• 更新日 : 2020年9月17日

借り上げ社宅、税法上のメリット・デメリットは?

会社が提供する住宅に関する福利厚生の一環として、借り上げ社宅があります。

これは一般賃貸を不動産業者から会社が借り入れて、その借り入れた賃貸物件を社員に貸し出す制度のことを指します。一方で、自社が所有する物件を自社寮にして社員に住まわせる場合もあります。

今回は、それぞれのメリット、デメリットが何かをご説明します。

住宅補助における借り上げ社宅の位置づけ

借り上げ社宅とは一般賃貸を不動産業者から借り入れて、その借り入れた賃貸物件を社員に貸し出す制度のことを指します。税法上でこのメリットは何でしょうか?

まず、これを検討する前に、会社における住宅手当について考えてみましょう。住宅手当とは社員に対して、福利厚生の一環として住居費用の一部を負担する制度のことです。

しかしながら、税法と言う観点では会社にとっても社員にとっても得とは言えません。

何故なら、住宅手当は給与としてカウントされるためです。そのため、社員にとっては貰う給料が増えますが、一方で支払う税金もそれに伴い増えてしまいます。

一方、会社側も社員への住宅手当の負担のみならず、会社負担分の社会保険料の負担が増えます。せっかく社員のために支払う負担金も双方にとって税法上でデメリットを持ってしまうことは残念なことです。

しかしながら、最初に触れた借り上げ社宅の場合では大きく状況が異なります。借り上げ社宅とは一般賃貸を不動産業者から借り入れて、その借り入れた賃貸物件を社員に貸し出す制度のことで、家賃として一定額を社員から徴収するものです。

ここで家賃として一定額を徴収した場合、「相場の家賃と社員から徴収する家賃」の差額を補助額と見なして、住宅手当と同じ効果を持たせることができます。

この場合、実際にお金を渡しているわけではないため、会社と社員双方に追加の税負担がありません

例えば、家賃15万円のアパートを会社が契約した場合を考えてみましょう。この時に、社員から5万円の家賃を徴収すれば、実質的に会社は10万円の補助金を社員に支払っていると見なすことができます。しかしながら、この差額分は給与とみなされません。

つまり、社員の税金、会社の社会保険料負担額はそのままです。

借り上げ社宅・自社寮のメリット・デメリット

前項で述べた借り上げ社宅と同類の住宅費補助制度として、自社で所有する物件を低価格で社員に貸し出す自社寮を使用した制度もあります。これらの制度の差を見てみましょう。

これらの制度には、それぞれにメリット・デメリットがあります。

まず自社寮の場合には、賃貸物件としてその物件自体の賃貸運用が可能であったり、高稼働率で運用できれば高い資産を生み出すことができます。これは個人で言うところの副業にあたるでしょう。

会社にとって、自社寮と言う物件を通じて賃貸金と言う副収入を得ることができます。また、その物件自体の価値が向上すれば、会社として資産の増大になります。

一方、自社寮を福利厚生として使用するデメリットとしては設備のメンテナンスに伴う維持管理費が掛かること、老朽化による稼働率低下によって賃貸収入の減少、管理人等の人件費や定期的に固定資産税等が掛かるなどのデメリットがあります。

以前は土地などの固定資産は、購入時の価格がそのまま会計上の資産として残る仕組みでした。固定資産税はその簿価で評価されます。

そのために土地が安いときに買って持ち続ければ、土地価格上昇と共に資産価値(簿価は変わりませんでした)の含み益を持ち続ける事ができました。土地の価格が上がっても実際の価格よりも低い固定資産税の支払いで済んでいました。

ところが、2005年に法改正があり、購入価格に関係なく、実際の価値を反映した価格を資産として登録する必要が生じました。つまり、これまでは地価が下がって含み益・含み損が出ても会計上は分からなかったのですが、それを明らかにする法律ができたのです。

例えば、実際に自社保有社宅が50部屋ある場合に、40~50部屋の稼働があれば保有し続ける価値もあります。しかし、20部屋程度の稼働の場合、固定資産税の負担が大きく、会社としてはメリットがありません。

つまり、保有すること自体がデメリットとなる場合もあります。

一方で、「借り上げ社宅」の場合のメリットは先に述べた様に税金上の控除が挙げられます。その他にも、利用における自由度が高い事や維持管理や・老朽化に対応する必要がないことが挙げられます。

一方、デメリットがないわけではありません。長期借り上げの場合、通常契約年数が決まっており、空家賃の発生や解約に対しての高額な違約金発生リスクがあります。

しかし、「自社寮」における、維持管理費・老朽化・人件費などの問題は回避できるというメリットがあります。尚、「借り上げ社宅」の場合には、解約リスクなどに関して、不動産管理会社によって異なりますので確認が必要です。

まとめ

今回借り上げ社宅を自社寮と比較することで税法上のメリット・デメリットを見てきました。

それぞれの会社毎、時期毎、地域毎にどちらの選択肢が良いかは変わります。自社の規模と経営方針に合った方法を取りましょう。

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