• 作成日 : 2025年3月21日

ピザ屋の事業計画書の書き方は?テンプレートをもとに記入例を解説

ピザ屋を独立開業しようとする際には、事業計画書の作成が欠かせません。事業計画書とは、どのようなピザ屋にするのか、どういった戦略のもと運営していくのかなど、ピザ屋としての今後をまとめたものです。

本記事では、ピザ屋の事業計画書の書き方や記入例、作成ポイントなどについて解説します。

ピザ屋の開業時に作る事業計画書とは

まずは、ピザ屋の開業時に作る事業計画書について見ていきましょう。そもそも、事業計画書とは、営む事業を今後どのように運営していくのかをまとめた計画書のことです。

事業計画書は事業の魅力を第三者に伝えるために作成し、会社の理念や事業内容、戦略、アイデア、将来性などを記載します。

ただし、必ずしも事業計画書が必要なわけではありません。事業計画書がなくても、起業は可能です。しかし、事業計画書として頭の中のアイデアをまとめることで、事業の目的や目標、それを成し遂げるための戦略が明確化されるため、事業計画書の作成をおすすめします。

事業計画書の目的は、事業の魅力を第三者に伝えるためとお伝えしました。そのうちの1つとして、金融機関や投資家からの資金調達が挙げられます。

事業計画書に収支計画やメニューの詳細、これまでの経歴などを記載し事業の魅力を伝えられれば、スムーズな融資にもつながるでしょう。

実際、ピザ協議会の調査によるとピザ推定末端売上高は年々増加しており、2023年度には3,000億円を超えている状況です。店舗数も年々増えているため、戦略に基づいた経営や安定した経営基盤が欠かせません。

なお、事業計画書の作成に関して定められたルールはないため、一般的な書き方や記載項目をもとに作成すれば問題ありません。具体的なピザ屋の事業計画書の書き方や記入例については次項で詳しく解説します。

参考:ピザ協議会 2023年度ピザマーケットは3,237.5億円 調査史上2番目の市場規模 30年前の1.8倍

ピザ屋の事業計画書の書き方・記入例

ピザ屋の事業計画書の書き方・記入例について解説します。

創業動機・目的

創業動機・目的の項目では、ピザ屋をなぜ始めようと思ったのか、創業に至る背景を記載しましょう。具体的には次のような内容に対する回答を記載します。

  • ピザ屋で独立しようと思った理由は?
  • ピザ屋を開業してどうしたいのか、どうなりたいのか?

また、事業に対する熱意や思い、これまでの経験についても、しっかりとアピールできるように準備しておきましょう。

  • イタリアに旅行した際にピザのおいしさに魅了されました。帰国後、自分でも同じようなピザを作れるようになって多くの人に感動してほしいと考えたことが起業のきっかけです。
  • 有名ピザ店で○年間修業し、店長を○年間務めました。ピザの焼き方からマネジメントまで幅広く身につけられました。
  • 地元ではピザ屋も少なく、住民にこの感動を与えたく地元での独立開業を考えました。

といったように、思いをできるだけ具体的に書くようにしてください。

職歴・事業実績

職歴・事業実績の項には、創業者の経歴や保有資格、スキルなどを記載します。これまでピザ屋や飲食店での経験や専門的スキルがあるのであれば、それらを盛り込むと効果的なアピールになるでしょう。

<例>

平成○年○月:○○大学卒業(調理師免許取得)

平成○年○月~令和○年○月:ダイニング〇〇(イタリアンレストランのチェーン)に5年勤務

※キッチン・ホール5年

令和○年○月~○年○月:○○ピザ(六本木で人気のピザ店)に5年勤務

※キッチン2年・店長3年(平成○年、社内のピザ作りコンテスト優勝)

令和○年○月:○○ピザ退職予定

なお、ピザ屋を開業するためには、以下のような資格も必要です。すでに取得済の資格がある場合は、あわせて記載しましょう。

  • 食品衛生責任者
  • 飲食店営業許可
  • 防火管理者の選任と届出

取扱商品・サービス

取扱商品・サービスの項には、事業で取り扱う商品や提供サービスについて記載します。あわせて、お店のセールスポイントや販売ターゲット・販売戦略、競合、市場規模などについても記載するとより具体的な事業計画書になるでしょう。

<取扱商品・サービスの内容>

  • ピザ:マルゲリータ、シーフードなど、客単価:1,500円
  • サイドメニュー:サラダ、揚げ物、デザートなど、客単価:800円
  • 飲み物:ソフトドリンク、アルコールなど、客単価:600円

<セールスポイント>

手作りの生地に地元野菜を使った写真映えするピザや本場仕込みのイタリアンデザートが味わえます。

<販売ターゲット・販売戦略>

  • ターゲット:近隣周辺の若年層
  • 販売戦略としては、写真映えするピザや料理を提供し、SNSを活用した集客を検討中です。そのほか、口コミやチラシ配布による集客も実施予定。

<競合・市場など>

飲食店は多いものの、イタリアンやピザ屋は少ない傾向にあります。差別化する意味で、デートで使えたり、ふらっと1人でも入れたりするようなカジュアルなお店にしたいと考えています。

取引先・取引関係

取引先・取引関係の項には、実際の取引先や販売先を記載します。

取引先には仕入れ先だけでなく、シェアや掛取引の割合、回収・支払の条件についても記載します。ピザ屋の場合の販売先は、一般個人が対象のため、一般個人と記載してください。

従業員

雇用する従業員の人数を記載します。役員の人数や創業にあたって3ヶ月継続雇用を予定している従業員がいれば、その人数を記入しましょう。

なお、創業時には経営負担を考慮して、最少人数で立ち上げることが大切です。家族に手伝ってもらうといった方法も検討しましょう。

借入の状況

創業時に融資を申し込む場合、審査の際に個人の借入状況も確認されます。そのため、借入状況には事業主個人としての借入状況を記載しましょう。

  • 借入先
  • 使い道(住宅・車・カード・教育など)
  • 借入残高
  • 年間返済額

どうしても資金調達したいからといって、借入があるのにないように偽るのは絶対にやめましょう。もし、カードローンや消費者ローンなどからお金を借りている場合は、審査上マイナスになるため、注意が必要です。

ただし、住宅ローンを利用している場合は、社会的信用があるとプラス評価につながる可能性もあります。すべての借り入れがマイナス評価になるわけではなないことを理解しておきましょう。

必要な資金と調達方法

必要な金額と用途、資金の調達方法を記載します。その際、しっかりと必要な資金の予測を立てることが重要です。

必要な資金には、設備資金と運転資金があります。設備資金を記載する場合は、事業を開始するにあたって必要な投資である裏付けが求められます。たとえば、お店の店舗改装費であれば業者からの見積書などの提出が必要です。

運転資金には、売上原価や仕入費用、経費、広告費などを記載します。資金調達の方法としては、自己資金でまかなう、金融機関から借り入れる、知人から借りる、といった方法が挙げられます。

事業の見通し

事業の見通しの項には、事業運営における長期の収支計画を記載します。創業当初と1年後の売上高や売上原価、経費を想定し、利益を計算しましょう。その際、商品の価格や見込み客数などから裏付けのある売り上げを予測することが大切です。

また、予測される利益から借入の返済ができる収支計画となっているかも確認されます。

ピザ屋の事業計画書に使える無料テンプレート

マネーフォワード クラウドでは、ピザ屋向けの事業計画書のひな形・テンプレートをご用意しております。事業計画書作成の参考として、ぜひダウンロードしてご活用ください。

ピザ屋の事業計画書を作成するポイント

ピザ屋の事業計画書を作成するポイントについて解説します。主なポイントは、以下の4つです。

  • 周辺地域の競合調査を実施する
  • ピザ屋のコンセプトを明確にする
  • ターゲットのニーズに合わせたメニューを考案する
  • 効率のよい厨房レイアウトを検討する

それぞれ詳しく見ていきましょう。

周辺地域の競合調査を実施する

まずは、周辺地域の競合調査のほか、参入しようとしている業界の動向を調べておくことが重要です。前述したように、ピザマーケットは年々売り上げが上昇しており、店舗数も増加傾向にあります。

出店地域にある競合の調査をしっかりと行わないと、熾烈な競争に勝ち抜けません。その際は、ピザ屋はもちろん、イタリア料理店もライバルとなり得ます。各店舗の単価やメニュー数などを把握し、自社ならではの要素を出して差別化できることがないか検討しましょう。

ピザ屋のコンセプトを明確にする

ピザ屋のコンセプトを明確にすることは、事業を軌道に載せる意味でも重要なことです。どういったコンセプトのお店にするのかで客層が決まるためです。それをもとに立地や内装、メニューを考えます。

ピザ屋のコンセプトとしては、以下のようなものが挙げられます。

  • ファミリー向け
  • カジュアル
  • オシャレ
  • イタリアン風など

採用したコンセプトに合わせて店内のインテリアや外観に統一感を持たせられれば、お店のブランド感を前面に出した店舗に仕上がるでしょう。

また、コンセプトがはっきりしているとお客様からしてもどういったお店かわかりやすくなるため、来店しやすくなるメリットを得られます。

ターゲットのニーズに合わせたメニューを考案する

メニュー開発は、ピザ屋の魅力をアピールできる重要な要素です。前述したコンセプトやターゲットに合わせてメニューを考えましょう。

その際に検討したい項目としては、以下のようなものが挙げられます。

  • 提供するピザの種類
  • 価格設定
  • 差別化ポイント

提供するピザの種類としては、定番のマルゲリータやトマトソース系などだけでなく、季節限定メニューやオリジナルのトッピングのほか、地元野菜を取り入れたメニューなどを考案して、さまざまな顧客層に対応できるようにしましょう。

また、近年増えてきたビーガンやグルテンフリーなど、特定のニーズに対応したメニューも検討すると幅広い方をターゲットにできます。

価格設定においては、競合店やターゲット市場に適した価格を設定する必要があります。コストと利益率を計算しつつ、高価格帯のピザとリーズナブルなピザのバランスを取ることが大切です。

さらに、他店と異なる独自の強みを差別化ポイントとして打ち出すことも忘れずに行いましょう。独自の焼き方やオリジナルのソースや生地、デリバリー対応など特別サービスを提供することで、他店との差別化を図れます。

効率のよい厨房レイアウトを検討する

提供遅れが生じないような効率のよい厨房レイアウトにして、お客様が過ごしやすい店内環境を構築することも重要です。効率的な動線や作業スペースが確保できるレイアウトを意識して、店内改装を行いましょう。

ピザ屋を開業するときの資金調達方法

ピザ屋を開業するときの資金調達方法について解説します。ピザ屋を開業するためには、一般的に数百万円から1,000万円ほどの資金が必要です。

主な資金調達方法としては、次のようなものがあります。

  • 金融機関からの融資・借入
  • 国や地方自治体の補助金・助成金(新創業融資制度、新規開業資金など)
  • クラウドファンディング
  • 知人・家族から借りる
  • 自己資金

資金調達できるようにするためにも、相手を納得させられる事業計画書に仕上げる必要があります。

ピザ屋開業のポイントを押さえた事業計画書を作成しよう

ピザ屋を軌道に乗せるためには、コンセプトに基づいた店作りや立地選び、メニュー開発などが欠かせません。それらのアイデアをしっかりと事業計画書に盛り込んでアピールすることで、資金調達にもつながります。

事業計画書についてどういったことを書けばよいかわからない場合は、本記事を参考に自分なりの事業計画書を作成してみてください。ひな形・テンプレートもご用意しておりますので、ぜひご活用ください。


※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。

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