合会
出典:No.7191 登録免許税の税額表|国税庁
法人登記代行サービスのメリット・デメリット
法人登記代行サービスを活用することでさまざまなメリットがありますが、デメリットも存在します。
ここでは、それぞれの詳細についてみていきましょう。
メリット
法人登記代行サービスを利用することで、次のようなメリットがあります。
- 時間と労力を節約し、事業に集中できる
- 手続きのミスを防止できる
- 専門家のアドバイスを受けられる
- アフターフォローを受けられる
法人登記や設立に関する手続きは煩雑で、通常は数日から数週間かかることもあります。しかし、代行会社を利用すれば、専門知識を持つ担当者が一連の手続きを効率よく進めてくれるため、時間と労力を大幅に削減可能です。
また、書類不備や手続きミスを未然に防ぎ、会社設立時に事業主が決定しなければならない会社概要や資本金の払込みに関するアドバイスも受けられます。
さらに、会社によっては税務や労務に関する相談や、各種変更手続きのサポートなど、設立後のアフターフォローを受けることも可能です。
デメリット
法人登記代行サービスには、次のようなデメリットもあります。
- コストが発生する
- プロセスを把握しにくい
- 代行会社によって対応の質や料金が異なる
サービスを利用する際には、代行手数料が発生します。そのため、手続きの煩雑さから解放されるメリットと比較して判断することが必要です。
また、代行業者に依頼すると、設立のプロセスを自分で把握しにくくなることもデメリットの一つです。
さらに、代行サービスによって対応の質や料金が異なるため、慎重な選択が求められます。
サービスの幅を必要な分だけ選ぶことも◎
法人登記代行サービスのデメリットを回避できるのが、「マネーフォワード クラウド会社設立」です。「会社設立」「登記代行プラン」「書類の出力のみ」と、必要に応じてサービスを選択できるクラウド型サービスです。フォームに沿って入力するだけで、簡単に会社設立の書類を作成できます。
詳しくは、マネーフォワード クラウド会社設立の公式サイトにある「できること」をご覧ください。
法人登記代行サービスの違いと選び方
法人登記代行を行うサービスとしては、会社設立会社のほか、司法書士や税理士などの専門家や、クラウド型代行サービスがあります。
それぞれの特徴や違いをみていきましょう。
1. 司法書士|登記のプロフェッショナル
司法書士は、法人登記申請の代理が法律で唯一認められている国家資格者です。いわば、会社設立における「法律手続きの正規代理人」です。
サービス範囲
- できること: 定款の作成・認証、法務局への登記申請代理、会社法に基づいた機関設計のアドバイス、設立後の各種登記手続き(役員変更や増資など)。
- できないこと(専門外): 税務申告や節税対策、事業に必要な許認可の申請。
どんな人向けか
安心感を求める方や、取締役会を設置するなど複雑な会社設計を考えている方、設立後の法務サポートまで見据えている方には最適な選択肢です。
探す際は、インターネットで「司法書士 会社設立 (地域名)」と検索するほか、金融機関からの紹介も有効でしょう。依頼の決め手としては、会社設立の実績が豊富か、そして初回相談での対応や相性がよいか、という点を確認することをおすすめします。
2. 税理士|資金と税務のコンサルタント
税理士は税務の専門家であるため、会社設立後の資金繰りや節税対策のサポートを得意としています。会社設立は、その後の顧問契約への入り口として提供されることが一般的です。
サービス範囲
- できること: 創業融資のアドバイス、事業計画の策定支援、資本金の額に関する税務的観点からのアドバイス、設立後の税務顧問、記帳代行。
- できないこと: 法務局への登記申請代理(必ず提携の司法書士が行います)。
どんな人向けか
設立当初から資金調達や節税を考えている方や、初期費用を抑えその分を税務顧問料に充てたい方に向いています。経理が苦手で専門家にすべて任せたい方にも心強い存在です。
探す際は「税理士 会社設立 支援」などで検索し、顧問契約の内容(料金、期間、サービス範囲)を必ず確認してから依頼しましょう。
3. 行政書士|許認可申請のスペシャリスト
行政書士は、官公庁へ提出する書類作成のエキスパートです。会社設立においては、事業に必要な許認可の取得が絡む場合に特に頼りになります。
サービス範囲
- できること: 定款の作成・認証、事業に必要な許認可(建設業、飲食業など)の申請代理、補助金・助成金の申請サポート
- できないこと: 登記に関する手続業務
どんな人向けか
建設業やレストランなど、設立と同時に許認可の取得が必要な事業を始める方には向いています。行政書士に依頼する際は、登記申請はできないため、提携の司法書士がいるかなど、登記完了までの段取りを必ず確認しましょう。
4. 会社設立代行会社|設立業務のパッケージプロバイダー
特定の資格業ではなく、会社設立に関わるさまざまなサービスをパッケージ化して提供している事業者です。「手間をかけずに、まるっとお任せ」というニーズに応えます。
サービス範囲
- 定款作成から登記申請(提携司法書士が担当)、会社印鑑の手配まで、幅広いサービスをパッケージで提供。サービス内容は会社によって千差万別です。
どんな人向けか
どこに何を頼めばいいか調べること自体が面倒だと感じる方や、手続きの漏れを防ぎたい初心者の方に向いています。「会社設立 代行」などで検索できますが、依頼の際はパッケージにどこまでのサービスが含まれているかを細かく確認することが最も重要です。
5. クラウド型代行サービス|コスト重視のDIYサポーター
ウェブ上のシステムを利用して、自分で必要事項を入力し、設立書類を作成するサービスです。「安さ」と「自分のペースで進められる手軽さ」が最大の特徴です。
サービス範囲
- Webフォームへの入力による設立書類の自動作成が基本です。オプションで、提携司法書士による登記申請代行を依頼できる有料プランもあります。
どんな人向けか
コストを1円でも安く抑えたい方や、手続きの流れを自分で把握しながら進めたい方に最適なサービスです。「会社設立 クラウド」などで検索し、無料プランと有料プランの違い(自分で申請するか、代行まで頼むか)を理解したうえで利用しましょう。
【目的別】パターン別法人登記おすすめ代行サービス
法人登記を依頼できるサービスは数多くあるため、選ぶときは費用や時間など、重視したいポイントを考えるとよいでしょう。
重視するパターンごとに、おすすめの代行サービスをご紹介します。
費用重視:とにかく安く済ませたい
費用を抑えたい場合には、会社設立代行会社の利用がおすすめです。これらのサービスでは電子定款を利用するため、収入印紙代の4万円が不要となり、手数料が無料となるケースも少なくありません。また、設立費用自体が割引されるか、あるいは無料になることもあります。
ただし、お得な条件を設けている会社は、設立後も引き続きサービスの利用が条件となっている場合があることは把握しておきましょう。
たとえば、税理士や公認会計士との顧問契約がセットになっているケースです。会社運営には専門家のサポートも必要であり、節税などのアドバイスを受けられる点を考慮すれば、これらの条件がついていても十分に価値があるといえるでしょう。
時間重視:とにかく早く済ませたい
会社設立を急ぎたい場合も、会社設立代行会社が適切です。法人登記・設立に要する時間は会社ごとにさまざまですが、最短1日で会社設立できるとうたうサービスもあります。急ぎでビジネスを立ち上げたい場合や、期日が迫っているプロジェクトに間に合わせたいケースでは、大きなメリットとなるでしょう。
書類の不備や手続きミスによる再申請のリスクも減らせるため、時間だけでなく精神的な負担も軽減されます。
手間重視:なるべくすべてお任せしたい
法人登記のほか、会社設立手続きをすべて請け負う会社設立代行会社もあります。
会社設立には法人登記だけでなく、定款の作成・認証や登記申請書の準備、印鑑の作成、公証役場や法務局への提出など、さまざまな作業が発生します。これらを自力で対応しようとすると、時間的・精神的な負担が大きくなるだけでなく、手続き上のミスや抜け漏れによって余計な時間やコストがかかるリスクもあるでしょう。
法人登記を含め、会社設立に関するすべての手続きを一任したい場合には、会社設立代行会社のほか、司法書士などの専門家に依頼することもおすすめです。
専門家は法律や制度に精通したプロが適切な形で進めてくれるため、安心して会社設立を任せられます。また、創業後の法務や契約書類の整備、株主構成や議事録の管理など、継続的なサポートを受けられるケースも多く、長期的な経営においても心強いパートナーとなるでしょう。
安心重視:自分で確認しながら進めたい
進捗状況を確認しながら手続きを進めたい場合は、クラウド型サービスがおすすめです。
会社設立代行会社を利用すれば手続きの手間は省けますが、進捗状況を把握しにくいという点がデメリットです。
代行会社からの報告がなければ、どれほど進んでいるのか把握できないこともあるでしょう。何かトラブルが発生しても、対応が遅れ、さらなる問題に発展する可能性もあります。
一方、クラウド型サービスであれば、Web上で進捗を確認しながら手続きを進められるため、安心感があります。
法人登記の代行依頼から登記完了までの流れ
法人登記の代行サービスを利用した場合、一般的に以下の流れで進みます。
- 無料相談・見積もり
Webサイトや電話で問い合わせ、サービス内容や料金を確認します。 - 契約・必要情報の提出
発起人や役員の印鑑証明書などを準備し、会社概要(商号、本店所在地、事業目的など)を伝えます。 - 【代行業者】定款作成・認証
提出した情報に基づき、代行業者が定款を作成し、公証役場で認証手続きを行います。 - 資本金の払い込み
発起人個人の銀行口座に、資本金を振り込みます。その通帳のコピーを代行業者に提出します。 - 【代行業者】登記申請
司法書士が法務局へ登記申請を行います。この申請日が「会社設立日」となります。 - 登記完了・書類の受け取り
申請から約1~2週間(目安)で登記が完了します。登記簿謄本(履歴事項全部証明書)などを受け取り、手続きは終了です。
法人登記の代行に関するよくある質問(FAQ)
Q. 株式会社と合同会社で代行費用は変わりますか?
- 代行手数料は変わらないことが多いですが、実費が大きく異なります。合同会社は定款認証が不要なため、株式会社に比べて実費が約5万円安くなります。登録免許税も最低6万円からと、株式会社(最低15万円)より低く設定されています。
Q. 依頼から登記完了まで、最短で何日かかりますか?
- 依頼先のスピードや、ご自身の書類準備の速さにもよりますが、スムーズに進めば依頼から1~2週間程度で登記が完了するのが一般的です。特急プランなどを使えば数日で完了する場合もあります。
Q. オンラインだけですべての手続きが完了しますか?
- クラウド型のサービスを利用すれば、ほとんどのやり取りはオンラインで完結します。ただし、ご自身の印鑑証明書の取得や、資本金の払い込み作業などはオフラインで行う必要があります。
Q. 税理士との顧問契約は必須ですか?
- 「設立手数料0円」をうたう税理士事務所では、顧問契約が条件となっているケースがほとんどです。設立当初から税務サポートが必要な場合は非常にお得な選択肢ですが、不要な場合は契約内容をよく確認しましょう。
法人登記は自分に合った方法を選べる
会社設立に際しては、法人登記の手続きが煩雑で時間を要するため、代行サービスの利用という選択肢もあります。法人登記代行サービスは多数存在し、費用や対応範囲など、重視するポイントに応じて選択することが可能です。
代行サービスにはメリットとデメリットの両面があるため、内容をよく確認したうえで、自社に合ったサービスを選びましょう。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
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