• 作成日 : 2024年1月19日

製品保証書とは?ひな形をもとに作り方や記載項目を解説

製品保証書とは?ひな形をもとに作り方や記載項目を解説

製品保証書とは、製品の品質について保証することを示した書面のことです。作成に法的義務はありません。しかし、購入者からの信頼を得られることや損害賠償の責任を回避できるという理由から、多くの企業で作成されています。本記事では、製品保証書のひな形や書き方、さらには記載すべき項目や注意点について解説します。

製品保証書とは?

製品保証書とは、製品の品質について保証することを示した書面のことです。一般的には、一定期間内に通常の利用範囲内で故障や品質異常などが判明した際に、無償で修理を提供する旨が記載されています。

企業が製品保証書を発行することには、2つのメリットがあります。1つ目は、保証書を提供することで、購入者がメーカーや製品の品質に対する不信感を持つことを防げることです。2つ目は、保証内容や保証期間と合わせて免責事項も明記することで、損害賠償の責任を回避できることです。

なお、メーカー保証書の発行は法律で義務付けられているわけではありません。そのため、保証を提供しないことでメーカーが罰せられることはありません。しかし、上記のメリットから、多くのメーカーが各製品に対して独自の保証内容と期間を設定し、サービスを提供しています。

製品保証書のひな形、テンプレート

製品保証書の作成が初めての方や作成に不安を感じる方は、以下サイトのテンプレートを活用するのがおすすめです。こちらでは、弁護士監修の製品保証書の基本的なテンプレートを無料でダウンロードできます。

基本的なテンプレートを活用することにより、製品保証書に記載すべき内容やポイントがスムーズに理解できるでしょう。内容について十分に理解したうえで、実際の保証内容にあわせて内容を調整しましょう。

製品保証書に記載すべき内容

一般的に、保証書で記載すべき項目は次の9つです。ただしこれらの項目は、製品やサービスの種類、企業のポリシーなどにより異なる場合もあります。保証書を作成する際には、記載すべき内容が漏れていないかどうか、必ずチェックするようにしましょう。

1.タイトル

保証書であることを明示します。

2.作成日

保証書が作成された日付を記載します。

3.製造者名・販売者名・発行者情報など

製品を製造や販売、保証書を発行した企業や個人の情報を記載します。

4.商品名

保証対象の品名や形名を記載します。

5.製造日

製品が製造された日付を記載します。

6.購入日

製品が購入された日付を記載します。購入日の記載と店舗印がなければ、保証書の効果は発揮されません。記入漏れや誤記がないかを確認しましょう。

7.保証期間

保証が適用される期間を記載します。保証期間については「製品購入日・納品日より〇年間」という規定が一般的です。

8.保証内容

保証が適用される条件や範囲を具体的に記載します。

9.免責事項(保証が適用外となる事項)

保証が適用されない条件や範囲を具体的に記載します。故障の原因が災害や不適切な使用方法などの場合は品質によるものではないため、保証適用外であることをあらかじめ明記しておきましょう。また、購入者の費用負担となる場合があればその内容も明記します。

製品保証書の作成ポイント

製品保証書の作成には、いくつか重要なポイントがあります。とくに、購入者とのトラブルを避けるためにも、保証内容や免責事項についての記載には気を付けなければいけません。具体的に注意するべきポイントは、次の2つです。

  • 保証内容を明確にする
  • 免責事項を詳しく設定する

1つずつ詳しく解説します。製品保証書を作成する際には、これらのポイントをしっかり把握し、適切に反映させるようにしましょう。

保証内容を明確にする

保証内容は、明瞭かつわかりやすい形で記載することが重要です。保証内容が不明確だったり、過度に複雑だったりする場合は、購入者が企業に対して不信感を抱く可能性はあります。製品を安心して使用してもらうためにも、わかりやすさを意識した保証書の作成を心がけましょう。

さらに、保証内容については「メーカーは、自身の判断により、修補または代替物の提供のいずれかを選択できる」という条項を設けることを推奨します。これは、商法および民法改正により、製品に不具合があった場合、購入者が契約不適合責任(商法526条、民法566条、559条)に基づいて、修補・代替物の引き渡しおよび不足分の引き渡しを請求できるようになったためです。修補による費用が多額にならない場合は、修補による対応のほうが損害を最小限に抑えられるため、「選択可能」という文言を設けておくことが望ましいでしょう。

参考:商法526条|e-GOV法令検索
参考:民法559条、566条|e-GOV法令検索

免責事項を詳しく設定する

修理や交換が必要となる状況に備えて、免責事項を詳細に設定しておきましょう。免責事項は、製品の特性に応じて個々に考慮する必要はありますが、以下に示す故障や損傷は、一般的に保証の対象外とされます。

  • 顧客の仕様ミスや、過失・改修によるもの
  • 材料の自然な特性や経年劣化によるもの
  • 自然災害や公害、異常電圧によるもの

上記のように、メーカーの責任ではない事由による故障や品質異常については、免責事項として明確に記載しておくことが推奨されます。

製品保証書を受け取った際に確認すべきポイント

製品保証書を作成する会社から保証書を受け取った際に、確認すべきポイントについて解説します。ポイントは次の2つです。

  • 抽象的な文言になっていないか確認する
  • 英文の場合は訳に注意する

確認作業を怠ると、万が一購入者との間でトラブルが発生した場合、その解決には多大な時間や労力が必要です。購入者からの苦情やトラブルを最小限に抑えるためにも、確認作業を丁寧に行うことが重要です。

抽象的な文言になっていないか確認する

保証書の文言が抽象的だと、関係者間での解釈が食い違い、トラブルになる恐れがあります。そのため専門用語を含むすべての内容が、明確であるかどうかや解釈によって誤解を招く余地がないかどうかを確認することが重要です。

たとえば、「購入者の要求を満足する品質および性能を有していることを保証する。」という表現を考えてみましょう。この表現は、購入者が品質や性能について満足するかどうかという主観的な判断を含んでいるため、トラブルが起こりやすい内容です。このように主観的、かつあいまいな表現は避け、具体的で明確な表現を用いることを心がけましょう。

英文の場合は訳に注意する

英語圏では、英語を使用する法律圏(英米法)に特有の概念が適用されます。そのため、日本語を直訳しただけでは、意図した法律効果を生む契約書の文言(英語)にならない可能性があります。合意内容と異なる意味を持つ契約書になってしまうと、問題を回避できないため、とくに注意深くチェックすることが重要です。

さらに、英米法の観点からは、「口頭証拠排除原則」というものがあります。これは、契約書(書面上の合意)を作成した場合、契約書が持つ証拠価値を非常に重視し、契約書と矛盾するほかの証拠は後置され、排除されるものです。契約書自体の重要性が非常に高いことを念頭に置いて書面を作成しましょう。

製品保証書を保管する際のコツ

製品保証書の保管については、外部の保管サービスを利用すると効率的です。保管サービスでは、保管する箱ごとに料金が発生するため、倉庫をレンタルするよりもコストを抑えられます。社内での文書保管が難しい場合や、倉庫の保管スペースを節約したい場合にとくに有効です。

また、文書管理システムを利用して文書をデジタル化し、保存する方法もよいでしょう。システム上で文書を一元管理できるため、保管期間を自由に設定したり、必要な文書を簡単に検索したりできます。ぜひ、自社のニーズに合う保管方法を探してみてください。

正しい知識で製品保証書を作成しよう

製品保証書とは、製品の品質について保証することを示した書面のことです。購入者に対する企業の信頼性を向上させ、損害賠償の責任を回避するなど、企業にとっても大きな利点があります。

作成する際には、あいまいな表現を避け、明確で理解しやすい内容にすることが重要です。製品保証書の作成が初めての方や、作成に不安を感じている方は、テンプレートを活用するとよいでしょう。


※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。

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