- 更新日 : 2025年2月20日
分譲マンションは法人登記できる?NG・OKの例、会社設立住所の注意点
会社設立コストを抑えるために、自宅の分譲マンションを法人登記したいと考える人もいるでしょう。しかし、自宅であっても、分譲マンションは法人登記ができない可能性があります。この記事では、分譲マンションの法人登記の注意点などを紹介します。
目次
分譲マンションは法人登記できる?
分譲マンションとは、個人が所有するマンションの専有部分です。所有者が会社を設立する際、コストを抑える目的で分譲マンションの住所を使って法人登記をしたいケースもあるかと思われます。
分譲マンションの法人登記については、法律によって明確に禁止されているわけではありません。しかし、実際には、法人登記ができるケースと、法人登記ができないケースが存在します。
マンション管理組合の管理規約を確認
法律では規制がされていない分譲マンションの法人登記ではありますが、法律のほかに、個別のマンションのルールに従う必要があります。分譲マンションの法人登記をするにあたって、マンション管理組合の管理規定に定めがないか確認するようにしましょう。
分譲マンションの法人登記がOKな場合
管理組合のマンション管理規約とは、マンションの基本的なルールです。管理組合、専用部分・共用部分の範囲、専用部分の用途、駐車場の使用、共用部分の第三者の使用などが定められています。
分譲マンションでの法人登記は、管理規約に明確な禁止規定がなければ、原則可能です。
もし、管理規約の内容に不明点がある場合は、管理組合に確認することをおすすめします。
分譲マンションの法人登記がNGな場合
分譲マンションの利用規約で法人登記が明確に禁止されている場合には、分譲マンションの法人登記に制限があることがあります。
基本的に管理規約に従う必要があるものの、「法人登記不可」との記載があっても、管理組合との話し合いで、管理規約の変更を交渉することは可能です。区分所有法第31条に基づき、住人の4分の3以上の賛成、利害関係にある住人の承諾、の2つの要件を満たすことが必要となります。
また、事務所利用には、居住の事実があり、かつ平穏が保たれるような、テレワークやプログラマー、投資家などの事業は含まれません。
分譲マンションの法人登記が禁止される理由
分譲マンションで法人登記が禁止されることが多いのは、法人の事務所とすることで、不特定多数の人の往来が増える可能性があるためです。
不特定多数の人が出入りできる状態だと、マンションのセキュリティ十分に確保できなくなります。さらに、分譲マンションを住居用として使用している人に迷惑が及ぶ可能性も考えられます。来客用駐車場が埋まることでほかの分譲マンションの契約者が利用できなくなったり、人の往来による騒音などが近隣トラブルになったりすることもあるためです。
分譲マンションに法人登記したらバレる?
法人登記がされているかどうかは、法人登記を確認しないとわかりません。しかし、無断で法人登記をしてマンション管理組合に報告しなかった場合でも、法人登記がバレる可能性はあります。
法人の事務所として利用する場合、顧客がオフィスにたどり着けるように表札や看板を出すことがあるでしょう。表札などから明らかに事業を営んでいるとわかるため、法人登記がバレることがあります。
ほかにも、近隣トラブルにより発覚するケースも考えられます。取引先や顧客が訪問してくるような事業では、人の往来が激しくなり、それにともない騒音トラブルなどが生じる可能性があるためです。
また、法人登記はインターネット上で簡単に調べられます。インターネット上で、法人登記されていることが確認され、バレる可能性もあります。
分譲マンションの法人登記禁止の場合、他の会社設立方法
分譲マンションの法人登記がマンション管理規約によって禁止されている場合、法人登記をどうすべきか検討する必要があります。禁止されている場合の対策や法人登記の手段について紹介します。
分譲マンションの管理組合に相談する
設立する法人の業態によっては、マンション管理組合に相談する方法も考えられます。分譲マンションで法人登記が禁止されている理由の多くは、セキュリティを十分に確保できないことにあるためです。
例えば、人の往来がほとんどない事務所の設立など、状況や対策次第では、マンション管理組合に例外的に許可をもらえる可能性もあります。
実家を検討する
一軒家の実家や、親戚に了解を得ている場合は、その住所を法人登記する方法も考えられます。実家や親戚の家を法人登記するメリットは、事務所設立などに必要なコストをほとんどかけずに済むことです。
レンタルオフィス
レンタルオフィスとは、オフィスとしての設備が整った貸事務所のことです。賃貸契約のようにオフィスを借り切るのではなく、必要なときに、必要に応じてオフィスを借りられる仕組みです。レンタルオフィスの住所を利用して法人登記することに問題はありません。レンタルオフィスを活用することで、オフィスの賃貸契約を結ぶよりもコストを抑えて法人登記できます。
バーチャルオフィス
バーチャルオフィスは、事業用にオフィスの住所や電話番号などを貸し出すサービスのことです。レンタルオフィスが場所を借りられるのに対して、バーチャルオフィスは事務所スペースを借りられない、という違いがあります。
法人登記で会社の所在地として記載する住所には、特に規定が設けられていません。実際に住所地のオフィスを利用していない場合であっても所在地に指定できることから、バーチャルオフィスの住所は法人登記できます。
事務所を借りる
賃貸オフィスを借りて、法人登記の事務所所在地とすることもできます。事務所用として始めから貸し出している物件については、人の出入りによるトラブルなどを避けられます。顧客や取引先の訪問に対応しやすいのもメリットです。
なお、賃貸物件でも、住居用の物件については注意が必要です。分譲マンションで法人登記が禁止されている物件がある理由と同様に、セキュリティなどの観点から、住居用の物件は賃貸契約で事業での利用が基本的に禁止されています。
法人登記する住所の注意点
法人登記の住所選びではどのような点に注意するべきなのでしょうか。分譲マンションを法人登記する場合以外のケースで、実家、レンタルオフィス、バーチャルオフィスを法人登記するときの注意点をそれぞれ紹介します。
実家を法人登記する場合
法人登記をすることで、商号(会社名)、会社の所在地などの登記事項は誰でも確認できるようになります。そのため、実家の住所で法人登記をすると、実家の住所が簡単に知られてしまうリスクがあります。
さらに、実家が遠方の場合は、届け出などの手続きの負担が増える可能性があることにも注意しましょう。また、事務所住所宛ての郵便物は実家に届くことになるため、郵便物の確認などで手間がかかるデメリットもあります。
レンタルオフィスを利用する場合
レンタルオフィスの住所を法人登記することに法的な問題はありません。しかし、レンタルオフィスを運営する会社によっては、法人登記を許可していないこともあります。レンタルオフィスを利用して法人登記したい場合は、ホームページなどで法人登記が可能か確認しておきましょう。
また、レンタルオフィスの運営元の経営状態が悪化し廃業した場合は、レンタルオフィスが利用できなくなり、登記している住所にも影響を与えます。レンタルオフィスの住所の利用は、リスクも考慮したうえで選択するようにしましょう。
バーチャルオフィスを利用する場合
バーチャルオフィスは、実態のない事務所です。顧客の往来がほとんどない事業など、オフィスがなくても支障のない事業であれば、バーチャルオフィスの住所を利用して法人登記をしても特に問題はないでしょう。
しかし、業種によって、法律により事業所の面積や独立性などが定められている場合があります。法律により規制のある業種については、バーチャルオフィスを利用して法人登記することはできません。
また、バーチャルオフィスは住所などを貸し出すサービスです。同じ住所で、複数の法人が登記している可能性もあります。住所で検索をかけたときに複数の事業所がヒットする場合は、信頼性に影響する可能性もあります。
分譲マンションの法人登記には注意しよう
分譲マンションは、マンションを購入した個人の所有物になりますが、法人登記ができないことがあります。住居用のマンションで法人の事務所利用を許可すると、セキュリティ面などのリスクが生じる可能性があるためです。ただし、実際に法人登記ができるかどうかはマンションによって異なります。マンションの管理規約に用途の制限はないか、特に記載がない場合はマンション管理組合に確認するなどして法人登記をするようにしましょう。
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