支払調書の発行義務はあるのか?

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書籍等の通販で有名な企業、Amazonが支払調書の送付を停止しました。「企業は必ず支払調書を発行するものだ」、「みんなが発行しているから必要なものだ」と思っていませんか?

結論からいうと、支払調書を報酬等の支払い先に発行する義務はありません。

支払調書とは?

支払調書とは企業または個人事業主が特定の支払いをした場合に「税務署」への提出が義務付けられた書類のことをいいます。

企業または個人事業者は、個人(いわゆるフリーランスで仕事をしている人)のうち、弁護士や税理士、デザイナーなど決められた職種の人に対して一定の報酬を払った場合には、その支払時にあらかじめ所得税を源泉徴収し、それを国に支払う必要があります。

そして、その際に「報酬、料金、契約金及び賞金の支払調書」を発行し、税務署へ提出する義務があります。つまり、支払調書とは税務署に、「このような報酬を支払いました」と証明するものとなります。

確定申告での添付

個人事業主やフリーランスとして仕事をしている方の中には、支払調書を集める必要があると認識している方がいらっしゃると思います。それは、1年で受け取った報酬と、報酬と同時に徴収されている源泉徴収税額が分からないと、確定申告をして税金の還付等を受けることができないからです。

確かに報酬額や源泉徴収額が分からないと正しい税金を把握することができず、損をすることがあるかもしれません。しかし、支払調書がなかったとしても、日々の取引の帳簿を正確につけていれば、正しい税金を計算することは可能です。

また、確定申告において、報酬等の支払調書の添付は規定されていません。つまり、必ず添付しなければいけない書類ではないのです。また、報酬を支払う側にも受け取る側に対して支払調書の交付義務はありません。

支払調書の発行義務と提出義務は?

支払調書の発行義務があるのは「源泉徴収義務者」であり、提出先は「税務署」となります。支払う側が税務署へ提出すればよく、報酬を受け取る側に対しては発行する必要はないのです。

そのため、報酬を受け取ったのに支払調書が届かない、といった場合があったとしても、それは問題ないことになります。

ただし、個人で活動している事業主(人を雇っていない個人事業主・フリーランス)の場合、そもそも「源泉徴収義務者」ではないため、支払調書を発行する義務はありません。

なぜ支払調書を発行してきたのか

では、必要ではないはずの支払調書が、なぜ多くの現場で発行されてきたのでしょうか?これは明確ではありませんが、支払った側が親切で発行していたものであり、それが慣習となってしまっているため、また、「企業が発行してくれるはずだから」と受け取る側は自分で計算することをやめてしまい、それが一般化してしまったためだと考えられます。

本来、確定申告は正確な帳簿をつけておくことが前提です。そして、添付が義務づけられている一部の法定調書を提出することで確定申告を行います。習慣として支払調書を発行するところはまだまだ多いですが、企業に支払調書の交付義務はないため、あるタイミングから発行されなくなることも十分に考えられます。いざそうなったときに、自分で計算できるように正確な帳簿の付け方と、自分にかかる税金の計算方法を知っておくことが重要だといえるでしょう。

まとめ

支払調書は、税務署への提出の義務はありますが、報酬を支払った相手に対する義務はありません。報酬を受け取る側も、支払調書がなくても正しく申告できるように、日頃からこまめに記帳することを心がけてください。支払調書についてもっと知りたい方は「【支払調書】発行が必要な事例と書き方、受け取る側の注意点とは?」も参考にしてください。

参考:国税庁:法定調書の提出義務者

監修:加地 延行 (公認会計士 / 税理士)

税理士法人ゆびすい
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