• 作成日 : 2024年4月19日

株式交換契約書とは?ひな形をもとに書き方やレビュー時の注意点を解説

株式交換契約書とは?ひな形をもとに書き方やレビュー時の注意点を解説

株式交換契約書とは、企業の100%子会社化に用いられる「株式交換」を行う際に締結する契約書です。会社法の規定を踏まえて、必要な事項を漏れなく定める必要があります。本記事では、株式交換契約書に記載すべき内容(書き方)や、レビュー時のポイントなどを、条文の具体例を紹介しながら解説します。

株式交換契約とは

株式交換契約書とは、株式交換を行う際に締結する契約書です。「株式交換」とは、ある会社が別の会社を100%子会社化する際に用いられる手法です。親会社は、子会社の既存株主に対して親会社株式や金銭などを交付する代わりに、子会社の発行済株式をすべて取得し、100%子会社化が実現します。

株式交換契約書に定めるべき事項は、会社法において規定されています。実際に株式交換契約書を締結する際には、会社法所定の事項を漏れなく定めなければなりません。

株式交換契約を締結するケースの例

株式交換契約書を締結するのは、ある会社が別の会社を100%子会社化する場合です。具体的には、以下のようなケースが考えられます。

  • 新規事業に取り組もうとしている会社が、スピード感のある事業発展と市場開拓を目指して、すでにノウハウや技術を有する別の会社をグループ傘下に入れるために、株式交換を行う。
  • すでに親子会社の関係にある企業同士が、子会社経営の円滑化を図る目的で100%親子会社となるため、株式交換を行う。

株式交換契約の締結・実行の手続き

株式交換契約の締結および実行は、以下の流れで行います。

  1. 事前交渉
  2. 株式交換契約の締結
  3. 株式交換に関する書面等の備え置き
  4. 株主総会の特別決議
  5. 反対株主の株式買取請求
  6. 債権者保護手続き
  7. 株式交換の効力発生

事前交渉

まずは、株式交換完全子会社と株式交換完全親会社の間で、株式交換の条件交渉を行います。特に、株式交換の対価やスケジュールなどが主要な交渉事項となります。

株式交換契約の締結

事前交渉がまとまったら、株式交換完全子会社と株式交換完全親会社の間で株式交換契約を締結します(会社法767条)。株式交換契約には、会社法所定の事項を定めなければなりません(会社法768条、770条)。

なお、株式交換契約の規定事項は、株式交換完全親会社が株式会社・合同会社のいずれかによって異なります。本記事ではこれ以降、株式会社が株式交換完全親会社となることを前提として解説します。

株式交換に関する書面等の備え置き

株式交換完全子会社と株式交換完全親会社は、株式交換契約の締結日の2週間後から、効力発生日の6か月後までの間、株式交換契約の内容等を記載・記録した書面または電磁的記録を、各本店に備え置かなければなりません(会社法782条1項・2項、794条1項・2項)。

株式交換完全子会社と株式交換完全親会社の株主および債権者は、営業時間内においていつでも、上記書面または電磁的記録の閲覧や謄本・抄本の交付等を請求できます(会社法782条3項、794条3項)。

株主総会の特別決議

株式交換完全子会社と株式交換完全親会社は、原則として株式交換の効力発生日の前日までに、株主総会の特別決議によって株式交換契約の承認を受けなければなりません(会社法783条1項、795条1項、309条2項11号)。

ただし例外的に、株式交換完全親会社が株式交換完全子会社の特別支配会社である場合(すでに90%以上の株式を保有している場合など)には、ごく一部の例外を除き、両会社における株主総会決議は不要です(会社法784条1項、796条1項)。

また、株式交換完全親会社が支払う対価がその純資産額の5分の1以下である「簡易株式交換」については、株式交換完全親会社における株主総会決議が不要となります(会社法796条2項)。

反対株主の株式買取請求

株式交換に反対する株式交換完全子会社または株式交換完全親会社の株主は、会社に対し、自己の有する株式を公正な価格で買い取ることを請求できます(会社法785条1項、797条1項)。

株式買取請求を行うためには、株主総会の決議を要しない場合等を除き、株主総会に先立って株式交換に反対する旨を会社に通知し、かつ株主総会で反対の議決権を行使しなければなりません(会社法785条2項、797条2項)。

反対株主の株式買取請求を受けた会社は、当該株主との協議または裁判手続きを通じて買取価格を決定し、その価格に従って株式を買い取ります(会社法786条、798条)。

債権者保護手続き

債権者保護手続きとは、組織再編行為によって会社財産が毀損されてしまうリスクから、既存債権者を保護するための手続きです。一定の期間内に異議を述べた債権者に対し、会社は弁済・相当の担保の提供・弁済を目的とする財産の信託のいずれかを行わなければなりません。

株式交換については、原則として債権者保護手続きは不要とされています。ただし例外的に、以下の場合には債権者保護手続きが必要となります(会社法787条1項3号、799条1項3号)。

①株式交換完全子会社において債権者保護手続きが必要な場合
新株予約権付社債を発行していた場合
※当該新株予約権付社債の社債権者に限る

②株式交換完全親会社において債権者保護手続きが必要な場合
・株式交換完全子会社の新株予約権社債を承継する場合
・株式交換の対価として、自社株式等以外のものを交付する場合
・株式交換の対価の一部を、その他資本剰余金に組み入れる場合

株式交換の効力発生

株式交換契約に定められた効力発生日が到来すると、株式交換が発効します。株式交換完全親会社は株式交換完全子会社の全発行済株式を取得し、株式交換完全子会社の株主には対価が交付されます(会社法769条1項)。

株式交換契約書のひな形

株式交換契約書のひな形は、以下のページからダウンロードできます。実際に株式交換を行うにあたって、契約書作成時の参考としてください。

株式交換契約書に記載すべき内容

株式交換契約書に定めるべき主な事項は、以下の通りです。

①株式交換の当事者
②株式交換の効力発生日
③株式交換の承認手続き
④株式交換によって交付する対価の内容
⑤株式交換による資本金資本準備金の変動
⑥その他

株式交換の当事者

株式交換完全子会社と株式交換完全親会社について、商号と住所を明記する必要があります(会社法768条1項1号)。商号については冒頭と署名欄、住所については署名欄に記載しましょう。

株式交換の効力発生日

株式交換が効力を生ずる日を明記する必要があります(会社法768条1項6号)。株主総会決議・反対株主の株式買取請求・債権者保護手続き(必要な場合のみ)等の手続きに要する期間を踏まえて、適切な時期に効力発生日を設定しましょう。

(例)
本株式交換の効力発生日(以下「株式交換の日」という。)は、令和○年○月○日とする。ただし、株式交換の手続進行上の必要性その他やむを得ない事情が生じた場合には、甲乙協議のうえ、書面によりこれを変更することができる。

株式交換の承認手続き

株式交換のスケジュールの目安を明らかにするため、株主総会における承認手続きの時期を定めておくとよいでしょう。

(例)
甲および乙は、令和○年○月○日に、それぞれ株主総会を開催し、本契約書の承認および本株式交換に必要な事項に関する決議を求める。ただし、株式交換手続進行上の必要性その他の事由により必要が生じた場合は、甲および乙の協議のうえ、開催日を変更することができる。

株式交換によって交付する対価の内容

株式交換完全親会社が、株式交換完全子会社の株主に交付する対価の内容を明記する必要があります(会社法768条1項2号~5号)。

株式交換完全親会社の株式を対価とするケースが多いですが、金銭を対価とする場合もあります。また、株式交換完全親会社の株式と金銭の両方を併用するケースもあります。

なお、金銭を対価とする場合には、株式交換完全親会社における債権者保護手続きが必要です。

(例)
①株式交換完全親会社の株式を交付する場合
甲は、本株式交換において新たに普通株式○株を発行し、株式交換の日の前日の最終の乙の株主名簿に記載された株主に対し、各株主が所有する乙の株式の1株につき甲の株式○株の割合をもって割当交付する。

②金銭を交付する場合
甲は、株式交換の日の前日の最終の乙の株主名簿に記載された株主に対し、各株主が所有する乙の株式の1株につき金○円の株式交換交付金を、株式交換の日から〇日以内に支払う。

株式交換による資本金・資本準備金の変動

株式交換の対価として株式交換完全親会社の株式を交付する場合には、株式交換完全親会社における資本金・資本準備金の変動を記載する必要があります(会社法768条1項2号イ)。

(例)
甲が、本株式交換において、増加すべき資本金および資本準備金の額は、次のとおりとする。
⑴増加すべき資本金 金○○ 円
⑵増加すべき資本準備金 金○○ 円

その他

上記のほか、以下の事項などを規定するのが一般的です。

  • 株主構成に関する表明保証(反社会的勢力の不存在に関する表明保証を含む)
  • 善管注意義務
  • 役員の変動の有無および任期
  • 契約の解除
  • 株主総会の承認等が得られない場合の取り扱い
  • 損害賠償
  • 誠実協議
  • 合意管轄

など

株式交換契約書の作成ポイント

株式交換契約書を作成する際には、特に以下の事項に注意しましょう。

①会社法に規定された事項を漏れなく定める
②必要な手続きを踏まえたスケジュールを立てる

会社法に規定された事項を漏れなく定める

株式交換契約には、会社法に規定された事項を漏れなく定める必要があります。株式交換の対価の内容によって、株式交換契約に定めるべき事項が変わる点に注意しましょう。

必要な手続きを踏まえたスケジュールを立てる

株式交換に当たっては、株主総会決議・反対株主の株式買取請求・債権者保護手続きなど、さまざまな手続きが必要となることがあります。株式交換の効力発生日は、これらの手続きを無理なくすべて完了できる時期に定めましょう。また、各手続きのスケジュールを事前に立てた上で、計画的に対応することも大切です。

株式交換契約書は、会社法の規定を踏まえて作成しよう

株式交換契約書の作成に当たっては、会社法によって規定が必要とされている事項や、株式交換について必要な手続きを念頭に置かなければなりません。会社法の条文を逐一確認しつつ、顧問弁護士などのアドバイスも受けながら、適切な内容で株式交換契約書を作成しましょう。


※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。

※本サイトは、法律的またはその他のアドバイスの提供を目的としたものではありません。当社は本サイトの記載内容(テンプレートを含む)の正確性、妥当性の確保に努めておりますが、ご利用にあたっては、個別の事情を適宜専門家にご相談いただくなど、ご自身の判断でご利用ください。

関連記事