- 更新日 : 2025年3月27日
プレシードラウンドの資金調達方法は?シードとの違いや注意点も解説
プレシードラウンドは、スタートアップ企業が事業立ち上げ直後に行う最初期の資金調達フェーズのことです。主に創業者の自己資金やエンジェル投資家からの調達などを活用して準備を進めていきます。
本記事ではプレシードラウンドに焦点を当てて、資金調達の方法やシードラウンドとの違いなどを解説しておきましょう。
目次
プレシードラウンド(エンジェルラウンド)とは
プレシードラウンドとは、スタートアップ企業が事業構想段階やプロトタイプ開発段階で実施する初期の資金調達フェーズのことです。一般的に調達額は数百万円~数千万円程度であり、自己資金以外の場合、エンジェル投資家からの調達が中心となることから、「エンジェルラウンド」と呼ばれることもあります。
このフェーズでは、まだ製品やサービスが完成していない段階であることが多く、創業者のビジョンや事業計画の実現可能性が重視されます。投資家に対しては、創業チームの経験や能力、市場の将来性などを高く評価してもらえるようアピールしないといけません。
シードラウンドとの違い
「シードラウンド」との大きな違いは、事業の進捗状況と調達規模にあります。プレシードラウンドが事業構想段階での調達であるのに対し、シードラウンドではプロトタイプや初期版のプロダクトがすでに存在していることが一般的です。
また、調達金額においても明確な違いがあり、シードラウンドでは数千万円~数億円程度の調達を目指すケースも多くなってきます。投資家層に関しては、プレシードラウンドではエンジェル投資家が中心である一方、シードラウンドではベンチャーキャピタル(VC)からの投資が割合増えてきます。
資金の使途についても特徴があり、プレシードラウンドでは主にプロダクト開発やPoC(Proof of Concept:概念実証)の実施、チーム組成などの初期費用に充てられます。一方、シードラウンドでは本格的な事業展開や市場開拓、組織体制の確立などにより、大きな事業拡大に向けた投資が行われる傾向です。
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プレシードラウンドで資金調達をすべきケースは?
あらゆる企業がこのフェーズでの資金調達を必要とするわけではありません。プレシードラウンドでの資金調達が適しているケースを以下の表に整理しました。
| プレシードラウンドが適しているケース | 具体的な状況や理由 |
|---|---|
| プロトタイプ開発が必要 |
|
| 初期チームの構築 |
|
| 市場調査の実施 |
|
| 最小限の運転資金の確保 |
|
一方、以下のようなケースではプレシードラウンド以外での資金調達も検討すべきと言えるでしょう。
| 他の選択肢を検討すべきケース | 推奨される対応 |
|---|---|
| ビジネスモデルがすでに確立している |
|
| 自己資金での開発が可能 |
|
| 事業計画が不明確 |
|
プレシードラウンドの資金調達方法
プレシードラウンドではどのようにして資金調達を進めるのか、代表的な資金調達方法を取り上げて、プレシードラウンドでの実情を踏まえて解説していきます。
エンジェル投資家から資金調達する方法
エンジェル投資家からの調達は、プレシードラウンドにおいて一般的な方法です。エンジェル投資家は自身の経験や人脈を活かして事業の成長をサポートしてくれる重要なパートナーとなってくれるでしょう。
エンジェル投資家から出資をしてもらうには、次のような手順を踏むことになります。
- 資料の作成
- 事業計画、市場分析、競合状況、チーム構成を説明できるように備える
- 資金使途と目標達成までのマイルストーンを明確化
- エンジェル投資家とのコンタクト
- スタートアップイベントやピッチコンテストへ参加する
- 知人や専門家から紹介してもらう
- エンジェル投資家のネットワークを活用してアプローチする
- 投資条件の交渉
- 株式の発行価格と割合の検討
- 投資家の関与度合いの確認
- 契約書の作成
VC(ベンチャーキャピタル)から資金調達する方法
VC(ベンチャーキャピタル)は、プレシードラウンドより後期のフェーズで出資を行うのが一般的です。プレシードラウンドだとまだ製品やサービスが形になっておらず、出資者側にとってのリスクが高いためです。
ただ、VCからの資金調達も不可能ではありません。以下のポイントを押さえておけば可能性は開けるでしょう。
- 明確なビジョンと市場分析を含む詳細な事業計画が策定できている
- 革新的なアイデア、その実現可能性を示すためのプロトタイプの作成
- 豊富な事業経験、高い技術力を持つ優秀なチームメンバーを集める
- 財務・法務・技術面での詳細な情報を用意してデューデリジェンスに備える
そのうえでスタートアップイベントなどに積極的に参加し、プレシード期への投資に前向きなVCを探すとよいでしょう。ただし株式の過度な譲渡は避け、投資条件について慎重に検討することが大事です。
金融機関から資金調達する方法
一般的な企業でよくある資金調達方法といえば「金融機関からの融資」です。ただし、プレシードラウンドにおいて銀行から借り入れをするのは難しいでしょう。金融機関は安定した収益や担保を求めることが多く、事業実績のないプレシードラウンドの企業にとってはハードルが高いものになります。
しかし、完全に不可能というわけではありません。
例えば、日本政策金融公庫であれば創業融資にも積極的に取り組んでおり、さらに無担保・無保証人での申込みも受け入れがあります。スタートアップ企業でも資金調達がしやすいといえるでしょう。
ほかにも、各自治体で実施している創業支援融資制度がないか調べてみましょう。地域経済の発展を目的に、スタートアップ企業に対して有利な条件で融資を行っているケースもあります。
プレシードラウンドの資金調達を成功させるポイント
プレシードラウンドでの資金調達を成功に導くためには、単なる資金獲得にとどまらない戦略的なアプローチが必要です。以下、重要なポイントを詳しく解説していきます。
資金調達が目的にならないようにする
資金調達はあくまでも手段であり、本来の目的は事業価値の向上にあります。資金調達自体が目的化してしまうことは避けなくてはなりません。
具体的な対策として、「調達金額の適正規模を見極めること」や「資金以外の価値も重視すること」が挙げられます。適正な調達規模が見極められず必要以上の資金調達をしてしまうことで、株式の過度な希薄化を招いてしまいます。そこで、運転資金は半年~1年程度を目安とするなど自社にとって適切な期間を設定することが大事です。
また、資金を集めることだけに執着せず、投資家の経験やネットワークの活用、事業開発に関する助言や業界特有のナレッジ共有などの非金銭的な価値も重視することが大事です。これらの支援は、スタートアップの成長を加速させ、将来的な成功につながる可能性を高めます。投資家との関係構築へ注力してよいパートナーシップを築くことができれば、将来の資金調達ラウンドでも有利な立場に立つことができるでしょう。
資金調達のリスクを把握する
資金調達には、さまざまなリスクが伴います。これらを事前に理解し、適切な対策を講じることが重要です。
| リスクの種類 | 具体的な内容と対策 |
|---|---|
| 株式の希薄化 | 新たな投資家に株式を発行することで、創業者や既存株主の持株比率が下がる。また、将来の資金調達で新たに発行できる株式の余地が減少する。 対策としては、専門家の助言を得て会社の価値を適切に評価し、過度に安い価格で株式を発行しないようにすることや、一度に大量の株式を発行せず必要に応じて段階的に発行していくことなどが挙げられる。 |
| 経営の自由度低下 | 投資家が経営に関与することで意思決定が柔軟にできなくなり、経営のスピードが低下する可能性がある。 対策としては、投資家との権利義務関係を明確にしておき、経営者に対し過度な制限がかかるのを避け、投資家の拒否権が及ぶ範囲を限定的にしておくことが考えられる。 |
| 投資家とのトラブル | 会社の成長に対する期待値が投資家と創業者で異なり、揉める恐れがある。投資家からの過度な介入で本来の事業運営に支障をきたす可能性もある。 対策としては、前もって投資家の方針や期待値を確認しておいて齟齬がないようにすること、計画的に投資家とコミュニケーションを取り信頼関係を維持すること、適切な情報開示を行い投資家の理解と信頼を得ることなどが挙げられる。 |
これらのリスクを認識し、適切な対策を講じることで、資金調達に伴う潜在的な問題を最小限に抑えることができます。
次のフェーズを見越して資金調達をする
プレシードラウンドで調達した資金を使って、次のフェーズで評価される要素を着実に構築していくことが大切です。
そのため、現在の資金調達だけでなく、将来の成長に必要な資金も考えましょう。具体的な目標と達成までの道のりを想定し、それに基づく資金を見積もります。
また、次のラウンドでの評価額向上を意識し、投資家に魅力的なストーリーを提示することが大切です。そのためにも、市場の将来性や自社の競争優位性を明確に説明できるようにしておきましょう。
プレシードラウンドで次につながる資金調達を実現しよう
スタートアップ企業にとって、プレシードラウンドでの資金調達は事業の未来を左右する大きな転換点となります。単に「資金を確保する機会」ではなく、「事業を成長させるためのパートナーシップを構築する機会」でもあるためです。
自社の状況を客観的に分析して最適なタイミングで適切な調達方法を選択すること、そしてエンジェル投資家やVC、金融機関などそれぞれの特徴を理解して自社の成長戦略に合った選択をすることが重要です。
プレシードラウンドでの資金調達がゴールではありません。将来の資金調達も見据えた戦略的なアプローチを心がけましょう。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
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