財務分析を3+1つの視点で分類すると、使いどころが分かる。

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財務分析とは、経営者や投資家、取引先などが、企業の現状と問題点を把握し、それに基づき意思決定をするために、財務諸表を分析、比較、解釈することを言います。財務諸表分析と呼ばれることもあります。

財務分析は以下の4つの目的によって分類されるのが一般的です。

・収益性分析
・安全性分析
・生産性分析
・成長性分析

最後に挙げた成長性分析は、売上高成長率(=売上高増加額÷基準時点の売上高)総資産成長率(=総資産増加額÷基準時点の総資産残高)など、ある項目がどれくらい変化しているかを分析するものが基本であり、それほど難しいものではありませんので、今回は解説を省略いたします。

したがって本稿では、成長性分析以外の3つの視点から代表的な指標を取り上げ解説していきます。これらの財務分析指標を用いて、自社の強みと弱みを発見し、経営意思決定に役立てましょう。

財務分析その1 収益性分析

収益性分析の基本となるのはROI、つまり投下資本に対する利益率です。ROIはどのレベルの収益性を測るかによって、以下の3つがあり、それぞれ次のような目的で使われます。

総資本経常利益率 ⇒ 企業活動全体の収益性を分析する
株主資本(自己資本)経常利益率 ⇒ 株主の視点から資本の収益性を分析する
経営資本営業利益率 ⇒ 経営活動の収益性を分析する

それぞれの指標の名称や目的からある程度推測できると思いますが、それぞれの算定式は以下の通りです。

総資本経常利益率 = 経常利益 / 総資本
株主資本経常利益率 = 経常利益 / 自己資本
経営資本営業利益率 = 営業利益 / 経営資本

なお、経営資本は総資本から建設仮勘定、投資その他、繰延資産を控除して算定します。つまり、営業利益を獲得するために使われた、生産と販売のための資産の合計額というわけです。

また、ROIは分子は利益というフロー情報、分母は資本と言うストック情報となり、分子と分母が期間的に対応していません。そのため、分母の資本を(期首残高 + 期末残高) ÷ 2 で求め、仮想的なフロー情報として、分子と対応させます。

基本的にはどの指標も、利益率が高いほど効率的に利益をあげていると言えます。

財務分析その2 安全性分析

安全性分析は短期的な財務安全性を分析する方法と長期的な財務安全性を分析する方法とに分かれ、以下のような指標が主に用いられます。

短期的な財務安全性分析

流動比率 ⇒ 企業の短期支払能力を分析する
当座比率 ⇒ 流動負債の支払財源である当座資産を使って、短期支払能力を分析する

長期的な財務安全性分析

負債比率 ⇒ 自己資本と他人資本(負債)の割合から、他人資本への依存度を分析する
固定比率 ⇒ 固定資産がどれくらい自己資本で賄われているかを分析する

先ほどのROIとは異なり、これらの指標は名称などからどのような算定式になるのかを推測するのは難しいと思います。以下に算定式を挙げます。

流動比率 = 流動資産 / 流動負債
当座比率 = 当座資産 / 流動負債
負債比率 = 自己資本 / 他人資本(負債)
固定比率 = 自己資本 / 固定資産

当座資産については説明が必要でしょう。

当座資産とは、流動資産から棚卸資産など、今すぐには負債の支払財源として使えないものを除いたものを言い、具体的には以下のようなものです。

当座資産

現金、短期間で現金化できる預金、受取手形、売掛金、市場性があり一時所有しているだけの有価証券、短期に回収見込みのある貸付金など

なお、これらに対し貸倒引当金がある場合には、貸倒引当金を控除した額が当座資産となります。どの指標も100%を超えることが望ましく、特に①流動比率は200%を超えたい指標です。

財務分析その3 生産性分析

生産性分析は付加価値労働生産性という指標が使われることが多いです。

付加価値労働生産性 = 付加価値額 / 平均従業員数

上記の算定式を見てもわかるように、生産性分析のためには、まず、付加価値とは何かを知る必要があります。

付加価値とは、企業が労働や設備などの手段によって新たに付加した価値のことで、企業の経営努力の結果とも言えます。付加価値は以下のように計算されます。

付加価値額 = 経常利益 + 人件費 + 金融費用 + 賃借料 +租税公課

上記算定式の右辺は付加価値の配分先に対応しています。つまり、経常利益は株主へ、人件費は経営者や従業員へ、支払利息などの金融費用は銀行などへ、賃借料は建物などの保有者へ、租税公課は社会一般へ配分され、それこそがまさに企業が生み出した付加価値額だというわけです。

付加価値労働生産性は以下のように式を展開することで、更なる分析を行うことができます。

付加価値労働生産性 = 付加価値額 / 平均従業員数
= (付加価値額 / 売上高) × (売上高 / 平均有形固定資産有高)
× (平均有形固定資産有高 / 平均従業員数)
= 付加価値率 × 有形固定資産回転率 × 労働装備率

付加価値労働生産性を上げようとする場合、労働装備率、すなわち設備などの有形固定資産の有高を増やそうとする傾向があります。

しかし、上記の展開式によると、有形固定資産有高の増加は有形固定資産回転率の低下を招くため、付加価値労働生産性の上昇への貢献は少ないと言えます。

むしろ、有形固定資産回転率、つまり設備の稼働率を上げ、付加価値率の高い商品を販売する必要があることがわかるのではないでしょうか。

まとめ

これまでで説明してきた財務分析指標は何%であれば良いということは一概には言えません。自社の過年度の財務分析指標との比較や同業他社との比較により、自社の現状や強みと弱みを発見することが大切です。

もちろん、財務分析は財務諸表数値を用いた手法ですので、貨幣で評価できない要素を分析することや将来予測に限界があるということも忘れてはなりません。財務分析では会計以外のデータや過年度数値の延長線上ではない思い切った将来予測などとあわせて総合的な判断をすることが大切です。

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Bizpedia編集部

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