- 作成日 : 2025年6月20日
リスケ中の資金調達方法は?日本政策金融公庫の融資制度や銀行との関係構築方法も解説
「リスケ」という言葉を聞くと、資金繰りが厳しい状況を連想し、新たな資金調達は絶望的だと感じてしまうかもしれません。しかし、決してそんなことはありません。リスケ中であっても、事業の立て直しや成長のために資金調達に成功している企業は存在します。
この記事では、リスケ中に資金調達を実現するための具体的な戦略、注意すべき点、そして利用可能な資金調達手段を徹底的に解説します。
目次
リスケとは
リスケ(リスケジュール)とは、銀行などの金融機関との間で、既存の借入金の返済条件を変更してもらうことを指します。これは、一時的な資金繰りの悪化に対応するための措置であり、決して事業の終わりを意味するものではありません。
しかし、リスケはあくまで一時的な猶予措置であり、根本的な解決には事業の改善計画と実行が不可欠です。金融機関もその点を理解しており、リスケに応じる際には期限を定め、実現可能性の高い経営改善計画書の提出を求めてきます。
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リスケ中の資金調達が難しいと言われる理由
一般的に、リスケ中の資金調達は通常よりも難しいとされています。その主な理由は以下の通りです。
- 金融機関の警戒感:リスケを行っているということは、企業の財務状況が厳しく、新たな融資に対して金融機関は慎重になります。
- 信用力の低下:銀行融資をリスケした事実は、企業の信用格付けが下がる大きな要因となります。
- 担保や保証の不足:追加の担保や保証を提供できる余力がない場合が多いです。
- 事業計画の不確実性:リスケに至った原因が解消されず、将来の事業計画に不確実性が残る場合、新たな資金調達は困難になります。
しかし、これらの状況を乗り越え、資金調達に成功している企業も確かに存在します。重要なのは、現状を正確に把握し、適切な戦略を立てることです。
リスケ中に資金調達を成功させるためのポイント
リスケ中に資金調達を成功させるためには、いくつかの重要なポイントを押さえる必要があります。
明確かつ実現可能な経営改善計画の策定
最も重要なのは、明確かつ実現可能な経営改善・再生計画を対外的に示すことです。単に資金繰りの改善を訴えるだけでなく、リスケに至った原因を分析し、具体的な改善策、数値目標、そして達成までの道筋を論理的に説明する必要があります。
経営改善計画には、以下のような要素を含めることが望ましいです。
- 現状分析:財務状況、市場環境、競合状況などの詳細な分析
- 課題の特定:リスケに至った根本的な原因の特定
- 改善策:具体的な売上増加策、コスト削減策、業務効率化策など
- 数値目標:売上高、利益、キャッシュフローなどの具体的な目標値と達成時期の明示
- 実行体制:誰が、いつ、どのように改善策を実行するのか明確な体制
- リスクと対策:改善計画の実現におけるリスクと、その対策
客観的なデータに基づき、論理的で説得力のある計画を作成することが欠かせません。
金融機関との信頼関係の再構築
金融機関にリスケを申し込んでも、全てのケースで認められるわけではありません。特に銀行は、企業の財務状況や将来性を慎重に評価するため、財務状況が著しく悪化している場合には、リスケ交渉に応じることなく貸付金の回収を迫ってきます。銀行がリスケを認めた場合でも、期間は最長1年と短く、債務者区分は「破綻懸念先」に振り分けられます。返済期日が迫った経営者は非常に厳しい状況に立たされますが、ノンバンクなど他の金融機関への相談を検討したり、専門家に助言を求めたりすることで、打開策を探ることが重要です。
他の資金調達手段の検討と準備
リスケ中には、銀行や日本政策金融公庫から新たな融資を受けられません。そのため、他の資金調達手段を検討することになりますが、例えば、以下のような選択肢が考えられます。
- ノンバンクからの融資
金利が高めですが、厳しい状況にある中小企業向けの融資制度が存在する可能性があります。 - 不動産担保ローンの活用
所有している不動産を担保として信用力を補完することで、民間の金融機関から融資を受けられる場合があります。 - ベンチャーキャピタルや投資家からの出資
事業の成長性や将来性が評価されれば、出資という形で資金調達が可能です。 - 補助金・助成金
事業再構築や新規事業展開に活用できる補助金や助成金を探します。 - 資産の売却
不要な資産を売却することで、一時的な資金を確保できます。
これらの資金調達を検討する際には、それぞれのメリット・デメリットを理解し、自社の状況に合った方法を選択する必要があります。また、資金調達を希望する場合には、早めに情報収集を始め、必要書類や事業計画の準備を進めておくことが重要です。
専門家のサポートを活用する
リスケ中の資金調達は、新規融資に応じてくれる金融機関が限定されるため、専門的な知識や経験が求められる複雑なプロセスです。そのため、必要に応じて弁護士、中小企業診断士、金融コンサルタントなどの専門家のサポートを受けることを検討しましょう。
専門家は、経営改善計画の策定支援、資金調達先の紹介などでさまざまなサポートを提供してくれます。客観的な視点からのアドバイスは、資金調達の成功率を高める上で非常に有効です。
リスケ中に検討すべき資金調達手段
リスケ中に検討すべき具体的な資金調達手段について、それぞれの特徴と注意点を解説します。
ノンバンクからの融資
融資を専門に扱うノンバンクであれば、リスケ中でもビジネスローンやファクタリングなどで資金調達できる可能性があります。
ただし、ノンバンクは銀行などよりも金利が高めであり、長期間の資金調達には向きません。調達金額も比較的少額であることから、つなぎ資金として短期的な利用が想定されます。
不動産担保ローンの活用
リスケ中の企業でも、所有している不動産を担保に入れて、金融機関から融資を受けられる可能性があります。自社ビルのみならず、経営者の自宅、駐車場、倉庫、工場など、さまざまな不動産が担保の対象となります。
土地や建物の資産価値に応じて融資上限額が決まりますので、価値の低い不動産は認められず、金融機関で対応エリアを設定しているのが一般的です。
ベンチャーキャピタルや投資家からの出資
事業の成長性や将来性が高く評価される場合、ベンチャーキャピタルやエンジェル投資家からの出資という形で資金調達が可能です。出資は融資とは異なり、返済義務がないため、資金繰りの負担を軽減できます。
しかし、出資を受けるためには、魅力的な事業計画や成長戦略を示す必要があります。また、経営権の一部を手放すことになる可能性も考慮する必要があります。
補助金・助成金
国や地方自治体は、中小企業の事業再構築、設備投資、研究開発などを支援するためのさまざまな補助金・助成金制度を用意しています。リスケ中の企業でも、これらの制度を活用できる可能性があります。
補助金・助成金は、返済義務がないため、資金調達の有力な手段となります。しかし、申請には一定の要件を満たし期限内に申請する必要があり、審査に時間がかかることに加え、補助金は後払いです。
資産の売却
不動産、設備、有価証券などの保有資産を売却することで、資金を確保することができます。当然ながら、事業に必要な資産を売却してしまうと、今後の事業運営に支障をきたす可能性があります。売却は慎重に検討する必要があるでしょう。
リスケ中の資金調達における注意点と心構え
リスケ中は、銀行や日本政策金融公庫から新規融資は受けられません。リスケ中に行える資金調達方法は限られますので、いくつかの注意点と心構えを持つことが重要です。
楽観的な計画ではなく、現実的な計画を立てる
資金調達を成功させるためには、実現可能性の高い現実的な経営改善・再生計画を示すことが不可欠です。楽観的な見通しばかりを並べても、信用を得ることはできません。客観的なデータに基づき、リスクも考慮した上で、具体的な行動計画を提示しましょう。
透明性の高い情報開示を心がける
金融機関や投資家に対して、財務状況や事業の進捗状況を正確かつ透明に開示することが重要です。隠蔽や虚偽の報告は、信用を失墜させ、資金調達を不可能にするだけでなく、法的な問題に発展する可能性もあります。
資金調達の目的を明確にする
調達した資金を何に使うのか、その目的を明確にすることが重要です。一度リスケに至った事実を踏まえると、その場しのぎの資金調達では、今後も資金繰りの悪化を招く可能性があります。具体的な資金使途と、それによって得られる効果を経営改善計画に落とし込みましょう。
常に最悪の事態を想定しておく
資金調達が必ず成功するとは限りません。最悪の事態を想定し、代替案や事業縮小などの対策も事前に検討しておくことが、危機管理の観点から重要です。
リスケ中だからこそ、戦略的な資金調達を
リスケ中における資金調達は決して容易ではありませんが、適切な戦略と準備、そして粘り強い交渉によって、実現可能性はあります。重要なのは、現状を正しく理解し、明確な経営改善計画を策定し、金融機関や投資家との信頼関係を構築することです。
本記事で解説した資金調達手段や注意点を参考に、諦めることなく、戦略的に資金調達に取り組んでください。専門家のサポートも積極的に活用し、事業の再建と成長に向けて、力強く前進しましょう。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
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