- 更新日 : 2025年7月28日
経営計画書とは?作り方・記入例を解説!無料テンプレート・フォーマットつき
ステークホルダーに会社の経営理念やビジョンを示し、全社員がなすべきことを具体的かつ包括的にまとめた経営計画書。
金融機関への借入れ申込時や株主への経営計画の発表時、あるいは社員や取引先への経営情報開示といった場面で、経営計画書が必要になったという経営者は少なくないかもしれません。
それ以前に、自社の現在と将来の姿を改めて客観的にイメージし、実際の経営に活かしたいと考えている経営者もいらっしゃるでしょう。本記事では、経営計画書の基本的な作成方法について、テンプレートをもとに、大まかな記載内容や各項目について解説します。
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目次
経営計画書とは?
経営計画書とは、会社の進むべき道とゴールを示し、そのゴールに到達するための具体的な方法を記した計画書です。経営計画書は、航空機のパイロットが用いる飛行計画書(フライトプラン)や、登山家が用いる登山計画書に例えられます。どちらも最終目的地とそこへ至るルートを記しており、速度、使用する無線設備、代替地などの情報が記載されます。
気象条件などにより変更を余儀なくされることもありますが、基本的には計画書通りのルートを辿ります。経営計画書も、環境の変化などにより変更を余儀なくされることがありますが、基本的には計画書に従って行動します。
経営計画書と事業計画書の違い
会社が作成する計画書には、経営計画書の他に事業計画書があります。事業計画書とは、既存事業・新規事業の内容を文書・数値で整理した計画書のことです。会社が内部管理のため、金融機関から融資を受けるために作成します。
これに対して、経営計画書は会社全体の計画書であること、目標を設定していることから、事業計画書に比べて俯瞰的で長期的な計画書だと言えます。なお、事業計画書の詳細は以下の記事をご参照ください。
経営計画書が重要な理由
一般的に、経営の現場では経営計画書が重要であるとされています。一体なぜでしょうか。
それは、経営計画書を作成し、全社員を含むステークホルダーと共有することで、企業活動の各所で経営効率が高まり、結果的に経営計画の実現可能性が高まるからです。
登山家は、登山計画書を共有することでゴールとそこへ至るルートをメンバー全員に周知し、登頂成功の確率を高めます。経営計画書も、本質的にはそれに近い機能を有しています。
経営計画書に必要な項目
経営計画書のフォーマットはさまざまですが、多くの場合、以下のような項目を含んでいます。
- 経営理念
- ミッション
- ビジョン
- 行動指針
- 経営戦略
- 売上計画(マーケティング計画を含む)
- 投資計画
- 経営数値目標(業績等収支計画)
- 方針・施策詳細
- 実施スケジュール
企業によっては、上記の項目に加えて資本計画、予想バランスシート、予想キャッシュフローステートメント、市場分析および市場予想、競合状況、研究開発計画、SWOT分析等各種分析などを経営計画書に盛り込んでいます。
経営計画書の無料テンプレート
実際に経営計画書を作成する前準備として、まずは経営計画書のテンプレートをダウンロードしてください。ダウンロードしたファイルに4つのシートが収載されているので、項目などを御社の実情に合わせて変更してください。
エクセルのテンプレートとは別にパワーポイントのテンプレートも用意していますが、先にエクセルのテンプレートに情報を入力し、それをベースにしてパワーポイントのテンプレートに肉付けしていくイメージです。
経営計画書のテンプレート(パワーポイント)をダウンロードする
「経営理念」「ミッション」「ビジョン」などについてはあまり冗長にせず、シンプルかつ端的に記載した方がよいでしょう。一方、「行動指針」「経営戦略」などについては、可能な限り詳細に記載してください。また、パワーポイントのテンプレートの各項目についても、基となる情報は必ず経営陣から入手してください。
経営計画書の書き方・記入例
エクセルのテンプレートをダウンロードしたら、早速情報を入力しましょう。ファイルは「会社概要書」「計画概要書」「計画方針書」「実施スケジュール」の4つのシートで構成されています。
会社概要書
まずは「会社概要書」のシートについて、「会社情報」から、自社の基本的な下記項目を記載します。
- 経営理念
- ミッション
- ビジョン
- 行動指針
- 経営戦略
計画概要書
次に「計画概要書」のシートについて、今期経営計画概要の下記項目を記載します。
- 今期経営戦略の概要
- 売上計画の概要
- 経費計画の概要
- 投資計画の概要
- その他
- 経営数値目標
それぞれの計画の概要を端的に記載してください。この段階では、計画の骨子が記載されていれば十分です。後にパワーポイントのテンプレートに記載する際に肉付けして文章をまとめます。
計画方針書
次に「計画方針書」のシートですが、それぞれの項目については、会社の業種や業態に合わせて変更しても問題ありません。例えばメーカーなどの場合、「製品開発」「調達購買」「サプライチェーン管理」など、アクションを起こすべき優先順位の高い項目に変更してもよいでしょう。
実施スケジュール
「実施スケジュール」のシートには、「計画方針書」で決めたそれぞれのアクションプランを実施する具体的なスケジュールを記載します。また、それぞれの計画の実施目標と施策内容を具体的かつコンパクトに記載してください。
いずれのシートについても、可能な限りわかりやすく明確に記載してください。
経営計画書は誰が作る?
ところで、経営計画書に記載する基となる情報についてはどのように考えるべきでしょうか。そもそも、経営計画書は誰がどのようにして作るべきでしょうか。
経営計画書は、基本的には経営トップである社長が作るべきです。経営は社長の仕事であり、そのロードマップを作るのは社長であるべきです。必ずしも社長自らがテンプレートに情報を記載し、経営計画書を完成させる必要はありませんが、その基となる情報は社長から提供されるものです。
比較的小規模な企業の場合、社長自らが経営計画書を作った方がスピーディーに進むかもしれませんが、ある程度の規模の企業の場合、管理部門がチームを組んで作成した方が効率的かもしれません。
その場合も、経営計画書の基となる情報は、社長を筆頭とする経営陣から提供される必要があります。特に会社のビジョンやミッション、およびそれらを実現するための経営戦略などについては、経営陣からもたらされる情報が不可欠です。ビジョンやミッションの策定は、経営者の最も重要な役割のひとつであり、他の誰も代行できないからです。
経営陣以外の人が経営計画書を作成する際は、社長をはじめとする経営陣へのヒアリングを丁寧に行い、経営陣の意図を正しく盛り込むことが重要なポイントになります。
経営計画書を活用するメリットは?
ところで、企業が経営計画書を活用するメリットは何でしょうか。中小零細企業などにおいては、経営計画書なんて作成したことがないというケースが少なくありません。特に、長年下請けの仕事をしている中小企業や、系列企業からの仕事をメインにしているグループ企業などにおいては、経営計画書を作る必要に迫られたことが一度もないという場合もあるでしょう。しかし、経営計画書には、そのような企業にとっても大きなメリットがあるのです。
メリット1. 経営計画の実現可能性が高まる
企業が経営計画書を活用する1つ目のメリットは、経営計画の実現可能性が高まることです。経営計画書は、登山家が用いる登山計画書と同様の効果をもたらすと上述しましたが、実際、適切に策定された経営計画書は、社員をはじめとするあらゆるステークホルダーの足並みをそろえ、想定したルートからの逸脱を防ぎ、正しく安全にゴールへ到達させる可能性を高めます。また、共通のゴールへ向かっていることを周知させ、モチベーションとモラルを向上させます。
メリット2. 金融機関から借入れがしやすくなる
企業が経営計画書を活用する2つ目のメリットは、金融機関から借入れがしやすくなることです。企業が借入れをする際、金融機関からチェックされるのが資金使途と返済能力です。特に返済能力については、担保や保証の有無に加えて、毎月の返済を可能にする十分な収益が見込めるかどうか厳しくチェックされます。経営計画書を適切に作成し、収益目標とそのためのアクションプランを示すことにより、金融機関にプラスの心証を与えることが可能になります。
メリット3. 増資がしやすくなる
企業が経営計画書を活用する3つ目のメリットは、増資がしやすくなることです。一般的にベンチャーキャピタルなどの投資家は、投資を検討する際、収支計画を含めた企業の経営計画書をベースに評価します。特に、将来の売上やキャッシュフローなどの実現可能性を厳しくチェックします。投資家にとっては、投資を求める企業から経営計画書を提示されるのは当たり前のことなのです。スタートアップ企業など、長期的なスパンで資金調達を計画している企業の場合は、経営計画書の作成が絶対条件になります。
無料テンプレートやサンプルを使って経営計画書を作成しよう!
経営者の中には経営計画書がなくても経営はできるという人もいますが、上述のように、経営計画書なしで経営することは、パイロットが飛行計画書なしに飛行したり、登山家が登山計画書なしに山頂を目指したりするのと同じようなものです。
経営上のさまざまなリスクを避け、経営目標の実現可能性を高めるため、テンプレートを上手に活用して経営計画書を作成することをおすすめします。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
※本サイトは、法律的またはその他のアドバイスの提供を目的としたものではありません。当社は本サイトの記載内容(テンプレートを含む)の正確性、妥当性の確保に努めておりますが、ご利用にあたっては、個別の事情を適宜専門家にご相談いただくなど、ご自身の判断でご利用ください。
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