• 作成日 : 2025年4月25日

創業融資が減額される理由は?満額融資を受けるポイントも解説

日本政策金融公庫の創業融資の申込みを行ったものの、希望額の融資を受けられず、減額となるケースがあります。減額されるのには特別な理由はあるのでしょうか。

本記事では、日本政策金融公庫の考えられる減額の理由や満額融資を受けるためのポイントを解説します。

日本政策金融公庫の創業融資が減額される理由

日本政策金融公庫に創業融資の申込みを行った際、審査に通過しても希望した金額のすべてが貸し付けてもらえるとは限りません。創業融資が減額される主な理由を紹介します。

自己資金が不足している

日本政策金融公庫側で、申込金額に対し自己資金が不足していると判断されると、申込金額から減額されるケースがあります。

事業全体の資産に対する自己資本の割合は、事業者の返済可能性を判断するうえで重要な要素とされています。売上が想定よりも伸びない場合、自己資金から返済が必要になることも考えられるでしょう。

そのため、申込条件に自己資金の提示がなくても、自己資金の比率によって、減額の対象となることがあります。

融資希望額が大きすぎる

導入する設備をグレードの高いものにしても、経営力が備わっていないと投資額をうまく回収できません。日本政策金融公庫などの金融機関は、業種ごとの設備投資の相場を把握しているため、投資額が相場を上回ると、融資額の減額対象となる場合があります。

事業計画書の内容が不透明

日本政策金融公庫の創業融資は、これから事業を始めたいと考えている方にとって魅力的な融資制度といわれています。実績がない事業者も融資を受けられる可能性があるからです。

業績がない場合や創業から間もない場合に重視されるのが、事業者が日本政策金融公庫に提出する事業計画書です。事業計画書は、日本政策金融公庫が融資を決定する重要な判断材料になります。

そのため、事業計画書の作成が甘く、不透明な部分があると、日本政策金融公庫側の判断で融資額が減額される可能性があるでしょう。また、事業計画書をよく見せようとするあまり、実際の事業内容とかけ離れた内容にしないよう、作成時には十分な注意が必要です。

個人の信用情報に問題がある

創業者個人の信用情報に問題があると、希望額の融資を受けられない可能性があります。以下に該当する場合は、信用情報に問題があると考えられます。

  • クレジットカードなどの返済を遅延している
  • 税金を滞納している
  • おおむね5年以内に自己破産している
  • おおむね5年以内に債務整理をしている
  • 消費者金融から借り入れを行っている
  • 複数のクレジットカードでキャッシングしている
  • 年収に対して借入金額が多い
  • 返済スケジュールを変更して返済額を減額している
  • 直近で複数の金融機関で融資を申込んでいる

経験・実績が不足している

開業しようとする事業が未経験であっても成功する見込みはあります。しかし、未経験よりも経験があったほうが、事業が成功する可能性は高いでしょう。金融機関側が融資で最も重視するのは、事業の安定性と将来の返済可能性です。開業する業種によっては、経験や実績が不足していることが理由で融資額が減額されることもあります。

面談時の態度に問題がある

日本政策金融公庫の担当者との面談の時間は、事業計画書では説明できない事業の魅力をアピールできる貴重な場です。そうした場で、質問された内容に的確に回答できない、具体的な根拠を示せないとなると、融資が難しいと判断されて、通過しても減額されることがあります。

提出書類に不備がある

日本政策金融公庫で創業融資を受けるには、事業計画書の提出が必要です。また、担保や保証人など、融資条件の希望次第で、追加の提出書類を日本政策金融公庫から求められることがあります。

創業融資の希望額から減額される理由として、必要な書類が不十分だった、提出した書類に記載ミスや記載漏れなどの不備があったなどが考えられます。

日本政策金融公庫の創業融資が減額された場合の対処法

日本政策金融公庫の創業融資で希望額の融資を受けられなかった場合、原則として再審査を依頼することはできません。ただし、今後の追加融資の可能性などはあるため、資金調達が必要な場合は、入念な対策を練ることが重要です。ここでは減額された際の対処法について紹介します。

減額融資の理由を明確にする

減額融資の理由は、日本政策金融公庫の担当者から明確に説明してもらえない場合があります。ただし、前述で紹介した7つの減額される理由に該当している場合もあるため、一つひとつ問題がなかったかどうかひも解いていきましょう。

また、減額の理由について説明はしなくても、次回の融資につながるアドバイスを受けられることもあります。アドバイスのなかにはこれからのヒントが潜んでいるため、次回の融資で希望額を受けられるように、改善点を明確にしておきましょう。

事業計画書の内容を見直す

将来の申込みで希望額の融資を受けられるようにするためにも、事業計画書の内容を、ブラッシュアップしましょう。

事業計画書は、創業間もない事業者が金融機関に事業内容をアピールできる重要な書類です。一見問題点がないように思えても、改めて見直しすることで、説明が不十分、内容がわかりづらい、数値の根拠が不明といった、問題点が見つかることもあります。

より説得力のある事業計画書を作成したい場合は、事業計画書の作成をサポートしている認定支援機関や税理士に相談や依頼をするのも一つの選択肢です。

他の金融機関での追加融資を検討する

日本政策金融公庫で満額の融資を受けられなかった場合でも、他の金融機関であれば追加で融資を受けられる可能性があります。民間の信用金庫や銀行などで創業者向けの融資を行っていないか確認しましょう。

他の金融機関で追加融資を受ける場合は、減額融資になったと思われる理由を改善し、審査に臨むことをおすすめします。

日本政策金融公庫の創業融資を満額で受けるポイント

日本政策金融公庫の創業融資を満額で受ける5つのポイントを紹介します。

自己資金を準備する

融資希望額に対する自己資金の比率を高めに調整することで、創業融資を満額で受けられる可能性が高まります。これは事業全体の投資額に対する自己資本の増加によって、借入金の返済可能性が向上するためです。

一般的に、創業融資の金額は自己資金の3倍程度といわれています。そのため、必要な資金調達の額をシミュレーションし、必要な資金のおおむね3分の1程度の自己資金を用意しましょう。

事業計画書を徹底的に作り込む

創業融資で満額の融資を受けられるようにするには、商品やサービスの内容、取引の関係者、必要な資金と調達方法、今後の事業の見通しなどを網羅した事業計画書を十分に作り込む必要があります。

事業計画書は、記載内容の信頼性が高いほど、満額融資の審査に通りやすくなります。信頼してもらえる事業計画書にするには、根拠のある数字や情報を用いて作成することが重要です。日本政策金融公庫の創業計画書の様式だけで十分な記載ができない場合は、補足資料を添付することもできます。

個人の信用情報に問題がないか確認する

指定信用情報機関のCIC(CREDIT INFORMATION CENTER)や日本信用情報機構(JICC)、全国銀行協会では、個人信用情報の本人開示ができます。いずれも、個人の信用情報を金融機関やクレジット会社などに提供している機関です。

滞納している情報が記載されているなど、信用情報に問題があると、融資に影響する可能性があります。個人で信用情報を取得して、できるだけマイナス面がクリアになるように、滞納や未払いなどを解消しましょう。

法人の場合、代表者および主要株主・役員の信用情報も確認される可能性があります。事前にチェックしておきましょう。

面談時に丁寧な受け答えをする

面談では担当者にマイナスの印象を与えないよう、丁寧に受け答えをすることを心がけましょう。また、面談は事業内容を詳しく説明できる重要な時間です。質問されたことに的確に答え、必要な情報を明確に伝えられるように意識しましょう。

専門家や公的支援機関に相談する

創業融資が初めての場合、書類の準備や手続きなどに不慣れなことから、融資の審査通過率や満額融資の可能性が下がることがあります。

満額で創業融資の審査を通過しやすくするためには、専門家や公的支援機関などの力を借りるのも有効な方法の一つです。例えば、税理士などの専門家には、創業融資をはじめとした資金調達について相談できます。商工会議所やよろず支援拠点、中小企業基盤整備機構などの公的支援機関では、事業計画書の作成支援のような創業に関するサポートが行われています。

日本政策金融公庫の創業融資は減額されることがあるため、入念な書類作成が重要

日本政策金融公庫の創業融資は、創業間もない事業者も利用しやすい制度です。しかし、申込時の融資希望額が認められず、減額されて融資が行われる場合があります。

創業融資が減額される理由は明確にされないこともありますが、次回の融資や追加融資を受けられるようにするためにも、問題点を洗い出し、改善点を明確にすることが重要です。


※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。

※本サイトは、法律的またはその他のアドバイスの提供を目的としたものではありません。当社は本サイトの記載内容(テンプレートを含む)の正確性、妥当性の確保に努めておりますが、ご利用にあたっては、個別の事情を適宜専門家にご相談いただくなど、ご自身の判断でご利用ください。

関連記事