事業承継について考えていますか?知っておきたい税制や評価方法

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事業承継は、いつかは訪れるものです。まだ先の話だからと思っていてはいざというときに間に合いません。早い時期から考えておくことが大切です。世代交代の時期を迎えた企業の現経営者にとっても、後継者にとっても、相続税や贈与税などの問題は事業をスムーズに受け継ぎ、より発展させていくためには、事業承継は避けてとおれない問題です。相続はしたけれど、税金が多くて目の前の事業にも支障をきたすという状況になっては、事業承継した意味がありません。

そうならないために、ここでは事業承継をするために株式を譲渡する場合の、その評価方法や特例税制について、主なものを紹介していきましょう。

改正された相続税・贈与税

平成25年度に行われた税制改正により、相続税法および租税特別措置法の一部が改正され、平成27年1月1日以降に相続や遺贈、贈与によって取得した財産において適用されます。改正された内容は次のようなものです。

相続税については

・遺産に関する基礎控除額が引き下げられました
・最高税率が引き上げられるなど税率構造が変更されました
・未成年者控除や障害者控除の金額が引き上げられました
・小規模宅地等の特例に関しては、適用対象となる宅地等の面積が変更されました

贈与税については

・相続時精算課税については、適用対象者の範囲が拡大されるなど適用要件に変更があります
・暦年課税に関しては、最高税率が引き上げや税率の緩和など、税率構造に変更があります

事業承継税制(相続税・贈与税)については

・事業承継税制においては、平成25年及び平成30年の税制改正により適用要件が緩和されたり、手続きが簡単になるなど制度に変更があります

以上のような変更点も踏まえ、自社においてはどう対応しておくべきなのかを事前に相談しておくことが大切です。

では、具体的に株式を譲渡するときの税についてみてみましょう。

株式譲渡による承継での計算方法

そもそも株式などを譲渡、売却したときには、譲渡によって発生した所得金額に対しては税金が発生します。譲渡所得金額は、譲渡価額から取得や売却の費用などを差し引いたものです。取得費には、株式などを手に入れるために支払った代金や手数料などの、ほかに名義書換料金なども含まれます。株式の取得価額と売却価額との差額が譲渡益となり、それに課税されます。非上場株式の場合の税率20.42%となります。

個人間の売買で意図的に時価に比べて著しく低い売却価額を設定した場合は、時価と売却価額との差額に対して贈与税が課税されます。後継者が株式を承継した場合は、被相続人や遺贈者、贈与者の取得費も引き継ぐことになりますから、後日、株式を売却する場合においても、譲渡(売却)金額から、その取得費を差し引くことができます。

また、相続した時点での取得費がわからない場合は、取得費の金額を売却価額の5%相当額とする概算取得費の使用が認められています。
たとえば、相続した株式を後日売却し、200万円を受け取った場合で、取得費がすでに不明となっているときは、200万円×5%の10万円が取得費として認められるということです。

事業承継の際の、納税猶予制度

議場承継を円滑に行うために、税制措置がとられています。平成21年に創設され、上記に説明したとおり、平成25年に一部改正が行われている制度です。この制度において、一定の要件を満たせば、承継した株式に関する贈与税と相続税の納税猶予が認められています。

非上場株式についての相続税・贈与税の納税猶予

・相続税の納税猶予
相続等によって取得した自社株式の80%分の相続税の納税が、猶予されます。
・贈与税の納税猶予
贈与によって取得した株式の贈与税の納税が、猶予されます。

特定小規模宅地(事業用・居住用)の減額

相続や遺贈によって承継した土地については、一定の要件を満たした場合、特定小規模宅地の特例として、相続税の課税額を減額してもらえます。この特例においては、相続開始の年月日によって限度面積が違いますので注意が必要です。

相続開始が平成22年4月1日から平成26年12月31日までの場合は、居住用の土地であれば240平方メートルまでは80%減額され、貸付事業に使用していない事業用の土地に関しては400平方メートルまでが80%減額されます。また、貸付事業用の土地の場合も200平方メートルまでは50%減額されます。相続開始が平成27年1月1日以降の場合は、居住用の土地に関しての限度面積が変更され、330平方メートルまでは80%減額されるようになりました。

非上場株式についての相続税・贈与税の納税猶予制度を適用したいと考える場合は、以下の要件を満たす必要があります。

適用要件

・会社の要件
中小企業者であること、上場会社ではないこと、資産管理会社ではないこと、性風俗営業会社でないこと、そして、従業員が1人以上いること等の条件を満たすことが必要です。

・現経営者の要件
会社の代表者であること、贈与または相続時に先代の代表者と同族関係者とで発行済議決権株式の50%超の株式を保有していること、後継者を除いて筆頭株主であること等の条件があります。

・後継者の要件
相続の場合は相続直前に役員であること、相続開始から5ヶ月後には代表者であること、贈与の場合は贈与日に20歳以上でかつ代表者であること、役員に就任してから3年以上経過していること等の条件があります。

・対象株式の要件
贈与・相続等により取得する以前から保有していた発行済議決権株式総数が3分の2以内までであること等の条件がありましたが、30年改正により発行済議決権株式総数の100%が対象となりました。

継続適用の要件

納税猶予については、一定の条件を満たしていることが必要で、条件が満たせなくなった場合は、相続税・贈与税の全額を納付することにとなります。

・後継者が代表者になっていること
・後継者が筆頭株主であること
・上場会社等に該当しないこと
・贈与・相続した株式を継続保有していること

納付猶予税額の免除

上記で説明してきた納税猶予の特例の対象となる後継者は、被相続人、贈与者が死亡した場合、相続または遺贈により取得した株式等の納税猶予額が免除されます。また、後継者が被相続人、贈与者よりも先に死亡した場合にも、その株式等納税猶予額は後継者が死亡した時点で免除されます。

上記以外には、贈与税の申告期限後5年を経過し、その後に、一定の条件に該当する場合、申告することでその株式等納税猶予税額の全額かまたはその一部について免除されることがあります。

必要な手続き

この納税猶予制度の適用を受けるためには、相続の場合は相続開始後8ヵ月以内に、贈与の場合は贈与のあった年の翌年1月15日までに、会社が都道府県知事に申請する必要があります。その後認定された場合、認定証が交付されます。認定を貰ったら、その認定書の写しとともに相続税・贈与税の申告書等を提出し、納税猶予額に対応する担保を税務署に提出します。

まとめ

事業承継というものは、複雑なことがとても多いものです。ですが後継者を育てることと合わせ、事業を次世代に承継し、発展させていくことはとても大切なことです。どのような事業承継の方法を取るのか、自社に適した承継方法はなにかについて、さらに、そのときに知っておくべき税金についても考えておく必要性を認識いただけたと思います。

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※掲載している情報は記事更新時点のものです。

監修:土屋 英則 (税理士)

税理士法人ゆびすい
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