• 更新日 : 2026年1月14日

会社設立に必要な発起人とは?意味や役割、責任範囲、決め方などを簡単に解説

会社設立の準備を進める中で、必ず耳にするのが「発起人」という言葉です。発起人は会社設立の手続きにおける中心人物ですが、設立後の株主や役員との違いがわからず混乱してしまうケースも少なくありません。

本記事では、発起人の意味や役割、責任範囲、誰がなれるのかといった基礎知識から、複数人で会社を作る際の持株比率の注意点まで、会社設立を成功させるための重要事項を解説します。

会社設立時の発起人とは?

発起人とは、法律的な定義としては、会社の憲法である定款に署名または記名押印し、会社設立の手続きを中心となって行う人を指します。読み方は「ほっきにん」です。

会社設立の手続きは、すべて発起人が中心となって進めます。定款を決め、資本金を出し、会社を登記するのが発起人の役割です。会社設立には多くの人がかかわりますが、定款に署名または記名押印した者を「発起人」とします。1人でなければならないことはなく、また法人でも発起人になれます。会社設立後は別の呼び名に変わるため設立時にしか登場しない言葉ですが、発起人がいなければ会社を設立することは不可能です。

法律用語である発起人を、より一般的な言葉で言い換えると以下のようになります。

  • 創業者:ビジネスをゼロから立ち上げる人という意味で、最も近いニュアンスです。
  • 設立企画者:会社の立ち上げをプランニングする人です。
  • 設立時株主:会社にお金を出し、最初の株主になる人です。
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会社設立時の発起人と似ている用語の違いは?

発起人とよく混同される「出資者(株主)」や「役員(取締役)」との違いは、時期と役割にあります。中小企業の設立においては、これらは同一人物であることが一般的です。

発起人と出資者(株主)の違いは?

発起人と出資者(株主)の違いは、会社設立の前か後かという時期の違いがあります。

  • 発起人:会社が成立するまでの間、設立手続き(定款への署名)や出資を行う人
  • 出資者(株主):会社設立後、出資者として権利を持つ人

発起人は設立時に必ず1株以上の株式を引き受ける必要があるため、会社成立後は自動的に株主となります。ただし、設立後に新たに株主になった人が、遡って発起人になることはありません。

また、中小企業で一般的な「発起設立」では、発起人が株主になります。一方、「募集設立」では、発起人以外からも出資者を募りますので、発起人でない出資者も存在します。

発起人と役員(取締役)の違いは?

発起人は会社を作る人、役員(取締役)は会社を経営する人という役割の違いがあります。

  • 発起人:会社設立までの手続き(定款作成・出資など)を行う人
  • 役員(取締役):会社成立後、事業運営や管理を行う人

発起人の役割は、役員の選任をもって終了します。法律上、発起人と役員との役割は明確に分かれていますが、中小企業の設立においては、発起人がそのまま設立後の役員(取締役)になるケースが一般的です。もちろん、発起人が出資(株主)のみを行い、経営は別のプロに任せて役員にはならないという形も可能です。

会社設立時の発起人の役割は?

発起人が行うべき役割は多岐にわたりますが、会社ができるまでのすべての責任を負います。具体的には以下の5つのステップを遂行します。

1. 会社設立の準備

どのような会社を作るのか、事業計画を立てて準備を進めるのが最初の役割です。「どんなビジネスをするか」「社名はどうするか」「資金はどう集めるか」といった基本構想を練り、協力者を集めるなどの準備を行います。

つまり、会社設立の企画段階において、将来発起人となる者が事業計画を立案します。

2. 定款の作成

会社の憲法とも言える「定款」を作成し、会社の基本ルールを決定します。商号(会社名)、本店所在地、事業目的、資本金の額など、会社の根幹に関わる重要事項を発起人全員で話し合って決定し、書面(または電子データ)に残します。

3. 資本金の出資

会社設立に必要な資金(資本金)を出資し、最低でも1株以上の株式を引き受ける義務があります。発起人は、設立時発行株式の引受け後遅滞なく、出資金を「振込」の形式で払い込みます。会社法では、発起人が引き受けた株式の払込みが完了していないと、会社の登記ができません。

なお、会社設立前はまだ会社名義の銀行口座が存在しません。そのため、発起人個人の銀行口座を振込先として使用し、資本金を入金して通帳に履歴を残す作業(通帳のコピーを払込証明書と共に登記申請時に提出)が必要になります。

4. 設立時役員の選任

発起人は、出資の履行完了後、遅滞なく会社設立時の取締役や監査役といった役員を決定・選任します。発起人は、出資額に応じた議決権(出資額に応じる)の過半数をもって、最初の経営陣を選びます。発起人自身がそのまま取締役に就任することも一般的です。

5. 設立手続き

公証役場や法務局に対する手続きを行います。

  • 定款認証:作成した定款が正しい手続きで作られたことを公証人に証明してもらいます(株式会社の場合)。
  • 登記申請:法務局へ書類を提出します。

参考:9-4 定款認証|日本公証人連合会商業・法人登記の申請書様式|法務局

会社設立時の発起人の責任範囲は?

発起人は会社を作る強力な権限を持つ一方で、失敗や不正に対して重い責任を負います。「名前だけ貸してほしい」と言われて安易に引き受けることは避けなければなりません。主な責任は以下の3つです。

1. 財産価額補填責任、出資の履行を仮装した場合の責任等

現物出資(不動産や車など、お金以外での出資)や財産引受(特定の財産を譲り受ける契約)の価値が定款に記載された額より著しく不足している場合、発起人はその不足分を自ら支払う義務を負います。(会社法第52条)

なお、「出資の払込みが仮装された場合」は、仮装払込をした発起人は払込金額の全額を支払う義務を負います。(会社法第52条の2)

参考:会社法 第52条及び第52条の2|e-Gov法令検索

2. 損害賠償責任

発起人がその任務を怠り、会社に損害を与えた場合、会社に対して損害賠償責任を負います。また、悪意や重大な過失によって第三者(取引先など)に損害を与えた場合も、同様に賠償責任が発生します。(会社法第53条)また、複数の発起人や設立時役員が任務を怠った場合、これらの者は連帯債務者として連帯して責任を負います。(会社法第54条)

参考:会社法 第53条及び第54条|e-Gov法令検索

3. 会社不成立時の責任

万が一、会社設立の手続きが完了せず会社が成立しなかった場合、設立準備のために契約した行為や支出した費用は、すべて発起人が連帯して負担しなければなりません。設立できなかったからといって、債務が消えるわけではない点に注意が必要です。これは、発起人が注意を怠らなかったことを証明しても免除されない無過失責任となります。

参考:会社法 第56条|e-Gov法令検索

発起人を1人にするか複数にするか?それぞれの特徴と注意点

発起人になるための特別な資格はなく、誰でもなることができます。個人(自然人)はもちろん、法人(会社)が発起人になり、子会社を設立することも可能です。

1人の場合

発起人1人で設立する場合、定款の内容や経営方針をすべて自分の思い通りに決められるのがメリットと言えます。会社設立後も100%株主となるため、誰にも邪魔されず迅速な経営判断が可能です。小規模なスタートアップや個人事業からの法人成り(法人化)では、1名が最も一般的です。

一方、発起人1人の場合には、業務や責任を1人で負うため負担が集中し、独断的な判断になったり、誤りに気づきにくかったりすることがデメリットと言えます。

複数の場合

資金力を高めたい場合は複数名が有利ですが、意見の対立に注意が必要です。複数いれば出資金が多く集まり、事業開始時の運転資金に余裕が生まれることがメリットと言えます。さらに、人脈、ノウハウ、情報などを持ち寄ったり、法的リスクを分散したりできます。

しかし、意見の対立で意思決定に時間がかかったり、経営方針で揉めたりした際に合意形成が困難になるというリスクが高まることがデメリットと言えます。

複数人で発起人になる場合、誰がどれだけの株式を持つか(議決権割合)が重要です。

持株比率(出資比率)の決め方
  • 3分の1超:特別決議を単独で否決できる拒否権が持てる。
  • 3分の2以上:重要事項の決定(特別決議)を単独で可決できる。
  • 過半数:取締役の選任・解任など(普通決議)を単独で可決できる。

安易に50%ずつにしてしまうと、意見が割れた際に何も決められなくなる「デッドロック状態」に陥る恐れがあります。経営の主導権を握る代表者が、最低でも過半数、できれば3分の2以上の株式を持つ設計にすることをおすすめします。

会社設立時の発起人についてよくある質問

最後に、発起人についてよくある質問とその回答をまとめました。

未成年や外国人も発起人になれますか?

はい、外国籍の人はもちろん、未成年者でも発起人になれます。

ただし、15歳未満の未成年者の場合、基本的には印鑑登録ができないため、手続き上のハードルがあります。定款認証には印鑑証明書が必要となるため、親権者(法定代理人)が法定代理人として定款に署名押印する必要がある

など、実務上の工数が増える点に注意してください。

法人が発起人になる場合の注意点はありますか?

新設会社の事業目的と発起人法人の事業目的との関連性が必要です。法人が発起人になる場合、発起人法人の定款に記載されている既存法人の事業目的と、新しく作る会社の事業目的に関連性が求められます。会社は定款の目的の範囲内でしか権利能力を持たないためです。

会社設立の途中で発起人を辞めることはできますか?

会社法上、「発起人の辞任」という明確な規定はなく、そもそも定款署名前であれば、定款への署名を拒否すれば発起人にはなりません。

定款認証後で会社成立前なら、発起人全員の同意により定款を変更し、理論上は発起人の変更を行うことができます。しかし、定款認証後や株式の引き受け後は、他の発起人全員の同意や定款の変更手続きが必要となり、非常に困難になります。安易に辞任はできないと考え、慎重に就任してください。

発起人が報酬を受け取ることはできますか?

可能ですが、定款への記載と厳格な検査が必要です。発起人が設立準備の対価として報酬を受け取る場合、これを「発起人の報酬その他の特別利益」と呼びます。これを受け取るには、定款に具体的な内容と金額を記載(変態設立事項)し、裁判所が選任した検査役の調査を受けるという非常に厳格な手続きが必要になります。手続きが複雑化し、コストも時間もかかるため、一般的な中小企業の設立では設定しないケースが大半です。

発起人の役割と責任を理解して会社設立を

発起人は、会社が成立するまでの期間限定の役割ですが、会社の土台を作る最も重要なポジションです。単にお金を出すだけでなく、「どんな会社にするか」を決め、法的な責任を負って手続きを進める実行者です。

  • 発起人 = 創業者であり、最初の株主。
  • 設立後はそのまま経営者(役員)になるのが一般的。
  • 複数人で設立する場合は、主導権を確保できる持株比率に設定する。

これらのポイントを十分に理解したうえで、スムーズな会社設立を実現させましょう。


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