• 作成日 : 2023年3月31日

アジャイル経営とは?メリットや日本企業が導入する際の注意点も解説!

アジャイル経営とは?メリットや日本企業が導入する際の注意点も解説!

アジャイル経営をご存じですか?経営環境が目まぐるしく変化する難しいこの時代、柔軟で迅速、そして合理的な経営手法としてアジャイル経営が注目されています。もともとはソフトウエア・アプリケーション開発の現場で採用されてきた「アジャイル開発」を経営に応用したものですが、なぜ我が国で今、注目されているのでしょうか。
本記事は、アジャイル経営の基本やメリット、日本企業が導入する際の注意点なども含めて解説します。

アジャイル経営とは?

アジャイル経営のagileとは、「機敏な」という意味で、アジャイル経営とは「少数のメンバーで構成されたチームによる迅速で機敏な経営」という意味です。もともとは、ソフトウエア・アプリケーション開発の現場で採用されてきた「アジャイル・ソフトウエア開発」のプロジェクトマネジメント手法を、経営の現場に取り入れたものです。アジャイル開発とは、開発環境やビジネス環境の変化に迅速かつ柔軟に対応する開発アプローチで、2000年代初頭より多用されています。

ソフトウエア開発の手法を応用したもの

アジャイル経営は、「アジャイル・ソフトウエア開発」を応用したものです。「アジャイル・ソフトウエア開発」は、2001年に17名のソフトウエア開発者が米ユタ州スノーバードに集結して作成した「アジャイル・ソフトウエア開発宣言」にまとめ上げられた開発コンセプトです。「アジャイル・ソフトウエア開発宣言」は、「プロセスやツールよりも個人と対話を」「包括的なドキュメントよりも動くソフトウエアを」「契約交渉よりも顧客との協調を」「計画に従うことよりも変化への対応を」の四つの基本理念をベースにしています。

ウォーターフォール経営との違いは?

アジャイル経営に対し、ウォーターフォール経営という経営スキームもあります。ウォーターフォール経営とは、市場ニーズや規模などの経営環境を予測し、綿密な計画を立ててスケジューリングし、人材や経営資源を予定調和的に投じてゆく経営スキームです。チームはアジャイル経営よりも比較的大きく、多くの場合メンバーも固定化されます。また、一度目標が設定されると、軌道修正がされにくい傾向があります。

アジャイル経営におけるスクラムとは?

アジャイル・ソフトウエア開発におけるスクラムとは、「複雑な問題に対応する適応型のソリューションを通じて、人々、チーム、組織が価値を生み出すための軽量級フレームワークである」と定義されています(Ken Schwaber&Jeff Sutherland著『スクラムガイド2020年度版』より)。一方、アジャイル経営におけるスクラムとは、フレームワークというよりも、アジャイルのフレームワークをベースにした「職種や職位を横断したさまざまなメンバーで構成される少人数の経営ユニット」であるとした方が実態に近いでしょう。

スクラムはトップダウン式で意思決定をするのではなく、チームメンバーで意思決定を行う自己完結型の組織です。さまざまな専門性を持った人たちが集まり、少人数でチームを組んでプロジェクトを推進する組織がスクラムです。

アジャイル経営を導入するメリットは?

アジャイル経営は、トップダウン型のウォーターフォール経営を長らく採用してきた大企業を中心に導入が進んでいます。ウォーターフォール経営の弱点である「意思決定に時間がかかる」「組織が肥大化・階層化して情報共有が困難になる」「経営オペレーションの効率性が下がる」「組織の管理・維持に相応のリソースが必要になる」などを克服・改善するために導入が図られており、アジャイル経営には、特に以下の二つの大きなメリットがあります。

経営スピードが向上する

アジャイル経営を導入する第一のメリットは経営スピードの向上です。アジャイル経営では、ウォーターフォール経営のように大規模な組織で意思決定をするのではなく、少人数のチームが自己完結的に意思決定をします。チームは顧客とフェイストゥフェイスで仕事をし、仕様や要件変更などにも迅速に対応できます。製品やサービスに不具合が生じた際も、検証などのために戻る工数が少なく、修正や改善にかかる時間やコストを大幅に削減できます。

ビジネスの環境変化に対応しやすくなる

ビジネスの環境変化に対応しやすくなることもアジャイル経営を導入するメリットです。アジャイル経営では、チームが営業の最前線で仕事をするケースが多く、顧客ニーズのトレンドの変化や競合企業の動向、あるいは市場の状況といった、ビジネス環境に関する情報をタイムリーに入手できます。そうした情報をチーム全体で共有し、集合知とすることで新製品開発につなげたり、既存製品やサービスの改善を行ったりすることが可能になります。

日本企業がアジャイル経営を導入する際の注意点は?

アジャイル経営は、アジャイル・ソフトウエア開発スキーム発祥の地であるアメリカを中心に導入が進んでいます。日本にも、アジャイル・ソフトウエア開発の導入が始まった2000年代中頃よりアジャイル経営を導入する企業が出てきたと見られています。現在もアジャイル経営の導入を検討する企業や、アジャイル経営を導入する企業が増えてきているようですが、実際に日本企業がアジャイル経営を導入する際に注意すべきポイントは何でしょうか。

マネジメント層の理解とコミットメント

日本企業がアジャイル経営を導入する際に注意すべき第一のポイントは、マネジメント層の理解とコミットメントです。特に、長らくウォーターフォール経営を行ってきた重厚長大型の大企業においては重要です。アジャイル経営の基本は少人数のチームによる自己完結型の組織です。組織が自己完結的に意思決定できず、いちいちマネジメント層の指示や裁可を得なければならないのでは機能しません。アジャイル経営のスキームそのものの理解と、アジャイル経営推進に向けたコミットメントが求められます。

小規模のパイロットスクラムから始める

日本企業がアジャイル経営を導入する際に注意すべき第二のポイントは、アジャイル経営を小規模のパイロットスクラムから始めることです。アメリカのアジャイル・ソフトウエアディベロッパーのMendixは、スクラムを構成するベストなメンバー数は7人で、初めてスクラムを構成する際は4人で構成することを勧めています。メンバー数が多くなると情報共有やコミュニケーションがしにくくなり、アジャイル経営のメリットである経営スピードを減少させてしまいます。当初は少人数のパイロットスクラムから始め、様子を見ながらメンバー数を増やしていくとよいでしょう。

アジャイル経営でVUCAの時代を乗り越えよう

以上、アジャイル経営の基本やメリット、日本企業が導入する際の注意点なども含めて解説しました。現代はVUCA「Volatility(変動性)」「Uncertainty(不確実性)」「Complexity(複雑性)」「Ambiguity(曖昧性)」の時代といわれています。VUCAの時代に、経営スピードが遅いウォーターフォール経営はさまざまなリスクを生じます。アジャイル経営を活用し、先の読めないVUCAの時代を乗り越えてください。

よくある質問

アジャイル経営とは?

アジャイル経営は「少数のメンバーで構成されたチームによる迅速で機敏な経営」です。もともとは、ソフトウエア開発の現場で採用されてきたプロジェクトマネジメント手法を経営の現場に取り入れたものです。詳しくはこちらをご覧ください。

アジャイル経営を導入するメリットは?

アジャイル経営を導入するメリットは①経営スピードの向上と②ビジネスの環境変化に対応しやすくなることです。アジャイル経営ではチームは顧客とフェイストゥフェイスで仕事をし、仕様変更にも迅速に対応できます。詳しくはこちらをご覧ください。


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