青色申告とは、確定申告を行う際に、複式簿記等の方法により記帳する申告制度のことを指します。 1949年8月に発表された日本税制報告書に基づき施行された、青色申告制度が発祥の由来となっています。

その当時、コロンビア大学の教授をしていたカール・シャウプが、日本国内を視察していた際に「日本人は青色をどのように受けとめるのか」と日本人に聞いたところ、「青色は気持ちのよい色です。青空のようにすっきりとした色だから」、という答えが返ってきたところから、青を選択したといわれています。

新たに青色申告をするためには、管轄の税務署に、青色申告承認申請書を提出し、承認を得なければなりません。青色申告の申請が承認されると、帳簿を備え付けることや正しき記帳することが義務となります。その義務の遂行を怠ったり、申告書を期限内に提出しなかった場合には、青色申告の承認が取り消されるケースもあります。

青色申告時には、確定申告書Bなどの書類の提出が必要となり、提出方法としては税務署の窓口に持っていく、郵送する、e-Taxを利用するなどがあります。

承認申請の手続き

青色申告できる人

青色申告できる人は、不動産所得、事業所得、山林所得のある人で、納税地の所轄税務署長の承認を受けた人です。フリーランスや個人事業主だけではなく、サラリーマンやパートなどの給与所得者であっても、上記の所得があれば、青色申告の対象者となります。

不動産所得とは

土地や建物などの不動産の貸付け、船舶や航空機の貸付けによる所得

山林所得とは

山林をその取得日以後5年を経過した後に伐採して譲渡、またはそのまま譲渡したことによって得た所得

事業所得とは

農業や漁業、製造業やサービス業、その他の事業などを通じて得た所得のうち、譲渡所得と山林所得を除いたもの

承認申請の提出期限

すでに事業を行っている方で、新たに青色申告の申請をする人は、その承認を受けようとする年の3月15日までに、納税地の所轄税務署長に「青色申告承認申請書」を提出しなければなりません。ただし、その年の1月16日以後に、新規に業務を開始した場合には、その開始日から2ヶ月以内であれば提出することができます。

必要な帳簿書類

青色申告の承認を受けた者は、帳簿書類に業務に関する取引の内容を正規簿記の原則に従った複式簿記で記録しなければならず、確定申告の際には、貸借対照表と損益計算書を申告書に添付しなければなりません。ただし、現金出納帳、買掛帳、売掛帳、固定資産台帳、経費帳の5種類の補助簿のみの簡易な記録の方法によることも認められています。また、これら帳簿は、7年間保存しておかなければなりません。

受けられる各種特典

青色申告特別控除

青色申告特別控除とは、不動産所得または事業所得のある事業を営んでいる青色申告者で、複式簿記に則って記帳し、貸借対照表と損益計算書を併せて期限内に提出した場合には、最高65万円を総所得金額から控除することができる制度です。複式簿記の利用をしていなくても、青色申告者の場合は、不動産所得、事業所得、山林所得から最高10万円を控除することができます。
青色申告の控除制度についてはこちらのページからより詳しくご覧いただけます。

青色事業専従者給与

家族に給与を支払っても結局はお金が家の中で回っているだけなので、原則として経費とは認められません。しかし、青色申告の特典として、青色申告者と同一生計であり、かつ業務に従事している15歳以上の家族に支払った給与は、一定の範囲内で必要経費に算入することが認められます。その代わり、青色事業専従者として給与の支払いを受ける人は、控除対象配偶者や扶養親族にはなれません。

貸倒引当金

貸倒引当金とは、売掛金や貸付金などについて、回収が困難になると見込まれる場合に、あらかじめ損失の見込額を計上し、当期の損失とするものです。白色申告でも回収不能が確実の場合には、個別に評価して貸倒引当金を計上することが認められますが、青色申告の場合には、その事業を経営する上で生まれた売掛金、貸付金など、金銭債権を合計した帳簿価額の5.5%以下を一括して必要経費として認められます。

なお、個別評価により貸倒引当金が設定された場合、その金額計算の基礎となった個別評価金銭債権は、一括評価を行う帳簿価額の合計額から除かれます。

純損失の繰越しと繰戻し

事業所得で赤字となった場合でも、損益通算の規定適用によって控除できればよいのですが、残念ながらできない場合には、赤字を翌年以降最長3年間の所得から差し引く純損失の繰越控除が認められています。
詳しくは「損失申告による赤字の繰り越し」のページをご参照ください。

また、前年に青色申告をしている場合、その損失額を前年に繰戻すこともできます。それにより、前年分の所得金額が減るため、それに応じた所得税の還付を受けることも可能です。

青色申告と白色申告の違いを比較

個人であっても法人であっても、事業を行う場合は確定申告を行います。その場合の原則的な申告方法が「白色申告」です。
これに対し、一定の要件を満たし、税務署長から承認を受けた場合に税制上の優遇が受けられる申告制度を「青色申告」と呼びます。
青色申告と白色申告の違いを知るために、項目ごとに比較をしてみます。

制度の対象者

白色申告は原則的申告方法なので、青色申告でない人はすべて白色申告になります。

  • 青色申告:不動産所得、事業所得、山林所得があり、青色申告の承認を受けた人
  • 白色申告:青色申告の承認を受けていない人

税務署への手続き

税務署への手続きの有無で見ていくと、青色申告は例外的な制度なので、税務署に対する手続きが必要になります。以下、申告を行うための手続を比較します。

  • 青色申告:「青色申告承認申請書」を一定の期間内に納税地の所轄税務署長に提出
  • 白色申告:手続きは不要

申告時の記帳方法

記帳の方法には複式簿記と単式簿記があります。65万円の控除を受ける場合には必ず複式簿記で記帳しなければなりません。それ以外については単式簿記でも可能ですが、決して複式簿記で記帳してはいけない、ということではありません。

  • 青色申告:65万円の控除を受ける場合は複式簿記により記帳。10万円の控除を受ける場合は単式簿記による記帳でも可
  • 白色申告:単式簿記による記帳でも可

提出期限

税務署に対する手続きについて期限を整理すると以下のようになります。

  • 青色申告:承認を得たい年の3月15日。新規開業した場合(その年の1月16日以後に新規に業務を開始した場合)は業務を開始した日から2ヶ月以内
  • 白色申告:手続は不要なので期限はない

確定申告の提出書類

確定申告では、以下の書類が必要になります。

  • 青色申告:確定申告書(B)、各種控除を証する書類、青色申告決算書
  • 白色申告:確定申告書(B)、各種控除を証する書面、収支内訳書

専従者給与の経費化

生計をひとつにしている配偶者などの親族に対する給与は、基本的に必要経費にはなりません。ただし、次のような特別の取扱いが認められています。

  • 青色申告:妥当であれば金額の制限なし(ただし、青色専従者給与に関する届出書の提出が必要)
  • 白色申告:配偶者86万円まで、それ以外50万円まで

損失の繰越し

損失が発生した場合に、その損失を翌年に繰り越せないのが原則です。ただし、青色申告の場合は、3年間繰り越すことができます。

  • 青色申告:損失を3年間繰越しできる
  • 白色申告:変動所得または事業用資産の災害損失に限られます

貸倒引当金の処理

一括貸倒引当金を計上できるか否かについて、取扱いが異なります。

  • 青色申告:一括貸倒引当金の計上ができる
  • 白色申告:個別貸倒引当金しか計上できない

【補足】
以前は、白色申告のメリットとして帳簿の記帳義務がないということがありましたが、2014年1月から白色申告にも記帳と帳簿保存が義務化されたため、このメリットはなくなりました。白色申告が気軽に思う方もいらっしゃるかもしれませんが、10万円の特別控除が認められる青色申告と作業内容や作成書類はあまり変わらないため、青色申告を選択することをおすすめします。

まとめ

青色申告制度は、数々の特典が得られるので、本格的に事業を行う場合には、青色申告を選択することをおすすめします。
ちなみに、フリーランスの方で報酬を支払われる際に源泉徴収される場合もあると思いますが、給与所得者と異なり、確定申告が必要なので青色申告にすることも可能です。帳簿記帳義務はありますが、取引を正確に記録し、把握することは経営するうえでも重要なことなので、前向きに捉えてみてはいかがでしょうか。

青色申告と白色申告の違いをご覧いただきましたが、どちらがよいかという選択は、状況により異なります。
手続きの簡単な方がよい場合には、白色申告を選びましょう。白色申告は、税務署長に対する承認申請の必要がないため、事業初年度で収入が少ないような場合には、楽に感じられるかもしれません。
少しでも節税をしたいと考えたり、どちらの方法で申告するか迷われている場合には、税制上の優遇を受けられる青色申告を選択すればよいでしょう。
承認申請を出す必要はありますが、作業などは白色申告と大きな違いがなく、青色申告の特典も受けられるためです。いったん青色申告を選択してやってみたところ、会計処理が大変というときは、後から白色申告に戻すことも可能です。


参考:
青色申告制度|国税庁

事業所得の課税のしくみ(事業所得)|国税庁

青色申告を自動化! マネーフォワード クラウド確定申告

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