- 更新日 : 2026年3月12日
バーチャルオフィスで法人登記できない業種や選び方を解説
法人登記は全法人格で可能ですが、許可が必要な一部業種では制限があります。
- 株式会社や合同会社など、全法人格で登記可能。
- 銀行口座開設や融資の手続きに時間がかかる場合がある。
- 宅建業や建設業など、実体空間が必要な業種は不可。
法人登記をする上での注意点は、同一住所に同商号がないか確認が必要です。
最近さまざまな形態のコワーキングスペースが作られ、その中で住所だけ借りる「バーチャルオフィス」という形態も増えてきました。今回は、法人設立をする際のバーチャルオフィスの利用について解説していきます。
目次
バーチャルオフィスとは?
バーチャルオフィスとは、個人事業として開業届を提出する際や、法人設立時に本店所在地として登記をする際の「住所を借りる」ものです。
仕事をしたり、お客さまと打合せする場所としてのオフィスが実際にあるわけではありません。
実際の業務は自宅などで行いつつ、対外的な登記住所や名刺、ウェブサイトの記載用には信頼性の高い都心の住所を使用するという使い分けが可能になります。
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バーチャルオフィスで登記ができる?
株式会社、合同会社であってもバーチャルオフィスで登記可能です。本店所在地の登記場所に特に制限はありません。
また、外資系企業の日本法人設立時にも活用されています。ただし、自治体の助成金や補助金を申請する際、要件に「市内に実体のある事務所を有すること」が含まれている場合は対象外となるケースがあるため、事前に各自治体の公募要領を確認することが推奨されます。
ただし、同一住所に全く同じ商号(社名)の会社が既に存在する場合は登記できないため、事前に管轄の法務局で類似商号の調査を行う必要があります。
バーチャルオフィスで法人登記できない業種
バーチャルオフィスでの登記自体は可能でも、許認可(営業ライセンス)の取得要件に「一定以上の広さがある事務所」や「独立した空間」が含まれる業種は、事実上利用できません。
これらの業種は、行政等による実地調査が行われることが多く、机や棚の配置、個人情報を保護できる壁で仕切られた個室の有無などが厳格にチェックされます。バーチャルオフィスで無理に登記をしてしまうと、営業許可が下りずに事業を開始できないという事態に陥るため注意が必要です。
もしバーチャルオフィスで営業許可が通らない場合、実務上は、以下のいずれかの方法で対応することが一般的です。
- 本店所在地を許認可要件を満たす事務所へ移転する
- 本店はバーチャルオフィスのままとし、許認可要件を満たす「営業所」や「事務所」を別途設置する。
ただし、業種によっては後者の対応も認められないケースがあります。特に下記の業種は、許認可要件が厳しいため、事前に所管の行政機関へ確認しましょう。
- 宅地建物取引業: 独立した事務スペースの確保が必須条件となります。
- 建設業: 経営業務の管理責任者が常勤できる実体のある事務所が求められます。
- 有料職業紹介・労働者派遣業: 面談スペースや個人情報の管理体制(鍵付き保管庫等)が審査対象となります。
- 古物商: 営業所としての実体が必要です。基本的にバーチャルオフィスでは審査が通りません。
- 風俗営業: 構造的な要件が非常に厳しく、共有スペースがメインのバーチャルオフィスでは不可能です。
- 士業(弁護士・税理士等): 各士業会によって事務所設置の規定があり、認められないケースが多いです。
バーチャルオフィスに法人登記するメリットは?
バーチャルオフィスは実際にオフィスを借りるわけではないので、初期費用やランニングコストが低いこと、自宅のプライバシーを守れることが大きなメリットです。
固定費や初期費用を最小限に抑えられる
賃貸オフィスを借りる際に発生する敷金・礼金、保証金、オフィス家具の購入費用を大幅に削減できます。月額数千円程度から運用できるため、創業期のキャッシュフローを圧迫せず、事業資金を本来の投資(広告や商品開発)に回すことが可能です。
都心一等地の住所で信頼性を高められる
例えば銀座、丸の内、渋谷といったブランド力の高い住所を本店所在地にできるため、取引先や顧客に対して安心感を与えられます。特に創業間もない時期は、所在地の社会的信用がビジネスチャンスに影響を与えることも少なくありません。
自宅のプライバシーとセキュリティを守れる
自宅を登記場所にする場合、登記簿謄本を通じて自宅住所が一般に公開されてしまいます。バーチャルオフィスを利用することで、ネット上の誹謗中傷や予期せぬ来客などのトラブルから自分や家族の生活を守ることができます。
バーチャルオフィスで法人登記するデメリット
バーチャルオフィスで法人登記する際は、特に法人口座の開設や許認可について、事前の対策が必要です。
銀行口座開設や融資の手続きに時間がかかる場合がある
法人の銀行口座など、バーチャルオフィスであることから開設できないということはありません。しかし、2020年から口座開設においては暴力団対策法等の関係で厳しくなっていますので、審査に多少時間がかかる可能性はあります。審査が比較的柔軟なネット銀行から申し込みをするというアプローチもあります。
また、オフィスが必要のない事業であることを説明を求められることがあります。重要なことは、事業内容や将来性であり、その会社が信頼できるものかどうかです。会社案内や事業計画書などを充実させ、過去の取引実績を示す請求書や契約書を用意するなど対策をしましょう。
郵便物の受け取りや管理にタイムラグが生じる
本店所在地宛にさまざまな郵便物が届くため、その郵便物の転送を自動で行ってくれるのか、もしくは自分で取りにいかなければならないのか、郵便物の受取手数料や発送手数料が必要なのかなど細かな点は事前に確認が必要です。
行政からの期限付き通知など、即応が必要な重要書類への対応が遅れるリスクを考慮しなければなりません。
特定の許認可が必要な業種では利用できない
前述の通り、宅建業や人材派遣業など、事務所としての物理的な要件が法律で決まっている業種は利用できません。また、社会保険労務士などの士業も、所属する会によってはバーチャルオフィスを事務所として認めない場合があるため、事前の確認が必須です。
バーチャルオフィスで法人登記をする流れ
バーチャルオフィスを活用した法人設立の手続きは、通常の登記プロセスとほぼ同様ですが、契約のタイミングが重要です。
まずはバーチャルオフィスの利用契約を締結し、使用承諾を得てから定款(ていかん)の作成に入ります。登記完了後に、銀行口座の開設や税務署への届出を行うという順番で進めるのが最もスムーズです。
登記手続きの流れ
主な必要書類
- 法人設立登記申請書
- 定款(公証人の認証を受けたもの)
- 発起人の決定書
- 役員の就任承諾書
- 代表者の印鑑証明書
- 資本金の払込証明書
法人登記後に住所を変更する方法や費用は?
事業規模の拡大に伴い、バーチャルオフィスから賃貸オフィスへ移転する場合、法務局での「本店移転登記」が必要です。
この手続きには登録免許税という税金がかかり、移転先が同一の管轄内であれば3万円、管轄外へ移転する場合は6万円(旧管轄分3万円+新管轄分3万円)を納める必要があります。また、住所変更は登記簿だけでなく、税務署、年金事務所、銀行口座、契約書など多岐にわたるため、計画的な実施が不可欠です。
- 登録免許税: 3万円〜6万円(収入印紙で納付)
- 司法書士報酬: 3万円〜5万円程度(自身で書類作成を行う場合は0円)
- 印鑑カードの再発行: 管轄外移転の場合は新しい法務局で再発行が必要
- 反映期間: 法務局へ申請してから完了まで通常1週間から10日程度
失敗しないバーチャルオフィスの選び方は?
バーチャルオフィス事業者は数多くあります。長く安心してビジネスを続けるために、オフィス選びでチェックすべき3つのポイントを紹介します。
運営会社の信頼性と過去の登記実績を確認する
法人の本店所在地は、銀行口座の開設や取引先からの信用にかかわります。運営歴が長く経営基盤が安定しているか、過去に犯罪などに悪用された住所でないかを確認しましょう。入会審査が適正に行われているオフィスは、同じ住所を利用する他社の質も保たれるため、結果的に自社の信用を守ることにつながります。
郵便物管理のルールを細かくチェックする
郵便物の扱いは、日々の業務効率と信頼性に直結する最重要ポイントです。「即時」「週1回」などの転送頻度と、それに伴う手数料を確認してください。また、本人限定受取郵便や簡易書留、大きな宅配便の受け取り・転送が可能かどうかも、重要書類の受領に不可欠なチェック項目です。
会議室の有無と来客対応の質
実店舗を持たないからこそ、いざという時のバックアップ体制が重要です。登記住所と同じビル内で対面打ち合わせができる会議室があると、取引先へ安心感を与えられます。また、スタッフが常駐している拠点では、急な来客にも丁寧な対応が期待でき、銀行の審査においてもプラスに働く傾向があります。
解約条件と将来的な移転のしやすさ
事業の成長に伴い、いずれは賃貸オフィスへ移転する可能性があります。最低契約期間の縛りや、途中解約時の違約金がないか事前に確認しておきましょう。ビジネスの成長フェーズに合わせて柔軟に契約形態を変えられるサービスを選ぶのが賢明です。
バーチャルオフィスでも法人登記は可能
バーチャルオフィスと聞くと不安に思う方もいらっしゃるかもしれませんが、都内一等地のような信用力のあるエリアにオフィスの住所を構えたり、フリーで仕事をされているかたなどは、自宅住所を公開する必要がないので、セキュリティ面でも安心があります。
最近では利用する法人も増えていますので、来客がないような業態であれば、経費削減の方法のひとつとなるはずです。
よくある質問
バーチャルオフィスとは?
バーチャルオフィスとは、個人事業として開業届を出す際の住所地や、法人設立する際の本店所在地として登記をするための「住所を借りる」というものです。詳しくはこちらをご覧ください。
バーチャルオフィスで登記ができる?
バーチャルオフィスでの登記は可能です。本店所在地の登記場所に特に制限はありません。詳しくはこちらをご覧ください。
バーチャルオフィスで法人登記する際の注意点は?
同一住所に同じ法人名で法人設立をすることはできないので、登記をする前に管轄の法務局で、類似商号がないかは調べなければなりません。詳しくはこちらをご覧ください。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
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